ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

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 本日は多忙なので、告知だけでご容赦いただきます。2月16日(日)10:00~18:40に立教大学で公開シンポジウム「エネルギー安全保障:欧州の経験とアジアへの示唆」が開催されます。(私はともかく)そうそうたる専門家が登壇し、参加費無料ですので(事前申し込み必要)、奮ってお越しください。

 服部は、「ユーラシア経済連合の共同エネルギー市場」という報告を行います。よろしくお願いいたします。


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 1月21日にロシアでミシュースチン新内閣の顔触れが上図のように決まった(出所はこちら)。「多くは留任」という論評もあり、確かにそういう見方もできるが、経済閣僚の布陣には結構本質的な変化が生じている気がする。最大のポイントは第一副首相だろう。前内閣では、緊縮財政派のA.シルアノフが、第一副首相と蔵相を兼務し、政府の金庫番としてどっしりと構え、安易な財政拡大は許さなかった。典型的なのは、高速鉄道プロジェクトに待ったをかけたことであり、それについては先日「ロシア版の新幹線計画がまさかの大迷走」というコラムで論じたとおりである。

 それに対し、新内閣では、シルアノフは蔵相ポストこそ保持したものの、第一副首相の座は失った。そして、新たに第一副首相に就任したのが、これまで経済問題担当の大統領補佐官を務めてきたベロウソフであった。プーチン大統領の「5月大統領令」や、一連のナショナルプロジェクトは、まさにベロウソフの発案によるものと言われており、もしもベロウソフが入閣したらそれは「ナショナル・プロジェクト・シフト」に他ならないと事前に言われていたが、それが的中した形である。したがって、今後ロシアがナショナルプロジェクトへの拠出を中心に積極財政に転じていくということは、充分に考えられそうである。

 他方、ベロウソフと言えば、想起されるのは物議を醸した「ベロウソフのリスト」であろう。これは、2018年8月にベロウソフ大統領補佐官が、金属および化学の大手企業は輸出で超過利潤を挙げながら低い税負担しか負っていないので、追加的な課税をすべきであり、またそうした企業はナショナルプロジェクトおよびインフラ総合計画にも率先して貢献すべきだと主張して、大いに物議をかもしたものだった。「ベロウソフのリスト」に挙げられていたのは、具体的には、エヴラズ、ノヴォリペツク冶金コンビナート、ノリリスクニッケル、シブール、セヴェルスターリ、マグニトゴルスク冶金コンビナート、メタロインヴェスト、SUEK、メチェル、アルロサ、フォスアグロ、ウラルカリ、ポリュス・ゾロト、アクロンの各社であった。これらの企業は戦々恐々としているところかもしれない。


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 こちらの記事によると、ロシアのラヴロフ外相(この時点では代行)がウズベキスタンを訪問し、ウズベキスタンのユーラシア加入の問題につき交渉したということである。

 記事によると、ウズベキスタン側は、ユーラシア経済連合に加入する場合の、2つの条件を要請した。第1に、ロシアの出入国法に違反してロシアへの入国が禁止になっている数十万人のウズベク市民につき、再びロシアに入れるように、恩赦を与えること。現在も同じくらいの数のウズベク市民が違法状態にあり、再びロシアに来れないかもしれないと恐れて、ロシアを離れられないでいる現状がある。第2に、ウズベクの諸産業につき、最大で10年ほどの移行期の優遇措置を認めることである。なお、ラヴロフのウズベク訪問に先立っては、ウズベク大統領府付属経済研究改革センターの専門家たちがユーラシア加盟のプラスマイナス両面を評価する初めての報告書を提出しており、ウズベクの実業界にとっては加盟が経済的にメリットがあることが指摘されている。


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 当ブログでも何度か取り上げたと思うが、中国と欧州の間を、主にカザフスタン・ロシア・ベラルーシというユーラシア諸国を経由する形でコンテナ貨物を鉄道でトランジット輸送するプロジェクトを、「中欧班列」と呼んでいる。このほど、こちらのサイトで2019年の中欧班列の運行・輸送実績が発表されたので、それを紹介してみたい。

 これによれば、2019年の中欧班列の運行列車数は8,225便で前年比29%増、輸送コンテナ数は72.5万TEUで前年比34%増であった。中欧班列の90%強がカザフスタンを経由したものとなっている。なお、従来2018年のコンテナ数を明確に示した資料が見当たらず、「約60万TEU」とする資料が得られる程度だったので、私もやむなくその数字を使っていたが、今般の前年比34%増という数字から逆算して、2018年のコンテナ数は54.1万TEUということにしておく。

 先日お伝えしたとおり、2019年のベラルーシ・トランジットは微増に留まったということで、今回の情報とやや整合しない。ベラルーシ以外のルートの活用がそんな急速に拡大しているのだろうか。


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 GLOBE+に、「プーチンを動かした『朕は国家なり』という信念 ロシア1月政変を読み解く」を寄稿しました。

 本連載では前回、「結局、プーチンの後継者は誰なのか問題」というコラムをお届けし、ロシア最高指導者の後継シナリオについて論じました。ところが、記事が配信された翌日の15日、プーチン大統領が年次教書演説を行い、その中でかなり大掛かりな憲法改正を提案、それを受けメドベージェフ内閣が総辞職するという大きな動きがありました。それなりに力を入れて書いたつもりだったコラムの賞味期限が、わずか1日ちょっとで切れてしまったような気がして、少々へこみました。もっとも、当の閣僚たちも内閣総辞職について知らされておらず、驚いたということですので、筆者がそれを察知できなかったのも無理はありません。いずれにしても、ロシア政治が大きく動きましたので、本稿では前回コラムでお伝えした内容をアップデートすることを試みています。


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 現在ロシアのプーチン政権が取り組んでいる「ナショナルプロジェクト」に関しては、以前「プーチンの『ロシア改造計画』はどこへ 人もコンクリートも重視の欲張りプロジェクト」というコラムを書いたので、そちらを参照していただきたい。今般のミシュースチン新首相の起用には、ナショナルプロジェクト実現に向けて、改めてネジを巻き直す(少なくとも国民向けにやってる感を出す)という狙いがあったものと思われる。ただ、実現のためには先立つ財源が必要だ。こうした問題に関し、エクスペルト誌のこちらのサイトでA.コロリョーヴァという論者が論じているので、要旨を以下のとおり整理しておく。

