目下、米学会に出席するために、東海岸のボストンに滞在中なのである。出張中は何かとバタバタし、日課のブログ更新ができるか、心許ない。そこで、手抜き気味の連続企画として、本日からロシアの主要輸出品の輸出動向を示すグラフをシリーズでお目にかけたい。先日、「【“幻の”貿易統計集からロシア貿易を検証】制裁の影響は?中国・インド・トルコへ傾斜で生まれた痛手」というコラムをお届けしたが、それに掲載した品目以外にも、色んな品目の輸出動向をグラフにしていたので、それをオマケでお目にかけようというわけである。初回の本日は、HSコード0303:冷凍魚の輸出。
冷凍魚の輸出は、東方シフト云々ではなく、最初から中国、日本、韓国、台湾という東アジア向けが大部分である。中国がアジア・友好国、日・韓・台がアジア・非友好国ということになる。
まあ、とにかく、ロシアの場合は漁業が好調である。オホーツク海、ベーリング海を中心とした北太平洋で、スケトウダラ等の漁獲を伸ばしている。そして、着実に輸出拡大している。
スケトウダラの場合、ロシアが冷凍して中国の工場に送り、中国の工場でフィレと呼ばれる三枚の状態に加工され、それが欧米をはじめとする世界市場に供給されるというパターンが確立されている。世界で食べられているフィレオフィッシュやカニカマは、結構な割合でロシア産のスケトウダラが原料になっている。
米国はロシアのウクライナ侵攻直後、ロシアからの魚介類輸入を禁止した。しかし、米国がロシアから直接輸入していた分はそれほど大きくなかった上、中国工場経由で流入するパターンが主流で、あまり意味がなかった。その後、米国は第三国で加工されたロシア産魚介類の輸入も追加で禁止したが、実効性には疑問符が付く。
上図で、アジア・友好国向けが増えているのは、大部分が中国による輸入増である。中国の工場で加工され、どこに向かっているのやら。また、アジア・非友好国向けは、日本が激減した一方、韓国・台湾はちゃっかり輸入を維持している。
ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします