ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

 地味な話題だが、こちらのニュースによれば、ロシアのタタルスタン共和国に設けられているエラブガ工業生産経済特区でこのほど、新工場がオープンしたということである。私の研究分野の一つなので、記事の骨子を以下のとおり整理しておく。

 このほどエラブガ工業生産経済特区で、フランス系の世界的な産業ガス会社「Air Liquide」の酸素および窒素生産工場が稼働した。プロジェクトへの投資総額は3,500万ユーロ。工場は日産200tの液体酸素および窒素を生産し、特区内および周辺地域の企業の需要に応える。同工場は世界に類例がないものであり、最先端の空気分離設備を備えている。公開型株式会社「経済特区」のO.コスチン社長は、工場の稼働により、産業ガスを利用する新たな投資家が特区に入居することにもつながり、エラブガ特区内における部門内および部門間の協業にとって新たな拠点となるだろうとの見解を示した。

 Air Liquide社では今後、エラブガ特区内の需要家に直接産業ガスを供給するパイプライン網の設置を予定している。工場の第1ラインは2010年に建設が完了しており、エラブガ特区の入居企業であるロシア・ドイツ合弁「プライス・ダイムラー・タトネフチ・アラブガ・スチェクロヴォロクノ」が最初の需要家となり、両者は専用に設置されたパイプラインで結ばれた。

 2006年から稼働しているエラブガ経済特区では、これまでFord-Sollers、Saint-Gobain、Air Liquide、Rockwool、Sisecam、Hayat Groupといった企業の誘致に成功している。エラブガ特区における全プロジェクトの投資総額は、25億ドル強となっている。特区のインフラ整備のために、連邦および地域予算から155億ルーブルが拠出されている。

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 休暇中に、ロシアの新内閣発表とか、大きなニュースがあったら嫌だなあと思っていたのだが、どうやら大丈夫だったようだ。本日おっかなびっくりニュースサイトを開いてみたところ、この間、特に大ニュースというのはなかった模様。

 ロシアの組閣に関しては、本日付の『コメルサント』紙のこちらの記事が、それをめぐる動きを伝えているので、その要旨を以下のとおりまとめておく。

 首相承認から1週間後の15日、メドヴェージェフは憲法の規定どおり、新内閣の省庁体系と閣僚人事に関する提案をプーチン大統領に提出した。しかし、プーチンはその大統領令案にただちに署名することはなく、5月18~19日にメドヴェージェフ首相が米国でG8首脳会談に出席し帰国するのを待って(21日帰国予定)、その後に閣僚候補者たちと個別面談の場を設ける意向。

 これは、2004年、2008年と比べて異例の遅さである。2004年には5月12日にフラトコフが首相に承認され、19日に省庁・閣僚の案を提出し、20日には大統領令によって承認された。2008年には5月8日にプーチンが首相に承認され、12日には省庁・閣僚の案を提出し、その当日に大統領令によって承認された。2008年には3月の時点でプーチンとメドヴェージェフは省庁体系と人事を検討し始めたことを明らかにしていた。

 今回も、3月に同様のことが発表されたし、さらに遡れば2011年9月24日にプーチンがメドヴェージェフを首相に起用する意向を表明していた。この時点では政府が大幅に刷新されるとされ、D.コザク副首相を座長として新政府の構成に関する提案を作成する作業グループを設置、3月初頭にプーチンおよびメドヴェージェフに素案が示された。4月の時点では、5月8日にメドヴェージェフが首相に承認された後、当日とは言わずとも、少なくとも数日以内には省庁と閣僚に関する提案が大統領に提出されると予想されていた。5月18~19日の米国でのサミットには、すでに組閣を終えたプーチン本人が出向くと予想されていた。ところが、早期の組閣が実現しなかっただけでなく、プーチン大統領は「組閣作業に集中するため」として、米国にメドヴェージェフを名代として送ることを5月12日に決めた。

 組閣が難航している一因は、大統領と首相が入れ替わる形となったため、必然的に大統領府と内閣で動く政権幹部の数も通常よりも多くなるという点がある。また、特にメドヴェージェフの側は、政府の陣容を大幅に刷新するということにこだわっており、新たな人材をリクルートしてその80%を刷新したいとしているし、その候補者たちはメドヴェージェフ支持の委員会や公開政府形成のための作業グループに結集している。

 なぜ組閣作業が長引いているかについて、専門家の意見は分かれている。政治情勢センターのA.チェスナコフは、産業部門別省庁の人事をめぐってもめているのかもしれないという見方を示している。政治工学センターのA.マカルキンは、2008年はプーチンがすべて自分の思うとおりに決定したのに対し、今回は2人の人間が決定しようとしているので時間がかかっていると解説。現代発展研究所のYe.ゴントマヘルは、2人の合意は最終的な形ではできていなかったと思われる、2008年にはメドヴェージェフは新米でプーチンに恩義を感じていたのに対し現在はメドヴェージェフは自分も政治力を発揮したいと思っているので調整が難航している、しかし政府要職の人事につき最終的な発言権があるのはプーチンだ、と指摘した。

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20120516dokokara

 3泊4日の沖縄旅行を終え、昨日夜に帰京した。ちょっと後ろにずらしたゴールデンウィークという位置付けで、観光に出かけるつもりだったのだが。ところが、偶然にも沖縄の本土復帰40周年と日程的に重なってしまい、個人的な性分もあって、単なる観光では済まされなくなり、色々と考えさせられ、やたらと刺激を受けて帰ってきた。そのうち、HPでエッセイでも書いてみたいと思う。

 現地でもいくつか書籍を買ってきたのだけれど、一番ツボだったのは、安里進・土肥直美著『沖縄人はどこから来たか(改訂版)』という本。私はもともと日本人のルーツ論にすごく興味があるのだけれど、この本はそれを沖縄という側面から見たもので、帰りの道中で一気に読んでしまった。

