ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

8b818aea.jpgヴォルゴグラード、ロストフナドヌーでの調査は無事終わり、これからモスクワ経由で帰国の途に。
ロストフナドヌーの空港ロビーには、正教会の礼拝堂があった。こういうのは、初めて見たなあ。

 先日のエントリーに引き続き、ロシアの『フィナンソヴィ・コントローリ(資金管理)』という雑誌の2013年1月号に掲載された、ロシア会計検査院のアレクセイ・クジミツキー検査官が経済特区の進捗状況について語ったインタビューの発言要旨を紹介する。

 我々が検査を実施した時点では、全特区合計の入居企業数は301で、うち外資参加企業は43だった。民間の投資総額は552億9,000万ルーブルで、表明された額の15%であった。6,700人の雇用が創出された。国からの投資が811億2,415万ルーブルだったので、国:民間の投資比率は1:0.68となる。うち、工業生産特区では1:1.94と民間が上回っているのに対し、技術導入特区では民間の投資比率は17%、観光特区では3%、港湾特区では0%である。

 技術導入特区に関しては、研究開発の成果という別の評価基準もあり、すでに入居企業は350の特許を取得しているものの、活動期間がまだ短いので、まだ効果を発揮しているとは言えない。他方、サンクトペテルブルグ技術導入特区の賃金水準は市の平均よりも40%高く、トムスク特区でも州平均の2倍に上るというデータもある。

 最も上手く行っているのはタタルスタン共和国(エラブガ)とリペツク州の工業生産特区である。タタルスタン共和国全体の地域総生産(注:鉱工業生産? 書き方が不明確)に占める特区内の生産の比率は、2008年:0.79%、2009年:0.88%、2010年:0.83%、2011年:0.93%、2012年予測:1.23%と高まる方向にある。タタルスタンン特区の給与水準は共和国平均よりも35%高い。また、リペツク州の生産に占める特区の比率も、2007年:0.12%、2008年:0.27%、2009年:0.18%、2010年:0.26%、2011年:0.46%、2012年予測:0.47%と推移しており、給与水準も州平均を30%上回っている。

 全体として、我々の分析によれば、経済特区の制度は地域の社会・経済的発展に、まだわずかな効果しか発揮していない。ただ、創設時期がまちまちであるから、それは当然でもある。

 観光特区では、まだ特区のインフラの建設が続いており、入居企業が観光施設の建設に着手するには至っていない。ブリヤートの観光特区では、連邦レベルの特区に促される形で、共和国内に地域レベルの特区が8箇所設けられることに繋がった。サマラ州とスヴェルドロフスク州の工業生産特区では、まだインフラの設計が行われている段階である。

 港湾特区を評価するのは早計である。ハバロフスク地方のソヴィエツカヤガヴァニ特区では、鉄道インフラの未整備と、潜在的な入居企業が特区への引き込み線にアクセスする条件が合意されていないという問題がある。

 各地域は、特区創設を申請するに当たって、これだけの経済効果が見込めるという見通しを示していた。ところが、会計検査院が各地域に対して、特区の成果をどのように評価しているかを照会したところ、いずれの地域もそのような評価作業を行っていないことが明らかになった。むろん、まだ総括すべき時なのではないのかもしれないが。ただ、特区の成功は、他ならぬ地域のためであり、まさに当該の地域自身が特区の効果をより深く分析すべきである。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

3265a8ad.jpg本日は日帰りでタガンログの調査。大して寒くはないけど、町中の道という道が凍結しており、危なくて仕方がない。

 こちらの記事が、2012年のロシアの航空各社の輸送実績と、2013年の見通しについて報じている。また、その元になったロシア連邦航空輸送庁のリリースはこちらである。記事によると、アエロフロート、トランスアエロ、UTエアー、S7の4社が70%のシェアを占めており、4社による寡占が進むという構図のようだ。

 記事およびリリースによると、2012年のロシアの航空会社による旅客輸送数は7,403万人で、前年比15.5%拡大した。うち、国際線が3,863万人(23.1%増)、国内線が3,541万人(8.1%増)だった。

 航空会社別の2012年の旅客輸送を見ると、1.アエロフロート:1,766万人(24.6%増)、2.トランスアエロ:1,033万人(22.2%増)、3.UTエアー:777万人(33.9%増)、4.S7:635万人(23.8%増)、などとなっている。

 2013年については、アエロフロートが旅客輸送数19%増、UTエアーが26%増を掲げており、今のところこの2社の拡大意欲が目立つ。両社とも、路線の最適化と、新機材の投入で、輸送拡大を目指すとしている。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20180128mafia

 1月28日付のロシア大衆紙『コムソモリスカヤ・プラウダ』紙に、ロシアの犯罪グループの勢力図が出ていた。御免こうむりたい世界だが、何かの役に立つかもしれないので、一応メモだけしておく。記事はこちら

