こちらの記事が、プーチン新大統領の下で形成されるであろう内閣の陣容についての動きと観測を掲げているので、その要旨を以下のとおり整理しておく。
それによれば、D.コザク副首相を中心とする作業グループが大統領選後の政府の構造についての素案作成作業を今週終え、クレムリン(つまりメドヴェージェフ・サイドということか?)に提出した。来週には人事も話し合われるという。この案につきもしもクレムリンの承諾が得られれば、政府からは経済部門別の副首相たちはいなくなる。また、経済分野では、投資誘致省という省が新設される。国税局も、独立の省になることを狙っている。ただし、政府の構造に関してはいくつかの案があり、5月にならないと具体的なことは分からないという。
今回の案による最大の変更は、副首相の数を8人から5人に削減することであり、これはプーチン首相以前の政府に戻ることを実質的に意味する。2008年にプーチンが首相に就任した際に、副首相が5人から7人に増員され、2010年にA.フロポニン大統領全権代表も副首相に加わった経緯がある。
プーチン内閣ではA.クドリンが副首相と蔵相を兼務していたが、副首相と省の大臣の兼務というやり方は上手く行かなかった。大統領府では、新政府では主要分野を担当する第一副首相を数人置くことを検討している。
コザク案でほぼ現状のまま残るのは経済発展省(新しい機能を加える可能性はある)と財務省で、経済分野ではこれに投資誘致省が加わることになっている。ただ、これはA.ドヴォルコヴィチ大統領補佐官が推しているものだが、権限が狭すぎて実現しそうもないという指摘もある。国税局も独自の省になることを目指しているが、これは一連の案の中には示されておらず、おそらく国税側が国のトップたちに直訴する形になりそう。
地域発展省、運輸省、通信省は現状維持のままとなりそうとのことである。地域発展省を民族問題省と建設省に分割するという案も以前にあったが、承認されなかった。一方、政府に近い情報筋によれば、地域発展省はやはり分割される可能性があるという。地域発展省はコザク大臣の時代に建設行政、住宅・公営事業、地域政策、民族問題、在外同胞支援と分野を広げすぎ、仕事をこなしきれなくなっていたので、建設と住宅・公営事業をそれぞれ管轄する省または連邦庁が新設される可能性があるという。
経済部門別の副首相を廃止して機能別の副首相だけの体制にするということが提案されているが、これについて政治工学センターのI.ブーニン所長は、そのアイディアは以前からあるが、結局は部門別になってしまう、と指摘している。ブーニンによれば、もう一つのポイントは、メドヴェージェフとセーチンの関係であり、メドヴェージェフはセーチンを部門(エネルギー)担当の副首相にしたくないから部門別の体制を廃しようとしているのだという。
ペテルブルグ政治財団のM.ヴィノグラドフ理事長が指摘しているとおり、副首相の数の削減というのは、新政府が形成されるたびに叫ばれる。2004年には、各大臣が副首相に匹敵する政治的存在になると想定されたので、副首相そのものは1人だけになった。しかし、人事異動があるたびに、副首相を設けて問題を解決しようとするので、その分、大臣の地位が侵食される。副首相というステータスに相当する人物が他機関からどれだけ内閣に入るか、そしてその人物たちと新首相の関係がどのようなものなのかによって、決まってくるだろうと、ヴィノグラドフは指摘した。