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06384b70.jpg今日は沖縄最終日。首里城で観光。

87a56175.jpg那覇バスターミナル。目当てのバスが全然来ない。何か沖縄のバスの時間、いい加減な感じがする。

dbc41f89.jpg高台から、普天間基地方面を眺める。

008e7ebe.jpg普天間基地のある宜野湾市に来ている。これはキャンプフォスター米国海兵隊施設。

20120512sukhoi

 5月9日、インドネシアのジャカルタ付近で、インドネシアの航空関係者らが搭乗しデモフライト中だったRA-97004機が消息を絶ち、墜落したことが確認された。機材はロシア製の「スホイ・スーパージェット100」である。同機は、ロシア航空機産業復活を託された起死回生の戦略的商品であり、そのデモフライト中に墜落事故を起こしたことは、ロシアにとって痛恨の極みである。

 『RBCデイリー』紙のこちらの記事から情報を補足すると、今回の飛行機には乗客・乗員44名が搭乗していた模様。墜落の原因は不明だが、視界不良で山に激突したという説が有力。事故に関し、スーパージェットの生産に当たっている「合同航空コーポレーション」の関係者は、同機は技術的な調整がしかるべくなされ、飛行前の準備作業を済ませており、今回のフライト直前にも1度のデモフライトをしていて、その時は何の問題もなかった、と説明した。

 スホイ・スーパージェット100はロシアの最新鋭の中距離旅客機。初飛行は2008年で、商業的な運航が始まったのは約1年前。最初に同モデルを購入したのはロシア・アエロフロートとアルメニアのアルムアヴィアで、計8機が納入されている。最近ロシア大統領官房は、国家幹部専用機としてスーパージェット複数を調達する考えを示した。同機は輸出が有望視されており、2012年初めにはEASAを取得して欧州市場への輸出も可能になった。5月に世界各国で順次デモフライトが行われることになり、カザフスタン、パキスタン、ミャンマーに次いで、今回インドネシアでデモが行われた。さらにベトナム、ラオスでも計画されていた。スーパージェットにとってインドネシアは最も有望な市場で、昨年の見本市の際にSky Aviationが12機納入の契約に調印し、その1年前にはKartika Airlinesが30機購入を決めていた。

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c77918e9.jpgそんなわけで、沖縄に初上陸。とりあえず空港で腹ごしらえをしてから、コンサート会場のある沖縄市(那覇市じゃない)にバスで向かう。

 既報のとおり、収監されているYu.ティモシェンコ前首相に対する非人道的な取り扱いが国際的な批判を呼び、EUおよび欧州各国の首脳がウクライナでのユーロ(サッカー選手権)をボイコットするという動きになっている。そうしたなか、こちらのニュースによれば、与党「地域党」所属のV.ズバノフ議員(地域党会派の副会長)が、ウクライナがロシア主導の経済統合枠組みへの参加を検討することも辞さないとの立場を示したとのことである。おそらくは、そのように発言することで、EU側に脅しをかけているのだとは思われるが、発言を一応整理しておく。

 これによれば、ズバノフは概略以下のように述べた。すなわち、最近の欧州政治家たちの発言により、ウクライナは、ロシアからの協力提案をより興味を持って見ることを強いられており、場合によっては統合プロジェクトを改めて検討することになるかもしれない。最近の中東欧サミット、ユーロ2012、連合協定の調印問題などの動きを客観的に分析するに、ロシア指導部によるCIS枠内での、またユーラシア地域でのきわめて興味深い統合イニシアティブに着目しないわけにはいかない。欧州統合はこれからもウクライナの対外的な優先政策であり続けるが、我々としては、ロシアからの提案は、とりわけ最近の出来事に照らして考えると、最大限の関心をもって検討することになるだろう。一部の欧州の同僚たち、ウクライナの野党活動家、いわゆる「独立専門家」の自信たっぷりの発言は、不信感を招き、ウクライナにとってもヨーロッパにとっても有害である。これらの発言や、ユーロ2012ボイコットの呼びかけは、そうした発言の主が自立した精神を有しておらず、ウクライナの現状の客観的事実について聞く耳を持たないことを物語っている。その点、UEFAの首脳はバランスのとれた立場をとっており、ウクライナの情勢を協会内で毎日フォローしているがユーロ2012の予定を変更する必要は一切ないと明言しており、評価できる。ヤルタにおける中東欧サミットに関しては、16人の首脳のうち、ウクライナの国内情勢を理由に参加をやめたのは、自らの党利党略からそう決めたアルバニア、クロアチア、チェコの3人だけで、残りの首脳は様々な客観的な事情により取り止めたにすぎなかったことを考慮すべき。サミットを延期したのはまったく正しい決定であり、それにより歳出が削減され、それを大統領が唱えている社会プログラムに回すことが可能になる。現時点で、欧州の諸機構、またEU構成国のなかで、ウクライナを歓迎していない向きがいるのは明らかであり、我々は国ごとの態度を熟知している。ズバノフは以上のように述べた。

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20120511by

 最近、ロシアのことが忙しくて、本ブログ/HPにベラルーシの記事をまったく書いていなかった。そこで、簡単な記事を1本。先日、あるところにベラルーシ情勢に関する文章を寄稿し、それ用にベラルーシの平均賃金と物価に関するグラフを作ったのに、スペースの都合で校正段階でカットせざるをえなかった。まあ大したグラフではないのだが、せっかく作ったのにボツというのもなんなので、ここに載せておく。

  ベラルーシでは2010年12月に大統領選挙が行われたわけだが、それをにらみルカシェンコ政権は国民向けに「大盤振る舞い」を実施した。民営化の遅れたベラルーシでは、国民の賃金も国の政策で決まる度合いが強いわけだが、図に見るように、2010年に入ってから平均賃金が急激に上昇し、1年間で約1.6倍の賃上げが達成された。国民は、つかの間の消費ブームに酔った。

