ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

 そんなわけで、アラスカでの現地調査が終わろうとしている。移動でバタバタするので、本日のブログは、アラスカ現地調査の際に見かけた野生動物の写真だけお目にかけてお茶を濁すことにする。

 まず、氷河を見学に行った際に、船上から見えたラッコ。ラッコは割とありふれた存在らしく、個体数は多そうだった。ただ、岸の近くではなく、湾の真ん中あたりに漂っているのが、少々意外だった。あんな深いところでは、エサの貝とかをとりにくいような気がするのだが。

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 あとは、北極海に面したアラスカ北岸のノーススロープという地域にあるプルードベイという石油の街の写真になる。まず、これはレアだそうだが、ジャコウウシの群れを見かけた。手前に見えるのは石油パイプラインで、こうした野生動物の通行を妨げないように、地上から浮かせて設置されている。

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 次は比較的ポピュラーで、カリブー(北米のトナカイ)は結構見かけた。季節によってはもっと大群も見ることができるはずだが、今回我々が目にしたのは群れではなく、はぐれ個体ばかりであった。

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 最後に、ホッキョクグマにも遭遇したので、その写真もお目にかける。ただ、案内の人がシロクマだと言っていただけで、私は良く分からなかった。下の写真で、左下に寝そべっているのがシロクマだというのだが、本当だろうか。場所は、石油採掘のために作られた人工島だったのだが、果たして。

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 海外出張中につき、ロシア・ウクライナ情勢のフォローができておらず、大したネタもないのだが、一応、一日一更新を心がけている当ブログなので、よもやま話を。終盤に差し掛かったアラスカ出張で感じたこと。

 アラスカで3つのホテルに泊まったのだが、どのホテルも酷い。値段だけ高く、中身が追い付いていない。一泊300ドル以上払わないと、まともなホテルにありつけないのではないかという印象で、大学の貧弱な予算ではとても追いつかない。

 とにかく、備品、アメニティの類がほぼ存在しない。私は、30年くらい前であれば、旅行に湯沸かし器、スリッパ、シャンプー等々、色々持って行ったが、最近はどんな国のホテルに行っても、最低限のものは部屋に必ずあるので、余計な荷物は持参しないようになっていた。しかし、今回のアラスカの一連のホテルは、せいぜいドライヤーがあるかなという程度。

 WiFiについてのホテル側の意識の低さにも驚かされた。なくはないのだが、部屋にきちんとパスワード等の利用案内が出ていない。フロントに訊きに行くと、パスワードを口頭でまくしたてられたり、殴り書きのメモを渡されたりする。ホテルの職員は、低賃金のジャンクジョブということなのだろうか、だいたい移民がスタッフなので、対応が心許ない。

 これはアラスカだけの現象なのだろうか、それとも米国全体がそうか? 11月に東海岸の出張があるので、その時に確かめてみたい。


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 今となっては、ロシアに投資するバカなどいないわけで、ロシアの経済特区の話題など、日本で関心を持つ人はいないかもしれない。しかし、私はロシアの経済地理を研究テーマの一つとしていて、昔はロシアの経済特区に関する論文を書いたりもしたのだ。その行きがかり上、西シベリアの油田地帯として知られるハンティ・マンシ自治管区に経済特区が創設されるという話題を取り上げておく。

 そもそも私は見逃していたのだが、昨年暮れに出たロシア経済発展省のこちらのニュースで(日本からは閲覧できないが)、くだんの経済特区創設が決定したということが伝えられていた。ちなみに、ロシアでは連邦法にもとづく経済特区の担当官庁は経済発展省であり、同省が各地域と協定を結んで特区の創設を決める。特区にはいくつか種類があり、今回創設が決まったのは工業生産型特区である。特区の名称は創設地にちなみ「ニャガニ」と名付けられているが、あのシャラポワの生誕地ですな。

 そして、最新のこちらの記事が、特区の進捗状況につき伝えている。このほど特区の建設作業が始まった。すでに5社の投資家と投資協定を結び、その総額は240億ルーブルとなっている。特区の面積は270haで、将来的に1,000ha規模への拡張も見込む。特区では大掛かりな輸入代替プロジェクトが見込まれており、ロシアのデジタル主権の確保、石油採掘の新たなテクノロジーの開発を目指す。特区は2025年までには稼働し、2032年までに737人分の雇用を生むと期待されている。


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 出張中につき、大したネタもご用意できず恐縮だが、「世界の資源保有国ランキング」みたいなものがないかと思って探したら、こちらのサイトにまさにそのようなグラフが出ていたので、ちょっとこれを拝見してみたい。

 これによると、2021年現在の天然資源保有額で、ロシアはぶっちぎりの1位となっている。その額は75兆米ドルで、石油・天然ガス、石炭、金、木材、レアアースなどがその主な中身。ベスト10の国を示しておくと以下のとおり。