 メドヴェージェフ内閣退陣の主要因と言われているのが、大統領が教書で掲げた諸課題を、自分たちが実行できないと閣僚たちが認識していたことである。経済閣僚たちは、教書によって示された巨額の社会支出に、難色を示していたという。

 しかし、連邦税務庁長官だったミシュースチンは、違ったようだ。首相に就任すると、ミシュースチンはすぐに、国には大統領教書の諸課題を実現するのに充分な財源があると言明した。下院での演説では、「マクロ経済の安定と財政黒字のお陰で、我が国には大統領によって提起されたすべての課題を本年1月から実現するための財源が存在する」と発言した。ちなみに、教書では新たな支出は本年1月1日から計上されると述べられていた。大統領も教書で国民の貧困について語っていたが、ミシュースチンの発言振りからすると、その改善にすぐにでも取り組まなければならないということなのだろう。与党「統一ロシア」も最大限柔軟に今年度の予算を修正していきたいとしている。

 今回表明された憲法修正を円滑に実施していくためにも、ミシュースチンは国民の行政府への支持率を高めなければならない。

 教書を実現するためには、今年だけで4,500億ルーブルが、4年間ではざっと4兆ルーブルが必要だが、ミシュースチンによれば連邦予算の枠内の組み替えによって可能である。実際、2019年1~11月の財政は3兆990億ルーブルの黒字(対GDP比3.1%)であり、当初の予算の1兆4,808億ルーブル(対GDP比1.4%)を超過している。

 予算によれば、今後3年間の財政黒字は対GDP比で、2020年0.8%、2021年0.5%、2022年0.2%となっている。2020年の黒字は8,761億ルーブルということになっている。「予備基金」の規模が予定額を7%超過している状態であり、余剰分をナショナルプロジェクトに回せば、歳出へのしわ寄せは小さくなる。また、政府が「国民福祉基金」形成に当たっての油価基準額を引き上げる可能性もある。基準額は、2019年がバレル41.6ドル、2020年が同42.4ドルとなっている。

 専門家のM.コーガンによれば、予算修正後に考えられる動きとしては、ナショナルプロジェクトの精査、経済のデジタル化、実業界との対話などが考えられるという。ミシュースチンは税務庁長官として、経済成長が5年間で3.2%しかなかったところ、税収は実質36.5%も引き上げるという実績を示している。ナショナルプロジェクトは2019年に明らかに停滞し、それが低い成長率にも影響したわけで、ミシュースチンの税務庁長官としての能力が買われ、この状況を正せると期待され今回の起用になったと考えられる。


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 こちらの記事などが伝えているように、プーチン大統領によって首相候補に指名されたM.ミシュースチンは、1月16日に下院で承認投票にかけられ、定数450のところ、賛成383、反対0、棄権41で可決された。棄権したのは共産党だった。プーチン大統領は同日中にミシュースチンを正式に首相に任命した。その他の閣僚の任命は週明け早々になる見通しである。

 上の記事には、上掲のように、ロシア議会における首相承認投票の歴史をまとめた図が掲載されていた。これを見て分かるとおり、黒の反対票が1票もなかったのは、今回の投票が史上初めてであった。1998年頃の混乱期が良かったとは思わないが、プーチン体制の下でロシア政治の多元性がどんどん失われていき、ついには反対ゼロという事態となったわけである。


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 昨日1月17日、「ウクライナのホンチャルーク首相が辞任」という第一報を目にした時には、「ロシア内閣の交代に加え、ウクライナのことも追わなくちゃならないのか」と思って絶望的な気持ちになった。ロシア外務省のザハロヴァ報道官が「(ロシアを追うように首相が辞任とは)さすがは兄弟国」などと皮肉ったりもしていた。しかし、結論から言えばゼレンスキー大統領が首相を慰留し、元の鞘に収まったようだ。上掲の動画が手打ちの面談なのだが、ゼレンスキーがやると何でもコントに見えてしまうところが、どうもいけない。

 こちらの記事にもとづいて一応経緯を整理しておくと、騒ぎの発端は、ホンチャルーク首相の発言を隠し録りしたとされる録音がネットに流出し、その中で首相が「ゼレンスキーは経済の動きをプリミティブにしか理解していない」などと発言していた(下のYouTubeを参照)。これがスキャンダルとなり、ホンチャルーク首相は1月17日に大統領に辞表を提出、しかし大統領はそれを受理せず、ホンチャルーク内閣に仕事を続けるよう指示。これを受けホンチャルーク首相も、「我々は、与えられた責任の重さを認識し、与えられた課題をすべて実行し、我が国における体系的な変革を強化していく用意がある」と表明。どうにか、元の鞘に収まった、という経緯だった。なお、ゼレンスキー大統領は、くだんの録音の流出経路を2週間以内に調査し、同様のことが今後起きないよう指示した。


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 地味な話題だが、こちらが2019年のベラルーシ鉄道によるコンテナ貨物輸送の実績につき報じているので、メモしておく。

 2019年にベラルーシの鉄道によるコンテナ輸送は、73万2,900TEUで、前年比15%増だった。うちトランジット輸送は50万TEUで8.7%増、さらにそのうち中国~欧州間コンテナは33万8,500TEUだった。

 記事には、中~欧トランジットがどれだけ増えたか明記されていないのだが、私が以前作成した図表に当てはめると上掲のとおりであり、前年比わずか2.1%増と、頭打ちの傾向が生じたようである。

 記事によれば、中国向け輸出貨物輸送の増強が図られている。2019年にはコンテナによるベラルーシ商品の輸出が9万7,600TEUに上り、前年の1.3倍となった。特に、株式会社「食肉・乳製品会社」の商品、木材製品などが中国に輸出された。今後は、グレートストーン工業団地の入居企業とのコラボなどを見込んでいる、という。


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 60年前のアメリカのヒットチャートを振り返る企画。画像はそのままでは見づらいのでクリックまたはタップして拡大を。

 新たに1位になったRunning Bearという曲は、ネイティブアメリカンを意識したノベルティソングかな。超弩級の名曲、Dion & The BelmontsのWhere or Whenが13位まで上がってきた。


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 既報のとおり、価格で折り合いがつかず、ベラルーシがロシアから石油を輸入する契約が結べないままとなっている。ベラルーシはロシア以外の供給源を模索しているわけだが、こちらの記事が、そのうちカザフスタンからの調達の試みについて論じている。

