ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

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 GLOBE+に、「『ロシア国民は世界で一番読書をする』は本当か?」を寄稿しました。


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 モルドバの政局に関しては、当ブログでは2月27日に「モルドバ議会選挙後の袋小路」と題するエントリーをお届けしたきりで、その後、続報をお伝えできず、心苦しく思っていた。きわめて安直ながら、日本語版ウィキペディアのこちらのページでその後の流れが整理されているので、引用させていただく。

 2019年2月24日のモルドバ総選挙ではドドンのモルドバ共和国社会党が34議席を獲得し、30議席のモルドバ民主党を上回ったが過半数を得ることはできず、その後の連立政権交渉は失敗し続けた。6月7日、憲法裁判所は議会の解散と総選挙を行うことを決定。ドドンはこれに応じず、首班をマイア・サンドゥとする連立政権樹立を決定し、8日に議会がこれを承認した。しかしモルドバ民主党はこれを違憲として憲法裁判所に申し立てた結果、ドドンを職務停止とし、パヴェル・フィリプ首相を大統領代行とする決定を下した。9日、フィリプ大統領代行は議会解散と、9月の総選挙実施を決定。ドドンは反発し、外国の介入を要請した。6月14日、憲法裁判所が一転して8日の違憲判決を破棄し、フィリプ政権は崩壊。サンドゥ政権が権力を掌握した。

 前置きが長くなったが、こうしたモルドバ政治の深層につき、こちらのサイトでI.キセリョフという論者が論評しているので、骨子をまとめておく。

 6月8日の社会党とACUMによる連立協定は、まったく異なる政策と地政学路線の勢力が議会で手を組んだという意味で、旧ソ連圏だけでなく、全世界的に見ても稀有な出来事であった。それゆえ、この連立はもってもせいぜい数週間だろうなどと指摘された。しかし、かれこれ2ヵ月近く持ち堪えているわけで、これはつい最近まで完全な政敵同士と思われていた両勢力が、国の利益のために妥協を見出し、モルドバ国家機構をオリガルヒのV.プラホトニューク氏(現時点ではモルドバから逃れている)の影響から解き放つ作業を着々と実施していることを物語っている。

 思い起こせば、総選挙後の数週間は、社会党とACUMの連携など、まったく想定外だった。しかも、ACUMは、どんな条件でも、いかなる連立にも応じないと明言していた。だた、しばらく経つと、ACUMは結局、連立の条件を提示した。ACUMは2つの政党の連合体であり、ACUMは両方の党首、A.ナスタセとM.サンドゥに、それぞれ議会議長職と首相職をあてがうことを要求した。社会党の35議席に対し、ACUMには26議席しかないにもかかわらず、である。

 しかし、再選挙をやればプラホトニューク派の利益になるとの危機意識から、連立形成の期限が迫るに連れ、ACUMは社会党と接近していった。結局、土壇場の6月8日に、連立協定が締結された。社会党の側も譲歩し、事前に要求を出していた内相と外相のポストは断念し、Z.グレチャヌィが議会議長に就くということで同意した。ナスタセは内相・副首相に、サンドゥが首相に就任した。国防相を除く執行権はACUMが掌握することになった。

 政権ポストの配分をめぐる妥協に加え、連立を安定させている要因の一つが、社会党とACUMが大同団結しなければ、プラホトニューク時代にモルドバが陥った破局的状況から国を救うことはできないという危機感である。そのためなら、両勢力は地政学的方向性の違いを棚上げするだけでなく、欧米やロシアをモルドバを救うという目的のために活用する用意もある。社会党側がEUとの関係を重視してみせたり、サンドゥ首相がブリュッセルに出向いた際には逆にロシアとの関係の重要性を強調したりしている。