  しかし、借金を重ね実力以上に背伸びした消費主導の高成長の反動で、2011年にベラルーシは経済危機に陥る。2011年3月に外貨不足から為替危機が始まり、5月と10月に大幅な通貨切り下げを余儀なくされた。一時は商店が空っぽになるなど、市民生活も大打撃を受けた。図に見るように、物価も1年間で2.1倍に上昇し、前年の賃上げがほぼフイになってしまった、というわけである。

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 実は明日12日から15日まで、沖縄旅行です。

 私は最近、好きなアーティストのコンサートに合わせて地方に旅行に行くのを趣味としているのだけれど、今回は山下達郎のコンサートツアーの最終公演が沖縄であり、恥ずかしながら沖縄は一度も行ったことがないので、この機会に行ってみようと決めた次第。ゴールデンウィークは、出勤こそしなかったけど、結局ほとんど家で仕事をしていたので、その代わりにちょっと休暇、という意味合いもある。

 で、明日12日にコンサートがあり、せっかくだから4日ほど滞在して観光をしてこようかと思い、15日(火)までの日程にしたのだけれど。そこで、思わぬ事実が判明した。5月15日は、沖縄が本土に復帰して40周年の記念日に当たるのである。当日は野田総理なども駆け付けて記念式典が行われるようだ。何やら、40周年に合わせて行く野次馬のようで恥ずかしいが、まったく予期せぬ偶然だったので、仕方がない。

 いずれにせよ、「のんびり観光モードで」と考えていたのが、ちょうど40周年という事実を知り、もっと基地問題をはじめ沖縄の現実に真摯に向き合う機会にしなければいけないという気になってきた。あわてて、関連書籍を買い求め、読み始めたところ。

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20120510tagil

 地味ながら、個人的に見逃せないと思う出来事が報じられているので、それについて触れておく。こちらのニュースによれば、本日10日、ロシアのプーチン大統領はスヴェルドロフスク州ニジニタギルを訪問し、これが大統領復帰後初の地方訪問となるということである。プーチンは「ウラル鉄道車両工場」を訪れる予定で、そこで国防産業に関する会議に参加するという。この工場は、鉄道車両と銘打ってはいるものの、むしろ戦車などの軍需生産で名高い。

 実は個人的に、2012年ロシア大統領選の本質を読み解く象徴的な街が、ニジニタギルではないかと考えていた。今回、新大統領の初の地方訪問がニジニタギルになるという報道に接して、「やはりそういう流れだったか」という思いを強くした。上掲の記事の中でも触れられているが、反政府デモ華やかなりし昨年12月、ウラル鉄道車両工場の労働者がいち早くプーチン支持運動を立ち上げ、彼らはモスクワの反政府デモを蹴散らすといった勇ましい提案まで示していた。つまり、ニジニタギルという街は、プーチンが軍需産業をはじめとする鉱工業にテコ入れをし、その見返りに工業都市/企業城下町が組織的にプーチンを支持するという、そのもたれ合いの関係が最も端的に表れている街と言えるのではないかと思うのだ。

 なお、ニジニタギルに関しては、以前「煮えたぎるニジニタギル(もちろん駄洒落に決まってます)」というエッセイを書いたことがあるので、よかったらご笑覧いただきたい。

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 本日は、恐怖の月報締切日。それに、もう一つ大きな懸案が重なり、無事生還できるか、微妙なところである。まあ、月報に関しては、今回は連休中も家でずっと準備作業をしていたので、比較的スムーズに乗り切れるのではないかと思っている。

 そんなわけで、ブログ/HPには大した記事は書けないのだが、昨日お伝えしたプーチンの一連の大統領令に関する補足情報を、軽くお伝えしておく。一連の大統領令の中に、「対外政策路線の実現について」というものがあった。この中でプーチンは、パートナーとなる世界の主要国・地域ごとに、ロシアがどのような対外政策を進めるべきか、指針を示している。その中から、アジア太平洋地域に関する記述を、以下のとおり抄訳して紹介しておく。簡略ながら、日本への言及もある。

 アジア・太平洋地域においては、ロシアは、自国の東シベリア・極東諸地域の社会・経済発展の加速を促す目的で、地域統合プロセスへの参加を拡大する。

 アジア・太平洋地域において、集団的・非同盟的原則、国際法の標準と平等で不可分の安全保障の原則にもとづいた新たな安全保障・協力体制の形成に向け、イニシアティブをとる。

 東アジア・サミット、ロシア・ASEAN対話パートナーシップの開催に向け、さらに提案を示していく。

 中国との平等で信頼的なパートナーシップと戦略的協力関係、インド・ベトナムとの戦略的パートナーシップを深化させ、日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランドおよびその他のアジア・太平洋地域の重要国との互恵的な協力を発展させる。

 以上のとおり。日本は、一応は言及されているものの、中国はもちろん、インド・ベトナムよりも位置付けが一段低くなっている。また、ロシアを中心とする関税同盟がアジア・太平洋諸国とFTAを締結するという話もしばらく前から出始めているものの、この大統領令ではそうした具体的な措置は挙げられていない。

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20120508putin

 そんなわけで、昨日5月7日、モスクワのクレムリンにおいて、ウラジーミル・プーチン氏が大統領就任式を挙行した。4年間のブランクののち、3期目の政権に入ったことになる。ロシアの大統領の任期は、従来4年間だったものが、今回から6年間となるので、2018年までの長丁場である。

 さて、就任式の模様や、街頭の反政府デモなどに関しては、日本のニュースでも情報が流れているので、割愛させていただく。私は引き続き、経済を中心とした政策路線の問題にフォーカスして、新プーチン体制の動向をフォローしていきたい。