 記事によると、ベラルーシの国営コンツェルン「ベルネフチェヒム」から、カザフスタンのエネルギー省に石油供給の打診がすでに届いている。1月20日に両者が交渉を行う予定であり、カザフ側は条件が折り合えば供給の用意があるとしている。

 しかし、専門家らは懐疑的な見方を示す。AMarketsのA.デエフの指摘によれば、ベラルーシは国内市場を満たすのに600万tの、輸出向け石油精製のために1,200万~1,800万tが必要である。この量は、ウクライナ、ポーランド、カザフスタンが揃って供給をしてようやく可能となる分量である。カザフの石油はロシア領のパイプライン(アティラウ~サマラ)を経由してベラルーシに供給されることになる。しかし、BKSブローカーのN.アヴァキャンによれば、そのためにはロシアのトランスネフチとの交渉が必要であり、ロシアは2025年にユーラシア経済連合の共通石油・石油製品市場が発足するまでは、そうした輸送に応じることはありそうもない。しかも、カザフの石油はロシアよりも割高となり、これは経済的には無意味であり、むしろロシアとの政治的な駆け引きである。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年2月号の中身をご紹介。今号ではカザフスタンのセミナー報告を軸に、「中央アジアはどこまで変わるか」と題する特集をお届けしております。ナザルバエフ大統領が大統領の座から去ったカザフスタン、ミルジヨエフ大統領の下で改革開放路線を打ち出したウズベキスタンと、中央アジアの2大国が転換期を迎えていますので、そのあたりをとらえようという趣旨です。なお、アゼルバイジャンは厳密には中央アジアに含まれませんが、両者には近似性が見て取れるので、同国の記事も特集の一環に位置付けました。

 服部自身は、特集の枠内では「ウズベキスタンがロシアに接近 ―ユーラシア経済連合加盟も検討―」を執筆するとともに、岡奈津子著『〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン』の書評を担当。特集の枠外では、「ゼレンスキーとプーチンの直接対決」を執筆しております。発行日は1月20日ですが、今回はお届けが2~3日遅れるかもしれません。すみません。


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 前のエントリーで、今日はロシアのことは一切考えずに休みたいというようなことを申し上げましたが、ちょっと考え直して、「メドヴェージェフ内閣退陣 新首相候補に大穴ミシュースチン」という動画を作ってみました。よかったらご笑覧ください。


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 ごく個人的な話で恐縮だが、私の勤務先では『ロシアNIS経済速報』というニュースレターを出しており、普段は統計などの軽めの情報が多いのだが、新年一発目の1月15日号は、年頭に当たっての大所高所からの論考を披露するようにしている。今年は、ユーラシア経済連合が成立してから5周年ということもあり、ロシアとNIS諸国の関係性に着目した「2020年代のロシア・ユーラシア地域秩序を占う」という論考を私が執筆し、昨日その前編を配信したところである。

 昨日夕方頃、この号の最終的な編集作業に取り組んでいる際に、ロシアでプーチン大統領による年次教書演説が始まり、「せっかく年頭レポートを出すのに、その日にプーチンが教書って、ヤナ感じだな」などと思っていた。そうは思いつつ、出来上がったレポートを出すしかないので、それを配信し、やれやれと帰宅したところで、衝撃の報道に接した。プーチンが教書で憲法改革を提唱し、その後メドヴェージェフ内閣を総辞職させたというのである。

 私としては、ここ1~2ヵ月くらい準備を進めてきたレポートがようやく完成し(まだ前編だけだが)、本日1月16日は当会の創立記念日で休日であり、今日だけは一切仕事をしないで羽を伸ばそうと思っていたのだ。いつかプーチンがメドヴェージェフを解任する時が来るとは思っていたが、2020年1月15日だけは、本当に勘弁してほしかった。個人的に、まだその心の準備はできていなかった。

 プーチンは、メドヴェージェフに代わる首相候補として、M.ミシュスチン連邦税務庁長官を指名した。はっきり言って、私を含め、専門家もノーマークだった人物だ。A.クドリン蔵相時代の2010年に税務庁長官に就任したことからもうかがえるとおり、クドリン門下生と見てよさそうである(上のアイスホッケー装束の写真で右がクドリン、左がミシュスチン)。税務庁長官としての仕事振りは、称賛されているようだ。ロシアの首相の場合、実務を粛々とこなすだけの「技術的な」首相なのか、それとも大統領の後継者となりうるような政治的な首相なのかということが注目点であるが、今のところ前者という見方が優勢のようだ。今日のところは以上。


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 本日は時間がないので、ブログは簡単なネタだけでご容赦いただく。このほど欧州ビジネス協会がロシアにおける2019年の乗用車(新車に限り、小型商用車を含む)を発表した。2019年の販売は175万9,532台で、前年比2.3%減であった。主なブランドの2019年の販売台数を前年と対比しつつ示したのが上表である。

 1年ちょっと前に、「ロシア経済にも日ロ協業にも影を落とすカルロス・ゴーン逮捕」というコラムを書いたことがある。現在、日産はロシアでゴーン氏が進めた低価格戦略からの退却戦を戦っているような感じであり、いきおい2019年の販売は冴えなかった。


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 GLOBE+に、「結局、プーチンの後継者は誰なのか問題」を寄稿しました。

 ロシアのプーチン大統領の現在の任期は、2024年5月7日まで。連続2期目の任期を務めているプーチン大統領は、ロシア憲法の規定により、次の大統領選挙に出馬できません。2024年以降の体制をどうするかが、2020年代前半のロシア政治における最大のテーマとなります。結論から言えば、もちろん現時点でプーチンの後継者が誰かなどということは決まっていませんし、そもそも普通に後継者にバトンタッチするかどうかも不透明なのですが、今回はこの問題を考えてみました。


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 中央アジアのウズベキスタン・キルギス・タジキスタンからは、大量の出稼ぎ労働者がロシアに流入している。そのうち、キルギスはロシア主導のユーラシア経済連合に加入しているので、キルギス人労働者もロシアにおいて法律上はロシア人労働者と同等の権利を保証されることになっている。問題は、今のところユーラシア入りしていないウズベキスタンとタジキスタンであり、その問題についてこちらの記事が論じているので、以下のとおり要旨をまとめておく。

