ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

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 こちらの記事によると、ロシア政府はこのほど、ガソリンの輸出を年内は禁止することを決めたということである。

 本件は、2024年8月13日付のロシア連邦政府決定により決められた。2024年9月1日から12月31日までのガソリン輸出が禁止される。「この決定は、季節的な需要や製油所の定期修理が続く中、燃料市場の安定した状況を維持するために下された」と声明は述べている。

 この制限は、ユーラシア経済連合諸国を含む国際政府間協定にもとづく供給、国民が個人使用目的で輸出する燃料、国際人道援助のために輸出する燃料には適用されない。

 ロシアでは2024年3月1日から8月31日まで、ガソリンの輸出が一時的に禁止されている。 ただ、5月20日から7月末までは、国内市場のガソリン余りと石油精製量の減少を防ぐため、禁止措置は停止されていた。

 ロシアが最初に石油製品輸出禁止措置を導入したのは、2023年秋のことで、自動車燃料の国内価格安定に寄与した。ガソリンと軽油の輸出が2023年9月21日から禁止され、ガソリンの禁輸措置は11月17日に、軽油の禁輸措置は11月22日に解除された。


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69

 これはしばらく前の動きになるが、見落としていたので、遅れ馳せながら取り上げる。モルドバの親露派の野党勢力がしばらく前に「パベーダ(勝利)」という政党連合を結成していたが、こちらなどが伝えるところによると、10月20日投票の大統領選に向け、8月2日にV.ボリャ氏が大統領候補として擁立されたということである。

 上掲記事によれば、ボリャ氏は記者会見で、ロシア語を公用語に戻すこと、CISおよびユーラシア経済連合との関係を立て直すこと、後者に関してはいずれ加盟を目指すことを公約に挙げた。

 ロシア語版ウィキペディアによれば、ボリャ氏は1982年10月27日モスクワ生まれの41歳。元ラグビー・モルドバ代表という異色の経歴を持つ。職業上の専門は法律で、様々な企業・組織で働いた後、2014年にモルドバ議会議員に当選して政治家に転身。2014~2023年は社会主義者党に、2023年以降は再生党に属した。

 正直言うと、ボリャ氏は個人的に聞いたことのない人物だった。モルドバ大統領選は40歳以上でないと出馬できないので、ぎりぎりそれを満たす年齢のボリャ氏に白羽の矢が立ったのかという感もなきにしもあらず。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 この週、モータウンの女性トリオ、シュープリームスがチャートのトップに上り詰めた。Supremes - Where Did Our Love Goが、1位に輝いたものである。1964年のHot 100では、ビートルズが1位から5位を独占する伝説的な週もあったが、シュープリームスがこの曲を皮切りに5曲連続で1位を獲得するというのも、良く知られた伝説である。

その頃ソ連では
1964年8月21日:ソ連とかかわりが深かったイタリア共産党の指導者、パルミーロ・トリアッティ氏が死去。

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 こちらの記事によると、ロシアなど5ヵ国で形成するユーラシア経済連合と、モンゴルが、暫定自由貿易協定(FTA)を締結する可能性があるということである。

 記事によると、ユーラシア経済連合とモンゴルは、自由貿易に関する暫定協定締結の問題を解決し、その調印は12月に予定されている。ロシア天然資源環境省のトップであり、ロシア・モンゴル政府間委員会の共同議長であるA.コズロフ氏が、モンゴルのロブサンナムスライ・オユーンエルデネ首相との会談後に発表した。

 両代表団はウランバートルで会談した。コズロフ大臣は、ロシアとモンゴルは貿易取引の拡大を含む関係強化に取り組んでいると指摘した。「例えば、モンゴルの伝統的な輸出品がロシア市場にアクセスするための有利な条件を作り出すために、ユーラシア経済連合とモンゴルとの間で暫定的な自由貿易協定を締結することが検討されている。12月にユーラシア経済評議会の最高会議で協定に署名する予定である」と述べた。

 コズロフ大臣は、ロシア・モンゴル・中国の経済回廊を作るプロジェクトも調整中であると付け加えた。つまり、3国の港と鉄道の接続である。

 コズロフ大臣によると、2024年のここまでのロシアとモンゴル間の貿易高は、2023年の同時期と比べて21%増加した。ロシアはモンゴルに鉱物製品、食品、化学工業製品、設備、車両を輸出している。輸入は主に蛍石である。地下資源の利用が両国間の重要な協力分野になっている。例えば、現在、国境地帯における共同開発の有望な資源のリストが形成されつつあると、コズロフ大臣は述べた。