  1. ロシア
  2. 米国
  3. サウジアラビア
  4. カナダ
  5. イラン
  6. 中国
  7. ブラジル
  8. オーストラリア
  9. イラク
  10. ベネズエラ

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 ロシアでは毎年9月に入学式があって新しい教育年度が始まるのだが、初日の9月1日には小学1年生が花束を担任の先生に渡すのが恒例になっている。なんだか子供でなく先生が主役のようで、我々日本人は少々違和感を覚えるのだが、とにかくそういう習慣なのだから仕方がない。

 それで、こちらの記事が、ロシアではこの8月に4,580万ドルの生花が輸入されたということを伝えている。ロシアでは花を贈る機会が日本より多そうではあるが、8月の4,600万ドルは明らかに新学期需要による部分が大きいだろう。まだロシアには余力がありそうだなとか、花は制裁対象になってないのかとか、ウクライナの新学期はどうだったのだろうとか、色んなことを思わされる。

 4,580万ドルの生花は、重量にして6,400tとなる。輸入の45%がオランダから、37%がエクアドルからであった。主な花の種類は、バラが35%、キク類が28%など。北西管区税関での通関が52%、モスクワ税関での通関が41%だった。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週はGordyレーベル(要するにモータウン)が初期に放ったヒット曲、HDHチームにとっても大出世作となったMartha & the Vandellas - Heat Waveを聴いてみよう。個人的にも、人生を変えられた一曲と言って過言でないのだが(まだ生まれおらず、聴くことになるのは20余年後)、その割にはこの曲のオリジナルシングル45は持っていない。上掲のYouTubeはオリジナル盤からの板起しのはずである。後のベストCDに収録される音源は、やたらとエコーが深かったりして改変されている印象なのだが、個人的にはこのオリジナルの響きが好きだ。なお、この曲の正式タイトルは、 (Love Is Like A) Heat Waveというはずなのだが、レコードの盤面にも、ビルボードの誌面上も、それが見当たらず、いつから(Love Is Like A) の部分は加わったのだろうか?

その頃ソ連では
1963年8月30日:「ホットライン」の電話機が米ホワイトハウスのオーバルオフィスとソ連のクレムリンの双方に設置される。

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 こちらの記事によれば、ロシアの代表的なオリガルヒであるB.ロテンベルグが、ロシア版のFIFA、NHLを創設しようとしているというので、一瞬驚いた。ついにスポーツの分野で、国際組織のFIFAに決定的に背を向けて独自のサッカー連盟を創設し、北米のホッケーリーグNHLにも対抗しようというのかと(むろんすでにKHLがあるが)、見出しだけ見て驚いたのである。しかし、記事を読んでみたら、テレビゲームの話だった。

 記事によると、テレビゲームの分野では、カナダ企業のEA Sportsが、FIFAシリーズ、NHLシリーズといった作品を世界的にヒットさせている。ところが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、同社はロシアおよびベラルーシへの商品供給を停止した(並行輸入で入荷してはいるが)。

 こうした中、ロシアのSMP Eスポーツ社は、今後3年以内にサッカーおよびホッケーゲームを開発し、行く行くはEA SportsのFIFAシリーズ、NHLシリーズに取って代わるような存在になることを目指しているという。このほど同社のG.グヌトフ社長がインタビューで語った。なお、同社は7月14日に設立されたばかりで、B.ロテンベルグが100%保有している。ロテンベルグはSMPレーシングというレースゲーム開発の別会社も保有している。


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 こちらの記事が、G7がロシア産ダイヤモンドを制裁対象とすることで調整を進めているということを伝えているので、主な中身を以下のとおりまとめておく。

 米国はすでにロシアのダイヤモンドに対する制裁を導入しているが、それはロシア産の原石か、あるいはそれをロシア国内でカット・研磨したものだけが対象である。世界のダイヤモンドの90%がインドでカット・研磨されていることを考えれば、これはあまり厳しい制裁ではない。

 目下、G7でロシア産ダイヤモンドの輸入を禁止する方向で調整が進んでいる。G7は9月にそれを正式発表する見通しである。現在、個々の石を追尾・記録する方式と、それに伴う通関書類について、詰めの作業が行われている。そして、年末・年始に向けた商戦が一段落したことを見計らい、2024年1月から制裁を発動することを想定している。

 問題は、宝石業界が主として中小企業から成り、彼らは商品の大きさや色といった品質にこだわるわけで、そうした彼らが原産国により区分するような方式を受け入れるかということである。ダイヤモンドは原石が最終消費者に届くまで20~30もの手に渡るわけで、抜け穴が生じやすいという問題もある。

 しかも、G7の制裁はおそらく1カラット以上の最終商品を対象とするのに対し、ロシアの特徴は小型のダイヤモンドを大量に売ることである。後日、より小さな商品も制裁の対象に加わる可能性があるとのことではあるが。