 ロシアは2019年4月17日にモスクワでタジキスタンとロシアでの一時的な労働に従事するタジク市民を組織的に募集する協定を結び、このほど12月28日にプーチン大統領がその批准法に署名した。実は、同様の協定をロシアはウズベキスタンとも2017年4月に結んでいるのだが、今のところその成果はほぼ皆無であり、当面その見込みもない。

 12月26日に駐ウズベキスタン・ロシア大使が述べたところによると、ロシア側の統計によれば、2019年上半期の時点でウズベキスタンからロシアへの労働移民数は150万人であり、一方ウズベク側は200万人の自国民がロシアで働いていると見ている。労働移民の4分の1は不法移民状態にある。こうしたなか、協定にもとづき組織的に募集されてロシアに向かったウズベク人は、1年間でわずか2,000人しかいなかった。

 ロシアのいくつかの地域は、組織的募集方式を利用して移民をめぐる状況を正常化しようとしたが、それらの経験からも、組織的募集方式の問題点が浮かび上がる。サンクトペテルブルグ市では、2018年に5万人のウズベク人を組織的に募集する計画だったが、実際に受け入れたのは2,000人とも500人とも言われる。大多数の労働移民は自分でペテルブルグにやってくる。サンクトペテルブルグが2018年に労働許可証を発行したウズベク市民は10万3,500人にも上っていたわけで、組織的な募集に切り替えるという構想が破綻したことを物語っている。

 一見、素晴らしいことのように思える組織的な募集方式が、現実には上手く行かないのは、現行の方式ではそれが雇用主にも移民にも利益にならないからである。雇用主にとっては、法的、資金的な厄介ごとが増し、その割には特別なメリットがない。労働移民を雇う最大の利点は人件費の節約だが、その可能性が失われてしまう。企業が人材の養成に真剣に取り組むなら、ロシアで人材を選んだ方が得策である。

 労働移民の側にも、弊害がある。ユーラシア経済連合に加盟していないCIS諸国(ウズベキスタン、タジキスタンがそれに該当する)の市民がロシアにおいてビザなしで合法的に就労するためには、パテントという滞在許可証の取得が必須である。地域によって違うが、多くの地域では月額4,000ルーブル程度を支払わなければならない。モスクワではこの1月から7%上がって5,350ルーブルになった。この金額を毎月支払うのはしんどいので多くの移民は強制送還、もうロシアに入れないブラックリストに載るリスクにもかかわらず、不法就労状態を選択しがちである。個人所得税を払いたくないという事情もある。なお、ブラックリストに載ってしまった労働移民たちへの恩赦適用は、近年ロシア・タジキスタン間の重要な交渉テーマとなっている。

 また、移民たちは、すでにロシアにいるか行った経験のある親類、隣人、知人たちのネットワークを通じて、ロシアで求職する。雇用主も労働者も課税を避けるために賃金を非公式な形で支払う慣行が広がっていることもあり、公式的なチャンネルで求職するよりも、知り合いのネットワークの方が機能しやすいのである。長い時間をかけて形成されてきた非公式なネットワークを、組織的な募集方式によって置き換えるのは、一筋縄では行かない。

 ウズベキスタンにとって、労働移民問題の解決になるのは、ユーラシア経済連合への加盟である。しかし、ロシア側から見れば、それは問題をこじらせるだけである。経済連合の枠内でウズベク市民は共同労働市場のメリットをフルに活かし、雇用契約がある限り、ずっとロシアに留まることができるからである。そうなれば、もはや組織的な募集などは必要なくなる。

 キルギスの経験からすると、ウズベクがユーラシア経済連合に加わった場合、ロシアにおけるウズベク人移民が少なくとも20~25%増えることになる。ウズベクは、キルギスの5倍もの人口を有する国であり、それがロシアの労働市場に及ぼす影響は多大なものとなる。今後数年で、CIS南部諸国からの移民を制限せざるをえなくなり、具体的にどんな方法かが問われる。もしも移民が組織的な募集でしかロシアに入ってこれなくなるなら、組織的募集方式はより上手く機能するかもしれない。


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 昨年6月にジョージアで反ロシア・デモが発生し、プーチン大統領がロシア・ジョージア間の直行便禁止、旅行会社によるジョージア商品販売自粛を命じたことで、近年観光立国として成長が目覚ましかったジョージアが窮地に陥ったかと思われた。本件については、7月に「反ロシアデモ勃発で観光立国ジョージアが直面する試練」と題するコラムを発表している。このほど、ジョージア観光庁から2019年のインバウンド観光実績のデータが発表されたので、答え合わせをしてみたい。

 ジョージアを訪問した観光客の国別内訳をまとめたのが、下図になる。結論から言えば、2019年にジョージアは773万人の外国人観光客を受け入れ、前年を上回っただけでなく、過去最高記録となった。そして、注目すべきことに、ロシアからの観光客も、2019年通年では、前年を上回っている。

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 しかし、2019年上半期の勢いからすれば、ロシアからの観光客はもっと増え、それにつれてジョージアのインバウンド全体ももっと伸びるはずだったのである。下図に見るとおり、反ロシア・デモが起きて以降、ロシアからの観光客が目に見えて減少し、書き入れ時の夏に思うように稼げなかったことが分かる。上半期の勢いからすれば、2019年の国別の内訳でロシアがトップになるかと思われたが、終わってみればアゼルバイジャンにその座を譲った。

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 しかし、上図を見ると、ロシアからの客足は徐々に戻っており、12月には前年同月を上回っていたことが確認できる。危機的な状況は、ひとまず乗り切ったと見ていいかもしれない。

 それに関連して、重要なポイントは、ロシア・ジョージア間の直行便がどうなったかである。調べてみたのだが、「まだ禁止されたまま」、「すでに飛んでいる」、「2020年前半に復活する」など様々な情報が飛び交っており、正確なところが確認できなかった。ただ、昨日トビリシ空港の運航状況をチェックしてみたところ、下に見るように、モスクワからトビリシにジョージア航空の直行便が飛んでいるようなのである。摩訶不思議だ。

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 訂正:その後、さらに調べてみたところ、下に見るように、モスクワ→エレヴァン、エレヴァン→トビリシと、1回乗り換えることが判明した。ということは、やはりまだ直行便は飛んでいないという理解でいいのか。