 注目されるのは、大統領に就任した当日の7日、プーチンが早速一連の大統領令に署名し、新政権の各政策分野に関する指針を示していることである。プーチンは選挙キャンペーン期間中に自らの選挙綱領に相当する7本の論文を新聞紙上で発表し、ロシアの政官界ではそれを受けてプーチン公約を政策として実現しようとする動きが早くから見られていたわけたが、晴れて大統領に正式に就任したことで、プーチンが改めて自らのマニフェスト実現に向け政権に号令をかけた形である。

 手始めに、5月7日にどんな大統領令が出されたかを、以下のとおり整理しておく。 重要な大統領令の中身については、追って報告したい。

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 ご存じの方も多いと思うが、Google URL Shortenerというサービスがある。インターネットのアドレス(URL)が長すぎて不便だという思いは誰でもしたことがあるはずだが、このグーグルのショートナーを使うと、あら不思議、URLが短縮されて表示されるという優れもののツールである。たとえば、私のホームページのURLを短縮すると、http://goo.gl/P3bUCになる。

 これってどういうテクノロジーになっているのか、不思議に思ってたんだけど、要するに短縮のリクエストが来るたびにグーグルのサーバーが自動的に新しいURLを発行してるんだろうね、たぶん。その後は、閲覧者がまずグーグルのサーバーにアクセスして、そこから元のURLに飛ぶという。最初は、元のURLと短縮URLの間に法則的な対応関係でもあるのかと思ったけど、そういうんじゃないみたい。

 というのも、今般Google URL Shortenerのインターフェイスが若干変わり、短縮を行うたびに、画像で表示されたデフォルメされた英数字を入力しなければならないようになった。まあ、デフォルメ文字を入力させて、ちゃんと人間が入力していますよと証明する方式はブログのコメント欄なんかでもよくあるけれど、Google URL Shortenerの文字列はガチで解読不能なくらい極端にデフォルメされていて、クリアするのに苦労する。いずれにしても、こういうハードルを設けたということは、やはりリクエストされるたびに短縮URLを発行していて、機械を使ったいたずらで大量にリクエストが来ることを防ぐためなのだろう。

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 少々マニアックな話題だが、日本にとっては無視できない動きなので、書き留めておく。現在ロシアで創設が検討されている極東・東シベリア開発公社(名称、組織形態とも未定)に関し、こちらのニュースが、そのトップ人事についての観測を伝えている。これによれば、現在、国家コーポレーション「ロステフノロギー」の第一副社長を務めているアレクセイ・アリョーシン氏が、開発公社の総裁候補として浮上しているということのようである。本日7日、プーチンが大統領就任式を行い、メドヴェージェフを首相候補として議会に提案する予定になっているが、その際に与党「統一ロシア」は、首相承認問題と併せて、一連の国家コーポレーションの問題も討議する方向であるという。メドヴェージェフが民法のなかに国家コーポレーションという概念を維持する意向なのかという点が、新たに創設されようとしている極東・東シベリア開発公社との問題とも関連して、問われる見通しだ。A.ドヴォルコヴィチ大統領補佐官は今週、メドヴェージェフは国家の経済への影響を低減させるため国家コーポレーションを改革すると表明しているが、抵抗に遭ってその作業が難航していることを認めていた。

 なお、こちらのサイトによれば、アレクセイ・アリョーシン氏は1959年生まれ。1981年ケメロヴォ国立大学法学部卒。1996~1999年、国家単一企業「ゴスザグランソープストヴェンナスチ」第一副社長。1999~2000年、連邦国家単一企業「プロムエクスポルト」第一副社長。2000~2007年、連邦国家単一企業「ロスアバロンエクスポルト」第一副社長。2010年以降、国家コーポレーション「ロステフノロギー」第一副社長。軍需畑を歩んできた人物と言えそうである。

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 こちらのニュースが、本年秋に実施されるウクライナの国会「最高会議」の選挙のスケジュール等について報じているので、骨子を整理しておく。

 これによれば、最高会議選挙の投票は、10月28日(日)に実施される。小選挙区225、比例代表制225の並立制で、計450名の議員を選出する。候補者の立候補は7月30日から8月9日まで。小選挙区は党の擁立でも無所属でもどちらでも構わない。候補者の登録手続きは8月20日に完了する。党および候補者は、登録された次の日から選挙運動を開始できる。10月28日の投票後、中央選挙管理委員会は選挙の公式結果を11月12日までに確定させ、遅くとも11月17日までにそれを議会および政府の機関紙に掲載する。

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 ウクライナ・ポーランド共催のサッカーのヨーロッパ選手権、ユーロ2012がいよいよ間近に迫ってきた。しかし、例のティモシェンコ事件が尾を引いて、どうも西欧の政治家たちがウクライナでのユーロをボイコットするという動きになっているらしい。また、ウクライナでは4月27日に東部の都市ドニプロペトロウシクで爆弾テロ事件があり、同市はユーロの開催都市ではないものの、これもウクライナでのユーロ開催を疑問視する声に繋がっているようである。むろん、現実的には今さら大会が中止になったり、西欧諸国の代表チームが出場を取りやめたりといったことはまず考えられないが、大会に関連してEUや西欧諸国の首脳がウクライナを訪問することは見合わせるという流れになっているようである。こちらのニュースによれば、バローゾ欧州委員会委員長をはじめとるすEU幹部は、誰一人としてユーロに関連した行事に出席するためウクライナを訪問する意向はないとのことである。

 ティモシェンコ事件についての評価は別として、ウクライナにとってのせっかくの晴れ舞台なのに、残念なことになってきた。

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 ロシアの経済政策において焦点の一つとなるモノゴーラド(企業城下町)問題につき、こちらのサイトに興味深いコラムが掲載されているので、その要旨を以下のとおり整理しておく。イルクーツク州に人口1.4万人のバイカリスクという街があり、そこにバイカリスク紙パルプ・コンビナートという工場があって、その工場をめぐる動きがモチーフとなっている。執筆者は政治評論家のV.ヴイジュトヴィチ氏。

 バイカリスク紙パルプ・コンビナートの職員らは、プーチンに公開書簡を送った。コンビナートの旧オーナー、バゾヴィ・エレメント社のO.デリパスカは、2年前にコンビナートの給料遅配問題を解決するため、1.5億ルーブルを会社に貸し付けていたが、デリパスカがその返還を求めていることに関し職員らは、デリパスカは2009年に会社を見捨てバイカリスク市を破局寸前に追い込んだ、もしも融資返済を求められたらバイカリスクは再び破局的状況となる、国はコンビナートを放置することはないとする貴殿(プーチン)の発言は心強いがデリパスカはそれを理解していないようだ、本件は手動方式で解決してほしいと、書簡の中で訴えている。つまり、2009年にレニングラード州ピカリョヴォで、やはりデリパスカの所有する城下町企業3社が停止した際に、プーチンが直々に介入して瞬く間に給与遅配問題を解決した、その奇跡の再現を求めているのである。

 ただ、バイカリスクの労働者は、落胆することになるかもしれない。プーチン大統領の3期目においては、政権は「手動統治」に訴えるのはなるべく少なくし、非常事態の際にとどめようと努めている。新政府の課題は、制度的な統治を、なるべく最大限に効果的にすることである。

 バイカリスクのようなモノゴーラドはロシアに450以上存在し、現代発展研究所によればそのうち少なくとも100都市の状況が企業閉鎖、失業増大、賃金遅配などで予断を許さない。ただ、政府も、州知事も、企業を操業停止から救い、すべての失業者に職を提供できるわけではないし、経営者の社会的責任を問うのも酷である。経済は客観的な法則に従って動くものであり、特定の個人によって左右されるのではない。知事の解任をちらつかせたところで、既存の中核企業に取って代わるような投資家を連れてくることは、できるはずがない。いかに経営者が社会的責任に忠実でも、市場経済に反するような決定を下すことは、1~2度なら可能かもしれないが、常に行うのは無理である。

 ここで問わなければならないのは、ピカリョヴォやバイカリスクのように、不穏な企業城下町が出てくるたびに、政治の責任、経営者の責任といった議論がすぐに始まることである。その一方で、いわゆる庶民の自らの境遇に対する責任ということが問われることは、まずない。ちなみに、ピカリョヴォの際に、レヴァダ・センターが世論調査を行ったところ、ピカリョヴォ問題が大規模な抗議に繋がった原因に関し、28%が経営者の無責任が原因、19%が経済危機という客観情勢が原因、13%がロシア政府に責任があると答えていた。

 バイカリスクの職員たちは、プーチンに直訴する前に、労働者としての利益を擁護するために、自ら何かをしたのだろうか? 独立労組を作るとか、操業縮小・賃金カット・大量解雇といった事態の際に自らの権利を保証するような書面上・法的な約束をオーナーから取り付けるとか、自らの力で何かを試みたのだろうか? 残念ながら、彼らにはそれは望めず、彼らは単なる庇護の対象なのである。彼らのイメージでは、国家と市民の関係は、パートナーというよりも、家父長主義的なものにすぎないのだ。

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20120505moon

 今夜は「スーパームーン」と言って、通常の満月より大きく明るい満月が見える日らしい。普段あんまり月なんかじっくり見ないけど、ちょっと自分のカメラの性能を試してみようと思って、月の写真を撮ってみた。しかし、駄目だなあ。明るすぎて、真っ白になってしまい、月の模様が全然確認できない。露出を一番低くして、撮った後にフォトショップで目一杯補正しても、こんな感じにしかならない。

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 ロシアの政治工学センターのA.マカルキン第一副所長が5月3日付の『エジェドネーヴヌィ・ジュルナール』に寄せた論考が、こちらのサイトに掲載されているので、重要部分だけ以下のとおり抄訳しておく。

 メドヴェージェフは非力ではあったが、自分の力の範囲内で、国の優先的な発展課題を見直そうと努力した。また、それなしでは脱工業化的な発展が不可能であるダイナミックな社会層に対する政権側の態度を、変えようとした。「スコルコヴォ」はすでに笑い話の対象になっているが、こうしたイノベーションセンターを作るという構想自体は有意義なものだった(すでに入居者のいるシベリアのハイテクセンターの一つを指定した方が賢明だったというのは、別の議論である)。国際的な経験を部分的に考慮した反腐敗法もいくつか採択された。及び腰ではあったが、国家が経済に君臨することを拒絶しようという試みもなされた。

 しかし、現在、すべてが反転している。シベリアおよび極東開発のための新たな国家コーポレーションが創設されようとしており、これがその他の国営主体よりも効率的になるとは思えない。I.セーチンをはじめとする有力者たちが、反民営化の強固な同盟を組んでいる。メドヴェージェフは新たな現実への適応を余儀なくされ、自らを保守派と宣言し、プーチンと一心同体であるということを誇示しているが、そうしなければ首相のポストは得られないからである。しかし、タンデム体制が垂直的な権力構造に取って代わられようとしている現在、こうした首相の値打ちは大幅に下がることになる。むろん、今後のロシア政治が反動一色ということにはならないだろうが、それが近代化路線になることはなく、むしろ「一歩前進、一歩後退」といった形で進んでいくと思われ、現代社会において効果的な発展を遂げるためには甚だ不充分である。