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0815a

 毎月、ロシア消費者物価のグラフをお目にかけているが、最近はそれほど大きな動きがなく、面白みに欠けていた。しかし、今般ロシア統計局から発表された2024年7月の消費者物価には、久々にダイナミックな動きがあった。公共料金の引き上げがあったからである。

 ロシアでは、住宅・公営事業と称する家庭向けの公共料金が、本来は半年に一度見直される。しかし、露骨な選挙対策(+戦争批判回避策?)で、2022年12月に引き上げられたのを最後に、その後はずっと据え置きだったのである。それを、今回7月の値上げで一気に調整したので、7月にサービスを中心に物価が上がるのは当然だった。本来、ロシアで夏はデフレの季節なのだが。

 結果、7月の消費者物価は、前月比1.14%増、前年末比5.06%増、前年同月比9.13%増だった。単月の1.14%というインフレ率は、2022年4月以来の高さである。

 下図を見ても、7月にサービスが大きく伸びた様子がお分かりいただけるであろう。なお、7月の各種家庭用サービス料金の引き上げは、ごみ処理が6.99%、上水道が11.32%、下水道が11.18%、給湯が10.87%、暖房が(夏は使わないとはいえ)10.23%、都市ガスが9.37%、電気が8.89%、などとなっている。

 どこぞやのシンクタンクが、「ロシア政府は、欧州市場での天然ガス輸出不振を受け、減収を埋め合わせるために国内ガス料金を値上げした」などと的外れなコメントをしていたが、都市ガスの値上げは他の公共料金と足並みを揃えたもので、それほど突出していないことがお分かりいただけるであろう。個人的には、天然ガスによる外貨収入の獲得と、国民向けガス供給は、まったく次元の異なる事柄であり、前者の不振を後者で埋め合わせるという発想は、ロシア当局にはないと思う。

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 少々風変りな話題であるが、こちらの記事によると、中国とロシア北部のアルハンゲリスク間に、「北極エクスプレスNo.1」という貨物船が就航したということである。

 記事によると、北極海航路を用いた北極エクスプレスNo.1の第1便が、6,600海里の距離を乗り越えて、このほど中国からアルハンゲリスクに到着した。自動車部品、家電、消費財など約500のコンテナを積んでいた。折り返しで、アルハンゲリスクから中国向けには、紙、厚紙、パルプ、木材などが輸送される。

 第1船の到着セレモニーには、アルハンゲリスク州のA.アルスフィエフ副知事、中国の駐露大使顧問、在ロシア中国企業同盟の会長、NewNew Shipping Lineの社長などが出席した。

 2週間後には2隻が到着する予定で、そこには計700~800のコンテナが積載されている見通しである。特筆すべきことに、ロシア中央部とのシームレスなロジスティクスが実現し、ロシア中央部から運ばれた商品に、地元の木材・製紙商品が加わり、中国に出荷されることになる。これにより、ロシア・中国間の貨物輸送が迅速化・最適化されることになると、アルハンゲリスク州では説明している。


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67

 こちらの記事が、ロシアのアルミニウム輸出動向について伝えているので、以下抄訳しておく。

 ロシアは引き続きアジア諸国へのアルミ輸出を増加させ、米国や欧州に輸出されていた一部を置き換えている。2024年上半期、ロシアは韓国へのアルミ輸出量を前年同期比約20%増の15.5万tに増やし、韓国への3大アルミ供給国としての地位を盤石にした。輸出額は1.2倍増の3.7億ドルだった。韓国のアルミ需要は製造業の活況により旺盛となっている。

 ロシアから韓国へのアルミ輸出は数量でも金額でも、半期ベースで2012年以来最高となった。その結果、韓国への3大アルミ輸出国は、オーストラリア28.8%、ロシア19.2%、インド15.5%となり、ロシアがインドを抜いた。

 他方、中国税関のデータによると、2024年1~5月にロシアは15億ドル相当のアルミニウム地金を中国に出荷しており、これは2023年の全出荷量の半分以上である。

 アジア諸国へのアルミニウム輸出の増加により、米国や欧州に輸出されていた一部を置き換えることが可能になる。2023年3月、米国はロシアのアルミニウムに障壁関税を課し、2024年4月には英国とともにロシアからのアルミニウム、銅、ニッケルの輸入を禁止した。ロンドン金属取引所とシカゴ商品取引所でのロシア産金属の取引も禁止されている。EUは、ロシア産金属を禁輸にはしていないが、その議論は始まっている。