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

89b219d9.jpgロストフナドヌー市内で調査。今は昼休憩中。静かなるドン川、半分凍ってる。

 こちらのニュースによると、Shellがウクライナ東部でシェールガスを生産することが正式に決まった。1月24日、ダヴォスにおいて、V.ヤヌコーヴィチ大統領も同席するなかで、シェルとウクライナの「ナドラ・ユーゾフカ」社が契約に調印した。両者はハルキウ州とドネツィク州でシェールガスを生産し、その生産物を分与し合うことになる。

 両社の出資比率は、50%ずつとなる。事業のオペレーターはShellが務め、契約の枠内のすべての業務に責任を負う。生産物分与契約(PSA)は50年間という期間で調印された。初期段階ではユーゾフカ鉱区の15の井戸で探査・ボーリング調査が行われ、これで事業全体の採算性などを評価することになる。ユーゾフカ鉱区の総面積は7,886平方キロメートルで、ハルキウ州とドネツィク州に広がる。契約調印に先立ち1月23日にウクライナ政府はその調印を承認していた。2012年5月に省庁間PSA委員会はシェールガスの鉱区の入札を実施し、ユーゾフカ鉱区はShellが、オレッスカヤ鉱区(リヴィウ州、イヴァノフランキウシク州)はシェブロンが勝利していた。ユーゾフカ鉱区の埋蔵量は4兆540億立方メートルと評価されている。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらの記事によると、ロシアのシベリアにあるブリヤート共和国で、日露の合弁により、割り箸を生産するというプロジェクトが進んでいるという。日本側では、「ビチュラSUインターナショナル」という会社が合弁に加わる(注:事実関係が不明確。ビチュラSUインターナショナルという会社自体が合弁なのではないか?)。同社の株の45.01%はロシア人のB.ツォクトエフが保有しており、23.99%を日本人のオバタ・ヒロシ氏が保有している。オバタ氏は割り箸生産用の設備で現物出資する。今般ブリヤート共和国のB.ナゴヴィツィン首長は政府に、合弁を支援するよう指示を出した。支援策には、共和国行政府による企業への出資が含まれる可能性もある。ビチュラSUインターナショナルはすでにブリヤート行政府の支援を得て割り箸の半製品の生産に着手しているが、完成品の生産に移行するとともに、共和国の他の地区にも複数のミニ工場を建設することを計画している。また、雇用を、現在の40人から、2~2.5倍に増やす意向である。現在の生産量が日量15~20立米であるのに対し、新ライン稼働後は、それが60立米になる。2014年にはビチュラSUインターナショナルの生産を6,530万ルーブルにまで高めるという計画である。共和国側は合弁の初期段階で1,000万ルーブルを出資する方向。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

ab188555.jpgヴォルゴグラードからロストフナドヌーに移動中。寒い。

 以前のエントリーで、2012年12月28日付のロシア連邦政府決定によりカルーガ州に経済特区が設置されることが決まったということをお伝えしたが、こちらのリリースに見るように、1月25日にカルーガ州行政府とロシア連邦経済発展省が特区創設の協定を結び、特区が正式に誕生したということである。それを受け、こちらの記事で、A.アルタモノフ・カルーガ州知事が、特区に寄せる抱負・期待を語っているので、その発言要旨を以下のとおり整理しておく。

 州としてはこの特区で少なくとも400億ルーブルの投資を誘致したい。うち、90億ルーブル分はすでに締結済みで、特区創設後すぐに始動することになっている。特区の創設により、3,000人分以上の雇用が創出される。特区が設置されるリュジノヴォ市では、小都市にもかかわらず、現在のところ、1.5万人もが州外への出稼ぎ労働に出ている。リュジノヴォ市・地区では伝統的に機械産業・金属加工業が営まれており、新たな特区でもそれを踏襲する。すでに自動車コンポーネントを生産する一連の企業と進出合意に達している。また、カルーガ州と、隣接するブリャンスク州およびスモレンスク州は、森林資源が豊かなので、木材加工業も有望視している。なお、カルーガ州には9箇所のインダストリアルパークが設置されており、州が2012年にリアルセクターに誘致した投資は1,000億ルーブルに上った。

 また、記事によると、O..サヴェリエフ・ロシア連邦経済発展次官は、特区の成功は地元行政府の働きと、特区の運営に当たる管理会社の仕事の質にかかっていると指摘した。ちなみに、現時点までに設置されている工業生産経済特区は、タタルスタン共和国、リペツク州、スヴェルドロフスク州、サマラ州、プスコフ州で、カルーガ州は6箇所目になる。サヴェリエフ次官によれば、リャザン州でも創設が検討されているが、まだ決定には至っていない。また、ハバロフスク地方のソヴィエツカヤガヴァニ港湾特区を拡張するという方針が基本的に決まっているが、港湾における民間所有者の存在がネックになり、その調整に手間取っているため、正式決定には至っていない。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 これも、情報発信というよりは、完全に自分のためのメモだけど。昨日触れた『エクスペルト南』誌のウェブサイトを眺めていたら、2012年9月17日付のこちらの記事で、ガスプロム社のL.チュグノフ・プロジェクト管理部長がインタビューに応じ、「サウスコリドー」について語っているのを見付けた。サウスコリドーとは、今般建設が始まった黒海経由の新パイプライン「サウスストリーム」に接続することになる、ロシア国内部分のパイプラインのことである。サウスストリームは、別のパイプライン「ナブッコ」との競合や、ウクライナを迂回といった、地政学的な観点から語られることが多いが、このチュグノフ部長のインタビューは国内への経済効果について主に語っており、興味深いと感じた次第だ。

 サウスコリドーは、全長2,506.2km(工期は2010~2017年、キャパシティは年間630億立米の予定)。ロシアのニジェゴロド州、モルドヴィア共和国、ペンザ州、サラトフ州、ヴォルゴグラード州、ヴォロネジ州、ロストフ州、クラスノダル地方の領内を通る。部長は、サウスコリドーの開通に伴い、これまでガスが通っていなかった地区のガス化に弾みがつき、鉱工業や生活サービスの発展、雇用の増大に貢献できると強調している。部長によれば、ガス分野で雇用が1人増えると、その波及効果で周辺分野の雇用が5人分も増えるとのことである。パイプラインの全長のうち3分の1と、コンプレッサーステーションのうち大規模なものががクラスノダル地方に集中することから、ガスプロムはすでに2010年にクラスノダル地方と協力協定を結んでいる。建設地には、第二次大戦の地雷原も含まれるが、安全性や環境対策には万全を期す。部長は概要こんなことを述べている。

 それで、この記事に載っているサウスコリドーの地図が便利かもと思って転載しようかと思ったのだが、よく見たらガスプロム社のHPのこちらのページに出ている記事の方が良かったので、そちらを載せておく。

20130127south

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

b50afb02.jpgカルムイキヤ共和国のエリスタにちょっとだけ立ち寄ってみました。

20130126volgo

 そんなわけで、ロシア南部のヴォルゴグラードに来ているのだけれど。それにしても、不思議に思うことがある。ロシアの最有力な経済週刊誌で、『エクスペルト』という雑誌がある。そして、その地域版として、北西、南、ウラル、シベリアの各版が出ている(あと、ウクライナ版とカザフスタン版もあるが)。これらは、新聞の地域版のように全国版にローカルニュースをちょっと加えただけというのではなく、全国版とは全面的に内容が異なる。ところが、私がロシアの各地域を訪問し、キオスクなどで探してみる限りでは、『エクスペルト』の全国版を見かけることはあっても、地域版を目にすることは滅多にないのだ。今日も、ヴォルゴグラード市内の売店やキオスクをいくつか覗いてみたが、『エクスペルト南』は1箇所でしか売っていなかった(それも随分古い号で…)。一体、『エクスペルト』の地域版というのは、どこでどんな風に読まれているのだろうか?

 まあ、それはさておき、せっかくロシアの地方に来たからには、ちょっと地元の新聞でも買って読んでみたいところである。そこで、一番有力な地方紙らしい『ヴォルゴグラーツカヤ・プラウダ』を4日分買ってざっと眺めてみたのだが、面白そうな記事が全然ない。これは実質的に州の行政府が発行している新聞なんだろうなあ。まあ、「ヴォルゴグラード州、州の7不思議選定に向け投票実施。現在のところスターリングラード攻防戦犠牲者の『ママエフの塚』がリード」なんていう興味深い記事はあったが(笑)、ちょっと際物の話題すぎて、私の手には余る。

 そうしたなか、かろうじて私の研究分野に関連する記事が1つあった。2013年1月25日号に掲載されたヴォルゴグラード州のモノゴーラド(企業城下町)問題に関する記事である。せっかく新聞を買って、1つもネタにしないのはもったいないので、この記事の要旨だけかいつまんでおく。