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 10月から消費税が新制度に移行するということで、我々のような副業として時々メディア出演するような専門家にとっては、しばらく前から、納税業者としてインボイス登録をすることを求めるメディアからの依頼がチラホラと届くようになっていた。対応につき悩んでいる同業者の皆様も少なくないのではないか。

 そこで、酒井富士子『マンガと図解でよくわかる インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』を読んで、頭を整理してみた。結論から言えば、我々のような専門家がインボイス申請する必要はなく、今後も副業収入1000万円以下(そんなに行くはずはない)の免税業者として仕事を続ければいいはずだとう考えが固まった。

 インボイス登録の必要性に関し、しばしば言われる根拠の一つとして、「フリーランスAとフリーランスBがいて、前者が納税業者登録をしていて、後者がしていなければ、発注者はBに仕事を依頼したらその分控除ができなくなるので、どうしてもAを選択するようになる。だから、登録した方がいい」という話である。

 しかし、それはたとえばホームページ制作業者のような、同じような力量の業者が複数存在する世界の話であろう。我々の世界では、たとえば「小泉悠さんがインボイスに対応していないから、対応している服部倫卓さんに依頼しよう」などということにはならないのである。小泉さんには小泉さんにしかこなせない仕事があるから依頼が行くのであって、私にも私の領分があり、インボイス対応が決め手になって人選するなどということはありえない。そもそも専門家への謝礼など大した額でもないので、それに消費税の1割がかかったとしても微々たるものであり、メディアがその有無で専門家を選別するようなことはあるまい。

 下手にインボイス登録してしまうと、確定申告の手間が2倍になってしまう。メディアの皆さんには、多少のコスト増となり申し訳ないが、当方は登録なしの免税業者として仕事を続けさせていただく。


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 当ブログで定期的に取り上げる「開発センター」による最新ロシア経済コンセンサス予測が発表されたので、恒例により紹介する。コンセンサス予測とは、様々な機関による予測を平均したものであり、その意味でそれなりに信憑性がある。同センターでは四半期に一度調査を行っていて、最新の8月7~17日の調査結果が今般発表されたというわけである。

 2023年のロシアの成長率については、上方修正する機関が相次いでおり、それを反映して、上表のとおり、2023年のコンセンサス予測によるGDP見通しは1.8%となっている(こちらに見るとおり、前回調査では0.3%だった)。ただし、政策金利の大幅な引き上げ、為替レートの下落という最新の動きも反映した変化が生じている。

 四半期ベースのコンセンサス予測が、下表のとおり。

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 こちらの記事が、モスクワ~サンクトペテルブルグ高速鉄道をめぐる動きについて報じているので、要旨を整理しておく。

 記事によると、モスクワ~サンクトペテルブルグ高速鉄道が2028年にも開通する可能性があると、このほどV.イヴァノフ運輸次官が語った。実現すれば、両都市の移動時間は2時間15分に短縮される。

 この高速鉄道計画は、2021年8月にいったん合意したが、断念の可能性があるという報道が数ヵ月後に出ていた。その後M.フスヌリン副首相は、建設が段階的に行われるとの見通しを示していた。

 本年6月にはV.サヴェリエフ運輸相が、高速鉄道はミンスクまで延伸される可能性があり、すでに建設と車両生産に関心を寄せている投資家もいると発言していた。

 今年のペテルブルグ国際経済フォーラムではセヴェルスターリ社のA.モルダショフが、プロジェクトへの出資の可能性を示唆。一方、ロシア鉄道のO.ベロジョーロフ社長は、すでに車両の開発に着手していると述べていた。

 運輸省によると、プロジェクト総額は1.7兆ルーブルとなるが、採算がとれるので連邦財政からの支援は要しないとされている。


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 Foresightに、「『人質』から『遮断』へ ―ウクライナの穀物輸出をめぐるプーチンの戦術転換」を寄稿しました。有料記事ですが、前半の無料部分だけでも、かなりの情報量が(笑)。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週見事1位に輝いたのは、白人少女3人組、Angels - My Boyfriend’s Backである。オールディーズファンならどなたでも好きであろうというこの曲。しかしアメリカの時代も変わり目で、サウンド的にも内容的にも、こういう無垢な曲はそろそろ最後かな。今回初めて聴いたが、B面は (Love me) Nowという曲らしい。

その頃ソ連では
1963年8月20日:ソ連とヨルダンが外交関係樹立。

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 昨日は、界隈はプリゴジン氏死去の話題で持ちきりだっただろう。しかし、個人的には、自分が取り仕切っていた学生さん向けのサマースクールというイベントにかかり切りの一日であり、本日もそうである。私のところにもプリゴジン氏の件に関するマスコミからのコメント依頼が来たが、私としては珍しく、断ってしまった。日本で過ごすのもあと3日で、8月28日~9月8日は外国出張であり、当分の間はロシア・ウクライナ情勢フォローも、メディア出演も、オフることとなるので、悪しからず。