 ルサールはアルミニウムのほとんどを輸出用に供給している。2023年の販売額は122億ドルで、うちロシア国内販売は34億ドルだった。ロシア・アルミニウム協会は2023年12月、ロシア国内市場でさばけるアルミは4分の1以下であるとしていた。

 2023年、韓国はルサールにとって中国に次ぐ販売高の海外市場となった。前年比では、ルサールの韓国での売上は0.6%増の11.9億ドル、中国での売上は2.5倍の28億ドル、欧州・米国での売上は40%減の35億ドルであった。 市場関係者は、ロシアから中国へのアルミニウム輸出は、中国の友好的な態度と市場規模から、さらに伸びると予想している。

 AlCircleでは、2023年の韓国の国民一人当たりのアルミ需要は、自動車および電気産業のニーズに牽引され、世界で最も高かったと指摘している。


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0812

 先日、ロシア税関より、2024年上半期の通関統計が発表された。しかし、現時点でロシア税関は、①ごく大掴みな商品分類、②大陸別の貿易額しか発表していない。ウクライナ侵攻後の激変が如実に表れているのは②の方なので、個人的に作成を続けているグラフを更新して、上図のとおりお目にかける。

 上図から、ロシアがヨーロッパと貿易関係を疎遠にし、アジアに傾斜していることは、一目瞭然である。もっとも、一口にアジアと言っても、中国やインドのようなロシアにとっての友好国もあれば、日韓のようなロシアにとっての非友好国たる先進国もあれば、カザフスタンのようなロシアの経済統合パートナーもある。現状でロシアは、中国、インド、トルコといった一部のアジア新興国向けにだけ、輸出を伸ばしている形だろう。また、ヨーロッパの方はほぼほぼEUとイコールではあるが、ここにはロシアがますます関係を深めているベラルーシのような国もある。大陸別の数字は、ないよりはマシだが、このような様々なニュアンスを捨象してしまうことになる。

 2024年のロシアの商品貿易は、輸出が2,071億ドル(前年同期比04%減)、輸入が1,304億ドル(前年同期比8.1%減)と、低迷気味であった。大陸別に見ると、欧州との輸出入は引き続き激減し、アジアへのシフトが続いたが、実は上半期に最も好調だったのはアフリカとの輸出入だった。

 商品別に見ると、主力の鉱物製品の輸出は伸びたものの、食品、金属、機械の輸出が不振であった。輸入はすべての項目で落ち込んだ。


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66

 ウクライナによる越境攻撃が注目を集めているロシアのクルスク州には、クルスク原発が所在している。その現状につき、こちらの記事が伝えているので、以下抄訳しておく。なお、現地では既存のクルスク原発の代替となるクルスク第2原発の建設が進められているところだった。

 クルスク原発では、第2原発2号機の建設現場の人員を一時的に削減したが、原発自体は通常モードで運転している。ロスアトムによれば、施設に残っている専門家たちは、スケジュールに従って作業している。ロシア型加圧水型原子炉-TOIを備えた発電ユニットの建設を実現するためのすべてのシステムは正常に機能している。

 既存のクルスク原発では、3号機と4号機が運転中であり、1号機と2号機は無発電運転中である。

 ウクライナ軍越境攻撃後のクルスク州の状況により、8月9日に連邦非常事態体制がクルスク州に導入された。この体制は、ロシア全土から部隊と手段を集めること、市民への支払いのために連邦予算から資金を配分することを可能にする。

 クルスク原発はクルチャトフ市郊外に位置する。同原発は、ロシア国内で同程度の容量を持つ上位4原発のうちの1つであり、ロシア統一エネルギーシステムの最も重要なベースロードである。主としてロシア中央連邦管区の19地域をカバーする中央電力システムに供給される。黒土地域の全発電所の設備容量に占めるクルスク原発のシェアは50%強である。エネルギー分野におけるロシア連邦の地域計画スキームに従い、新型の新しいロシア型加圧水型原子炉-TOI(最適化情報化世代III+型)を備えた代替となる発電所、クルスク第2原発の建設が開始されていた。建設中の2基の合計設備容量は約251万kWである。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週1位にDean Martin - Everybody Loves Somebodyとあるが、個人的にはすぐメロディーが浮かばなかった。YouTubeで再生してみたら、あああの曲かと思い出したが。元々はフランク・シナトラのあまり売れなかった持ち歌らしいが、シナトラ所有のリプリーズ・レコード所属のディーン・マーチンに歌わせて、上手くリサイクルできた形か。