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 60年前の全米ヒットチャートを見てみようのシリーズ。画像はそのままでは見づらいので、クリックやタップをすると拡大します。

 今週も1位は西部劇のEl Pasoで変わらず。アメリカン・グラフティでもお馴染みのTeen Angelが赤丸(というか黒星)急上昇してきた。それと並走するように、個人的に大好きなMarv JohnsonのYou've Got What It Takesが15位に着けているのが嬉しい。ここまで白人のチャートにクロスオーバーしているとは思わなかった。


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 こちらのページに見るとおり、世銀のGlobal Economic Prospectsの最新版(2020年1月版)が発表されたので、その中からロシア・NIS諸国の経済見通しの部分を抜粋して上表のとおりお目にかける。

 最大国のロシアに関して言うと、前回2019年6月に発表された経済見通しと比べ、2019年についてはプラマイゼロだったが、2020年の予測が0.2%ポイント下方修正された。この地域においては、ロシアがその低成長によって地域全体の景気の足を引っ張るという現象がすっかり定着している(ロシアへの依存度が強く経済がより脆弱なベラルーシの成長率はさらに低いが)。


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 昨年GLOBE+に書いた「ロシア版の新幹線計画がまさかの大迷走」というコラムは、幸いにして多くの読者に読んでいただけたようだ。ただ、サンクトペテルブルグ路線とカザン(当面はニジニノヴゴロドまで)路線が競合し、2019年末までにどの路線にGOサインを出すのか最終結論を出すと言われていたにもかかわらず、結局年内には明確な決着が着かなかったようで、相変わらず雑多な情報が飛び交っている。以下では、雑駁になるが、11~12月に出た報道を整理しておく。

 11月半ばのこちらの記事によると、ロシア運輸省は、サンクトペテルブルグ~モスクワ~ニジニノヴゴロド高速鉄道プロジェクトを、ナショナルプロジェクトの一環である「インフラ近代化総合計画」に追加で盛り込むことを主張している。ティトリフ運輸相が11月12日に述べた。モスクワ~ニジニノヴゴロドについてはすでに総合計画に盛り込まれている。まず2024年までにモスクワ~ニジニノヴゴロドを完成させ、サンクトペテルブルグ~ニジニノヴゴロド全体は2026年開通を目指す。モスクワ~ニジニは421kmで費用5,300億ルーブル、モスクワ~ペテルブルグは659kmで費用1.59兆ルーブルと想定されている。

 こちらに見るとおり、プーチン大統領は11月に出席した経済フォーラムで高速鉄道についてのビジョンを尋ねられ、以下のように回答した。「私の立場は、市場的なもので、試算が必要だ。長いこと試算をしているのは事実だが、それでも必要だ。我々は高速鉄道が多くの国で発展していて、その経済的成果というものも知っている。どんなやり方が我が国にとって最適なのか、最終的な決定を下さなければならない。高速鉄道なのか、それとも単なる急行列車にするのか。貨物、旅客の兼ね合いもある。資金は割り当てられており、拠出は基本的に可能だ。国民福祉基金からも可能である。それをどう回収するかというのが肝心である。遠い将来ではなく、せめて中期的に回収できるようにすべだ。これが事業の前提である。」

 12月12日のこちらの記事によると、オレーシキン経済発展相は、モスクワ~サンクトペテルブルグ高速鉄道に公的資金を投入することは可能である、しかしそれはプロジェクトの正確な総額が明らかになった後のことだ、現時点では政府は費用を1.5兆ルーブルと見積もっている、などと述べた。

 12月23日のこちらおよびこちらによると、㈱ロシア鉄道はモスクワ~サンクトペテルブルグ路線建設の設計・予算文書案を、2022年までに策定することになった。ロシア鉄道ではモスクワ~ペテルブルグ、モスクワ~ニジニを一体のプロジェクトと位置付けており、その総額を2.3兆ルーブルと見ている。ニジニ路線は2024年、ペテルブルグ路線は2026年の開通を見込む。

 12月27日のこちらの記事によれば、ゴーリキー鉄道管区の次長代行は、モスクワ~カザン高速鉄道中止という決定は下されておらず、その設計作業はまだ続けられていると発言した。

 一方、だいぶ趣が異なる情報になるが、12月10日のこちらの記事によれば、ロシア・ベラルーシ連合国家の枠内のプロジェクトとして、サンクトペテルブルグからドイツのハンブルグに至る高速鉄道(「マギストラーリ」という名称)を建設する計画が検討されているという。連合国家のラポタ国家書記(同氏はロシア側の代表)が明らかにした。同氏は、ロシアではモスクワ~カザン高速鉄道計画があるが、我々は高速鉄道網の西部分を推進し、その際に主として民間資金に依拠する別のモデルをとることにした、潜在的なステークホルダーとはすでに交渉しており、ドイツ鉄道、ドイチェバンク、シーメンスから成るドイツのコンソーシアムの参加が想定されている、ハンブルグ市および港湾当局とも協議している、環境を重視する欧州の潮流にも合致する、ポーランドとはまだ直接交渉はしていないが好感触は得ている、費用は400億ユーロを要すると見られる、などと述べた。また、ロシア科学アカデミーのセルゲエフ総裁は、もしも欧州側に委ねるとミンスク~ベルリンだけで高速鉄道が建設されてしまい、そうなると貨物のコントロールはEUに移り、ロシア~ベラルーシ間では高速鉄道ができなくなってしまうので、連合国家の軸となる高速鉄道を建設して地域の貨物および旅客の流れをコントロールできるようにすべきだと主張している。


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 当ブログで何度かお伝えしたように、中央アジアのウズベキスタンは従来は経済ブロックには属さずに独自路線を貫いていたが、ミルジヨエフ現大統領に代わってから改革開放路線に転じ、昨年秋にはロシア主導のユーラシア経済連合加盟を検討していることが明るみに出た。

 しかし、こちらなどが伝えるところによれば、昨年の11月頃、米国で米・ウズベキスタン・ビジネスフォーラムが開催され、それに出席したロス米国務長官が、ウズベキスタンのロシア接近を牽制する発言をしたということである。ロス長官は、ウズベキスタンがユーラシア経済連合加盟を目指すと、同国のWTO加盟手続きが複雑化し、ウズベキスタン指導部が設定しているWTO加盟目標期限を超過してしまう恐れがある、ただしそれでも米国は通商と投資を通じてウズベキスタンの成長と開発を図る上で戦略的パートナーに留まることにコミットする、と発言した由である。