 今後に関して言えば、10月20日に統一地方選が予定されており、それが連立にとっての試金石となる。特にキシナウ市長のポスト争いは熾烈となる。

 今回の予期せぬ連立をもたらした、もう一つの重要な要因は、今日のような地政学的対立の状況にもかかわらず、ロシア、米、EUといった外国パートナーの間に、理解があったことである。また、ドドン大統領は常に社会党とACUMの協調と協力を重視する姿勢をとっており、それも連立を強化する上で重要な要因となっている。


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 週刊ロシア経済(No.33、2019年7月29日)「冴えない低成長の続くロシア経済」を配信しました。今回から要旨を箇条書きでまとめるようにしたいと思います。

  • 振り返ってみれば、去年の今頃から、専門家の間では、ロシア経済についての悲観論一色だった。ところが、2018年の成長率につき、2.3%という思いもよらない高い数値が発表されたことで、問題がぼやけてしまった感があった。2019年に入ったら案の定、低調なパフォーマンスに終始している。
  • 最近『エクスペルト』誌に出た論評によれば、たとえ下半期に成長が加速しても、2019年通年で経済発展省が予測した1.3%は不可能であり、0.5~0.6%成長に留まることもありうる。経済危機からの回復による成長はすでに1年前に終わっており、2018年第2四半期からは減速期に突入したと考えられる。ロシア経済は過去12年で16.9%しか成長したおらず、年率1.3%。ロシア経済は少なくとも2017年以来、もしかしたら2012年以来、1.0~1.5%程度の低成長に留まっていて、そこから上ブレ・下ブレするのはその時々の状況次第。2019年は、リセッションはおそらく回避される。しかし、成長力は弱く、2019年通年で1%に達しない公算が大きい。
  • ロシア当局が有する数少ない政策的裁量として金利政策が注目される中、ロシア中銀は7月26日、政策金利を0.25%引き下げ、7.25%とすることを決定した。
  • アルファバンクのN.オルロヴァが、ロシアでミドルクラスの人口比および所得比率が低下しているという警鐘を鳴らした。

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 音楽に関連した紋章のシリーズをお届けしている。今回は、まったく無名ながら、ロシア南部のアディゲ共和国にあるハクリノハブリ村というところの紋章。中央にアディゲ民族の伝統的な弦楽器と思しきものが描かれている。


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 ロシアでは近くモスクワ市の市長選があり、一連の野党系候補が立候補を受け付けられず、これに反対する大規模デモが発生しているようだ。昨日は、デモ参加者1000人程度が当局に拘束される事態になったと伝えられる。

 我々日本人の発想では、野党のデモが起きたとは言っても、プーチン体制の屋台骨が揺らぐような事態ではないので、なぜこれほどムキになって弾圧しようとするのか、不思議な感じがする。しかし、それにはロシアの政治文化に起因する特有の原因があるようだ。ロシアの政治学者のA.マカルキン氏がこちらのサイトで語っていることを、以下要約しておく。

 ロシア政治で決定を下す際の問題は、弱く見えることを常に恐れていることである。ソ連時代には、「妥協」はあからさまな政敵よりも悪い言葉だった。何かをやり過ぎて失敗しても、「男らしい。今度からは少し気を付けるように」で済まされるが、やり方が手ぬるいと、臆病、不誠実と受け取られてしまう風潮が染み付いている。

 そして、今日ではそれに「ペレストロイカのトラウマ」が加わっている。つまり、ゴルバチョフは譲歩したから失敗した、と。そこから、天安門事件の中国のように振る舞えば、すべて上手く行くという発想に繋がっている。ソ連と中国では状況がまったく異なったとか、石油で潤ったブレジネフ時代に改革を怠ったことがその後災厄をもたらしたといったことは考慮されず、「妥協はしない」ことが正義とされる。

 現政権がモスクワ市の野党候補に対してとっている容赦ない姿勢も、そこから由来している。ただ、問題は、それが進行しているモスクワ市では、活発な市民はグローバル世界に生きており、彼らにとってはそうした思考はまったくのアナクロであることだ。他方、活発でない市民はそうした思考に慣れており、最近はあまりテレビを観ず、彼らが怒っているのは物価の値上がりや年金年齢の引き上げについてである。それゆえに、野党は弾圧にもかかわらず活動を続けるが、それが社会に広範な反響を呼び起こすことはないということになるわけだ。