 しかも、プーチンは工業社会の人間である。プーチンにとっては、たとえ軍が購入を拒否するような時代遅れの製品を生産していても、労働者は尊い勤労者なのである。逆に、ウェブデザイナーや銀行のアナリストなどのことは、理解できない。プーチンは、伝統的な支持層からの支持を確保するために、ソ連的な時代遅れの手法に、西側のポピュリズムを折衷した方法に訴えた(ソ連共産党の幹部はビアホールに出かけるわけには行かなかったので)。ただ、公務員や労働者を動員した大集会は全国民的支持の効果を確かに発揮したものの、それは一過性のもので、経済次第で変わっていく。政権が支持層の家父長主義的な要求に応えられないと、政権への忠誠は急激に低下していく。カオスへの恐怖にもとづく保守的な動員は、選挙を勝つのには役立っても、国の現代的な発展を可能にしてくれるわけではない。これがロシア社会に立ちふさがる最大の問題であり、政権がそれへの適切な答えを出すのはきわめて困難だろう。

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 本ブログ/HPでも既報のとおり、与党「統一ロシア」は、プーチンが大統領キャンペーン中に発表した一連の選挙綱領論文を政策として実現していくため、「ロードマップ」を策定したと伝えられている。こちらのサイトに、これに関する批判的な論評が掲載されているので、以下のとおり抄訳しておく。

 4月初頭、統一ロシアが、国家発展の「ロードマップ」を提案したことが明らかになった。これは、統一ロシアがプーチンの選挙綱領論文をもとに取りまとめたもので、160項目から成る。同党所属の議員たちは、それらすべてが法制化されると言明している。しかし、それらは漠然とした形で示されていることが多く(「住宅のない軍人の問題を解決する」といった具合)、誰がどのようにそれを実現するのかが不明確である。

 統一ロシアと、全ロシア国民戦線は、大統領選後、政権ポストの配分をめぐって、激しい競争を繰り広げている。そのため、両エリートグループとも、プーチンへの忠誠を競い合い、自分たちこそが有能であると誇示しようとしている。全ロシア国民戦線は統一ロシアの攻勢に押され、連敗を重ねている。

 プーチン公約の法制化のイニシアティブは、まだ構想にすぎず、きっちりとした法案になっているわけではない。したがって、政治改革と同じく、プーチンのイニシアティブの中身は、大きく変わる可能性がある。

 一例を挙げれば、年金改革がある。国民の高齢化を受け、政府としては年金の支払いを縮小する必要があるが、社会の反発を招かないような形でそれをやらなければならない。年金受給開始年齢の段階的引き上げ、仕事を持つ者への年金給付廃止、年金行政の変更など、いくつかの選択肢がある。プーチンが選挙公約で社会保障に重点を置いていたことを考えれば、この問題は最大の焦点の一つである。

 もう一つ、焦点となるのが、民族政策である。残念ながら、ロードマップの起草者たちは、新たな省を設けるという、総論的な措置しか打ち出していない。こうした行政的な措置だけで、国の南部や中央部をはじめとしてロシアの諸民族が直面しているイデオロギー的、人口的等々の問題を解決することはできない。教育、社会的上昇、雇用などの問題も避けて通れない。クレムリンはしばしば、ソ連型の民族政策の復活、すなわち民族の混淆や、諸民族の友好といったプロパガンダに傾きがちである。民族問題は、地域閥や腐敗といった問題とも関連しているだけに、厄介である。

 さらにもう一つの焦点は、経済・税制である。具体的には民営化、贅沢税の導入などであり、これらは経済危機の第二派が懸念されることを考えれば国にとって安全装置となりうるが、政権側が大企業の社会的責任を問おうとするたびに彼らがゴネることを考えれば、実施可能とは思えない。

 これらや、その他の問題に関する具体的な法案の作成には、時間と、有能な専門家の参加を要する。ロシアの経済・社会改革は機が熟しており、熟れすぎてさえいるが、これまでそれを担当してきた人々が今後も担うことになれば、その効果はこれまでと同じである。

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 ロシアでは、新体制発足を目前に控え、連邦および地域レベルで様々な人事の動きがあるが、今般O.チルクノフ・ペルミ地方知事が解任され、V.バサルギン地域発展相がペルミ地方知事に転身することになった。そして、地域発展省が4月28日に、バサルギン大臣が在任していた3年半の間の省の業績を総括するプレスリリースを出したということである。ただ、地域発展省のウェブサイトを眺めてみても、当該の情報は見付からないので、ノーヴォスチ通信のこちらの記事にもとづいて、その骨子をまとめておく。

 これによれば、3年半の間に、8つの連邦管区すべてについて発展戦略が策定され、その枠内で優先的な投資プロジェクト7兆ルーブル分が制定され、新たな雇用が30万創出された。大多数の地域および地方自治体の地域計画文書が採択された。在外同法の帰還事業では、2011年の1年間だけで、過去4年に匹敵する数の帰還が実現した。地域歳出の効率が向上し、予算間関係が改善された。モノゴーラド(企業城下町)の経済多角化が、初めて個別の国家優先政策として制定され、今日ではモノゴーラドは明確な複合的投資計画を有し、50のモノゴーラドがその実施のために財政資金を投入されている。2009年以降、地域発展省の起草した約1,000の文書が採択されており、そのなかには50以上の連邦法、数十の大統領令、約200の政府決定、約250の政府指令が含まれる。

 このほかにも住宅・公営事業、建設業など、様々な成果が挙げられている。これらを見ると、あまりにも守備範囲が広く、地域発展省の分割という観測が浮上しているのも、うなずける気がする。

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 このブログ/HPでもすでに報告したように、ロシア新政権の下で、極東・東シベリア開発のための公社的な組織が新たに設置されようとしている。それに関し、『コメルサント・ジェーニギ』誌のこちらの記事が、きわめて辛辣な論評を寄せているので、その要旨を以下のとおり整理しておく。