その頃ソ連では
1964年8月9日:ソ連国際連合代表部、7月25日に米州機構加盟国外相会議で採択された反キューバの諸決定に関するソ連政府の声明を国連安全保障理事会議長に送付。

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19640815a
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 こちらの記事によると、ウクライナのT.カチカ経済次官(通商代表)が、2024年上半期のウクライナの貿易動向につき語ったということなので、それを整理しておく。

 カチカ次官によれば、2024年上半期のウクライナの商品輸出額は195億ドルであり、これはかなり低い数字であり、外貨収入は今のところ芳しくない。他方、上半期の輸入額は330億ドルだった。かくして、上半期の貿易収支は135億ドルの赤字で、毎月20億ドル強の赤字を出していることになる。これは通商代表を務める私にとっては悪い実績だ。貿易をバランスさせることが重要であり、赤字を避けつつ、貿易を拡大するようにしたい。カチカ次官は以上のように述べた。


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0808

 意味があるのかないのか良く分からないが、ロシア財務省から毎月発表される連邦財政の執行状況をもとにグラフを更新する作業を続けており、こちらに見るとおり今般7月までの数字が出たので、上掲のとおりグラフを更新した。グラフはクリック・タップで拡大。まあ、あまり目立った変動はなく、7月には単月で若干赤字になった程度である。

 1~7月の累計では、歳入が19.7兆ルーブル(うち石油・ガス歳入が6.8兆ルーブル、非石油・ガス歳入が13.0兆ルーブル)、歳出が21.1兆ルーブル、収支は1.4兆ルーブルの赤字で対GDP比0.7%だった。


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 中国と欧州間を鉄道コンテナ輸送で結ぶ「中欧班列」に関しては、このブログで何度も取り上げてきた。ウクライナ戦争で欧州の顧客がロシア・ベラルーシ領経由のルートを敬遠し、中国⇔欧州間のトランジット輸送は低下したものの、中国⇔ロシア間の貨物が増加しているため、中欧班列全体としては貨物量が維持されているというのが、全体像だった。ただし、昨年暮れから中東情勢に関連して海上運賃が高騰に転じており、中欧班列の競争力が高まったため、中国⇔欧州間のトランジット輸送も盛り返しつつある。

 上図は、ユーラシア鉄道アライアンス(カザフスタン・ロシア・ベラルーシによる合弁企業)による中国⇔欧州間のトランジット輸送量の月別推移であり、そのあたりの動向が見て取れるはずである。ちなみに、2024年上半期には18万9,036TEUがトランジット輸送され(前年比57.5%増)、うち西航が16万2,858TEU(104.4%増)、東航が2万5,168TEU(35.1%減)であった。

 さて、関連して、こちらのサイトでA.ベズボロドフという専門家が中欧班列のトランジット輸送の動向につき論じているので、以下抄訳しておく。

 中欧班列輸送量の急成長は2023年9月に始まり、2024年3月にはすでに取扱量が10万TEUを超えた。ベラルーシの中国向け肥料輸出のコンテナ輸送が、このようなダイナミックな成長の主な原動力となっている。肥料のコンテナ輸送は3月にピークを迎え(3万8,000TEU)、過去2ヵ月は一貫して高水準(3万6,000TEU)を維持している。さらに、ロシアを経由する中国⇔欧州間の鉄道輸送は、特に主にカザフスタンとベラルーシを経由する最短ルートでの輸送は、紅海での緊張の高まりを受け、今年も積極的に利用されている。

 国の交通システムにおけるトランジットの役割を公平に評価するためには、トランジットとは何か、なぜそれが必要なのかを原則的に定義する必要がある。トランジットとは、余剰能力を必要とする他者に販売することである。特別軍事作戦開始後、制裁はトランジットそのものは対象としなかったが、それでもトランジットは減少した。まず第一に、ロシアが余剰能力を売却することが不可能になったことが挙げられる。ロシア鉄道東部管区の大規模な再開発、物流全体の変化、西から東への転換、総じて物流システム全体の再構築が見られる。ユーラシア諸国⇔中国間の輸送も含む中欧班列の輸送量は、2024年通年でに合計120万~130万TEUに達するだろう。これは2021年の記録を更新することになるが、ベラルーシの肥料の中国向け割引輸送が主な役割を果たすこのようなトランジットからの収入は、中国⇔EUという従来のトランジットからの収入よりも少ない。

