全ロシア世論調査センター(VTsIOM)が先日実施した世論調査で、大統領選におけるプーチン優位の形勢は、首都モスクワ、「北都」ことサンクトペテルブルグでもほぼ同じであることが明らかになった。こちらのニュースが伝えている。

 この記事で示されているモスクワおよびペテルブルグの各候補の支持率を、No.159で紹介したロシア全国の数字と対比しつつ示すと、下表のようになる。ただし、まったく同じ調査の結果だったのかは明記されておらず、確信がない。一部数字が埋まらないが、悪しからず。

 ロシア全体モス
クワ
ペテルブルグ
プーチン524347
ジュガノフ885
ジリノフスキー86 
ミロノフ44 
プロホロフ41211
ヤヴリンスキー5 
投票に参加しない1187
回答困難10912

 要するに、両首都でも、ロシア全国よりも多少数字は落ちるものの、それでもプーチン優位の形勢に本質的な違いはないということになる。ちなみに、「誰々にだけは絶対に入れない」というアンチ・ランキングを見ても、プーチンの数字はモスクワで30%、ペテルブルグで25%であり、各候補の中でプーチンが最も低くなっている。ジリノフスキーに至ってはその数字がそれぞれ74%と72%に及ぶ。

 この調査結果につきVTsIOMのフョードロフ所長は、以下のように解説している。確かに今回の両首都でのプーチン支持率は、高い数字だ。ただ、現政権に対する大規模な抗議運動が始まったのが12月であり、多くが変化したが、それでもプーチンは12年間も政権に就いているのである。ミドルクラスは、モスクワのそれであっても、特にプーチンに反感は抱いていない。彼らは、既存の対抗馬にも、反政府集会のリーダーたちにも期待はできないということを分かっているので、本物の候補を選好する。その観点から言うと、大統領選に初めて出馬しているプロホロフの存在は、目立っている。

 ただし、両首都でもプーチンが優勢とする調査結果に関しては、野党や一部の専門家から疑問視する声も上がっている。たとえば、『政治工学』誌のポリャコフ編集長は、支持率の数字を操作するのは選挙戦の常套手段であり、今回の調査結果もそうしたものの一つだ、モスクワでプーチンの支持率が43%というのは過大であり、30~35%程度が妥当であろう、と指摘している。