 というわけで、ブログも手抜きとならざるをえない。こちらの記事に見るように、今般BRICSの首脳会議が開催され、2024年1月1日より新たにアラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラン、アルゼンチン、エジプト、エチオピアの6ヵ国がBRICSに参加することになった。ちなみに、BRICSへの参加希望を表明していた国は、23ヵ国にも上ったということである。ただし、今回参加国の拡大が決まったものの、ラヴロフ外相によれば、BRICSという名称は変わらないということである。

 上図はこちらに出ていたもので、これまでの拡大の軌跡と、G7・BRICSが世界GDPに占める比率の推移をまとめたもの。


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 ロシアでは毎年9月に統一地方選挙が実施されるのが通例である。今年は9月10日が統一投票日に指定されている。正直、それほど目を向けてはいなかったのだが、ウィキペディアのこちらのページを眺めていたら、どうも今年の統一地方選はかなり盛大なのではないかという気がしてきた。むろん、民主主義国におけるような意味での選挙ではないので、選挙戦自体の盛り上がりはないだろうが、注目度の高い知事選が行われる地域がかなり多い印象だ。

 数えると、連邦下院議員の補選が実施されるのが4地域、地域の首長選挙が行われるのが21地域、地域議会選挙が行われるのが20地域となっている。

 しかも、首長(知事)選挙が行われるのが、重要地域である場合が多く、モスクワ市、モスクワ州、サマラ州、ニジェゴロド州、クラスノヤルスク地方、ノヴォシビルスク州、サハ共和国、沿海地方などが挙げられる。まあ、すべて官製・無風選挙だとは思うが、もしも重要地域でプーチン体制に異を唱えるような動きが広がったりしたら、来年の大統領選やウクライナ侵攻への影響も考えられる。

 そして、昨年9~10月にロシアが一方的に併合手続きをとったウクライナ東部・南部の4地域に関しては、一時はこの統一地方選に合わせて首長を直接投票で選出するという話もあったが、どうも今回は議会選挙を実施するということのようである。「ドネツク人民共和国」で言えば、首長のD.プシーリン氏が統一ロシア名簿の筆頭に立って議会選を戦うということらしい。


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 ロシア中央銀行制定の公定レートによれば、ルーブルの米ドルに対するレートは、8月15日に101.0399ルーブルというどん底を記録した後、上図に見るとおり、一定の回復を遂げている。

 ルーブル安に関する論説で、非常にためになったのが、こちらの記事であった。この中の興味深い記述として、1ドルに対し1ルーブルの下落が生じるごとに、ロシア財政には1,000億~1,200億ルーブルの追加歳入が生じるので、財政をあずかる財務省としてはルーブル安を静観している、との指摘であった。

 なお、追加歳入の部分は、ブルームバーグの試算によるものらしいのだが、ブルームバーグは基本有料なので、原典は確認できなかった。もしそれが本当なら、単純計算すると、1ドル=130ルーブルくらいまで下落すれば、ロシアは今年の連邦財政の収支を均衡させることができることになるが、果たしてどうだろうか。

 この記事で、もう一つ興味を惹いたのが、対インド石油輸出収入に関する指摘である。これによると、6月にロシアはインド向けに日量220万バレルという記録的な原油を輸出した。だが、インドがサウジなどの中東産油国には米ドルで払っているのに対し、ロシアに対しては代金をインド・ルピーで払いたがる。それゆえ、たとえ油価が1バレル70ドルに上昇しようとも、ロシアには「ハードカレンシー」は流入しない。ロシアの石油会社はインドの銀行口座に溜まるルピーを処分できずに持て余している、というのである。


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 Wedge ONLINEに、「ロシア穀物輸出が好調? 黒海合意と戦乱下の実態」を寄稿しました。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「暮らしてみて感じた北海道あるある(下)」です。よかったらご笑覧ください。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2023年9-10月合併号が発行されたので、ご紹介。9-10月号は、「ウクライナ復興支援の地平」と題する特集号となっております。本日8月20日発行。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 私の役目は今回は軽めで、特集の枠内で「カホフカダム破壊はウクライナ・ロシア双方に痛手」を、枠外で「ロシアは無人航空機の遅れを取り戻せるか」を執筆しております。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、アメリカでは公民権運動とベトナム戦争が重なり、ポピュラー音楽の世界も、このあたりから急激に政治色を帯びてくるわけである。1963年8月28日には、ワシントン大行進が行われ、キング牧師が有名な「私には夢がある」演説を行うことになる。そんな時代背景の中、ちょっと取り上げるタイミングを逸してしまい、チャート上はもう下降線だが、今週6位に位置しているのが、Peter Paul & Mary - Blowin’ In The Windだった。まだスターになる前のボブ・ディランが、“No More Auction Block”という黒人霊歌に独自の詩を付けたものだった。