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 時々申し上げることだが、私は野口悠紀雄先生のファンなので、その著作は、経済論も、そして「超」シリーズも、だいたい読んでいる。このほど、後者の「超」シリーズの最新版となる『「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す』が刊行されたので、早速読んでみた。「はじめに」の一部を引用させていただくと、以下のとおり。

 AIはさまざまな面で人間の創造活動を補助してくれます。ですから、それを活用すべきです。人間とAIの共働体制を作ることに成功した組織や人が、未来の世界を切り開いていくでしょう。ただし、新しい技術を使うためには仕事の仕組みをうまく構築する必要があります。そのためには、これまで習慣的に行ってきたパソコンやスマートフォンの使い方を大きく変える必要があります。本書は、それについての具体的な提案です。本書が想定する読者は、クリエイティブな仕事をしたいと思っている人たち、新しい可能性を開きたいと思っている人たち、そして、仕事や生活の効率を向上させたいと思っているすべての人たちです。本書で提案する方法を活用して、新しい世界を切り開いていただきたいと思います。

 デジタル時代の仕事の流儀には、人それぞれこだわりがあると思う。私の場合は、本書ですぐに役に立ったのは、グーグルドキュメントの活用だった。今まで、メモ帳的な感覚でマイクロソフトのOneNoteを使っていたのだが、あまりにも使い勝手が悪く、何か良いものがないかと思っていたところだったので、グーグルドキュメントの存在を知り使い始めたところ、早速重宝している。その一方、ウェブサイトのブックマークや、作成中の文書の扱いについては、野口先生が本書で示している方式が自分に合っているとは思えず、すぐに採用ということにはならなかった。このあたりは、あくまでも自分に合うものだけを取り入れればいいと思う。

 AI時代の効用として、野口先生は、外国語の学習がしやすくなったことを挙げており、何と現在ロシア語を学習中なのだという。もうすぐ傘寿になられるのに、まったく恐るべきバイタリティだ。私など、うかうかしていたら、そのうちロシア語力で野口先生に抜かれそうである。


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 カザフスタンとウズベキスタンは、中央アジアの盟主の座を争うような間柄であり、大々的に対立しているわけではないが、波長の合わない時代が長く続いてきた。しかし、ウズベキスタンでカリモフ大統領が死去してから3年が経過しようとしており、同国は経済面で改革開放に着手するなど、だいぶ風向きが変わってきたのであろう。カザフスタンとの関係拡大にも、より前向きになっているのかもしれない。

 こちらのニュースが、そんな両国関係の拡大、とりわけ交通・観光分野での協力について伝えている。駐カザフ・ウズベク大使がインタビューに応じたということであり、その内容を伝える記事である。

 大使いわく、特に観光面での協力について述べておきたい。両国への観光客の流入を数倍に拡大するような観光クラスターの形成を提起したい。シルクロードの歴史を学ぶためにウズベクを訪れたような人々が、カザフも訪れるようにすれば、シルクロードについてのより完全な理解が得られるだろう。その逆も然りである。ロシアには「黄金の環」というものがあるが、ウズベクとカザフは共同で「黄金の正方形」とでもいうべき観光ルートの整備を検討している。現在ヌルスルタン~タシケント間にはそれぞれ週6本の直行便が運行されており、アルマトィ~タシケント間では10本に上る。鉄道でもタシケント~アルマトィ~ヌルスルタン列車が開設され、バスもある。両国は経済面で相互補完的で、共同で中央アジア全域の協力な経済空間を形成できる。大使は以上のように語った。

 なお、大使が言った「黄金の正方形」というのは、1930年代から1940年代にかけてイラクで活動したイラク王国陸軍の4人の将校からなる集団「黄金の方陣」から名をとったものと思われる。


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 個人的に、ウクライナ情勢のフォローが後手に回っている。日本であれば、投票が締め切られた瞬間にテレビの選挙特番で大勢が伝えられ、だいたいその日のうちに開票作業はすべて完了するのではないか。そして、翌朝の新聞には、もう国会の新たな勢力図がグラフで分かりやすく伝えられるはずである。しかし、ウクライナの主な情報サイトを見ても、比例区の政党別得票率の開票途中経過が伝えられるだけで、比例による具体的な獲得議席数と、小選挙区の結果を合わせて分かりやすく伝えてくれる情報がなかなか見当たらなかった。まあ、こまめに探せばどこかにあるのだろうが、個人的にそういうことをしている余裕がなかったわけである。

 それで、日本時間の7月24日時点ではまだ開票が完全には終わっておらず、途中経過ということになるが、こちらのサイトに非常に分かりやすい形で政党別の獲得議席数を図にまとめたものが出ていたので、それを紹介させていただく。それにしても、比例区で公僕党が圧勝することは織り込み済みだったが、何と小選挙区では比例以上の勢いを見せ、129議席もとったというのには驚いた。まあ、選挙の常識から言えば、小選挙区の方が劇的変化が起きやすいので、今回小選挙区で公僕党大旋風が吹き荒れたことは説明はつくのだが、何しろウクライナの選挙区には海千山千のセンセイ方がたくさんいるわけで、公僕党が小選挙区でそれらの古株を抑えてまさかここまで勝つとは思わなかった。結果、公僕党はつごう252議席で、堂々の単独過半数である。

 引き続き、できる範囲でフォローに努めたい。


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 ロシア連邦国家統計局が2019年上半期(1~6月期)のGDP速報値を発表するのはもう少し先になるが、それに先駆けて、経済発展省による推計値が発表された。こちらのサイトこちらのニュースで伝えられている。

 経済発展省によれば、2019年上半期のロシアのGDPは、前年同期比0.7%増であった。0.7%という低調な成長率は、総需要の低さによるものであり、ゆえにインフレ率も7月半ば時点で年率4.5%へと低下している。現時点では、成長に貢献しているのは鉱工業であり、それ以外の商業、建設、運輸といった基幹部門の成長率はほぼゼロであると、同省では解説している。


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 日本の参院選と同日という形になったが、昨日7月21日、ウクライナ最高会議(議会)選挙の投票が実施された。小選挙区・比例代表並立制であり、小選挙区を含めた選挙結果が判明するのにはもう少し時間がかかると思うが、「ナショナルエグジットポール」という出口調査の比例区に関する調査結果がこちらに出ているので、上掲のとおり紹介する。

 先日、「ウクライナ大統領選特報:延長戦」で、レイティングという調査機関による政党支持率をお伝えしたが、ナショナルエグジットポールの数字は、概ねレイティングの事前調査に見合っている。ただ、ゼレンスキー与党の公僕党が思ったほどは伸びなかったというのと、ティモシェンコの祖国が事前調査よりも若干数字を上積みした点が注目される。いずれにしても、比例区で議席を獲得できる5%以上得票の政党は、公僕党、野党プラットフォーム、欧州団結党、祖国党、ヴァカルチュークの「声」の5政党で決まりであることは間違いない。

 選挙結果については、順次続報をお届けしたい。


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 音楽に関連した紋章を、シリーズでお届けしている。ロシア圏とは関係がなくて恐縮だが、恐らく世界で最も代表的な音楽絡みの紋章は、このアイルランドの国章なのではないだろうか。アイルランドで古来から用いられているデザインであり、銀色の弦を張られた金の竪琴を描いている。


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 日曜日なので、まったりしたネタでご容赦いただく。こちらのサイトに、世界各国で、自分を「無神論者」だと考えている人の比率という図解資料が出ていたので、これを紹介させていただく。ロシア語のままで恐縮だが、地図と数字を見れば、一目瞭然であろう。

 大まかな傾向を言えば、まず東アジアは無神論者の比率が全般に高く、特に中国では67%と、世界で最も高いという結果になっている。

 キリスト教圏では、カトリック系の国は無神論者の比率が低く、プロテスタント系の国ではやや高いという傾向になっている。

 イスラム圏の国は、イラクの0%という数字が挙げられているだけで、もうちょっとサンプルが欲しいところだ。

 そして、私の研究地域である正教圏のロシアでは7%、ウクライナでは6%という結果が出た。カトリック圏並みの低さである。

 ただし、私自身の現地感覚から申し上げれば、ロシア・ウクライナ・ベラルーシあたりはかなり世俗的な社会であり、毎週教会に通っているような向きはごく少ない。「一応、正教徒です」というくらいの緩い帰属意識の人が多いように思う。ロシア圏で、「私はアテイスト(無神論者)です」と明言することはかなり勇気が要り、たとえて言うなら、性的少数者であることをカミングアウトするのと同じくらいの大胆な行為という気がする。なので、大して信心深くもないが、「アテイスト」と名乗ると変人だと思われるので、それはやめておこうというくらいのニュアンスではないか。


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 こちらのサイトに見るように、このほど駐日ウクライナ大使館より重大な意思表明があった。ウクライナの地名を、ウクライナ語の発音に即して表記するべきだとのメッセージである。具体例を示したのが上掲のものである。

 ここで主張しているのは、「ロシア語読みではなく、ウクライナ語読みで」ということなので、私個人は以前からその方針をとっているし、当方としてまったく異存はない。私が編集した『ウクライナを知るための65章』でも、そうなっている。しかし、上で充てられているカタカナ読みを見ると、ムィコライヴのように、ロシア語との違いを過度に強調した翻字になっている気がするし、そもそも日本外務省が最近「ヴ」を使わないという方針を打ち出した中で、果たしてこれだけ「ヴ」を多用する方式が日本に定着するのかという疑問がある。

 最大の問題は、国名自体を、ウクライーナと、長音にすべきだとしている点だろう。もちろん、発音がそれに近いことは、そのとおりであろう。でも、それを言うなら、ロシアだって、現地語発音はラシーヤである。ロシア人が、「我が国の言語と独自性を尊重するため、ロシアではなくラシーヤと呼んでください」などと主張するだろうか? 日本には日本の読みやすさ、これまでの経緯というものがあるのであり、読み方が完全に間違っているというならともかく、伸ばす伸ばさないなどは日本人の感覚や慣習が優先されるべきだと、個人的には思う。

 前にも言った通り、ウクライナ国家が日本政府にこうした読み方の受入を正式に要請して来て、それが公式に決まったら、個人的にもその方式に移行することはまったくやぶさかでない(ただし「ヴ」のあるクィイヴは日本政府は使わないだろうが)。それは、単なる「決め」の問題である。


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 ロシア連邦国家統計局のこちらのページに、2019年上半期(1~6月期)のロシアの鉱工業生産実績が出ている。これによれば、上半期の鉱工業生産は前年同期比2.6%増、うち鉱業が4.0%増、製造業が1.9%増、電気・ガスが±0%、水道・廃棄物処理が1.5%増となっている。2019年上半期の主な品目の生産実績は以下のとおり。

  • 石炭:2億1,300万t(前年同期比0.6%減)
  • 原油(ガスコンデンセート含む):2億7,800万t(2.5%増)
  • 天然ガス:3,320億立米(2.9%増)
  • 石油精製:1億4,000万t(2.5%減)
  • ガソリン:1,940万t(2.6%増)
  • 化学肥料(100%成分換算):1,200万t(2.0%増)
  • 鉄鋼の完成鋼材:3,080万t(0.2%増)
  • 乗用車:78.4万台(1.7%増)
  • 貨物自動車6万8,400台(4.5%減)
  • 発電:5,630億kWh(1.3%増)

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 中国の一帯一路政策の枠内で、中国と欧州を輸送路で結ぶという構想では、現在までのところ、鉄道によるコンテナ輸送「欧州班列」が実績を挙げている。それに対し、自動車道路で東西を結ぶ「子午線」の建設プロジェクトも推進されている。このほど、こちらのサイトに、その子午線のロシア部分のルート図が出ていたので、上掲のとおり紹介する。

 図に見るとおり、道路「子午線」のロシア部分は、対カザフスタン国境から、対ベラルーシ国境まで伸び、ロシアの6つの州を経由するということである(注:上の地図では計8州のようにも見えるのだが、どうなのだろうか?)。子午線全体では、中国の上海からドイツのハンブルグまでで、全長8,445kmとなる。

 なお、ロシアが2018年に制定した「2024年までの基幹インフラ近代化・拡張総合計画」により、本件はすでに公式的に承認されている。同計画の一環である連邦プロジェクト「欧州~中国西部」では、モスクワ~カザン高速鉄道の一部区画建設、ヴォルガ川に橋を架けトリヤッチ市を迂回する工事、有料道路「子午線」のロシア区画建設という3つの事業を盛り込んでいる。


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 『週刊ロシア経済』(No.32、2019年7月15日)を配信しました。今回から、特定のトピックスを選び、それに関する情報を集中的にお伝えする方式に転換しました。初回は、「経済的観点から見たロシアとジョージアの反目」です。


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 先週は作曲家プロコフィエフの生誕地であるウクライナのソンツィフカというところの紋章を取り上げたが、その延長上で、なし崩し的に、音楽に関係した紋章のシリーズに突入した。今週は、ウクライナ・ヴィンニツャ州のブライリフ(ロシア語ではブライロフ)町の紋章。以前、「チャイコフスキーの生涯をたどる旅」というエッセイで触れたとおり、作曲家チャイコフスキーが足跡を残したところで、ゆえに紋章にも楽譜が描かれている。


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 こちらの記事によると、ロシア・ルーブルが世界で最も過小評価された通貨であることが判明したということである。これは、例の英エコノミストが発表しているビッグマック指数の話である。

 記事によると、米国ではビッグマックが5.74ドルであるのに対し、ロシアでは130ルーブルであり、これは約2ドル程度である。ゆえに、ルーブルは実際の購買力より64.5%過小評価されており、マクドナルド購買力による適正レートは、1ドル=22.65ルーブルになる、ということである。


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 先日、ウクライナが米国産の石油を購入するという動きがあった。この出来事をどう読むべきか、こちらの記事が論じているので、要旨をまとめておく。ロシアのリア・ノーヴォスチの記事なので、ウクライナの動きを辛辣に論評する内容になっているが、悪しからず。

 クレメンチューク製油所に、米国からのバッケン種の石油が入荷しようとしている。7月4日にタンカー「ウィズダム・ヴェンチャー」がオデッサ港に入港し、そこからパイプラインを通じてクレメンチュークに運ばれている。購入したのは、製油所を保有するI.コロモイスキーのウクルタトナフタ社である。

 マスコミでは今回の取引を、6月1日に発効したロシアの石油禁輸への対抗策だと論じている。しかし、対抗策としては、弱い。2018年のウクライナの石油輸入が800万t超えだったのに対し、今回の輸入はわずか7.5万tだ。確かに、8月にもう一度、同量を輸入する予定だが、たとえウクルタトナフタが毎月7.5万tを輸入したとしても、ウクライナの輸入全体の数%にすぎない。

 クレメンチューク製油所一つにとってみても、これは多い量ではない。クレメンチュークに主に石油を供給しているのは、半官半民のウクルナフタ社であり、2018年の国内採掘量は145万tであり、そのほぼ全量をクレメンチュークに供給した。また、クレメンチュークはアゼルバイジャン石油も購入している。クレメンチュークは2018年にはトータルで220万tの石油を調達した。

 2017年にクレメンチュークの石油精製量は12%増加して250万tに達し、それをさらに拡大していく計画を立てていた。しかし、ガソリンの販売不振で、実際には生産が低下する。2018年夏には貯蔵施設が石油製品で一杯になり、そのため生産量を技術的に許容されるぎりぎりの日産5,000tまで引き下げた。製油所を抱えるウクルタトナフタの経営陣は、販売不振はベラルーシからの輸入のせいだとし、2018年11月、国家安全保障国防会議に、ベラルーシ産ガソリンに対するアンチダンピング調査を開始するよう要請した。同社は、ベラルーシとロシアは石油製品輸出に補助金を適用していると主張したが、ウクライナ政府はこの要請を無視した。2019年3月、製油所は政府に石油製品に対する輸入割当を導入するよう要求したが、これも受け入れられなかった。コロモイスキーは作戦を変え、ガソリン物品税を25%引き下げることを主張したが、政府は応じなかった。

 そうした中、ガソリン価格は、ウクライナのドライバーたちにとって受け入れられないほど、割高なものとなっていた。所得に対するガソリン価格という指標で、ウクライナはあるランキングの61ヵ国の中で、59位という劣悪な結果になった。こうしたことから、ウクライナのドライバーたちはガソリン車をLPG車に改造し、ガソリンの半額程度のLPGにシフトするようになっており、現在ウクライナにはLPG改造車が300万台も走っていると言われる。

 こうした状況下では、米国石油の調達は、経済的にはまったくの焼け石に水である。大洋の向こうの国から石油を買ってガソリンを生産しても、とてもウクライナの消費者には買う余裕がない。しかも、ロシアは7月1日からLPG輸出を全面的に再開しており、またカザフスタンの製品についてもロシア領を経由してウクライナに輸出することを認めているわけで、したがって今後もウクライナではガソリン需要低下が続くだろう。

 というわけで、ウクライナが米国産石油を買った理由は、一つしかない。それは、ワシントンに恭順の姿勢を示すことである。それにより、第1にノルドストリーム2の問題で、第2にドンバス和平の問題で、米国の全面バックアップを取り付けようとしているのだろう。しかし、ウクライナの購入量は微々たるものだし、そもそも米国はウクライナによるロシア産ガスのトランジットが止まり、欧州により高値でLNGを輸出したいと思っているので、ウクライナの思惑は外れることになるだろう。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2019年8月号の中身を、どこよりも早くご紹介。今号では、「日ロ経済関係は仕切り直しへ」と題する特集をお届けしております。大阪でのG20関連と、ペテルブルグ国際経済フォーラムでの日ロ会合の模様を報告することを軸とした内容。過去数年の日本の対ロシア・アプローチは、経済協力の拡充により、領土問題解決および平和条約の締結に向けた環境を醸成するというものだったと思います。しかし、ここに来て、積年の懸案の解決のためには、より一層粘り強い取り組みが求められることが、浮き彫りとなってまいりました。「仕切り直しへ」というタイトルには、そのようなニュアンスを込めたつもりです。私自身は、今回は完全な脇役で、「ウクライナとベラルーシの鉄道トランジット輸送」、「2019プーチン・ホットライン」という記事を書いただけです。7月20日発行予定。


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 ロシアなど5ヵ国から成るユーラシア経済連合と、イランは、2018年5月17日に暫定自由貿易協定というものに調印している。これは、両者間において、すべてではなく、限定的な品目表についてFTAを形成し、しかる後に、全面的なFTAの締結を見込むというものである。こちらの記事によれば、ロシアは2018年11月に協定の批准を行い(ロシア以外のユーラシア諸国の批准状況は不明)、イランは2019年6月10日(?)に批准を行った。そして、イランのロウハニ大統領は、暫定協定を実施するための法案を関係省庁に送付した。

 暫定FTAはあくまでも経済の協定であり、ロシアとイランの地政学な接近と見るのは大袈裟だと思うが、米国主導でイラン包囲網を形成しようとしているまさにその時に、このような進展があると、どうしてもそのような目で見られがちである。


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 本日は編集を担当している調査月報の締め切り日にて、簡単な記事でご容赦いただく。ロシア連邦関税局が2019年1~5月のロシアの貿易統計を発表したので、前回の1~4月に引き続き、特に貿易相手国のデータを取り上げてみたい。まあ、1~4月から1カ月分の数字が加わっただけなので、そんなに大きな変化はないが。

 ロシアの貿易パフォーマンスは、相変わらずパッとしない。2019年1~5月の輸出は1,727億ドルで前年同期比2.1%減、輸入は932億ドルで前年同期比2.2%減であった。

 貿易相手国のベスト10は上掲のとおりで、この1ヵ月では米国が順位・シェアとも上昇している。日本は第9位、3.21%で、あまり状況は変わらず。


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 ロシアの世論調査機関「レヴァダ・センター」が、国民の余暇の過ごし方についての調査を行い、その結果がこちらに出ているので、話の種に取り上げてみよう。

 余暇の中でも、ここでは読書にフォーカスしてみたい。ロシア人は、ソ連時代からしばしば「世界で最も読書をする国民」と言われており(あるいはそのように自称しており)、実際のところはどうなのだろうかという関心からだ。貴方はどのくらいの頻度で文学作品を読みますか?と回答者に尋ねたところ、1994年と2019年の比較で、結果は上表のようになった。娯楽の多様化、ネットやスマホの普及で、読書習慣が低下していることは、間違いない。ただ、日本などに比べれば、ロシアの方がまだ文学作品に触れる機会は依然として多いのかもしれない。


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 コウノトリの紋章シリーズを続けてきたけれど、ちょっと気分を変える。上に掲げたのは、ウクライナ・ドネツク州にあるソンツィフカという村の紋章。なお、2016年までは「赤」を意味するクラスネという名前だったが(上掲の紋章はクラスネのままになっている)、ポロシェンコ政権の反共産主義・ソビエト主義的地名廃止キャンペーンの一環として、ソンツィフカに変わったようだ。唐突にこの村を取り上げたのは、ここが大作曲家のS.プロコフィエフの出身地と知ったからだ。紋章の上段は石炭が採れることを、下段は偉大な作曲家の生誕地であることを表しているのであろう。もしかしたら、このまま石炭か音楽の紋章シリーズに突入するかもしれない。


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 またロシアのネット通販についての話題である。一昨日述べたように、ロシアでも諸外国と同じようにネット通販が拡大してきたが、ロシアの場合は、消費者が国外のネット通販業者(とりわけ中国系のアリババ・グループのサービス)に直接注文を出してしまい、国内業者を圧迫していることが問題となっていた。その現象については、1年ほど前にGLOBE+の「ロシアにとって踏んだり蹴ったりな中国アリババのネット通販」というコラムで論じたことがある。ところが、その国外ネット通販の状況が、だいぶ変わってきているということである。

 転機の一つとなったのが、税制の変更である。こちらの記事でまとめられているとおり、従来はロシアの消費者は1ヵ月当たり1,000ユーロを上限に、国外通販サイトから、関税無しで商品を購入することができた。それが、2019年1月1日からは、無税枠が1ヵ月当たり500ユーロに引き下げられた。さらに、2020年1月1日からは、無税枠が200ユーロに引き下げられることが決まっている。記事によれば、無税枠引き下げの結果、2019年1~3月にロシアの消費者が国外ネット通販に際して支払った関税は2億ルーブルに上り、前年同期から3倍に拡大したという。

 さらに、こちらの記事は、ロシア郵便による国外ネット通販商品の配達数が、2018年1~3月の9,580万件から、2019年1~3月には9,220万件に低下したということを伝えている。


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