 ロシア鉄道東部管区の近代化が完了すれば、ロシア鉄道とロシアの運行各社が得た技術と能力をどのように活用するかという問題が生じる。新たな市場を開拓するという課題も生じるだろう。今日、日本と韓国の対EU貿易全体は、年間200万TEUである。ワニノにバム鉄道用のターミナルをゼロから建設し、シベリア鉄道やバムにアクセスできる沿海地方の港をいくつか拡張すれば、3年以内にこの量のほとんどすべてをロシアの鉄道に誘致することが可能になる。技術的にはすでに準備は整っており、EUの補助金を得ようと躍起になっているポーランドでさえ、過去数年間、ロシアを通過する中国製品の主要ゲートウェイであったマラシェヴィツェ国境鉄道の拡張に予算を割り当てている。しかし、結果を出すためには、政治的な正常化が必要であることは言うまでもない。

 政治家たちは、交通というのは国家にとって非常に有利な事業であると理解している。一方で、トランジットにはそれなりの準備が必要だ。自国内で質の高い輸送サービスの選択肢をすべて提供する能力が100%なければ、トランジットサービスを売ることはできない。

 旧ソ連の領域でトランジット・サービスを提供できるのは、コンテナ輸送と鉄道管理の能力をそれなりに持っている2カ国、ロシアとカザフスタンだけである。それ以外の国々は、トルコ、アゼルバイジャンからトルクメニスタン、アルメニアに至るまで、いくらトランジットに従事する用意があると宣言しても、残念ながら、最も基本的な責務である自国企業のための安価な物流を提供することすらまだできない。


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 ロイターがこちらで伝えているとおり、S&Pは8月2日、ウクライナの信用格付けを「選択的デフォルト(債務不履行)」に引き下げた。ウクライナが大規模な債務再編の最終段階に着手する中、外国債券の支払いを期日に行わなかったことを受けたもの。3,400万ドル相当の利払いが、1日に期限を迎えた。10日間の支払猶予期間内であるものの、ゼレンスキー大統領が債務再編が完了するまで債務返済停止を可能にする法律に署名したことを踏まえ、支払いが行われる可能性はほぼないとS&Pは判断した。S&Pは債務再編が実施されれば、ウクライナの格付けをいったんデフォルトに引き下げた上で、新たな条件などに応じてCCCかBに引き上げる可能性があるとしている。2022年のロシアによる侵攻前はウクライナの格付けはBだった。

 さて、ウクライナ債務問題の全体像を分かりやすく示したような図解資料などがないかと思って探したのだが、見付かったのはロシア・タス通信のこちらの図解資料くらいだった。ウクライナ事情をロシアメディアでフォローするのはあまりよろしくないが、まあ差し当たりこれを参照しておくことにする。

 この資料は主に上図のとおりウクライナの国家債務残高の対GDP比の推移を見たものである。2024年5月31日現在で債務残高は1,431.5億ドルであり、対GDP比は94%となっている。ただし、意外にも、ロシアによる全面軍事侵攻が始まって以降、激増したという感じにはなっていない。債務残高の内訳は、対外債務が1,027.5億ドル、対内債務が404億ドルである。

 債権者の主な内訳は下に見るとおり。なお、私の理解によれば、ここに米国の名が登場しないのは、米国の対ウクライナ支援が融資ではなく無償援助だからだろう。

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 欧米からウクライナに供与される戦闘機F-16がウクライナに届けられたという情報が伝えられているが、こちらの記事の中でロシアのD.スースロフ氏という専門家が本件につき論評しているので、以下要旨を整理しておく。スースロフ氏は、高等経済学院欧州・国際複合研究センターの副所長で、かつヴァルダイ・クラブのフェローを務める。