 記事によると、今般ロシア連邦政府の地域発展省からS.ナザロフ次官を団長とする代表団が当地を来訪し、ヴォルゴグラード州のモノゴーラド問題の調査に当たった。州には、ミハイロフカ、フロロヴォ、コトヴォという3つのモノゴーラドがある。地域発展省、ヴォルゴグラード州行政府、3都市の市長が集まり、検討会合が開催された。3都市の中では、ミハイロフカ市の状況が比較的良好だが、同市のN.セミソトフ市長にしても、状況は楽観できず、新規の投資プロジェクトを成功させなければ根本的な解決にはならないと訴える。ミハイロフカの場合は、既存の工場で本年7月に設備の改修を実施することに期待をかけているほか、最近市と周辺地区が合併して自治体としての強化を図った。これについては地域発展省のナザロフ次官も良い試みであると評価し、他の市も見習うべきだと指摘した。ナザロフは会議を総括し、本日挙がった投資プロジェクトは省としてすべて検討し、各都市につき少なくとも1プロジェクトは我々が支援をして、銀行もプロジェクトに参加させたいと述べた。州行政府のO.ケルサノフ首相代行は、以下のように述べた。すべての都市には第2のチャンスがある。ミハイロフカ、フロロヴォ、コトヴォの3都市は経済危機の前から問題を抱えていた。今や、南連邦管区に本件に取り組む地域発展省の局が設置され、特別な計画・プロジェクト実施のために本物の支援を受ける可能性が生じた。S.ボジェノフ知事は、市に対しても、州行政府に対しても、当該の指令を出しており、期限や責任者も明確化されている。連邦の支援を得て、所期の目的は達せられることになろう。首相代行は以上のように述べた。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ロシアの『フィナンソヴィ・コントローリ(資金管理)』という雑誌の2013年1月号で、ロシア会計検査院のアレクセイ・クジミツキーという検査官がインタビューに応じ、ロシアの経済特区の進捗状況について語っている。会計検査院と特区とはミスマッチという感じも一瞬するが、要は連邦政府が資金を出しているので、その執行を監督する立場にあるということのようだ(そもそも、この雑誌自体が、会計検査院の機関誌的な位置付けのようである)。経済特区は私の研究分野の一つなので、クジミツキー検査官の発言要旨を以下のとおり整理しておく。読み物として面白いものではなく、あくまでも自分のためのメモなので、悪しからず。なお、インタビューは2回に分けて掲載されており、この2013年1月号が後編であり、2012年12月号の前編も何とかして入手したいと思っている。

 2006年初頭から2012年7月1日までに、経済特区創設のために投入された国庫資金は、1,154億3,400万ルーブル。うち、連邦財政が771億3,550万ルーブル、連邦構成主体(=地域。州、共和国など)財政が382億9,850万ルーブルである。連邦および地域による資金拠出は、基本的に、公開型株式会社「経済特区」およびその特区ごとの支社への出資という形で行われる。ただし、地域からの拠出には、地域が直接事業者と直接契約を結ぶインフラ建設事業(270億7,360万ルーブル)があり、株式会社「経済特区」およびその支社への出資は112億2,490万ルーブルとなっている。連邦と地域を合計すると、株式会社「経済特区」およびその支社への出資は、883億6,000万ルーブルとなっている。(以下、資金のフローについては、後日、図にでもまとめてみたい。)

 特区へのインフラ建設のための投資は、811億2,410万ルーブルに上っている。うち、84億7,520万ルーブルは、電力網への接続費用に充てられている。接続条件が決まって、実際に接続が完了するまでに、1~4年を要している。

 地域によるインフラ建設への資金拠出が、完全には履行されない状況が生じている。2011年には、モスクワ市、モスクワ州、トムスク州、リペツク州、タタルスタン共和国、アルタイ共和国、ブリヤート共和国でそうした状況が生じた。その結果、特区建設に向けた地域からの投資総額は95億7,956万ルーブルと、予定額の73.2%にとどまっている。また、インフラ建設のために投入された公的資金のうち、5億8,970万ルーブルは、公開型株式会社「経済特区」の支社の赤字補填に充てられ、これは連邦法違反である。

 2012年7月1日までに経済特区創設のために投入された国庫資金1,154億3,400万ルーブルのうち、29.2%に当たる337億2,020万ルーブルが未執行となっており、インフラ建設の執行効率が高くないことを示している。付加価値税の還付や利息も加えると、409億7,880万ルーブルの預金残高があり、不適切。

 2012年7月1日現在で、インフラ建設事業で執行されたのは725億5,668万ルーブルで、これは予定額の39.6%にすぎない。特区のインフラ建設は2015年までに完了する計画だが、現在のペースでは間に合わない。

 その一方で、建設されたインフラがキャパシティ以下の稼働状況となっている。熱供給は32.9%、水道は57.5%、株式会社「経済特区」の支社を含めたオフィス面積は71.5%、税関施設は66%しか活用されていない。特にサンクトペテルブルグ特区のノイドルフ区では、電力インフラの稼働率は14.5%、水道は10.4%、ガスは6%にとどまっている。ノヴォオッロフスコエ区では、日量2,500立米の水道が稼働したが、ほかのインフラが稼働していないので、無用の長物となっている。

