ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

2013年05月

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ムルマンスクで仕事中。しかし、初めて北極圏に来たのに、何で東京より暑いわけ? 最高気温28度で、5月の記録を塗り替えたとか。州内でツンドラ火災が多発しているという話もある。


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20130531yuzhural

 先日HPでお届けしたエッセイ「石の花咲くウラル」でも述べたように、世界地名事典の仕事で、鉱山・冶金産業のメッカであるロシア・ウラル地方の地名に関する記事を書きまくった。その中に、オレンブルグ州第2の街であるオルスク市というのもあった。同市の中核企業として、大手の「メチェル」社傘下の非鉄金属メーカー「ユジウラルニッケル」があり、同社がオルスク郊外のポルコヴニク山で採掘した碧玉は、モスクワのクレムリンの床に用いられているという。

 ところが、ニュースを眺めていたら、このユジウラルニッケルの経営危機が報じられていた。こちらの記事によると、ユジウラルニッケルでは赤字経営が続いていて、今般3,000人の解雇を決めたということである。このほど、オレンブルグ州行政府、メチェル社、ユジウラルニッケル社、同社労組が、解雇される職員の再就職プログラムの実現に向けた協定に調印した。なお、メチェルはユジウラルニッケルを身売りする意向で、現在買い手を探しているところ。経営権の移転が行われると想定される今後半年間は、職員は既定の賃金・手当を全額受け取ることになる。ユジウラルニッケルの2012年の赤字額は17.5億ルーブルで、前年の約10倍に上った。


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20130529tomsksez

 こちらのニュースによると、ロシア・シベリアのトムスク州に設けられているトムスク技術導入特区で、このほど新たに第3棟が完成し、5月23日、第15回トムスク・イノベーションフォーラムの開催に合わせてその開所式が行われた。新棟の建設は2011年4月に始まった。5階建てプラス地下駐車場があり、延べ床面積は15,600平米で、その70%はすでに予約で埋まっている。主にIT企業、機器メーカー、医療・バイオ関連企業などが入居することになる。なお、トムスク特区にはすでに61社が入居しており、うち13社は外資参加企業である。


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 本日からロシア出張で、モスクワに着いたところ。明日には、ムルマンスクに移動する。それに関連して、ムルマンスク州の最近の政治・経済事情についての情報を収集し、目を通しているところだ。ムルマンスク州と言えば、約1年前の2012年4月に、知事の交代劇があった。その動きを振り返っておくことにする。

 まず、D.ドミトリエンコ前知事の退任に関する2012年4月4日付のこちらの記事の要旨。D.メドヴェージェフ大統領(当時)はD.ドミトリエンコ・ムルマンスク州知事を、期限前にその職から解いた。知事は2009年3月に就任したばかりで、本来の任期は2014年までだった。表向きは「本人の希望」とされているが、クレムリンは州知事の直接選挙制復活に先駆けて不人気な知事たちを解任することを急いでおり、その一環と見られる。ドミトリエンコ知事の退任は、以前から予想されていた。ドミトリエンコは、前任者のYu.エヴドキモフ知事が与党「統一ロシア」と対立してその座を追われたことを受け、知事に就任していた。ドミトリエンコはロシア漁業庁の次官を務めていた専門家で、政治的対立を緩和し、州の経済を成長軌道に乗せることが期待されていた。しかし、現実にはその役目を果たせず、地元エリートとの良好な関係も築けなかった。結果、2011年12月の連邦下院選で、統一ロシアは32%しか得票できなかった。確かに大統領選ではプーチンが60%とったが、時すでに遅しだった。

20130529kovtun

 次に、新知事にM.コフトゥン女史が承認されたことを受けた、2012年4月23日付のこちらの記事の要旨。ムルマンスク州下院は新たな州知事にマリヤ・コフトゥンを承認した。投票では、30名が賛成し、3名が反対した。州議会は、空白を長引かせないため、メドヴェージェフ大統領がコフトゥンを指名した翌日に、それを承認した。承認手続きに立ち会ったN.ヴィンニチェンコ北西連邦管区大統領全権代表は、ムルマンスク州は北西管区の中でも経済発展が遅れており、2011年の成長率はわずか5%で、2010年よりも低かった、漁業・鉱工業・木材加工など多くの部門に問題がある、新知事には近年経済に生じていた問題、具体的には重油依存度の高さ、軍との関係、漁民および住宅・公営事情の諸問題を正す重要な任務がある、などと発言した。一方コフトゥンは、能力重視で新チームを編成する、前知事が州外から連れてきた幹部たちの多くは必然的に去ることになる、などと発言した。なお、コフトゥンは、V.マトヴィエンコ・サンクトペテルブルグ前市長、N.コマロヴァ・ハンティ・マンシ自治管区知事に続き、ロシア史上3番目の地域首長となった。

 最後に、コフトゥン知事が「影響力のあるロシア女性100人」に選ばれた際に出た、2013年2月5日付のこちらの記事の要旨。ムルマンスク州選出のV.チュプ連邦上院議員は、以下のようにコメントしている。知事は激務だが、コフトゥン知事はその任に堪える実力の持ち主だ。近年で初めて州の主たる燃料源である重油の値段が下がったり、母親手当など一部の社会的保護が引き上げられるなど、すでに成果が上がっている。知事はモスクワでも州の利益を取り付けられる政治家だ。チュプ議員は以上のように語った。なお、マリヤ・コフトゥン知事は1962年ムルマンスク州生まれ。1986年からムルマンスク州のコムソモール組織で働き、コムソモールの地区委員会委員長に。1991年12月からムルマンスク州で青年政策の仕事をしたが、1992年に国家税務調査局ムルマンスク州支部に転じる。1993年にムルマンスク州行政府に移り、2005年まで文化・スポーツ・観光委員会の次長だった。その後、ロシア連邦観光庁のムルマンスク州支部次長となり、釣り客の誘致など州の観光開発の仕事を手掛けた。しかし、2009年に民間に転じ、公開型株式会社「コラ鉱山冶金会社」の副社長に就任する。2011年12月に州議会下院に統一ロシアの名簿で当選し、副議長、統一ロシア会派会長となった。2012年4月、代行を経て、ムルマンスク州知事に就任。


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 突然ですが、本日からロシア出張です。

 私の場合、一人の旅程が多い。旅先では、夕食など、いちいち外出するのは面倒であり、そもそもロシアには手軽に一人で食べられるような店がほとんどない。そこで、ロシア圏に出張に行く際には、カップラーメンを買って持っていくのが常である。個人的に、健康にはそれなりに気を使っているので、普段はカップラーメンなんか絶対に食べないのだけれど、出張の時だけは毎晩のようにそのお世話になる。ただ、さすがに体に悪そうなので、昨年あたりから、カップラーメンにワカメや煮干しなどをトッピングして、少しでもバランスをとろうとしている。でも、煮干しを入れると、味が濁って、不味くなるのよねえ。何か良いものはないかと思い、スーパーの売り場をさまよったら、良いものを発見! 写真に見るような、インスタントラーメンに入れる具のミックスセットようなものを見付けた。まあ、世間的には常識なのかもしれないが、個人的には初めて知った。よし、今回の出張は、これで乗り切るぞ。