 スースロフ氏いわく、F-16は、破壊される可能性を最小限にするため、ウクライナの西部地域に保管されるだろう。ロシアはもちろんF-16を探し始めるだろう。F-16の損失はウクライナと西側諸国にとって非常に悪い評判となるため、F-16の損失を最小限に抑えるために、できるだけ前線から離れた場所に保管することになるだろう。ウクライナにF-16が納入されても、質的な変化にはつながらない。受け取る戦闘機の数が少なく、配備する場所も難しいため、戦場の戦力バランスが変わることはない。F-16は、防空の手段として、またロシアの陣地に対する長距離攻撃の手段として使用されるだろう。F-16譲渡の決定は以前に下されたため、配備によりロシアと欧米の関係が影響を受けることはない。ただし、エスカレーションのリスクは高まり、ロシアとNATOの直接的な軍事衝突に一歩近付いた。ウクライナに譲渡されたF-16が、NATO加盟国の飛行場にも配置される可能性があるため、紛争がエスカレートするリスクが高まる。F-16が核兵器の運搬機でもあることから、ロシアとしてはF-16と一緒にウクライナに核兵器が譲渡される可能性につき提起することになるだろう。スースロフは以上のようにコメントした。


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 2024年4月29日付の英エコノミスト誌に、興味深いグラフが掲載されていた。ロシアが軍需産業を稼働させる上で必要な重要物資、工作機械、半導体等々を、どこから輸入しているかを図示したものである。なお、単位は取引件数ということであり、当然1取引で複数個を輸入しているケースはあるということである。元データは、米国の戦略国際問題研究所ということである。ただし、2023年7月で止まってしまっているのが惜しいのと、2023年2月以前の数字が不自然という気がしないでもない。いずれにしても、現状でロシアが中国から重要物資を調達して軍需産業を回している構図は、見て取れる。

 関連して、こちらの記事によると、7月にブリンケン米国務長官は、ロシアの軍需産業を主に支えているのは中国からの供給であり、ロシアは工作機械の70%、マイクロエレクトロニクス製品の90%を中国から輸入していると指摘した。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 今週は、夏らしく、ラテン風味溢れる Drifters - Under The Boardwalk を聴いてみようか。メンバー交代を繰り返しながら長く活躍してきたグループだが、ベスト10ヒットはこれが最後だったようだ。ちなみに、個人的には2000年頃にロンドンに遊びに行った時に、ウィンブルドン劇場というところで「ドリフターズ・コンサート」という催しがあるのを知り、半信半疑で出かけた思い出がある。若いあんちゃんたちが、「ハ~イ、僕たちドリフターズです」と元気よく出てきて、確かにドリフターズの持ち歌を歌ってはいたのだが、「お前ら偽物ちゃうんか」という疑念は最後まで晴れなかった。

その頃ソ連では
1964年8月2日:ソ連の同盟国、北ベトナムが米駆逐艦に魚雷を発射したとされるいわゆるトンキン湾事件発生。実は米側の偽旗作戦だったが、これがベトナム戦争へと繋がっていく。

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20240731c

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「沿ドニエストルの障子に目あり」です。よかったらご笑覧ください。


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 先日、「カホフカダム決壊から1年 再建には異論も」という話題をお伝えした。その問題に関しては、ウクライナ水力発電公社のI.シロタ総裁も、最新のこちらのインタビュー記事の中で、(職務上、当然のことながら)再建は絶対に必要という考えを示している。

 さて、このインタビュー記事の中で、注目されたのは、総裁が、以前から計画されていたカニウ揚水式発電所を、地下に建設することによって、ロシアの攻撃に備えたいとの考えを示したことである。地下に発電所を建設するなどと聞くと、だいぶ突飛に聞こえるが、揚水式発電所の場合には、むしろよくあることのようだ。総裁によると、ロシアによる全面軍事侵攻開始後、ウクライナの水力発電施設は120回も攻撃を受けており、カホフカダムの決壊という大惨事も起きた。そこで、攻撃するのが不可能な地下の発電インフラとして、地下揚水式発電所を有望視しているということのようだ。


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 こちらの記事によると、ロシアなど5ヵ国で結成する経済同盟の「ユーラシア経済連合」は近く、インドと自由貿易協定(FTA)を結ぶ見通しということである。

 記事によれば、このほどインド輸出業者連盟のトップであるサハイ氏が、インド・ユーラシア経済連合間のFTAの見通しについて語った。FTAは、関係国政府の尽力により、短期間で締結される可能性がある。インド政府はすでにユーラシア側5ヵ国の政府との交渉を開始している。通常、こうした交渉には長期間を要するものだが、最高指導部の意向次第では迅速な合意も可能だ。90%の問題は事務レベルの交渉で決まるが、10%の重大な問題は最高指導部が決める。サハイ氏は以上のように述べた。