 現時点の結論として、株式会社「経済特区」およびその支社の問題は、インフラの稼働である。建設されたインフラの運用は、稼働率の低さと、道路網・税関・消防の維持費ゆえ、赤字となっている。税関を連邦関税局に移管する課題は進捗していない。現時点で、株式会社「経済特区」およびその支社が建設済みのインフラの運用・維持に費やしている資金は33億6,660万ルーブルで、これはインフラの運用収入および土地区画提供収入を2.6倍も上回っている。

 長くなってきたので、次回に続く。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20130125volgograd

 ヴォルゴグラードにやってきました。2日ほど滞在して現地調査を行います。ロシア南部の百万都市の要衝にして、「スターリングラードの戦い」を生き抜いた英雄都市。モスクワより気温は高いけど(とはいっても氷点下で雪景色)、風が強そう。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 またまた『世界地名事典』絡みの談義だけれども。

 スヴェルドロフスク州にニジニタギルという街がある。個人的にはこの街は3年ほど前に訪問したことがあり、それを踏まえて「煮えたぎるニジニタギル」なんてエッセイを書いたりもした。また、2012年ロシア大統領選で、プーチンが推進した新工業化路線とそれと表裏一体の動員選挙を象徴していたのがニジニタギルおよびその兵器メーカー「ウラルヴァゴンザヴォード」であり、そうした観点からも個人的に注目している街である。

 で、これは前掲の「煮えたぎるニジニタギル」を書いた後に知ったことなんだけど、なんとあのスタルヒン投手はニジニタギルの出身だそうである。言うまでもなく、日本プロ野球の黎明期に、巨人軍でエースとして活躍したヴィクトル・スタルヒンのことである。ロシア革命直前の1916年にニジニタギルに生まれ、その後一家で日本に亡命した白系ロシア人であったということらしい。ただし、野球の普及していないロシアでは、まったくの無名であるが。

 それから、これは今回、地名事典の原稿を書いていて、遅れ馳せながら知ったことなんだけど、なんと米ニューヨークの「自由の女神」の建立には、ニジニタギル産の銅が用いられたということである。自由の女神は、いち早く市民革命を遂げたフランスが、南北戦争で苦しむ米国の国民を励ますために贈ったもの。いわば人類の自由や博愛の精神を象徴する偶像なわけだが、それを材料の面で支えたのが、自由や博愛の優等生とは言いがたいロシアで、しかもニジニタギルは欧米から後ろ指を指されるプーチン体制を象徴する街であると、そんなことを考えると、歴史の深淵を垣間見た思いがしてしまう。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ダヴォスで開かれている世界経済フォーラムで1月23日に演説を行ったロシアのD.メドヴェージェフ首相は、次期大統領選に出馬する可能性がある旨発言した。ただし、V.プーチン現大統領が再出馬する場合には、プーチン氏と争うつもりはないと付言した。最近、各方面から批判されることが増え、「レームダック化」も指摘されるメドヴェージェフ氏だけに、今回の発言については冷ややかに受け取る向きが多いようである。1月24日付の『独立新聞』に掲載された政治工学センターのI.ブーニン所長のコメントを、以下のとおり抄訳しておく。

 最近のメドヴェージェフは、プーチンの発言をオウム返しに繰り返すばかりである。米国から非難を浴びているS.マグニツキーの問題に関しても、同氏は「雇われて、注文に応えた人物」と評している。メドヴェージェフは現時点では完全にプーチンに依存している。しかし、プーチンは、現首相が自らに課せられた仕事をやり遂げるまでは、新しい首相を任命することはないだろう。首相は、選挙の合間に、改革を実施するために任命されるもの。改革を決然と、迅速に実施することが使命である。プーチンはそのためにメドヴェージェフを任命した。メドヴェージェフが完全にレームダック化しないうちは、プーチンはメドヴェージェフを擁護するだろう。しかし、世論や、エリート層は、メドヴェージェフの退任に傾いており、メドヴェージェフの置かれた立場はもはや知事並みである。皆がメドヴェージェフを代えたがっている。それゆえにメドヴェージェフは、一方ではプーチンから距離を置き、他方ではタンデムで働くという、きわめて単純な戦略をとっているのである。メドヴェージェフの境遇は悲劇的だ。2011年8月にメドヴェージェフにはチャンスがあったのであり、プーチンに屈するべきではなかった。今となっては、政治家として生き残る有望な戦略が、一つも見えてこない。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20130124naza

 取り上げるのがやや遅くなったが、カザフスタンのN.ナザルバエフ大統領は2012年12月の独立記念日の演説で、カザフ語を表記する文字を、現在のキリル文字から、2025年までにローマ字に転換するという方針を示したということである。