20130529koredana

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 前のエントリーと取り上げるべき順序が逆になってしまったが、こちらのニュースによれば、5月27日ロシアで、V.プーチン大統領も交え、高速鉄道網の整備に関する会合が開かれた。この席でV.ヤクーニン・ロシア鉄道社長は、ロシアは2030年までに超高速鉄道網を4,253km、高速鉄道網を6,942km整備する予定であると表明した。なお、超高速とは時速200~400km、高速とは時速140~200kmを意味するという。そして、それらが一体のネットワークとして形成される。パイロットプロジェクトとなるのが、前のエントリーで紹介したモスクワ~カザン超特急であり、それをさらにウラルおよび沿ヴォルガの諸地域と接続する(エカテリンブルグ、ウファ、ペルミ、チェリャビンスク、サマラなどが候補)。また、モスクワ~ヴォロネジ~ロストフ~アドレル、モスクワ~サンクトペテルブルグの両路線も、パイロットプロジェクトとなる。これらにより、ロシアの1億人以上の国民が超高速鉄道網でカバーされることになるという。

 こちらに、下に見るような図が出ていた。

20130528railway

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 こちらおよびこちらのニュースによると、ロシア首都のモスクワと、タタルスタン共和国カザンを超高速鉄道で結ぶプロジェクトが発表されたという。同路線は、2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会の前に完成させることが想定されている。ロシア鉄道のV.ヤクーニン社長が、ロシアの高速鉄道網整備をテーマとしたV.プーチン大統領も参加した会合で発表した。

 現在ロシアに超高速鉄道は存在せず、モスクワ~サンクトペテルブルグ線、モスクワ~エカテリンブルグ線がパイロットプロジェクトとされていた。しかし4月にA.ミシャリン・ロシア鉄道第一副社長が、モスクワ~カザン線がおそらくロシア初の超高速鉄道になるであろうと記者団に述べていた経緯がある。ロシア鉄道のV.ヤクーニン社長によれば、モスクワ~カザン超特急の総工費は9,280億ルーブル。官民パートナーシップにより、国が70%、民間が30%を出資することを見込んでいる。国がインフラに、民間が車両および付属施設に投資をするという棲み分けになる。仮に国民福祉基金の資金を活用できれば、国庫負担は6,500億ルーブルから3,710億ルーブルに低下する。

 M.ソコロフ運輸相は、当該路線を2018W杯までに完成させることが可能だとの見解を述べた。モスクワから、ウラジーミル、ニジニノヴゴロド、チェボクサルィを経てカザンに至るルートが予定されている。


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20130527uafdi

 ひょっとしたら、半年くらい前にも同じような記事を書いたかもしれない。現在、ある出版企画にかかわっていて、それに向けて約半年前に、ウクライナの外国直接投資受入状況のデータを整理した。しかし、よくあるパターンで、他の執筆陣の原稿の集まりが悪いらしく、まだ原稿は日の目を見ていない。そうこうするうち、2012年の統計データがあらかた発表されてしまったので、今般、私の原稿のうち経済統計を利用したものに加筆・修正を加えた。その一環として、新しいウクライナの外国直接投資受入状況のグラフも作ったので、ちょっとこれをお目にかけようかと。

 ウクライナの統計によれば、2012年末現在のウクライナの外国直接投資の受入残高は、544億6,240万ドルとなっている。うち、日本からの投資は1億6,080万ドルであり、全体に占めるシェアは0.3%にすぎず、日本の順位は23位であった。日本の投資の中身は、「自動車販売」と「機械製造」の2分野に集中している。前者は日系各社がウクライナで乗用車輸入販売会社を設立したことによるものであり、後者はいすゞブランドのトラック・バスの現地組立プロジェクトに関係していよう。なお、この他にも日系企業の現地生産拠点としては、JTIのたばこ工場がクレメンチュークに所在していることが知られているが、多国籍企業による投資であり、統計上は日本からの投資とはカウントされていない。


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 UEFAチャンピオンズリーグは、5月25日ロンドン・ウェンブリーで決勝戦が行われた。史上初となったドイツ勢同士のファイナルだったが、バイエルン・ミュンヘンが2:1でドルトムントを下し、昨年の雪辱を果たした。

 決勝戦は必ずしも好ゲームとは限らないが、今回の決勝はすごかった。このレベルになると、私ごときがコメントしたり突っ込んだりできることは、ほとんどない。ただひたすら、観ていて、すごいな、と。変な駆け引きとかは抜きで、ドイツらしい(もちろんドイツ人でない選手も多いわけだが)、速くて激しく、それでいて性能の良い機械のように正確なチーム同士のぶつかり合い。専門家に言わせれば、戦術とか、細かい見所も色々あるのかもしれないが、個人的には、ただただ、画面の中で繰り広げられる妙技に、ひたすら見入ってしまった。

 バイエルンは、国内リーグではぶっちぎりで優勝だったらしいけど、バイエルンとドルトムントという2つのチームのマッチアップだけを見れば、それほど差があるようには見えなかった。むしろ、攻撃の大黒柱のゲッツェを欠きながら、途中まで自分たちのサッカーを貫いて、押し込んでいたのはドルトムントだったし。ただ、敵のゴール前にノイヤーが立ちはだかっていたら、入るものも入らないな、と。もし仮に、JリーグのGKのレベルが今回のCL決勝の2人のそれになったら、Jリーグの得点は今の3分の1くらいに低下するのではないかと思えるくらい、とにかくGKがすごかった。まあ、惜しかったよねえ、ドルトムント。

 というわけで、大したコメントや突っ込みもできないのだが、スカパー!の実況担当者がなぜ八塚氏だったんだよというところだけは、突っ込んでおきたい。八塚氏が実況で、「面白い!」と叫ぶパスやクロスは、大抵それほど面白くないという、スカパー!あるある。


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 こちらのニュースによると、ウクライナ政府は5月22日の閣議で、ロシア・ベラルーシ・カザフスタン3国の関税同盟に同国がオブザーバー参加することに向けた覚書(メモランダム)案を採択した。加盟3国側の見解を考慮に入れて取りまとめた文書であるという。M.アザロフ首相は、我が国が3国指導部に提起した問題につき、それが検討され、肯定的に決定されることを願っている、オブザーバー資格により、関税同盟における我が国の利害を守ることが可能になるとコメントした。5月29日にカザフスタンのアスタナでユーラシア経済評議会の最高会議が開催されることになっており、ウクライナはその場で覚書の調印が行われることを期待している。