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1906

 具体的な証拠があるわけではないが、おそらくロシア側の破壊により、ドニプロ川下流のカホフカダムが決壊したのは、2023年6月6日のことだった。それから1年あまりが経過した。

 個人的なことだが、最近、英エコノミスト電子版の購読を始め、同誌にカホフカダムの再建問題に関する興味深い記事があった。それによると、周辺地域の灌漑用水が失われるなど、確かにダム破壊は多大な問題を引き起こした。

 しかし、記事によると、環境活動家などの間には、ダムを再建すべきでないとの意見もあるという。そもそも、ドニプロ下流にユニークな環境が広がっていたところに、ソ連当局がダムを建設したこと自体が、間違いであった。昨年のダム破壊後、自然は驚くべき回復力を示しており、このまま手を付けなければ、3~5年以内に森林、葦原、浅い湖からなる「モザイクの風景」が形成されるとして、彼らはダム再建に異論を唱えている。


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 ロシアとウクライナの戦争は、「非対称戦争」だなということを感じるわけである。国家・経済・人口の規模は、ロシアの方がかなり大きい。黒海という海域一つとっても、2014年以降、ウクライナは海軍戦力らしきものは持ち合わせず、栄光のセヴァストーポリ港を拠点とする黒海艦隊を有するロシアに敵うはずはないと思われた。ところが、昨日の穀物輸送の話でも述べたが、ウクライナの手作り水中ドローンがかなり効果を発揮し、これ以上損害を出したくないロシアは、黒海艦隊を東方のノヴォロシースク方面に退避させ、結果ロシアが黒海西部の制海権を握る状況ではなくなっている。

 それに関連して、興味深かったのは、こちらの記事である。ロシアは、自爆したウクライナの水中ドローンの断片をかき集め、それを模倣して、自らもウクライナを攻撃するための水中ドローンを生産しようとしているというのである。

 しかし、記事によれば、そもそもウクライナ側は人間が乗るような艦船は持ち合わせていないわけだから、仮にロシアがウクライナを模倣して水中ドローンを手に入れても、ターゲットとするウクライナの標的が存在しない。ロシアによる水中ドローン模倣作戦は、少なくとも現状ではまったく的外れであり、資源の無駄遣いであると、記事では指摘している。

 ウクライナ側には水中ドローンで攻撃すべきターゲットがあるが、ロシア側にはそれは存在しない。やはり、非対称戦争だなとの思いを、強くするわけである。


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 私は、ウクライナの穀物輸出ルートの問題をずっと追ってきたわけだが、戦時下の状況に関しては、断片的なデータが飛び交うばかりであり、網羅的なデータにはなかなかお目にかかれなかった。

 そうした中で、今般見付けたのは、ウクライナの経済戦略センターというところが定期的にとりまとめているらしいグラフである。こちらのフェイスブックページに、2024年6月までのルート別穀物・採油作物輸出量の最新版が出ていたので、凡例に日本語をかぶせ、上掲のとおりご紹介することにする。

 いやホント、個人的にここまで全体像が良く分かる資料というのは、初めて見た。要するに、元々ウクライナの穀物輸出は圧倒的に黒海港湾(大オデーサ港およびミコライウ港)からが多かった。それが、ロシアの侵攻開始でストップし、従来はマイナーな存在であったドナウ川港湾にシフトしたものの、それにも限界があった。また、鉄道およびトラックという陸路で周辺の中東欧諸国にウクライナ産食品が溢れ、軋轢を生むことにもなった。その状況を見かね、国連およびトルコの仲介により黒海穀物イニシアティブが成立、2022年8月から黒海港湾経由輸出が復活したものの、その合意も2023年7月にロシアが握り潰し、黒海港湾輸出は再び暗礁に乗り上げる。しかし、その頃にはウクライナのドローン攻撃でロシア海軍による脅威が後退し、ウクライナは独自の黒海輸送路を開設、ウクライナはロシアの協力を得ずとも大オデーサ港から食料を輸出できるようになって(鉄鋼・鉄鉱石の海路輸出も復活)、現在に至るというわけである。まあ、その構図自体は知られていたが、それをここまで具体的に図示した資料は貴重である(欲を言えば各項目のデータラベルを付けてくれれば…)。