 これに関し、こちらの記事によると、今般ナザルバエフ大統領はカザフに駐在する外交団に、カザフ語ローマ字化の真意を説明した。大統領によれば、ローマ字化にはまったく政治的、地政学的な意図はない。我が国は全方位の発展、すべての国との文化的な協力を志向している。ローマ字化は、国家言語たるカザフ語発展の要請によるものだ。私はカザフ文化をグローバル文化空間の中で認知されやすい構成要素にするという課題を提起したのだ。ナザルバエフ大統領は以上のように説明した。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらの記事によると、モルドバ国民の約半数が関税同盟入りに賛成しているということである。モルドバ社会学者協会が2012年12月21~30日にモルドバ全土で1,194人の回答者を対象に実施した世論調査で、そのような結果が出た。すなわち、回答者に、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンの関税同盟にモルドバが加わることに関する国民投票が行われたらどう投票するかを問うたところ、賛成する:48%、反対する:25%、棄権する:6%、分からない:21%、という結果が出た。また、ロシアとモルドバの関係が良好だと思うかという問いには、63%が良好であると答えた。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20130122uaauto

 先日、「ザポリージャ自動車工場が1ヵ月操業停止」なんて記事をお届けしたけれど。今般、ウクライナ統計委員会が、2012年の同国の鉱工業生産統計を発表したので、それを眺めているところ。

 芳しくないねえ、ウクライナ経済。GDPは2012年通年の数字がまだ出ていないけれど、サッカーのユーロ大会の経済効果があった上半期こそプラスを確保したものの、下半期がマイナス成長だったことは確実で、通年では0.3%程度の成長率に留まるだろうと予想されている。今般発表された鉱工業生産統計によれば、2012年の鉱工業生産は前年比1.2%減であった。特にウクライナ経済の屋台骨を支える冶金工業が5.2%減というのがイタい。

 2012年の乗用車生産台数は、約7万台で、前年比29%減だった。生産台数の月別変化を見たのが、上掲の図である。2011年の数字は悪くなかったが、2012年に入ってじり貧となり、とくに主力輸出市場であるロシアがWTO加盟による関税引き下げを補うような形で9月に「リサイクル税」を導入し、ロシア市場での販売が落ち込んだことで、減産が顕著になっている。

20130106zaz

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのニュースによると、ウクライナのヤヌコーヴィチ大統領は先日、大統領府の改組を実施したということである。1月16日に大統領のウェブサイトで発表された。これにより、大統領府のスタッフは25名増員され、総勢549名となった。また、大統領顧問たちが大統領府の各総局の局長を務める体制が廃止され、総局は大統領府の副長官たちが直接指揮することになった。大統領府報道局は、報道・コミュニケーション総局に改組された。A.ヘルマンが率いていた人道・社会政策総局は、人道発展問題総局に改組された。このほかいくつかの総局が改組された。新体制につきS.リオーヴォチキン大統領府長官は、様々な政策課題に対処する最善の体制を構築した、大統領と社会のコミュニケーションがより効率的になる、人員が多少増えても予算は増額しない、などと説明した。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ロシアで、経済特区、テクノパーク、地域クラスター、工業パークといった枠組みがどう違うのかというのは、なかなか難解な問題だ。まあ、実際それぞれに制度やニュアンスは違うのだけれど、オーバーラップする部分もある。

 今般、さらにややこしい情報に接した。こちらの記事によれば、タタルスタン共和国のエラブガ経済特区の内部に、テクノパーク「シネルギヤ」が創設されるというのである。特区の中にテクノパークが出来るとは、まるでマトリョーシカのようではないか。

 ともあれ、記事によれば、株式会社「経済特区」は2013年第1四半期中に、エラブガ工業生産経済特区の内部に、テクノパーク「シネルギヤ」の創設を開始する予定である。同社のO.コスチン社長が明らかにした。テクノパークには、優遇的な条件で中小企業が入居でき、ロシアのパートナーであるソラーズ社と共同で、フォード社の現地調達に寄与することを目指す。なお、エラブガ特区は2006年に創設され、Ford-Sollers、Saint-Gobain、Air Liquide、Rockwool、Sisecam、Hayat Groupといった有力企業が入居している。