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20130524wc2018

 こちらのニュースによると、ロシアのI.シュヴァロフ第一副首相は5月23日、ロシアで開催されるFIFAワールドカップ2018につき、ロシア政府はその総予算を2,500億ルーブルまで圧縮することが可能であるとの見解を示した。可能な項目を削減した結果、ムトコ・スポーツ相とシルアノフ蔵相がこのほど、2,500億ルーブルという額を政府の会議に諮ったという。現在までに政府はW杯開催に向けたプログラムを策定したところであり、それを国家予算とすり合わせる作業に取り組んでいる。2,500億ルーブルというのは無駄をそぎ落としたぎりぎりの数字であると、シュヴァロフは強調した。


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20130524maslovsky

 毎度お馴染みというかお馴染みでないというか、ロシアの経済特区に関する話題である。こちらのニュースによると、ロシア中央連邦管区のヴォロネジ州で、新たに経済特区を創設する構想が浮上しているということだ。ヴォロネジ市の南東の郊外で2010年に建設が始まった「マスロフスキー」という工業団地がある。そして今般、A.ゴルジェエフ・ヴォロネジ州知事がA.ベロウソフ・ロシア連邦経済発展相に、同工業団地を基盤に経済特区を創設したい旨、申し出たとのことだ。なお、マスロフスキーは面積598haで、すでにガスの配管、浄化設備、鉄道などのインフラが整備されており、現在17社が活動している。投資家からの入居希望がさらに続いているので、州としてはマスロフスキーの拡張を計画している。マスロフスキー以外にも、州には(ボブロフスキー、ペルスペクチーヴァ、ルスランドグループといった)工業団地があり、知事はベロウソフ大臣に対し、それらのインフラ整備にも連邦予算から追加的な資金を投入してほしいとの要請も行った。


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20130523murmanskport

 私はロシアの経済特区を研究テーマにしているのだが、ちょっと見落としていた動きがあった。今般、ムルマンスク港湾特区についての情報を収集してみたところ、昨年の秋頃に、同特区は入居企業が集まらずに廃止の方向にあるという情報が出ていたことを知った。ただ、ムルマンスク州行政府は特区の廃止という情報を否定し、引き続き入居企業を募っていく方針を示していた。

 たとえば、2012年10月22日付のこちらの記事。この中でムルマンスク州のA.チュカヴィン第一副知事が、港湾特区の問題と見通しについて語っている。それによると、ムルマンスクに限らず、港湾特区はどこでも問題に直面している。ムルマンスク特区では、2010年の創設から現在まで、入居企業が1社も集まっていない。もしもこのまま入居企業が表れないと、2013年には協定が失効してしまうので、延長するかどうかを決めなければならない。これまで、ムルマンスク貿易港、ムルマンスク海洋船団船舶修理工場などが、候補として取り沙汰されたが、実現はしなかった。問題は複雑であり、いったん企業が入居に同意しても、そこから先に進まない。多くの投資家は単に、ビジネスプラン、銀行によるその効果の評価といった書類を作成できない。また、入居に際して、当局側によるインフラの整備を要求する向きもある。たとえば、ラヴナ港社は、コラ湾西岸に電力を供給することを、条件の一つに掲げた。連邦と州が特区創設協定を結んだ際に、州がインフラ整備の責任を引き受けたのだが、前政権の行政府が何を根拠にそう決めたか理解できず、現在州財政にはそのような財源はない。2010年に特区が創設された際に、1,500億ルーブルの投資を誘致するなどと称していたが、裏付けとなる具体的なプロジェクトは明記されていなかった。3,000haという面積が決まっていただけで、特区の具体的な領域すら決められていなかった。とはいえ、州行政府としては特区の廃止を急ぐつもりはなく、協定が存続している限り、入居企業の獲得に努める。チュカヴィン第一副知事は概要このように語っていた。

 そして、これに関連し、最近新たな情報が伝えられた。こちらのニュースによると、4月にM.コフトゥン・ムルマンスク州知事が国営石油会社「ロスネフチ」のI.セーチン社長と、ムルマンスク特区への入居に関し交渉したというのである。ムルマンスク州への重油の長期的な供給などの話題が中心だったが、ロスネフチもその管理会社の主要株主となっている「ムルマンスク運輸ハブ総合開発プロジェクト」も取り上げられ、その文脈でセーチン社長が、同プロジェクトへの関心を強めている、特区にも入居する用意がある、というようなことを述べたようだ。ただし、この記事の時点では、ロスネフチが実際に入居企業として登録されたという事実は確認されていないとのこと。


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20130522chechen

 昨日のエントリーでも予告したように、ロシア北カフカスのチェチェン共和国から、U.ラスハノフ蔵相をはじめとする行政府幹部が来日しており、昨日その一行と面談する機会があった。

 非常にフレンドリーな人々で、政策担当能力も決して低くないように感じた。チェチェン自体は、元々豊かな地域というわけではないが、連邦が重点的な開発地域と位置付けて資金を投入しているので、近年の経済的復興・発展には目覚ましいものがある(極東開発プログラムは批判されることが多いが、昨日の幹部らは昨年末に採択された北カフカス開発国家プログラムを高く評価していた)。ただ、いかんせん、内戦とテロの時代を経てきているだけに、対外的イメージが悪く、投資を誘致しようにもほとんど相手にしてもらえないため、その焦りのようなものが感じられた。外国人投資家を相手に交渉したりするのには、慣れてないのだろうなという雰囲気が伝わってきた。

 チェチェン共和国は現在、84の投資プロジェクトリストを制定し、投資家を募っているということである。昨日のエントリーで紹介した『エクスペルト南』の記事では、プロジェクトリストは全82件とされていたので、その点について質すと、リストは常に更新しているので、その後の追加で現在は84件になっているとの説明だった。当方より、「この中で、日本の投資家に参画を期待したい、特に優先的なプロジェクトはあるか?」と尋ねたところ、アルグン川の水力発電所建設を挙げていた。個人的には、ロシアの水力発電はルスギドロ社が一括して束ねているようなイメージで捉えていたのだが、必ずしもそういうわけではなく、地域が主導する場合もあるのだとか。チェチェン共和国は現状で電力自給率がゼロなので、発電能力の獲得は悲願ということらしい。さらに、「他にも特に優先的なプロジェクトはあるか?」と問うたところ、「84件すべてだ」と言われてしまった。まあ、願望として、あれもこれもというのは分からないでもないが、「全部が優先プロジェクト」と言われてしまうと、外国人投資家は逆に引いてしまうところがある。せめて10くらいに絞って、「これだけは何としてもやる、最優先のプロジェクトだ」と言った方が、本気度が伝わって、実現の可能性が高まるのではないかと思われた。