 過去2週間ほど、ロシアの経済政策路線が、加速度的に、喜劇的な様相を深めている。政府内で検討されているシベリア・極東開発国営企業を創設する法案に関しては、現体制およびプーチン個人に忠誠を保ち続けているA.クドリン前副首相・蔵相ですら、「経済発展省が他省庁との調整のために送付した法案を自分の目で見るまでは、信じられなかった」と述べている。

 常識で考えれば分かることだ。この法案により、ロシアの領土の60%が連邦法の枠外とされ、行政府の管轄が及ばなくなるのである。新たな国営企業とその各プロジェクトは、前例のない税制優遇、潤沢な財政投入を受ける。それのみならず、地下資源採掘ライセンスが、入札抜きで、「優先的な投資プロジェクト」に交付されることになるのである。土地利用および建設に関する既存の規則および制限は、新国営企業のプロジェクトには、実質的に課せられなくなる。

 新国営企業に対する優遇措置を具体的に列挙することは、現時点では意味はない。法案は正式に公表されておらず、各省庁から出てくる情報にも齟齬があるからである。重要なのは、東インド会社、「ダリストロイ」(スターリン時代の極北建設総局)、イワン雷帝時代の直轄地のごとき代物が、21世紀の今日形成されようとしているという事実である。ただ、特に驚くには値しない。政権は、正常なビジネス環境を創出できず、それゆえに「手動統治」に傾き、とりわけ国家コーポレーションの制度を作り上げた。国家コーポレーションは理論上は市場が解決できない諸問題を解決するはずであったが、実際には天下りの官僚OBに巨額の給料を払い、公開的な手続きを迂回して財政資金を配分する都合の良い手段となった。

 これらの開発諸制度から派生し、特に地域レベルで盛んになっているのが、産業およびイノベーションのテクノパークである。それが成功しているところでは、その主たる目的が、投資家・生産者が連邦のばかげた行政的障壁を克服できるようにしてあげる点にあるということを、地元行政ははっきりと明言している。しかし、多くの場合テクノパークもまやかしで、流動性のない不動産を購入する手段になってしまっていることが多い。

 すでにスコルコヴォのプロジェクトが愚行の象徴となっているが、今や極東・東シベリア開発というより大きなスケールで、それが繰り返されようとしている。しかも、極東そのものにとっても、幸運や繁栄はもたらさない。

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 4月27日にメドヴェージェフ現大統領/次期首相が与党「統一ロシア」の幹部らと面談し、同党の党首の役割を引き受けることを表明するとともに、自分は保守派であると発言したということで、話題になっている。こちらのサイトに掲載された論評の要旨を、以下のとおり紹介する。

 統一ロシアが下院選でしくじり、プーチンが大統領選で党から明確に距離を置いたことにより、党内には焦燥感が広がった。同党は自立した政治勢力であったことはこれまで一度もなく、上からのシグナルを待っていたが、シグナルはついぞ来なかった。プーチンに代わってメドヴェージェフが党首になりそうだという雲行きになると、統一ロシアとメドヴェージェフは水と油であり、党内で大きな変化が起きてしまうことは必至だといったことが語られた。おそらく、メドヴェージェフが党幹部および主要活動家らと面談した際も、党側にはそうした不安感があったに違いないが、面談後には安心して帰っただろう。この中でメドヴェージェフは、党首に就任するだけでなく、党活動に積極的に参加すると表明し、党側を安心させた。それのみならず、メドヴェージェフは不意に、自分は一度もリベラルであったことはなく、自分は保守派だとまで発言した。さらに、自分はこれまで長らく党と一体であったのであり、統一ロシアは末永く主導的な政治勢力であり続けると述べた。これはつまり、本格的な党改革はないことを意味する。

 党のイデオロギーについてメドヴェージェフは、アモルフでは駄目だが、なるべく多くの人々にとって分かりやすいものでなければならない、磁石のようになるべく多くの人々を引き付けるものでなければならない、これは社会的国家の価値観だが決して市場経済や民営化とは矛盾しない、党内に様々な潮流があることは望ましくもあるが分裂は駄目である、ゆえに保守主義、社会的国家、中道がこれからも党の顔となる、誰が党首になってもそれは変わらない、我が党はどこかのリベラル派が望もうと泡沫のセクトになるわけにはいかない、などと述べた。ただし、同時にメドヴェージェフは、イデオロギーは自己目的ではなく、国家的課題を解決するための手段にすぎないと強調し、党内で我々は90%は立場が一致しているので合意することは常に可能であると述べた。

 このような文脈に照らすと、メドヴェージェフが「統一ロシアにはいわゆるリベラルも、いわゆる社会民主主義者もおり、そのことは喜ばしい。なぜなら我々は皆、保守主義者だからだ」と述べたことの意味が理解できる。つまりメドヴェージェフにとってそれは、常に政権党でい続けるという意味なのだ。彼が、常に議会の多数派を目指すと言っているのも、そのためである。もっとも、ロシアの現状でそれが可能かどうかは、別問題だが。

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20120503senkaku

 先日、中国で買ってきた地図帳を眺めていると、興味深いことに、地図上では尖閣諸島を明確に中国の国境の内側に入れていない。台湾はもちろん国境内にしているし、南沙諸島なんかもちゃっかりすべて自国領に入れているが、尖閣諸島の部分には明確な国境線を引いておらず、地図によってこれが中国領であるという強力なアピールはしていない。よく知らないから、滅多なことは言えないけど、もしかしたら尖閣諸島は中国にとって「ダメモト」的な主張なのかな?