 この記事によればさらに、タタルスタンには本年、もう1箇所の経済特区「イノポリス」が創設される予定で、それに関するロシア連邦政府決定はすでに出ていて、こちらはITに特化する。イノポリスには、米カーネギー・メロン大学と共同で、新大学が開設される。大学の建設は2013年3月に始まり、早くも本年にはカーネギー・メロンから15名の学生が研修のために派遣される。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 従来、ロシアの欧州向け天然ガス輸出の8割前後はウクライナ領のパイプラインを通じて行われてきたわけだが、ここに来て状況が大きく変わっている。こちらの記事によると、ウクライナの幹線ガスパイプラインを運営するウクルトランスガス社の速報値によれば、2012年のウクライナ領を通じた天然ガスのトランジット輸送は842億㎥となり、前年比19%低下したということである。ウクルトランスガスはウクライナの国営企業で、そのパイプライン総延長は38,600kmに及び、欧州でも屈指のガス地下貯蔵施設(その総量は310億㎥)を有する。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 前のエントリーは、実はこの記事への布石だった。こちらのニュースによると、ロシア南部のロストフナドヌーで、新空港建設の計画が進んでいるということである。

 これによると、ロストフナドヌーの新たなハブ空港「ユージヌィ」の建設は2017年半ばまでに完了し、同年暮れに稼働させる予定である。プロジェクトの投資家のうちの1社である「レノヴァ」社の子会社「地域空港」社の資料にそう記されている。ユージヌィは1980年代以降、ロシアで初めて完全に新規建設される空港となる。設計は2013年3月までに完了する予定。レノヴァ傘下の「ロストフアエロインヴェスト」社が元請となる。滑走路および施設面の設計は2014年3月までに終える。ロストフは2018年FIFAワールドカップの会場の1つなっており、新空港建設はその準備の一環である。ロストフの既存空港「ロストフナドヌー」は、2.5kmしかない滑走路が大型機の受入には不充分で、地域の航空輸送のネックとなっている。「2010~2015年のロシア運輸システム発展連邦目的プログラム」には、ユージヌィ新空港の建設が盛り込まれており、そのプロジェクト総額は270億ルーブルに上っている。プロジェクト実現に向け、ロストフ州、ロシア連邦運輸省、レノヴァ社は2011年に新空港建設のメモランダムに調印した。2012年9月のロストフ州行政府の決定により、新空港建設の土地区画3,662haが割り当てられた。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ブログのページデザイン変えてみたけど、どうかしら?

 さて、ロシア政府は現在、「2010~2015年のロシア運輸システム発展連邦目的プログラム」に沿って、同分野の近代化を推進しているところである。そのテキスト等は、こちらで見ることができる

 この中で、空港のセクターについては、以下のような課題を設定している。すなわち、104の滑走路の新規建設および改修を行う。うち、10の滑走路は大規模な国際拠点空港である。プログラム実施により、ロシア国内の年間の航空旅客は1.5倍に増大し、トランジット客は20.8倍に増大する。保有航空機は678機刷新される、と。

 その上でプログラムでは、国内の航空ネットワークは、以下の空港をハブとして形成されるとしている。まずモスクワ(シェレメチェヴォ、ヴヌコヴォ、ドモジェドヴォ)とサンクトペテルブルグ(プルコヴォ)、そしてカリーニングラード、ノヴォシビルスク、サマラ、エカテリンブルグ、ロストフナドヌー、クラスノヤルスク、ハバロフスク、であるという。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 実は来週ロシアに出張し、南部のヴォルゴグラード州とロストフ州で現地調査を行うことになっている。再三申し上げているように、このところ『世界地名事典』の仕事でプライベートの時間ではウラル漬けになっており、頭が南部に切り換わるか、不安である。その意味でも、一刻も早くウラルの地名は片付けなくては。

 そんなわけで、ロストフ州の話題。誰も興味はないだろうが、あくまでも自分のためのメモとして。こちらのニュースによると、1月16日、ロストフ州のV.ゴルベフ知事は1月16日、州の3人の閣僚を解任したということである。具体的には、V.バルテニエフ経済発展相(2008年4月経済発展・商業・対外経済関係相就任、2010年10月に省庁改組により経済発展相)、V.ヴァクラ体育・スポーツ相(2009年11月就任)、Ye.スキダン労働・社会発展相(女性、2007年就任)の3名。ゴルベフ知事は、解任は大臣たちがその任務を不充分にしか遂行できていなかったことによるものだと説明した。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのニュースによると、カザフスタンが2013年にも世界貿易機関(WTO)の加盟国になる可能性があるという。WTOのラミー事務局長がこのほど記者団に語った。事務局長によると、カザフスタンの加盟交渉は大詰めの段階にあるという。一方、同じくロシアと関税同盟を形成するベラルーシに関して事務局長は、加盟交渉は遅れており、具体的な加盟時期の見通しを示すのは困難であるとした。ただし、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンは関税同盟を形成し、単一の通商レジームが機能しているはずで、ロシアがWTO加盟国である以上、カザフとベラルーシもすでに実質的にWTOの基準の多くの順守を迫られていると、事務局長は指摘した。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 2012年暮れに成立したウクライナのアザロフ新内閣については、先日のエントリーで閣僚の顔触れを簡単に整理しただけで、分析的なことが全然できていない。遅きに失した感もあるが、ロシアのサイトに出たこちらの記事が取っ付きやすいので、差し当たりこれを抄訳しておく。