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20130521kadyrov

 実は本日、ロシア北カフカスのチェチェン共和国の代表者と面談することになった。こんな時は、先日のエッセイで触れた、ロシア南部に関する資料を駆使して、予習するに限る。そんなわけで、『エクスペルト南』誌(2012年9月17-23日号、No.35-37)に掲載された、チェチェン共和国のR.カディロフ首長のインタビューの中から、同共和国の投資プロジェクトに関する部分を中心に、発言要旨を抜粋しておく。なお、チェチェンのトップは、2011年3月5日までは「大統領」と称していたが、現在は単に「首長」となっているようだ。写真に見る人がそうだけど、1976年生まれと、若いなあ。

 2012年9月のソチ投資フォーラムで、共和国は68の投資プロジェクトを提示する予定で、必要とされる投資総額は1,400億ルーブル。これらのプロジェクト実施により、2万3,500以上の雇用創出が可能になる。それらのうちいくつかは、特に優先的なプロジェクトと位置付けられている。とりわけ、電力分野の2プロジェクト、すなわちアルグン川における水力発電と、ダム建設である(注:発言振りからはプロジェクトの区分が不明)。さらに、鉱工業分野の優先プロジェクトもあり、79億ルーブルの自動車生産プロジェクト、缶詰工場(11億ルーブル)およびガラス容器工場(15億ルーブル)の建設である。さらに、観光・保養地プロジェクトがある。

 共和国政府は2012年6月24日付の政府決定で優先投資プロジェクト・提案のリストを制定した。82プロジェクトが含まれており、うち35は鉱工業・エネルギー、29は農工コンプレクス、18は観光を含むサービス分野を対象としている。2025年までの共和国社会経済発展戦略では、これらのすべてが優先分野とされており、投資家にとってきわめて魅力がある。

 特に規模の大きい投資プロジェクトとしては、高層ビル群「グロズヌィ・シティ」(18~40階のビル7棟を建設)、「グデルメス・シティ」があり、それらの総額は130億ルーブルに上る。アルグン市でも同様のプロジェクトが推進されている。シェルコフスキー地区では、67億ルーブルを投じて農工コンプレクス産業が形成されようとしている。

 ロシアの大企業で、現時点でチェチェンに投資を行っているのは、主に国営企業。最大規模は、ロスネフチであり、I.セーチン副首相(当時)の主宰により製油所建設に関する会議が開かれ、そこで精製・保管・販売を含む複合プロジェクトの有益性が確認された。そのプロジェクト総額は500億ルーブル強。また、連邦送電会社の投資プログラムは、チェチェン領内に20億ルーブルを投じてサブステーション「330kWグデルメス」を建設することをうたっており、2012年中に建設地が確定する。北カフカス地域間配電会社傘下のヌルエネルゴの投資プログラムの枠内で送電線の整備も進められている。

 チェチェンでは投資関連法規の中で投資に対する各種の国家支援策が定められている。具体的には、共和国による国家保証の提供、金利補助、利潤税・資産税優遇、タックスヘイブン、などである。

 現在のところ、外資による本格的な投資プロジェクトはない。現在は法整備に努めているところで、共和国の「外国投資法」が制定された。外資誘致のため、国際的な見本市や会議に積極的に参加している。

 2011~2012年に共和国政府はロシア連邦地域発展省に16のプロジェクト(総額478億ルーブル)を提案し、うち5が鉱工業・サービス、6が農工コンプレクスだった。LED照明、自動車、リチウムイオン電池などの生産プロジェクトがあった(注:当然、採用はされなかったということだろう)。

 観光業の柱と位置付けられているのが、ヴェドゥチ保養地であり、標高2,850mの地点に全長45kmのゲレンデを整備し、400室のホテルも建設する。総額は145億ルーブルで、すべて予算外の資金。2,020人分の雇用が創出される。2014年1月の稼働を見込んでおり、現在設計作業が終わりつつあり、インフラ整備が行われているところ。D.メドヴェージェフ首相は本件を北カフカス観光クラスターに含めるよう指示を与えている。現在、内外の観光客呼び込みの活動をしている。

 共和国にとりわけ誘致したいのは、内外の大手石油会社。チェチェンでは内戦前までは無線産業が盛んだったので、エレクトロニクスも誘致したい。また、領内では建材の原料が採れるので、国際的な建材メーカーの進出にも期待する。


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20130520museum

 ホームページ更新しました。マンスリーエッセイ「石の花咲くウラル」。よかったらご笑覧ください。


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 こちらのニュースによると、5月17日のロシア政府の会合(近代化・イノベーション発展評議会幹部会)で、ロシアのブランドを外国に普及させるという課題についての問題が提起され、D.マントゥロフ産業・商業相がその責任者ということになったそうである。

 さらに、こちらのニュースによると、会議終了後マントゥロフ大臣は、新たな任務遂行への抱負を記者団に語り、すでにこうした試みの前例はあり、それは「ソ連邦品質保証」であるとして、ソ連時代の同制度にならったロシア製品品質PRを展開する考えを示した。

 なお、「ソ連邦品質保証」とは、1967年にソ連で導入された制度で、国がソ連製品にお墨付きを与え、下の写真に見るようなマークが与えられたものである。

20130520sssr

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20130519surkov

 だいぶ遅いフォローになってしまったが、ロシアのウラジーミル・スルコフ副首相が先日退任(事実上の解任)した件に関し、政治工学センターのアレクセイ・マカルキン副所長の論評を、以下のとおり抄訳しておく。

 スルコフ副首相退任の直接的な原因は、「調査委員会」との対立だった。調査委員会の報道官が副首相に関しこれほどあからさまな非難をし、しかも調査委員会のヘッドもクレムリンもそれを否定しないというのは、前代未聞だ。つまり、V.マルキン報道官の見解は、調査委員会の総意であり、その背後には大統領がいるということである。大統領は実質的にシラビキたちを庇護しており、スルコフを擁護するつもりはさらさらないということだ。

 スルコフ批判の原因となったのは、イノベーションセンター「スコルコヴォ」をめぐるスキャンダルである。スルコフはスコルコヴォの責任者であり、彼が政府に移り政治力を失って以降、それが数少ない資源の一つだった。スコルコヴォは現在批判を浴びており、それに関連した英国でのスルコフの発言がマルキンの激しい反発を招いたわけだが、スルコフ発言は西側に対してというよりも、「自分は必要な人間ですよ」というクレムリンに対するアピールだった。

 スルコフはかくして、クレムリンの路線、野党への敵対姿勢への、連帯を誇示した。そもそも、今日に至る政治体制を構築したのは、スルコフに他ならなかった。どうやら、スルコフには他の可能性が尽き、自らの忠誠、自分はクレムリンの同盟者たりえる(ただ自分が責任者であるプロジェクトだけは維持してくれ)と公にアピールするしか、手がなくなっていたようだ。しかし、そのアピールへのクレムリンからの回答は、否定的なものだった。調査委員会委員長の発言は、その拒絶であり、スルコフがもう政権にとって無用であることを見せ付けた。