その頃ソ連では
1963年8月10日:これ以降、ソ連とダホメ王国(後のベナン共和国)の外交関係は、在トーゴ・ソ連大使館が担うこととなる。

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 こちらの記事が、ロシアで売れ筋の乗用車モデルが、今年に入ってからどれだけ値上がりしたかということを伝えているので、数字を上表にまとめてご紹介する。今のところ、それほど劇的な値上りではないような気もするが、これからルーブル安の影響が前面に出れば、もっと値上りする可能性も考えられよう。

 とにかく今のロシア乗用車市場はロシア国産ブランドのLADAと、中国ブランドに二分された形である。当然、輸入主体の中国車の方が値上がりが大きくなるが、ロシア国産のLADA車も輸入部材に依存する部分は小さくないだろうから、ルーブル安の影響を完全に免れることはできまい。

 表を見ると、やはり全般に中国車の方が値上がりが目立つ。例外はChery Tiggo 7 Pro MaxとGeely Coolrayだが、これはメーカーが特別値引きを実施している結果らしい。Geely Coolrayは、ベラルーシのベルジー社による製品のはずだが、ロシア・ルーブルは今年に入ってからベラルーシ・ルーブルに対してさえ値を下げているので、値下がりは為替要因ではないと見られる。


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 近く外国出張に出かけるのだけれど、それまでに片付けなければならない仕事が山のようにあり、ブログはあからさまな手抜きになり、ご容赦を。

 こちらに、2023年1~7月にロシアで販売された中古車のモデル別ランキングというものが出ているので、それを軽く眺めてみよう。

 左の赤い部分がロシア国産モデルの中古車で、すべてAvtoVAZ社のLADAブランドであり、サマラ、クラッシック、グランタ、カリーナ、ヴェスタと続く。

 右の青い部分が外国ブランドモデルで、フォード・フォーカス、ヒュンダイ・ソラリス、キア・リオ、トヨタ・カローラ、シュコダ・オクタビアという顔ぶれになっている。

 「あれ、ロシアって、日本の中古車が大人気じゃなかったの? その割には日本車が少ない」と、疑問に思われる方も多いかもしれない。確かに、その昔は、ロシアに出回る外国モデルの中古車は、大部分が日本から輸入された中古車だっただろう。しかし、ロシアでは2000年代から外国モデル車が現地生産されるようになり、今日ではそれらのロシア産外国モデル車が、中古車として大量に出回るようになったわけである(もちろん、単純に外国モデルの新車が外国からロシアに輸入されて、数年経って中古車になるパターンもあるが)。フォーカス、ソラリス、リオ、オクタビアなどは、典型的なロシア産の外国モデルであった。ただ、それらの生産もすでに先進国メーカーの撤退で途切れ、これからどうなって行くか。

 今でも、「外国から輸入される中古車」という観点で言えば、日本車がトップであろう。もっとも、8月に始動した新たな規制措置の影響もあり、その行方も混沌としている。


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 昨日、ロシア中央銀行が、政策金利を一気に3.5%ポイント引き上げ、12.0%とするという荒療治をとった。政策金利の変動は上図のとおり。

 これに関し、こちらの記事の中で、D.バビンという専門家が述べているコメントを以下のとおり抄訳しておく。

 15日、ロシア中銀の臨時会合への思惑からルーブルは上げて始まり、会合後もしばらくは上昇した。ドルは今月初め以来初めて92.6ルーブル、ユーロは104ルーブルに達した。中銀が一気に3.5%ポイントの利上げを決定したことは予想外だった。にもかかわらず、ルーブルは一時的に上昇した後、急激に値を下げた。

 ルーブルへの下げ圧力が生じたのは、中銀が輸出代金の一定割合の売却義務を復活させることをせめて示唆するなど、通貨管理を強化する措置を取ることを多くの人が期待していたからだろう。しかし、これには制裁による制限というリスクがあるため、難しかったのだと思われる。

 ここ数カ月に見られたルーブル安は、必ずしも過剰な貸出による消費需要増が原因ではないことを考慮すると、政策金利の引き上げは、たとえ大幅なものであっても、ルーブルの持続的な回復を保証するものではなさそうだ。その妨げとなっているのは、輸出収入の減少や国内への未回収、ルーブルや流動性の低い友好国通貨での輸出決済に起因する持続的な外貨不足である。状況は、多額の資本が着実に流出していることによって悪化している。これらの要因は、金利水準にはあまり関係していない。


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 毎月続けている、ロシア連邦財政執行状況データの更新。7月の数字が出たので、上掲のとおりお目にかける。クリック・タップで拡大してご利用を。

 季節・月要因で変動する歳出・歳入を月単位でウォッチすることにどれだけ意味があるかは分からないが、一応確認しておけば、最新の7月は、久し振りに石油・ガス歳入が盛り返したが、逆に非石油・ガス歳入が縮小に転じた。他方で歳出が膨らんだため、単月で3ヵ月振りに赤字を記録した。