 ウクライナの新旧内閣は、首相はM.アザロフで変わらないものの、その違いは大きい。留任した閣僚は数えるほどしかおらず、一部のローテーション人事は別として、新顔は皆サプライズである。再編されたり廃止されたりした省庁もある。

 専門家によれば、これからは主な権力が直接、V.ヤヌコーヴィチ大統領の息子であるO.ヤヌコーヴィチに集中することになる。大多数の閣僚は、彼に忠誠を誓っている人物である。確かに、ウクライナ切っての富豪であるR.アフメトフも影響力を保持し、彼の「枠」で任命された閣僚も何人かはいるが、大勢としては、新内閣の力関係は前内閣のそれとはかなり違ってくるだろう。

 首相に次ぐ重みを持つのは、中銀総裁から第一副首相に転身したS.アルブゾフである。同氏は首相就任も有力視されていたわけで、もしも今後、すでに高齢のアザロフが退任することになったあかつきには、後任の最有力候補となろう。近いうちに、アザロフは単なる管理・監督役だけを果たし、広い分野の問題をアルブゾフが取り仕切るようになるだろう。

 もう一つ重大な人事は、外相がK.フリシチェンコからL.コジャラに代わったことである。フリシチェンコが親欧米で、民族・民主派に近い立場までとるようになっていたわけで、そのことは保守的で、親ロシア的であり、ヨーロッパに批判的なヤヌコーヴィチ支持層の不満の種だった。コジャラはその対極にあり、ロシア主導の関税同盟加入すら辞さず、より国家主義的である。

 最大のサプライズは、社会政策相にN.コロレウシカ女史が起用されたことである。彼女は先の議会選挙で「進めウクライナ!」を率いて戦い、つい最近まで完全な野党だった。今や社会政策という最も難しい分野の閣僚になったわけで、外様閣僚なのでいざという時に真っ先に切られる可能性もあるわけだが、今回の入閣で文字通り自らの政治生命を繋ぎ止めたわけだから、一番得をしたことも紛れもない事実だ。

 留任した閣僚では、「ウクライナ・インテリゲンツィヤの良心(?!)」ことD.タバチニク教育相が残ったのは、引き続き閣内でロシア・ベクトルの係としてだろう。O.ラヴリノヴィチ法相は、新内閣の派閥間のバランスを保つためだろう。

 今回の組閣からは、2つのメッセージが読み取れる。第1に、経済・社会政策においては改革派に賭けることであり、これはアルブゾフやコロレウシカの起用に見て取れる。第2に、欧州ベクトルからの離脱であり、V.バローハ非常事態相、P.ポロシェンコ経財相、V.ホロシコウシキー副首相、K.フリシチェンコ外相といった欧州統合派の閣僚たちがポストを失った。もっとも、フリシチェンコは副首相に任命はされたが。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20130117ruauto

 こちらのニュースで、欧州ビジネス協会が、2012年のロシア乗用車市場の販売実績と、2013年の予測を発表したということが伝えられている。そこで、販売台数の推移を、図にまとめてみた。ロシア市場における新車の乗用車の販売台数であり、LCV(小型商用車)の台数も含んでいる。

 図を見れば明らかなように、2008年までのバブル景気が一転して、リーマンショック後の2009年に激減し、そこから回復を遂げてきた、というのがこれまでの経緯である。2012年の販売台数は前年比10.6%増の293万5,111台だった。バブル期の数字を上回ったことになる。2013年については、楽観シナリオで310万台、悲観シナリオで280万台、平均シナリオで295万台と予測されている。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20130117tolbabay

 最近、プライベートの時間はほとんど『世界地名事典』の仕事をしているから、本ブログの話題もそれが多くなっているわけだけど。今回、私が引き受けたのは、基本的にバシコルトスタン共和国、ペルミ地方、オレンブルグ州、スヴェルドロフスク州、チェリャビンスク州、クルガン州の6つの地域の地名。要するに、ウラル地方の地名だ。

 ただ、ちょっとだけ、それ以外の地域の地名も微妙に混入している。その中に、ウドムルト共和国のシャルカン村というのがあった。何だよ、その村、なんか書くことあんのかよと思いながら調べたら、面白い事実が判明。ウドムルト版のサンタクロースである「トル・ババイ」というのがあって、「トル・ババイの住む家」というものがシャルカンから東に5kmのチトボTitoboというところにあるそうなのだ。こちらの記事などを見ると、ウドムルトの子供たちが憧れるおとぎの国みたいなところらしい。う~ん、奥が深すぎて、何だか良く分からん。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

↑このページのトップヘ