 スルコフの退場劇で、もう一つ肝心な点は、政府の役割である。スルコフはメドヴェージェフ内閣の主要閣僚の一人だったわけで、今後内閣は厳しい立場に立たされるだろう。すでにその兆候は表れており、本質的に履行不可能な大統領令の不履行に対する全責任が押し付けられようとしているし、不人気な年金改革の火の粉も内閣が被ることになるだろう。スルコフが閣内に留まること自体は不可能ではなかったが、じり貧であることに変わりはなく、内閣もスルコフ自身もますます立場が悪化しただろう。もしも調査委員会との対立がなかったら、スルコフが内閣全体と一緒に総辞職することになったかもしれない。

 今後、スルコフが個人的なコネを生かして、何らかの民間企業で働くことはあるかもしれない。しかし、当分の間、政治キャリアを続けるのは無理だろう。議会野党にとっても、反体制野党にとっても、自分たちを弾圧した張本人であるスルコフを仲間に加えるのはありえない。

 体制側がスルコフを役立たずだと判断したのは、2011年12月の事件に際してのスルコフの働きに失望したからである。スルコフは、自分が野党の動きを止められる万能の政治マネージャーであるかのように振る舞い、彼の仕事に莫大な資源が投入されて、いざという時には大衆的抗議に歯止めをかける存在として青年組織が作られたりした。しかし、実際には広場は反政府勢力で埋め尽くされ、スルコフの青年組織は無力だった。それ以来、スルコフが政治マネージャーとして必要とされることはなくなった。スルコフの失敗に対する失望は今でも苦い記憶として残っており、スルコフは完全に孤立した。

 さらに言えば、スルコフはメドヴェージェフ大統領の再選に賭けたのであり、プーチンが大統領に復帰して以降、そうした人々の立場は必然的に弱体化している。ただ、アナトーリー・チュバイスなどは、大組織を管理できる人物ということで、引き続き必要とされている。もしもスルコフに同じような能力があるなら、たとえ政治マネージャーから外されたとしても、何らかの要職に就けられるはずである。しかし、スルコフが長年をかけて多大な資源を注入して構築してきた体制が、2011年12月にその無力さを露呈するに至って、スルコフの命運は尽きた。スルコフは形式上はエスタブリッシュメントに残り、副首相となったが、クレムリンが重要視していないことは明らかだった。問題は、スルコフがいつ、どのような形で政権から去るかということだけであった。


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 5月15日、UEFAヨーロッパリーグ(EL)の決勝がアムステルダムで行われた。イングランドのチェルシーが、2:1でポルトガルのベンフィカを破り、優勝。前年のチャンピオンズリーグ(CL)に続き、ヨーロッパの国際タイトルを手にした。

 私自身も、生というわけには行かなかったが、録画で観戦。ベンフィカ、チェルシーとも、CLのグループリーグで敗退してELに回ってきて、そこからの決勝進出だったわけだが、その過程では私の注目するロシア・ウクライナのクラブの前に立ちふさがったりもした。CLグループステージのスパルタク・モスクワとベンフィカの対戦、シャフタール・ドネツィクとチェルシーの攻防、そしてEL決勝トーナメントのルビン・カザンとチェルシーの激突など、個人的に強く印象に残っている。こうして迎えたELの決勝戦なので、じっくりと見届けたかった。

 ELというのは、CLよりも参加チーム数が多いので、試合数も多くなる。前年度のCL優勝チームであるチェルシーは、今季CLのグループステージで3位となり、格の落ちるELに回るという屈辱を味わった。ELに加え、国内のFAカップでも準決勝まで勝ち上がったため、とにかく今季のチェルシーは試合数がべらぼうに多くなったようだ。よく知らんが、もしかしたら今季ヨーロッパで最も多くの公式戦を戦ったのかもしれない(しかも、主力プレーヤーは各国代表選手なわけだし)。

 アムステルダムのEL決勝戦でも、疲れからか、チェルシーの動きは見るからに鈍かった。チェルシー有利という下馬評に反し、躍動したのはベンフィカの方であり、多くの時間帯で押し込んでいた。しかし、支配できていただけに、どうもゴール前で一手間、二手間多い印象であり、シュートを空振りしたり相手ディフェンスにブロックされたりして、実はチェルシーのGKツェフにセーブを強いるようなシュートはほとんどなかった。もっとシンプルにダイレクトにシュートを打つべきではと思われたシーンが、何度もあった。チェルシーは、シュート数は少ないながらも、前半両チームで一番惜しいシーンは実はランパードのミドルであり(逆を突かれたGKが何とか片手で弾き出す)、もしかしたら先制するのはチェルシーかもしれないという雰囲気も漂っていた。後半に入り59分、それが現実となる。GKツェフからの何気ないスローから、フェルナンド・トーレスが一瞬の隙を突いて抜け出し、相手GKとの一対一を冷静に決めて、チェルシーが先制。動きが重かったチェルシーは、これをきっかけに活性化した。逆に、押しながらトーレスの一発にやられてしまったベンフィカには、明らかに焦りの色が。それでも、その数分後に、ラッキーな形でPKをもらい、これをカルドソが渾身の力でゴールに蹴り込んで(その結果PKを蹴った後に足がつるという珍事)、ベンフィカが追い付く。その後は両チームとも疲れが見え、決定機はあまりなかった。このまま延長かと思われた後半ロスタイム、コーナーキックからチェルシーのDFイヴァノヴィチが高さと上手さのヘディングシュートを決め、土壇場で勝ち越し点を奪う。そのままタイムアップとなり、チェルシーが優勝を決めた。

 はっきり言って、ELのタイトルをより強く欲していたのは、ベンフィカの方だろう。チェルシーは、何と言っても昨年度のCL王者であり、一段落ちるELのタイトルは、微妙でもある。監督も、プレミアリーグでの上位確保および来季CL出場権の獲得と、国内のFAカップの方を重視すると公言していたと記憶する。それに対し、ベンフィカは1960年代初頭に2度にわたりCL王者に輝いたことがあるそうだが、近年は国際タイトルから遠ざかっていただけに、今回のELタイトルを獲得して古豪復活の狼煙を上げたいという思いは相当強かったはずだ(実際、今季の戦いはその期待を抱かせるものだった)。スタジアムに駆け付けた両チームサポを比べても、明らかにベンフィカのそれの方が熱気で上回っていた。しかし、最後は、腐ってもチェルシーというか、前年度欧州王者の勝負強さにしてやられた形だ。失意に沈むベンフィカとそのサポを見ていると、なんか、カップ戦の決勝でアントラーズに負けたエスパルスを見るようで、他人とは思えなかった。