 2023年1~7月累計では、歳入が14兆5,246億ルーブルで、前年同期比7.9%減。うち石油・ガス歳入は4兆1,929億ルーブルで、前年同期比41.4%減。非石油・ガス歳入は10兆3,316億ルーブルで、前年同期比19.8%増であった。歳出は17兆3,415億ルーブルで、前年同期比14.0%であった。収支は2兆8,169億ルーブルの赤字。

 なお、先日、ロシアは2023年上半期ですでに通年の国防費を使い切り、それに伴い通年の国防費が当初予算の倍に膨らみ、歳出全体の約3分の1に達することになるということが報じられたが、財務省は歳出執行の内訳を発表しないので、そのあたりを確認することはできない。


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 ロシア・ルーブルの対ドル・レートと、ウラル原油価格を示した上図、ルーブルが怪しくなってきたので、久し振りに更新してみた。なお、かつてはルーブル・レートはほぼ油価に連動していたので、このようなグラフになっているわけだが、ウクライナ侵攻後はすっかりその法則性が崩れ、今年に入ってからは油価回復の中でのルーブル下落という様相となっている。

 こちらの記事が、何人かの専門家の見解を交えながら、ルーブル安についてまとめているので、以下抄訳しておく。

 8月9日、ロシア中銀は年末まで国内市場で外貨を購入しないと発表した。「財政ルール」、すなわち石油やガスの価格が予算で設定された水準より高い場合に輸出業者から外貨収入の一部を買い上げるという仕組みを、一時的に解除することになった。

 8月上旬、ブルームバーグはロシア・ルーブルを最も弱い新興国通貨の一つと認定した。1年前には逆にその格付けで最高だったのだが。現在、ルーブルは2022年3月と同水準で取引されている。当時、欧米諸国がロシアに対して破壊的な制裁を導入し、為替市場は急激なルーブル安に振れた。

 V.エフスティフィエフは、「財政ルールの停止は為替相場を安定させるためのステップのひとつであり、中央銀行の利上げと連動して機能することが想定されている」と指摘する。もっとも、通貨当局は最近、為替市場にはほとんど介入していなかったが。

 A.バフチンも同意見で、「これはルーブルへの過剰な圧力を緩和することを目的とした自動メカニズムを、手動で調整するものだ」と述べる。当該の外貨の量(つまりエネルギー価格の上昇から得た収益)は、外国為替市場の取引量に比べればかなり少なく、数%にすぎないため、決定的な役割を果たすことはない。しかし、それはルーブルの対ドル、対ユーロの取引に関するもので、人民元買いの一時停止はタイムリーだ。ルーブルは少なくとも8〜10%売られすぎており、切り下げの勢いはピークに近づいているように見えると、バフチンは付け加える。

 7月の国際収支データは、ルーブルを激しく揺さぶるようなものではない。18億ドルの経常黒字だ。しかし、この統計はここ数週間のネガティブな動きに見合っていない。

 高い財政赤字の穴埋めも、ルーブル下落が生み出すインフレ期待も、コストを伴う。外的な支えがなければ、ルーブルは下落を続け、物価上昇圧力、すなわちインフレに繋がるだろう。急激な為替変動から契約を守る手段、すなわちヘッジ手段をほとんど持たない輸入業者は、為替下落を織り込んで事業を行わざるをえなくなり、それが輸入品の販売価格に跳ね返ることになるだろうと、エフスティフィエフは警告する。

 ルーブル安は、輸出収入や財政の穴埋めという観点からはプラスだが、インフレの上昇を招き、ビジネスのセンチメントを悪化させ、輸入業者の事業をより困難にすると、バフチンも指摘する。

 通貨安のもう一つの影響は、ルーブルに対する信認の低下、長期的に貯蓄の外貨化が進むこと、ロシア通貨からの貯蓄逃避である。実際、経済そのものが通貨下落の人質になっている。

 「重要なのは、主要貿易相手国通貨に対するルーブルの為替レートだけでなく、その下落速度である。切り下げ局面のたびに、家計貯蓄の外貨移行が進むことが観察されている。また、ルーブルの大幅な切り下げにより、金利の上昇を含め、投資の可能性が削がれている。破産のリスクが高まり、経済と金融の安定が損なわれている。ルーブルの切り下げは、ロシア経済の競争力を高めるものではない。現在のロシア企業の専門家の給与は、同業種の中国の給与のほぼ半分。これでは、10~15年前のように外国から優秀な人材を呼び込むことはできない」と、A.ポタヴィンは指摘する。