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 GLOBE+に、「まだだいぶ遠いロシア全地域制覇への道」を寄稿しましたので、ぜひご笑覧ください。

 新年第1回のコラムは、まだお屠蘇気分が抜け切っていないということで、シリアスな内容ではなく、気軽な話題をお届けいたします。筆者はここ15年くらい、所属団体の業務として、ロシアの地域開発、経済特区、工業団地を調査する事業を、毎年のように担当してきました。その現地調査のために、ロシアの地方を訪問する機会が、数多くありました。気付けば、結構な数のロシアの地域を訪れてきたなあという感じがします。ですので、今回のコラムではその行脚の記録を披露してみたいと思います。


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 以前、「中国~キルギス~ウズベキスタン鉄道」というエントリーをお届けしたが、こちらの記事がより新しく詳しいので、重要と思われる点を以下のとおりメモしておく。

 中国~キルギス~ウズベキスタン鉄道の建設構想は20年以上検討されているが、ここに来てそれが動き出す可能性が出てきた。それは多分に、ロシアがFSに2億ルーブルを供出することに加え、プロジェクト実現に直接参加する用意があると表明したことによる。

 プロジェクトが最初に浮上したのは1990年代半ばで、中国が新疆ウイグル自治区鉄道の建設に着手し、中央アジア諸国にそれへの接続を提案したことに端を発する。1997年に中国、キルギス、ウズベクは3国作業委員会の設置に関する覚書に調印し、2002年には最初のFSが実施され上掲地図のようなルートが提案された。ゆえに、この268kmのルートがその後長らく、検討の基礎となってきた。

 しかし、時間が経つにつれ、この案はキルギスにとって不満の残るものであることが浮き彫りとなった。キルギスではソ連崩壊後、鉄道の改修が実質行われておらす、中国~中央アジア鉄道建設の枠内で自国鉄道を近代化したかったからだ。キルギスでアタンバエフ政権が成立すると、同国は中国~キルギス~ウズベクというルートには反対し、その代わりにタジキスタン~、キルギス~カザフスタン~ロシアというルートを推すようになった。ただし、当時はいずれの国からの賛同も得られなかった。

 これまでも、交渉を活発化しようという試みがなかったわけではない。数年前に中国が一帯一路を表明すると、中国~キルギス~ウズベク鉄道は、中国とイラン、トルコ、欧州を結ぶルートの中央部分の一環と位置付けられた。しかし、3国作業グループで、すべての対立点を解消する期限が2018年4月と明記されたにもかかわらず、進捗はなかった。2019年6月に習近平国家主席がキルギスを訪問した時ですら、鉄道建設を重視すると通り一遍に述べられただけで、文書が調印されるといった進展はなかった。それには以下のような原因がある。

 第1に、ルートおよびレール幅をめぐる立場の隔たりである。キルギスは自国にすでにある広軌を希望し、可能であれば国の南北の経済社会中心同士を連結したいという思惑があった。それにより、キルギスは国内問題を解決できるだけでなく、年間2億ドル以上の中国貨物トランジット収入が得られる。それに対し、中国が必要としていたのは、最短で経由地も少ないルートと、ウズベクのミングブラク油田など中央アジアの資源産地へのアクセスであった。また、中国は1,435mmの標準軌から1,520mmの広軌への積み替えを中国・キルギス国境ではなく、キルギス・ウズベク国境で行うことを主張し(つまりキルギス領に1,435mmの標準軌を建設する)、これは同鉄道を自国の鉄道網の一環と位置付けたいキルギスには不都合だった。ただ、キルギス鉄道幹部によれば、ここ数ヵ月中国の態度は軟化しており、標準機と並行する形で広軌レールを敷設しても構わないとしているという。

 第2に、資金の問題がある。当初の建設費見積もりは20億ドルだったが、2012年までには65億ドルに跳ね上がった。中国へのコンセッション、合弁の創設、資源と引き換えの投資、中国による融資など様々なスキームが検討されてきたが、折り合うに至っていない。ただ、これについてもキルギスと中国は官民パートナーシップによる合意に近付きつつあり、投資を誘致した側が運営権を獲得し、投資が回収できた段階でキルギスに引き渡すという青写真になっているという。

 第3に、プロジェクトの政治的な背景がある。ロシア、中国ともに中央アジアを自らの地政学的勢力圏と見なしており、自らの参加なしに当地で大規模プロジェクトが進展することは妨害しようとする。ロシアは2018年から中国~キルギス~ウズベク鉄道により大きな関心を示すようになり、キルギス鉄道とロシア鉄道間で同プロジェクトへのロシアの参加に関する協定が結ばれた。しかも、後に明らかになったところによると、ロシアは設計や資機材の提供のみならず、資金面での協力の可能性も示した。専門家たちは、まさにこれによりプロジェクトが動き出したと見ている。

 問題の鉄道は関係国にとって恩恵とリスクの双方がある。中国はウズベク、さらには欧州への輸送路が短縮される。キルギスは、自国の鉄道を近代化し、人口が密集したフェルガナ盆地を中国と結んで地下資源の開発を活発化させ、通商および運輸の活発化が期待できる。ウズベキスタンも然りである。

 一方、当該の鉄道は、以前キルギスが懸念していたように、国の南部だけを栄えさせ、南北分断を深刻化する恐れがある。また、キルギスが中国の債務の罠にはまり、将来的に自国の鉄道および天然資源の権益を中国に譲渡せざるをえなくなるかもしれない。キルギスは対中国5大債務国の一つであり、すでにGDPの30%を超えている。中国は債務を返せない国には容赦がない。

 それがゆえに、キルギスではくだんの鉄道プロジェクトにロシアが参加するとの情報を大歓迎しているのである。キルギスはロシアを中国に対抗する後ろ盾と見ているのだ。

 当該の鉄道は、ロシア領とは接していないが、ロシアがそれに関心を示すこともまた道理である。そうすることで、ロシアはその鉄道の建設だけでなく、運行にも影響を行使できる。ロシアはまた、くだんの新鉄道が、中国~ロシアまたは中国~カザフ~ロシアという既存ルートを脅かすほとに拡大することを抑制することもできよう。