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20130517uarynok

 『コメルサント・ウクライナ』紙のこちらの記事によると、ウクライナの消費市場で、国産品の比率が低下しているということである。ウクライナ統計委のデータにもとづき、その推移をまとめたのが上図であり、濃い棒が食料品、薄い棒が非食品商品であり、確かに両者とも国産品の比率が低下している。国産品比率は、2012年の時点で、食料品では86.3%、非食品商品では41.9%となっている。食品と非食品を合計した2012年の国産品比率は58.9%ということであり、これは前年から3%ポイント低下した。繊維製品の国産品比率は、2011年の42.7%から、2012年の34.2%へと、大きく落ち込んでいる。食器類は30.4%から24.6%へ、スピリット飲料も87.1%から83.9%へと低下している。


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20130516motown

 市井の皆さんには何の関係もない、個人的な趣味の話だけど、ライフワークとして聴いているモータウン(米デトロイトを拠点に1960年代にソウルミュージックの大ヒット曲を連発したレーベル)の音源のリイシューで、新たな動きがあった。アメリカのHIP-O Selectというリイシューレーベルから、2000年代にThe Complete Motown Singlesというシリーズが出て、50年代末から70年代初頭にかけてモータウンから出たすべてのシングルのAB面の曲が年ごとのCDセットとして発売された。で、2009年に1971年のやつが出て、これでシリーズは完結したと伝えられていた(少なくとも私はそう理解していた)。しかし、今般アナウンスがあり、近く1972年の前半を対象としたVol.12Aというものが発売されることが明らかになった。今後さらに1972年後半のVol.12Bというのが出て、それでシリーズが本当に完結するらしい。個人的には、大事件なのだけど、誰も興味ないですよね、ああそうですか。



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20130515mps

 昨日の話の続きである。前回のエントリーをアップした後に、知り合いから良いことを教えてもらった。こちらのサイトで、YouTubeのコンテンツを、MP3の音声ファイルに転換できるというのである。実際にやってみると、なるほど、確かに無料かつ簡単にYouTubeの動画をMP3に転換し、それをダウンロードすることができた。ただし難点もあり、最長で20分間の動画までしか処理できない。20分を1秒でも超えると、駄目のようである。長いものでも、自動的に分割してくれるとか、せめて最初の20分だけでも転換してくれるとか、そういう仕様になっていると有難いが、20分以上のやつを入力すると門前払いになってしまう。したがって、大演説とかは、無理。なので、差し当たり、ロシアの閣僚の10分から15分くらいのちょうど良い長さのスピーチやインタビューなどを何点かMP3にしてダウンロードしてみた。よーし、これをバリバリ聞いて勉強するぞ。

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20130514benkyou

 週末に風邪をこじらせてしまい、昨日は有給休暇をとって自宅で休んでいた。なんか、このところ日本では寒暖の差が激しく、体調を崩す人が増えているらしいですね。まだ調子は悪いけれど、そう何日も休むわけにはいかないから、本日は出勤しないと。

 さて、昨日は家で静養していたので、本を一冊読んだ。野口悠紀雄著『実力大競争時代の「超」勉強法』という、2年ほど前に出た本である。個人的に、自己啓発本とか読まないタイプだが、野口先生の本は読むだけでも面白いし、こんな怠惰な私にもやる気を起こさせてくれるようなモティベーション力がすごい。この『実力大競争時代の「超」勉強法』は、これまで野口先生の著作で語られてきたことの焼き直しという感もなきにしもあらずで、正直新味は乏しかったが、やはりたまにはこういう本を読んで自分自身のネジを巻き直さないといけないと思う。年度の切り換わり時期なので、新年度の事業に向かう気持ちを新たにするためにも、よかった気がする。

 自分にとっての喫緊の勉強対象は、やはりロシア語である。もっと、自由自在に使いこなせるようにしなければならない。私は以前、メドヴェージェフが大統領だった頃に、彼の演説のMP3をクレムリンのウェブサイトからダウンロードし、それを寝る前に聞いていた。ロシア事情のフォローと、ロシア語聞き取り能力を錆び付かせないためである。ただ、ここ2~3年は寝る前に音楽を聴くことが楽しみになってしまい、ロシア語のリスニングからは遠ざかってしまった。今回、野口先生の勉強法を読んでも、語学の勉強では、まず聞き取りが基本であるということが強調されている。ちなみに、この本によれば、野口先生は何年か前から、何とロシア語の勉強を始めたそうである。古稀を迎えながら、何という向上心! 先生の頭脳と勤勉さをもってすれば、私などはロシア語でもあっという間に抜かれてしまうかもしれない。そんなこんなで、再びロシア語リスニング生活を再開しようと決意した。

 そこで、早速昨日、風邪薬で頭が朦朧としつつ、久し振りにネットでメドヴェージェフの演説をダウンロードしてみようと試みた。しかし、これが上手くいかなかった。現在、ロシア政府のウェブサイトはマルチメディアに対応したリッチな内容になっているが、首相の演説などはHP上でプラグインで閲覧するようになっており、MP3の形では提供されていないようなのだ。YouTubeをはじめ、メドヴェージェフの演説を閲覧する手段はいくらでもあるものの、どうもMP3という形では見当たらない。私の聞き方は、ベッドで音楽プレーヤーを聞き、そのまま寝てしまうというものなので、動画ではなく、単純な音声ファイルが欲しいのである。

 一方、プーチン大統領の演説は、今でもクレムリンのウェブサイト上でMP3で提供されている。なので、昨日はやむなく、プーチンの演説をダウンロードし、それを寝る前に聞いた。でも、プーチンは早口だし、ロシア語の聞き取りの教材としては、やはりメドヴェージェフの方がいいのよね。プーチンの恫喝調の演説を聞きながら寝ると、なんか悪い夢でも見そうな気がするし。う~ん、もうちょっと良い手はないか、引き続き探ってみますわ。


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20130409centralasia

 これは、『調査月報』用に書いた書評記事なのだけど、書評はなるべく広く人目に触れた方がいいから、ここにコピーさせていただく。以前、本ブログでも簡単な告知だけした、帯谷知可 ・北川誠一 ・相馬秀廣編『朝倉世界地理講座5 中央アジア』である(朝倉書店、2012年、27.6×19.2×3.6 cm・470頁 定価:本体17,000円+税)。

  朝倉書店から刊行されている「世界地理講座 ―大地と人間の物語」に関しては、小誌2007年5月号の本コーナーで、東ヨーロッパ・ロシア編を取り上げたことがある。このほど、同シリーズの中央アジア編が出たので、今回はこれを紹介してみたい。