 国内生産を発展させるには、有能な経営者に加え、数百万人規模の労働力の余剰が必要だが、現在のロシアにはそれがない。また、ロシアでの外貨換算給与が毎月減少しているため、中央アジアの人々を労働力としてロシアに惹きつけることも難しい。制裁により、世界の中で最も大きく支払い能力のある先進国市場に、ロシアは輸出ができなくなった。他方、途上国のバイヤーは、バーゲン価格でしか、ロシアの原材料に興味を示さない。したがって、ロシアの輸出ポテンシャルは、現時点では期待できない。

 ポタヴィンによれば、ロシアの輸入は、それに見合う内需がある限り高止まりする。しかし、輸入価格はルーブル・レートに敏感に反応するため、時間の経過とともに需要が徐々に縮小していくことが予想される。国内の実質賃金が伸びたところで、対ドル、ユーロ、人民元の為替下落とは比較にならない。

 ここ数ヵ月のルーブル安は、ロシアへの外貨流入量の減少と多額の資本流出(つまり通貨輸出)に起因しており、原油価格が上昇してもルーブル相場の動きにはもはや影響しない。それ以外にも、ルーブル安の要因には以下のものがある。

  • 政府間協定に基づき、ロシア企業が外貨収入を海外口座に残すことを認めている(輸出からロシアに入ってくる外貨はますます少なくなっている)。
  • 貿易がルーブルや友好国通貨に移行し、国内市場でハードカレンシーが不足する。輸出に占めるルーブル決済の割合は輸入よりも大きく、6月の30%に対し7月は42%と急速に増加している。モノとサービスの貿易黒字はすべてルーブルで形成され、ハードカレンシーは赤字である。
  • 2022年のロシアからの資本流出は過去最高の2,430億ドル(GDPの13%)、2023年第1四半期は210億ドルだった。ロシアへの直接投資およびポートフォリオ投資の一環として、非居住者から外貨が流入することはすでになく、今後もないだろう。

 「これらの要因がすべて変わらないのであれば、今後数ヵ月の間に顕著なルーブル高が起こることはないだろう。年末までのドル・レート予想は88~100ルーブル」とポタビン氏。ルーブルにとってのプラス要因があるとすれば、中銀の金融引き締め、7月末以降の原油価格の上昇、ブレントとウラルの価格差の縮小、GDPの改善、予算指標の安定化などである。


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 当ブログでは、こちらなどに見るとおり、ロシア連邦財政の動向を定期的にお伝えしており、歳入に関しては石油・ガス歳入とそれ以外の歳入に区分してお伝えしている。ただ、石油・ガス歳入の中身について、これまであまり目を向けてこなかったので、今般上掲のように石油・ガス歳入の内訳を示した表を作成してみた。以下、箇条書きでコメント。

  • ロシア政府は、輸出関税は段階的に廃止していき、その分、地下資源採掘税にシフトするという政策をとっている。したがって、輸出関税の低下は、その政策を反映した側面が大きい。いずれにしても、現状で石油・ガス歳入の中核を担っているのは、地下資源採掘税である。
  • 2大税種以外にも、石油原料物品税、減衰係数、法人投資税控除、採掘からの追加所得税などが記録されているが、正直言って個人的にどういうものか理解しておらず、訳語も自信がない。悪しからず。前の3つは一貫してマイナスなので、企業に返すものなのだろう。それに対し、最後の採掘からの追加所得税というやつはプラスの月が多く、なおかつ月々の石油・ガス歳入額をかなり左右する存在となっている。
  • ガスの地下資源採掘税が2022年10~12月に極端に膨らんだのは、政府がガスプロムに特例的な支払いをさせたことを反映したもの。
  • 石油税収は、今年第1四半期頃がどん底だったが、ある程度立て直してきたか。
  • ガスは、輸出関税の落ち込みが顕著で、回復の兆しが見えない。2022年のような異常な高騰が去り、そして欧州向けの輸出が先細る現状では、当然か。

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 対ロシア中古車輸出に関し、これまで自分が認識していなかったポイントに気付いたので、取り上げておく。2021年10月と少々古いが、こちらの記事が目に留まった。

 記事によると、2021年10月の時点で、ロシアの乗用車のストックは4,520万台であった。しかし、その中でEVおよびハイブリッド車は17.9万台と、比率にしてわずか0.4%にすぎなかった。なお、EV・ハイブリッド車の90%はハイブリッドであり、7%がバッテリ式、3%がプラグインハイブリッドであった。

 それで、EV・ハイブリッド車がどの地域に多いかというと、極東連邦管区が圧倒的に多く、国全体の58.2%を占めた。それに次ぐのが、シベリア連邦管区の15.1%である。これはつまり、ロシアで普及しているEV・ハイブリッド車の大部分が、日本から輸入された中古車であることを意味する。

 日本政府は7月28日、対ロシア輸出禁止対象として、新たに排気量1900cc超の自動車、EVおよびハイブリッド車など約750品目を追加すると発表し、8月9日から施行している。おそらく、影響がより大きいのは、ハイブリッド車の部分であろう。今回の措置は、ロシアにおけるEV・ハイブリッド車の普及を、より一層遅らせる可能性が高い。