 ロシアが当該のプロジェクトに参画すれば、ロシアは新たなルートでの輸送により本格的に参加できるだけでなく、この地域で中国のプレゼンスの増大にも対抗できる。ロシアの主たる動機は、まさに後者であろう。ロシアも、中国も、中央アジアの権益を相手に全面的に渡すつもりはないのだ。


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 「週替わり紋章」のコーナーは、多忙につき一時休止中であり、そのうちもうちょっと余裕ができたら再開したいと思っているのだが、新年になり干支が子年になったので、ネズミにちなむ紋章を一つだけご紹介したい。私が調べた限り、ロシアの紋章でネズミが登場するのは、これくらいではないかと思う。

 ロシア語でネズミのことをムィシまたはムィシカと呼ぶ。モスクワの北にあるヤロスラヴリ州に、その名もムィシキンという街があり、そこの市章が上掲のようなものとなっている。上半分のクマはヤロスラヴリ州のシンボルであり、下半分にネズミが描かれている。

 「ネズミの街」という名の付いた由縁については諸説あるそうで、ある住民のあだ名から付いたという説、ある公爵がヴォルガ川沿いで休んでいたところネズミに眠りを覚まされて憤慨しかけたが、実は忍び寄る蛇から守ってくれたという逸話から付いたという説、などがあるという。

 ドストエフスキーの「白痴」の主人公の姓もムィシキンだったか。


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 昨年の12月4日のものだが、こちらの記事がトルクメニスタンの対中国天然ガス輸出、露中パイプライン「シベリアの力」稼働の影響につき論じているので、要旨を以下のとおりまとめておく。

 ロシアの中国向け天然ガス輸出パイプライン「シベリアの力」は12月2日に稼働した。2024年までには年間の輸送量が380億立米に達すると見られる。

 トルクメニスタンにとっては穏やかでない。中央アジア~中国パイプラインの最初のA列が2009年に稼働して以来、トルクメンは中国へのガス供給で主導的な地位にあった(上掲グラフでグレーが中国の輸入全体、ブルーがうちトルクメンから)。中国への輸出量は2010年の40億立米から2018年の330億立米へと急増し、中国のガス輸入全体の27%を占める最大の供給国となった。

 これで、トルクメンが価格交渉で優位に立ったと思われるかもしれない。しかし、トルクメンは公表していないものの、専門家によれば価格は非常に安いとされる。さらに言えば、トルクメンが代金をキャッシュで受け取っているのか、それとも中国の武器やガスインフラの提供とのバーターになっているのかも不明である。

 中国の需要は引き続き旺盛に伸びているので、シベリアの力が開通したからといって、トルクメンが直ちに脅威にさらされるわけではない。中国は2019年に2,800億立米のガスを消費したが、2030年には5,100億立米にまで伸びると予想されている。しかも、中央アジア~中国パイプラインはいまだフルに活用はされておらず、トルクメンは中国への年間供給量をさらに50億立米拡大することも可能である。

 それでも、シベリアの力は、それでなくても弱いトルクメンの交渉力をさらに低下させる。中国がトルクメンのガス輸出の80%を占めている状況では、ほぼ唯一の買い手としての中国の立場の方が強く、そこにロシアからのガスが流入すれば、中国のトルクメン依存度はさらに低下する。

 それがまさにシベリアの力がトルクメンにとって痛いところである。中央アジア~中国パイプラインの4本目のD列は、300億立米の輸送能力を追加し、2016年までに完成させる構想があったが、無期延期となっている模様である。南アジアに向かうTAPIパイプラインが進捗しているという確たる証拠もない。欧州向けの輸出構想は、不確実性に満ちている。


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 昨日のエントリーで、石油の供給をめぐるベラルーシとロシアの契約は2019年中にまとまらなかったが、両国は差し当たり条件等について合意し、契約なしでも年明けも供給を続けることになった、とお伝えした。しかし、こちらこちらの記事によると、現実には年明け以降、ベラルーシの製油所に石油は届いていないということである。

 上掲記事によると、ベラルーシの2箇所の製油所では現在、備蓄していた石油を用いて、定格量ぎりぎりで最小限の生産を続けている。国営コンツェルン「ベルネフチェヒム」の幹部によれば、1月およびその後当面の国内の石油製品の需要を満たすのに充分な備蓄はあるので、国内でガソリン不足などが生じることはない。また、国内でも原油が産出されているし、「ゴメリトランスネフチ・ドルージバ」の技術的石油という国家備蓄もある、ということである。なお、ロシアのトランスネフチによれば、ベラルーシ領を経由した石油のトランジット輸送は通常どおり続いている。


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 個人的な道楽の話で恐縮だが、以前、1960年代のアメリカのヒットチャートを10年分全部コンパイルした、『Billboard Hot Charts 100: The Sixties』という書籍を購入した。そこで、当ブログでこれから毎週、60年前のビルボードのヒットチャートを掲載する企画をやってみようかと思う。本当は、2010年代に、「50年前のBillboard Hot 100」としてやった方がよかったかもしれないが、当時はそういう発想がなかったので、2020年代にやることにした。ロシア圏とは何の関係もない個人的な趣味の話題なので、別ブログを立ち上げようかとも思ったのだが、面倒なので、同一ブログでやらせていただく。ご興味のない方は、スルーしていただければと思う。

 さて、60年前の1960年1月4日の全米ヒットチャートが、上掲のようなものである。そのままでは見づらく、クリックとかタップとかすると拡大するはずなので、ご興味のある方はどうぞ。

 いきなりだが、1960年代初の全米No.1となった曲は、個人的に知らない歌だった。El Pasoという曲は、こちらのYouTubeの雰囲気を見る限り、西部劇の主題歌か何かではないか。

 この中で、個人的に特に好きな歌と言えば、31位、FleetwoodsのMr. Blueかな。この曲は1959年11月に1位になって、この1960年1月の時点ではもう下降線だったけど。ビートルズに侵略される前の無垢なアメリカ。


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 大晦日の記事だが、こちらの記事が、石油および天然ガスをめぐるベラルーシとロシアの交渉が結局年内には完全決着に至らず、ほぼ越年したということを伝えている。要旨は以下のとおり。