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 Wedge ONLINEに、「【インドの銀行に死蔵?】ロシアが石油を輸出しても収入は懐に入らず、戦費調達へなされたスキーム」と題する論考を寄稿しました。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、順当に行けばこの週1位になったビートルズのA Hard Day's Nightを取り上げるべきなのだろうけど、そんな誰もが知る曲をシェアしても面白みはない。むしろ40位にThe Beatles - Ain't She Sweetという見慣れない曲が入っているのが気になった。調べてみたところ、ドラムがまだピート・ベストだった時代の1961年に録音されたカバー曲で、それがこの年のビートルズ・ブームにあやかって便乗的に発売されたらしい。ビートルズのオリジナルアルバムには収録されていないので、個人的には音源を持っていなかった。後にアンソロジーに収録されたとのことだが、自分はアンソロジーは持っておらず、これは盲点だった。

その頃ソ連では
1964年8月19日:中央研究所「エレクトロニカ」の創設に関するソ連電子機器委員会指令。

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 こちらのページに見るとおり、ロシア統計局が2024年上半期(1~6月期)の鉱工業生産統計を発表したので、軽くご紹介。

 2024年上半期のロシア鉱工業生産は、前年同期比4.4%増だった。引き続き、鉱業が0.3%減と振るわない一方、製造業が8.0%と好調となっている。

 振るわない鉱業では、石炭採掘業3.0%減、金属鉱石1.0%増と発表されているが、石油および天然ガスは非公開となっている。

 製造業の主要部門では、食品4.8%増、製紙5.5%増、石油精製等4.4%減、化学1.6%増、医薬品11.4%増、ゴム・プラスチック0.4%増、冶金1.2%減、電気機械2.5%増、機械・設備18.6%減、自動車等19.7%と、まだら模様。

 そうした中、やはり急成長しているのが軍需関連で、「他のグループに含まれない金属加工製品」(弾薬などはここに含まれる)53.2%増、コンピュータ・電子・光学機器35.0%、航空・宇宙機器30.2%増、「他のグループに含まれない自動車以外の輸送機器」(戦車、艦船などはここに含まれる)33.5%増と、急激な拡大が続いている。


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 これは日本の報道などでも話題になっていたので、取り上げることにした。と言っても、グラフをお見せする程度だが。キーウ国際社会学研究所のこちらのページに、領土の譲歩に関するウクライナ国民の最新意識調査が出ているので、以前作成したグラフを更新してお目にかける。

 より正確に言うと、「ウクライナは、そのために戦争が長引き、独立喪失の脅威が生じたとしても、自国の領土を絶対に譲歩すべきではない」、「ウクライナは、速やかな和平と独立保持のために、自国の領土の一部を譲歩しうる」という二択の設問になっている。上図のとおり、昨年暮れ頃から譲歩論がじわりと広がり始め、最新の5月の調査では32%に達した。


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 こちらに見るとおり、今般のロシアのツァルィグラドというメディアが、スイス系ネスレがロシア工場におけるキットカットの生産を再開することを計画中と伝えた。なお、ネスレは2022年3月にロシアからの撤退を表明し、それ以降、キットカットの代わりに「グッドミックス」が、ネスクイックの代わりに「フルトカ」が生産されてきた。

 しかし、こちらの記事に見るとおり、ネスレ社はロシアにおけるネスレブランド商品の生産再開という報道を否定している。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年8月号のご案内。8月号は、「ロシア・NIS貿易と物流ルートの再構築」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回は私は完全に脇役で、「東方シフト2.0の行き着く先は?」、「占領されているのはウクライナ領土の17.57%」という短い連載記事のみ書きました。服部倫卓・吉田睦編著『ロシア極東・シベリアを知るための70章』の書評も掲載していただきました。


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 ロシア鉄鋼大手の一角「エヴラズ」社は、北米に生産子会社を有している。ウクライナ侵攻後、その身売りを表明したが、こちらの記事が、売却が難航しているということを伝えている。

 エヴラズの北米子会社Evraz North Americaは鉄鋼業の垂直統合会社で、米国・カナダの鉄道、電力、産業、建設市場をターゲットに事業を行っている。その年間生産能力は、粗鋼230万t、完成鋼材350万tである。2箇所の電炉工場、4箇所の圧延工場、8箇所の鋼管工場、くず鉄回収業から成る。

 2022年8月、エヴラズは北米子会社売却の意向を表明した。しかし、北米子会社の2023年年次報告書によると、売却は難航しており、不透明感が残っているという。売却手続きのためのゼネラルライセンスを交付されているものの、その延長が必要となっている。


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