 あと、中国の地図では日本海は「日本海」でOKなのね。

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 3~4月は1年間取り組んできた調査・研究の成果をアウトプットする時期なので、このところ新規のニュースのフォローがなかなか行き届いていなかったのだけれど、仕事的にはアウトプット作業も一段落したので、またロシア・ウクライナ・ベラルーシ情勢の日常的なフォローを強化していきたい。ちょうど、今は同諸国も連休シーズンで、新聞も休刊の日があったりするので、このタイミングを利用し、ちょっと遡ってこの間の動きなどを取り上げてみたい。

 4月24日、ロシアで国家評議会の拡大会議が開催され、退任するメドヴェージェフ大統領が自らの4年間の成果を総括する演説を行った。そのテキストはこちらで読むことができる。『コメルサント』紙のこちらの記事が、メドヴェージェフ演説の経済部分に関し論評しているので、その要旨を以下のとおり整理しておく。

 演説においてメドヴェージェフ大統領は、経済の成果を総括するとともに、5つの優先的な原則について語り、これらの原則を来たるメドヴェージェフ内閣の指針に据えようとしていることが見て取れた。演説は出席者向けにかなり簡略化された内容で、予算のルール、年金改革、資源部門への負担、国営銀行といった政府部内で現在論議となっている複雑な諸問題には触れなかった。自らが5月7日に首相候補として推挙されようとしていることについての直接的な言及はなかったものの、それをほのめかした上で、自らが率いることになる新政府の新たな課題を挙げた。それらの課題が野心的であることは、メドヴェージェフがF.ルーズベルト米大統領に言及したり、詩人V.ジューコフスキーが皇太子時代のアレクサンドル3世に示した助言などを引用していることからも、窺い知ることができる。

 プーチンと同様に、メドヴェージェフも、自らの2008~2012年の治世の成果として、経済危機の第一波によるカオスを押し留め、経済を安定させたことを挙げた。そして、メドヴェージェフは2012年以降の政府の7つの目標として、以下の点を挙げた。これらは主として、プーチンが選挙論文で提案したことと重なり、それを若干精緻化したものとなっている。すなわち、2017年には所得が最低生計費を下回っている世帯の比率が10%以下になることや、2,500万の新たな雇用を創出するという課題に加え失業率を5%以下とするという要請が加わったことである。新たな目標としては、ロシアの家庭の大多数は15年に一度はより良い住宅に引っ越せる可能性を持てるようにしなければならないという点や、ロシアの大学のうち5校は世界の大学ランキングトップ100に入らなければいけないという点、またロシアは生活の全分野でのエレクトロニクス技術導入度において世界のベスト10に入るべきだという点があった。

 そして、新政府の指針となる5つの原則が示された。具体的には、1.企業家としての才能を重要な社会的価値として認めること、2.国家の経済への介入は最小限で透明なものとすること、3.司法機関は対象の所有形態にかかわりなく分け隔てない態度をとること、4.規制のあり方の質を国際的なレベルにすること、5.社会がゲームのルールの形成に参加すること、である。メドヴェージェフは、「国家行政の手動的な手法に代わって、透明で、分かりやすく、公平なルールが基盤となる」と発言しているが、ちなみにプーチン内閣がこれら5原則から逸脱したことについては、やはり危機の局面ゆえだったとされ、それゆえに経済の成果も達成されたと説明された。国家管理のモデルを手動から自動に変更することも、経済が安定する状況下でのみ可能となるが、来たるプーチン大統領がメドヴェージェフ新首相にそれを保証できないことは明らかである。

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 プーチン首相は大統領選挙キャンペーン中に自らの選挙綱領に相当する7本の論文を発表したわけだが、4月26日付コメルサント紙のこちらの記事が、その公約を実現することに向けた動きを伝えているので、記事の骨子を以下のとおりまとめておく。

 3月に何回か会議が開かれた結果、プーチンが新聞論文の中で示した公約を実現するための大統領令の草案を起草するよう、プーチン首相は政府に指示を出した。プーチンの指示は、かなり不明確であるものの、広範であり、実質的に2012年一杯の政府の仕事をあらかじめ決めてしまうようなものである。A.ヴァイノ官房長官の4月19日付の書簡によれば、大統領令の草案は政府内部で4月30日までに起草することになっている。首相がすでに出している指示のなかで名指しされている省庁は、4月25日までに経済発展省にプーチン論文を実現するための提案を提出しなければならない。ただし、当該の大統領令に署名するのがメドヴェージェフ現大統領なのか、プーチン次期大統領なのかは不明である。各省庁向けの書簡には、プーチンの7本の論文だけでなく、2012年第1四半期のプーチンの諸演説、4月24日の国家評議会におけるメドヴェージェフ演説、2020年までのロシアのイノベーション発展戦略、国家プログラムの諸草案にも依拠するよう、奨励されている。プーチンは今週、新政府の「ロードマップ(複数)」について発表したが、その際に念頭に置いていたのは戦略的イニシアティブ庁の構想だけでなく、自らの新聞論文に沿って政府部内で非公式に制定されたその他の5つのロードマップも含んでいた。現在のところプーチンの指示は急ではあるものの緩いもので、各省庁はほとんどの場合、2012年の5月から12月にかけて数十の様々な問題についての見解を示すよう求められている。大統領令で示される指示の多くは、メドヴェージェフ新内閣が処理することになり、少なくとも2012年一杯は政府はその仕事で手一杯だろう。「新聞大統領令」が政府にとっての行動計画となり、首相が独自性を発揮する余地はほとんど残らない。

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 先日購入したiPadを、引き続き色々と試しているところ。新たに、「ロケスマ」というアプリをインストールした。これは、グーグルの地図に、様々なテーマの情報を重ねて表示できるという面白いアプリ。たとえば「牛丼マップ」というのを地図に重ねてみると、写真のようになる。

 牛丼屋の数の多さに驚かされるが、さすがに広尾、麻布、白金といった高級住宅街にはまったく店舗がないようで、牛丼マップが完全な空白地帯になっている。

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