 ロシアがベラルーシに石油を供給する現行の契約は2019年末で満了したが、両国は2020年の石油供給の条件で結局折り合えなかった。ベラルーシ側はロシア以外の供給ルートを模索しようとしている。立場が隔たっていたのは、ベラルーシ側が値下げを要求していた価格の問題である。ただし、ベラルーシへの供給は年明け以降も続けられることになると見られる。一方、天然ガスの価格については、年末にひとまずの合意にこぎ着けた。

 ルカシェンコ・ベラルーシ大統領とメドヴェージェフ・ロシア首相は電話会談で、石油供給契約についての交渉を継続することで合意した。無契約状態でベラルーシに供給を続けることについて両国は、具体的なスケジュール、供給する石油会社などにつき合意した。

 石油の供給・トランジット契約と、ガス供給契約は、12月31日に満了した。それに先立ち、両国大統領が電話会談したが、具体的合意には至らなかった。結局、新年までに合意できない場合には、暫定的な条件で石油・ガスを供給するよう、政府間で調整することになった。

 その後明らかになったところによると、結局ガスプロムのミレル社長とベラルーシのセマシコ駐ロシア大使が12月31日、2020年1~2月のガス価格についてのプロトコールに調印した。ガスプロム・トランス・ベラルーシとのトランジット・供給契約は2020年一杯延長される。ガス供給・トランジット量は2019年の水準に維持される。

 関係筋によると、年明けからベラルーシの製油所への供給は停止されず、契約がなくても供給される。不一致の主原因は、ベラルーシが値下げを要求していることである。

 石油のトランジットは、すべてのスケジュールで合意し当該の契約が結ばれているため、通常の体制で実施される。一方、ルカシェンコ大統領は政府に対して、ロシアの代替となる石油供給源からの輸入を近日中に開始するよう指示した。

 天然ガス供給をめぐる対立は、ベラルーシがその価格をロシア国内と同等にまで引き下げることを要求していることに起因している。2019年のベラルーシ向けの価格は1,000立米当たり127ドル、供給量は約200億立米となっている。


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 こちらの記事など各メディアが伝えているとおり、ウクライナのナフトガス社とロシアのガスプロム社は12月31日、年末で期限の切れた契約に代わる新たな5ヵ年の天然ガス・トランジット輸送に関する契約に調印した。輸送量は、2020年が650億立米以上、2020~2024年が400億立米以上となる(なお2019年は890億~900億立米だった)。料金は明らかにされていないが、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は5年間の総収入が70億ドル以上としており、ナフトガスのヴィトレンコ氏は5年間で72億ドル以上の収入が保証されていると述べていることから見ると、料金は現状とほぼ同じの1,000立米当たり32ドル程度と見られる。両社はまた、ガスプロムがストックホルム仲裁裁判所の裁定による29億ドルをウクライナ側に支払い(29億ドルはすでに年内に支払済み)、双方がそれ以外の訴えをすべて取り下げることでも合意した。ロシア側はウクライナに対する支払義務を認めようとせず、ウクライナがこれを取り下げることがトランジット契約延長の条件としていたが、12月19日にプーチン大統領が恒例の大規模記者会見で、「政治的なものとはいえ、裁判所の裁定が出ている以上は、それに立脚せざるをえない」と発言していた。

 さて、今回両国が「ガス戦争」には至らず、歩み寄った背景につき、こちらの記事の中で論じられているので、骨子を以下のとおり整理しておく。

 前回のトランジット契約が結ばれた2009年には、ガス戦争の状況下で、ロシアが有利な契約を取り付けることができた。当時は、欧州の需要家がガス戦争への準備ができておらず、特に冬季だったこともあって、なるべく迅速に新たなトランジット契約に調印するよう、ウクライナに圧力をかけた経緯があった。しかし、現在は状況が大いに異なる。

 第1に、現在はウクライナを迂回するノルドストリーム1が稼働しており、これによりウクライナのトランジット国としての立場が弱くなったと一般的には言われている。しかし、ノルドのお陰で供給が全面的に途絶することはないので、欧州からウクライナへの圧力が弱まるという、別の側面もある。

 第2に、ロシア産ガスの需要家たちは、2009年の教訓にもとづき、状況が悪化した場合に備えていた。EUのガス貯蔵施設は9月15日の時点で95%も満たされており、ウクライナの貯蔵施設も同様だった。

 第3に、ガスプロムは、欧州需要家がガス戦争にも備えガス供給源の多角化を目指し、米国のシェールガスとの競争が激化する中で、欧州の需要家の評判を良くしたかった。

 ノルドストリーム2が完成すれば、より本格的なウクライナ迂回が可能になり、これがロシアの立場を強める要因になるはずだった。ところが、ノルド2は2020年1月1日までに完成が間に合わなかった。コザク副首相が述べたところによれば、ノルド2の稼働は2020年中頃になるという。こうしたことから、ガス交渉で、ロシアが短期の1年契約を主張したのに対し、ウクライナ側は長期の契約を望んだ。

 攻防はぎりぎりまで続いたが、12月21日に米国による制裁を懸念した欧州のオールシーズ社がパイプライン敷設作業を停止した。ノルド2の建設には他にもイタリアのサイペン社、ロシアのメジレギオントルボプロヴォドストロイ社も参加しているが、最も長い延長のパイプを敷設していたのはオールシーズ社の3船だった。オールシーズ社は米国でもビジネスを展開しているので、今後ノルド2の作業には復帰しないことも考えられる。年末の時点で残っていたのは第1列47km、第2列70kmの工事だった。

 将来的なことについては、ロシア側は同じ条件で2025~2034年の契約を結ぶこともありうるとしているが、これはだいぶ先の話であり、ジェスチャーにすぎない。ウクライナ側は10年契約を主張しているが、そのためにはガス輸送システムを近代化するための投資誘致が必須であり、ウクライナにはそれは不可能だろう。

 一連の交渉の過程では、ロシアからウクライナに直接ガスを供給する問題も話し合われた。その場合の価格は、欧州ハブ価格(NCG)にもとづき、供給量を考慮した値引きを適用したものになる。結局、協定のパッケージには直接供給は盛り込まれず、この問題は年始休暇後に再度交渉することになった。

 ただし、12月22日の時点で、すでにウクライナ民間企業5社が1月1日からの供給につきガスプロムと契約を交わしたことが明らかになっている(会社の具体名は不明)。ポロシェンコ前大統領は、そうした契約は商業的ではなく政治的だとして、それらのウクライナ企業に制裁措置を課すことを提唱している。


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