  最初に強調しておきたいのは、本書は狭義の中央アジア5ヵ国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン)だけでなく、南コーカサス3ヵ国(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)も守備範囲にしているということである。おそらく、本書のタイトルをめぐっては、関係者の間で議論があったのではなかろうか。「中央ユーラシア」、「中央アジア・コーカサス」といった案も出たのではないかなどと想像する。最終的には、シンプルに「中央アジア」と銘打つことになったのだろう。

  また、「地理」と言えば自然地理学的なものを想像なさる方も多いと思うが、本書はどちらかと言うと人文地理学に重きを置いており、さらにその延長上で国際関係・政治・経済・環境・社会・民族・歴史・文化と、実に幅広い事柄を扱っている。ちなみに、本書においては、必ずしも国別に章や節を設けるというよりは、特定のテーマ別に論じるアプローチがとられている。これは、近年の地域研究のトレンドに沿ったものと思われる。

  こういった次第であり、本書はむしろ、「中央アジア・コーカサス総合講座」と呼びたくなるような内容である。皆様も、実際に本書を手に取れば、その情報の広さと深さに圧倒されることだろう。

  なにしろ大判で500ページ近くある書籍なので、一気に読み切るという性格のものではなさそうだ(評者自身、読破するには至っていない)。特に興味のあるところから読み進めたり、問題に突き当たった時に参照したりすべきものだろう。装丁が立派なので、つい身構えてしまうが、実際に読んでみれば、日本人に馴染みが薄いテーマでも平易に解説されており、豊富な図版も理解を助けてくれる。また、数多く設けられているコラムも、地域事情を知るための有益な手がかりとなりそうだ。コラムでは、グルジア出身の力士として活躍した黒海関が語り手として登場するくだりなどもあり、読者に親しみを持たせてくれるこうした配慮も嬉しい。

  本書には、総勢53名もの専門家が執筆に参加したということである。これだけ多数の執筆者を束ね、固有名詞の表記の統一をはじめ、1冊の書籍にまとめ上げるに当たっては、大変なご苦労があったものと推察する。かくして、我が国の中央アジア・コーカサス研究の最新の成果が集大成されたわけであり、関係者の労を心よりねぎらいたい。

  実務家にとっても、中央アジアと良いお付き合いをするためには、エリアを多角的に理解することが求められよう。そのためのスタンダードなレファレンスとして、ぜひ座右に備えておきたい一冊である。


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20130512watch

 ロシアが連休で、本当にニュースが入ってこなくなったので、雑談ブログですが。

 四半世紀ほど使ってきた腕時計を、先日修理に出し、このほど仕上がってきた。全然大した時計ではないが、学生時代にアルバイトで稼いだお金をつぎ込んで買ったものなので、愛着をもっている。ただ、防水ではないので、雨や汗が染みてしまったらしく、やや動きが怪しいところがあった。以前、修理をするとものすごく高くつくようなことを言われたので、だましだまし使っていた。しかし、今般、ウォッチ・ホスピタルという、割安かつ明朗会計で、修理をしてくれる店を見付け、しかもうちのオフィスから至近だったので、長年の懸案だった修理にようやく出したという次第。錆が出ていた一部のパーツを交換し、クリーニングをしてもらって、2万円ちょっとだった。


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 こちらの記事によると、欧州復興開発銀行(EBRD)はこのほど、2013年のウクライナの経済成長率見通しを0.5%のマイナス成長に下方修正した。今年に入ってから2回目の下方修正となる。2014年については2.5%のプラス成長としている。EBRDでは見通し引き下げの理由について、ウクライナが周辺諸国にも増してユーロ圏およびロシアの景気後退の影響を受けていることを指摘。現状では、状況を緩和するために、通貨フリヴニャの緩やかな切り下げも検討に値するとしている。また、銀行の不良債権、金融セクターの深甚なドル化が、引き続き経済の安定にとって脅威になっていることも指摘している。


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20130510m201306

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2013年6月号、とりあえず表紙だけご紹介。今回は小誌初の中央アジア特集。私自身は今回は脇役で、署名入りの単独レポートはありません。


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20130510shitteiru

 GWにkindleで読んだ本。浜田宏一著『アメリカは日本経済の復活を知っている 』。アマゾンからその紹介をコピーすると、

 ノーベル経済学賞に最も近い経済学の巨人、研究生活50年の集大成!! この救国の書は、東京大学での教え子、日本銀行総裁・白川方明に贈る糾弾の書でもある。20年もの間デフレに苦しむ日本の不況は、ほぼすべてが日銀の金融政策に由来するからだ。白川総裁は、アダム・スミス以来、200年間、経済学の泰斗たちが営々と築き上げてきた、いわば「水は高いところから低いところに流れる」といった普遍の法則を無視。世界孤高の「日銀流理論」を振りかざし、円高を招き、マネーの動きを阻害し、株安をつくり、失業、倒産を生み出しているのだ。本書で解説する理論は、著者一人だけが主張するものではない。日本を別にすればほとんど世界中の経済学者が納得して信じ、アメリカ、そして世界中の中央銀行が実際に実行しているもの。実際に著者は、日米の学者・エコノミスト・ジャーナリストたちにインタビューを行ない、すでに60人以上から聞き取りを行なっているが、ほとんどすべての俊才が、潜在成長率のはるか下で運営されている日本経済を「ナンセンスだ」と考えている。たとえば教科書でも有名なグレゴリー・マンキュー、ウィリアム・ノードハウス、ベンジャミン・フリードマン、マーク・ラムザイア、デール・ジョルゲンソン、ロバート・シラー、黒田東彦、伊藤隆敏らだ。世界から見れば常識となっている「日本経済の復活」を、著者50年間の研究成果をもとに、わかりやすく徹底解説!

 というものだ。要するに、安倍政権でメインストリームに躍り出た、金融緩和によってインフレターゲットを設定しデフレからの脱却を図るというリフレ派の、最大の理論的支柱である経済学者による、激白のような本である(書かれたのは日銀の白川総裁の退任と黒田総裁の就任が決まる前だったようだが)。

 一昨日の橘玲著『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』についての論評の中でも述べたとおり、私はアベノミクスなるものをまったく信用しておらず、したがって浜田氏の唱えるリフレ理論についても慎重な見方をしている。本書『アメリカは日本経済の復活を知っている 』を読んでも、それはあまり変わらなかった。浜田氏が気骨を持った良心的な経済学者であるということはうかがえたし、むろん本書から学んだ点や部分的に賛同できるところも多々あったが、本書の主張の根幹部分についての疑念は拭えない。浜田氏は、日銀が金融緩和しさえすればデフレから脱却できる、そうなれば日本も必ず安定的な経済成長を取り戻せるというのだが、果たして本当にそうだろうか?