 環境対策というのは、確かにローカルなものもあるが、地球環境にかかわるものに関しては、一国で取り組んでも意味がない。ロシアでEV・ハイブリッド車が普及することは、やや大袈裟に言えば、全人類的な意義を有するのではないか(正直言うと、ハイブリッド車の環境性能がどれだけ優れているのか、個人的にあまり理解できていないが)。そう考えると、日本政府の措置には、欧米と足並みを揃えるという目的は理解できるものの、釈然としない部分が残る。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 あれ、今号から、ビルボードのフォント変わった? 横広の文字になったね。しかし、分厚い本が1960年代の半ばに差し掛かり、ますますコピーしにくくなって、端の方が不鮮明になりがちな点、ご容赦を。

 さて、今週23位に位置しているのが、Gene Pitney - True Love Never Runs Smoothという佳曲である。これもDavid-Bacharachが残した数ある名曲の一つ。Petula Clarkのカバーの方を推す声もチラホラ。

その頃ソ連では
1963年8月9日:休暇中だったソ連の最高指導者フルシチョフ、核兵器禁止条約に署名するためにモスクワを訪れていたラスク米国務長官と別荘で会談。

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0810

 こちらの記事が、ロシアが穀物の保管場所に窮し始めたということを伝えている。元ネタはブルームバーグだが、そちらは有料なので、引用記事で我慢。

 記事によると、ロシアの穀物輸出業者は、ウクライナによるクリミア橋およびノヴォロシースクへの攻撃後、外国への出荷に関し、日増しに困難に直面している。

 アゾフ海の港湾ターミナルは、保管倉庫が満杯になり、新たな受け入れを停止している。その結果、アゾフ海港湾ターミナルの周辺では鉄道貨車の渋滞が発生し、荷卸しができないでいる。身動きがとれず、輸送カオスが生じ、問題が雪だるま式に膨れ上がっている。

 通常、穀物を積んだバルカーはアゾフ海からケルチ海峡を通過し、より大型の船に積み替えられて、黒海経由で目的地まで運ばれていく。しかし、7月17日にウクライナがクリミア橋を攻撃して以来、ケルチ海峡の通行が限定されている。なお、クリミア橋の修復期間は、当初3ヵ月と言われていたものが、年末までかかる見通しになっている。

 ロシアは昨年、史上最高の1億5,800万tの穀物を収穫した。穀物の在庫も過去30年で最高レベルである。7月の輸出量が空前絶後の440万tに上ったにもかかわらず、現在再び倉庫に在庫が積み上がりつつある。

 ノヴォロシースク港はロシアの穀物輸出の半分を占めるだけに、同港への攻撃がさらにロシアを苦しくしている。取引業者、海運業者、保険会社は、ロシアの取引先との契約をますます警戒するようになり、取引先に対する運賃や保険料を大幅に引き上げている。

 ロイター通信によると、ロシアの穀物輸出の70%を占めるノヴォロシースクとタマン行きの穀物運搬船の保険料は、ルーマニアやブルガリア行きの同種の船よりも1日数万ドル高いという。

 ロシアが穀物合意から離脱する以前は、こうした保険には1日約1万ドルの「リスクプレミアム」の支払いが必要だった。それが、ウクライナによる攻撃以降、プレミアムはさらに高くなったという。業界関係者は、「黒海での緊張エスカレーションはロシアの輸出に打撃を与えるだろう。なぜなら海運会社はすでにロシアの港に船を、特に新型の大型船を出すことを警戒しているからだ」と証言する。


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0810a

 こちらに見るとおり、昨日、ロシア統計局が7月の物価統計を発表したので、いつもお目にかけている図を早速更新してみた。図はクリック・タップで拡大。

 7月の消費者物価は、前月比では0.63%増、前年12月比では3.41%増、前年同月比では4.30%増であった。1~7月の前年同期比では5.37%増であった。ロシアでは、夏はデフレの季節のはずなのだが、その盛夏にインフレ再燃の動きが出たことになる。

 7月の物価上昇は、明らかにサービスよりも商品主導によるものだった。前月比を部門別に見ると、サービスの0.48%増に対し、食料品は0.69%増、非食料商品は0.91%増だった。非食料商品は、家電や生活化学品など輸入依存度の高い分野であり、おそらく足元のルーブル安が7月のインフレの主因だったのではないか。

 と言いつつ、7月には、国産比率が高いはずのガソリン2.19%、鳥肉2.21%、卵1.62%、砂糖4.38%なども上がっており、不可解ではあるが。ロシアでは夏に鳥肉や卵が安くなるはずなんですけどねえ。

 最近作り始めた、侵攻後の物価動向をトレースした図は、以下のとおり。

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