 言うまでもなく、日銀が金融緩和をすれば、デフレ解消の好条件にはなるだろう。しかし、現在我々が直面しているデフレは、もっと構造的なもののように思える。たとえば、自分が学生だった頃と、今とを比べると、実に色んなものが安くなった。それは別に日銀のデフレ政策の結果として安くなったのではなく、この間に生じた新興国(とりわけ中国)の台頭、グローバリゼーションおよび日本経済の対外開放化、新たな産業革命とも呼ぶべきICT・デジタル革命、日本社会の成熟化と少子高齢化などによってもたらされたもののはずである(浜田氏は、少子化がデフレの要因になることは経済学的にありえないと断言するのだが、果たして本当にそうだろうか?)。私は、日本の経済学者の中では日頃、野口悠紀雄氏の著作に親しんでいるので、日本が旧来型の産業構造に固執する限り、コモディティ生産国として中国等と競合することになり、構造的なデフレ圧力にさらされ続ける(ゆえに新たな産業構造の構築に進むべきだ)という野口氏の主張の方に、説得力を覚える。確かに金融緩和はデフレ解消にとっては正に働くだろうが、それでデフレ問題の完全解決が図られるわけではなく、さじ加減を誤れば副作用の方が大きくなるリスクもあると考える。増してや、デフレの解消が即、日本のGDPの拡大に結び付くかと言えば、本書を読んだ限り、得心が行かなかったというのが率直な感想である。

 本書には、日本の街角のシャッター商店街を見ると心が痛む、だから金融緩和でデフレを解消するしかないのだといった調子の、情緒的なくだりが目立つ。そういう浪花節はいいから、もうちょっと自説の経済学的な根拠を示してほしいと感じた。ただ、あとがきには、本書は一般向けにあえて人間味のある書き振りに徹したというようなことが書かれている。次作では、本書のテーマをより経済学的なアプローチで世に問う予定だ、とされている。なんだ、だったらそっちを読んだ方がよかったかという気もしないでもない。


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20130509osaka

 本日は編集を担当している『調査月報』の締め切り日なので、ブログは完全によもやま話だけということで。

 一昨日のエントリーで述べたように、今回の連休を利用して大阪に行ってきた。東京との比較で気が付いたのは、1.街に古本屋が多いような気がした。 1つの商店街に古本屋が何軒もあるようなところがあった。2.レガシー的な昔ながらの喫茶店が、東京よりも多く残っているような気がした。3.店で流れている有線放送で、わりと古い歌が多く流れているような印象をもった。東京では十中八九最新ヒットだと思うが、大阪では「古くても良いものは良い」という感じで、懐かしい曲が普通に鳴っていた。山下達郎のコンサートを大阪に観に行って、立ち寄った店の有線で同氏の「ソリッド・スライダー」が流れていたのには、痺れてしまった。新しい曲とか、古くても有名曲ならともかく、「ソリッド・スライダー」って、アンタ……。

 そんなファンクの都、大阪での山下達郎のコンサートに大満足し、すっかり気分が良くなって、地下鉄に乗ってホテルに戻ろうとしていた時のこと。切符売場で、不意にロシア語が聞こえてきた。ロシア人の中高年女性の旅行者グループが、切符の買い方が分からなくて、困っているようだ。大阪でロシア人に出会うのも貴重だし、引っ込み思案の私としては珍しく自分から声を掛けて、切符を買うのを手伝ってあげた。サンクトペテルブルグから来たというオバチャングループも、まさかロシア語を話せる救世主が現れるとは思ってもおらず、当方の親切に大感激。私も方角は違うが同じ地下鉄御堂筋線だったので、ホームまで案内し、「皆さんは南方面ですのでこちらの乗り場、私は北方面ですので反対側の乗り場、では御機嫌よう、良い旅を!」とお別れをしたのである。列車に乗り込み、やれやれ、コンサートも最高だったし、ロシア人に親切もできたし、良い一日だったと感慨にふけっていたところ、どうも様子がおかしい。どうやら、自分は反対方向の列車に乗ってしまったということに気が付いた。ということは、必然的に、ロシア人グループにも逆方向の列車を指示してしまったことになる。う~む、彼女らが乗るのは1駅だけたったけど、すぐに気が付いてくれただろうか? せめて降りたホームで気が付いて、すぐに折り返してくれればいいのだが、改札から出てしまったりしたら、大阪の地下鉄値段高いし、悲劇だな……。いや~、悪いことしちゃった。「すいません、実は私は東京在住で、大阪の土地勘はなかったんです」と弁解したいところだけど、後の祭り。コンサートの余韻もすっかり醒め、へこみまくった大阪の夜でした。


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20130508sisanbouei

 実は私、あまり読書をしない人間なのだけど、タブレット/電子書籍生活を始めてから、以前よりは本を読むようになった。まあ、そのうち飽きるかもしれないが。

 さて、このほどやはり電子書籍サービスのkindleで、橘玲著『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』を読了した。内容をAmazonからコピーすると、アベノミクスはその端緒となるのか!? 大胆な金融緩和→国債価格の下落で金利上昇→円安とインフレが進行→国家債務の膨張→財政破綻(国家破産)…。そう遠くない未来に起きるかもしれない日本の"最悪のシナリオ"。 その時、私たちはどうなってしまうのか? どうやって資産を生活を守っていくべきなのか? 不確実な未来に対処するため、すべての日本人に向けて書かれた全く新しい資産防衛の処方箋。恐れる必要はない! しかし、備える必要はある! 作家・橘玲が贈る、生き残りのための資産運用法!

 私はプロパーの経済学者ではないが、ロシア経済の研究家であり、なるべく経済学の知見の吸収にも努めている。そんな私から見て、アベノミクスなるものはインチキにしか思えないし、私の知り合いの経済学者にもそれを信じている人などいない。アベノミクスをめぐる空騒ぎなどに惑わされず、日本経済の見通しについて危機感を持ちながら、自分の将来の生活設計をしていかなければならないと考えている。そこで、何か参考になるような書籍をと物色した結果、目に留まったのが本書『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』だった。

 読んでみたところ、本書はとても全うな、地に足の着いた書籍であると感じた(第1章の「近未来小説」は、その後の章とまったく関係がなく、余計だったかなと思うが)。「資産防衛」などというと、何やら成金セレブがあぶく銭を海外に移したりといったことを想像しがちだが、この本はそういうことを論じているのではない。むしろ、日本の普通の庶民が、証券会社の甘言に惑わされたりせずに、いかに冷静に行動すればいいかといったことが語られている。たとえば、40歳サラリーマンの資産ポートフォリオの大部分は「人的資本」、すなわちこれからお金を稼ぐと期待される自分自身であり、いかにこの部分が死活的に重要かが強調されている。逆に言うと、微々たる比率にすぎない金融資産を投機的な対象に投資して、人的資本の毀損を補うことなどは、不可能ということになる。金融資産があったとしても、当面は銀行の普通預金で持っているのが賢明だというのが、本書の主張だ。


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