ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

 今日は一念発起して部屋の大片付けをすることにしたので、ブログは簡単なものでお茶を濁す。

 早いもので、先日の香港・マカオ旅行から、もう約1ヵ月が経ってしまった。今回は、自分で食べようと思って買ってきた食べ物の土産物が、かなり正解だった。

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 これは香港のスーパーで買った乾麺。表示を見たら、資本は分からないが、中国本土のシンセンの工場で生産しているようである。味が違う4種類を買ってきた。インスタントラーメンみたいに、鍋で数分茹でて、スープを加えて食べる。米の太麺であり、指定された分数で茹でると恐ろしくコシがあって、バリカタというかアルデンテというか、とにかく芯残りまくりである。しかし、それがなかなか新鮮な食感で、スープもなかなか行け、楽しい麺だった。あとちょっとで食べきってしまうのが、名残惜しい。

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 こちらは旅行記でも紹介した、マカオ名物、焼肉乾というやつで、土産店で購入した。店頭ではむき出しの肉板をハサミでチョキチョキ切って売っていたが、これは最初からパッケージされている。こちらは賞味期限もあるので、もう食べちゃった。


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20140210sochi

 何度も言うように、方針によりソチ五輪は一秒も観ていないけれど、個人的には4年後のロシアW杯を人生の集大成(?)と位置付け、そのイメトレを兼ねて今回のソチ五輪でも大会をめぐる様々な問題はトレースしたいと思っているのである。

 そうした観点からも、興味深く読んだのが、サッカーライター後藤健生さんのコラム「プーチンの肝いりで施設を完成させたソチ 反対運動が巻き起こるブラジルの方が健全ではないか」だった。この中で後藤さんは、「(ブラジルでW杯に向けて)あのような豪華スタジアムが、マナウスやクイアバといった地方都市に必要なのかというのは大きな疑問だ。その都市の規模、その都市のクラブの地位に見合った、もっと簡素なスタジアムでいいのではないか。同じことは、ソチにも言える。『ソチのような地方都市に贅沢なスポーツ施設が必要か?』という問題だ。だが、ロシアではそのような疑問は一切が封印されてしまった。ブラジルとは違って反オリンピック・デモは起こらなかったようだ。(その代わり、より過激な自爆テロが起こったが、それがオリンピック開催と関係があるのかどうかは別として)」と述べておられる。

 私の感覚からコメントさせていただけば、今日ではロシア国民は争点によってはかなり大胆にプーチン政権に反旗を翻すことがある。ただ、五輪に関して言えば、自分のハラが痛んでいる実感がそれほどないのではないか。むろん、五輪向けに巨額の公的資金が投じられたはずだが、それらはオイルガスマネーが国を通じて投資されたものであり、国民の血税という感じではない。むろん、広い意味での国民の財産が投じられているわけだが、自分が苦しい思いをして収めた税金という感覚ではないので、怒りが起きにくいのではないか。日本で、所得税等が源泉徴収されると、納税者意識が希薄になるのと、似ていると言えなくもない。

 で、私が時々利用するロシアの世論調査機関「レヴァダ・センター」の調査結果で何かヒントになるものがないかなと思って探したら、こんなものが見付かった。2014年1月24~27日にロシア全土で1,600人を対象にアンケート調査を行った結果ということである。この調査で、回答者に、「貴方は、ソチ冬季五輪の準備のために、自分の個人的な資金をいくら提供する用意があるか?」という質問が問われている。その結果、そもそも自分の資金を出す用意のある回答者は、14%だけだった。用意があるという人に、ではいくら出せるかと訊いたところ、平均は1,321ルーブルだった(注:ざっくり言って3をかけると日本円になる)。一切カネを出すつもりがない者も含めると、全回答者の平均は182ルーブルとなる。興味深いのは、仮にロシアが好成績を収めても、ロシア国民の財布の紐がほとんど緩まないことである。アンケートでは、「アイスホッケーのロシア代表が金メダルを獲れるとしたらどうか?」、「ロシアがホッケー優勝に加え、総合成績で1位になるとしたらどうか?」ということも問われている。その結果、下記のとおり、数字はほとんど上がらないのである。

最初の質問:14%:1,321ルーブル:182ルーブル
ホッケーで優勝する場合:15%:1,572ルーブル:240ルーブル
総合優勝する場合:16%:1,734ルーブル:270ルーブル

 それでは、最初の質問で自分のカネを出すつもりがないと答えた回答者(つまり86%)に、その理由を訊いたところ、以下のようになった。複数回答が可能であり、出すつもりがない86%の回答者に対する比率である。

自分は充分な所得がないので出せない:37%
すでに自分の税金という形で五輪に金を出している:33%
スポーツ・ソチ五輪には国家が独力で資金を出すべき:30%
そうした寄付をしても効果的・有益に使用されると思えない:23%
募金するにしても五輪以外のもっと重要なことに出したい:21%
スポーツに興味がない:9%
ソチ五輪に興味がない:6%
その他:1%

 以上が調査結果だった。まあ、ロシア人というのは、ケチではないんだけど、醒めてるよね。最近目にしたニュースによると、日本に来日する外国人観光客のうち、滞在中に最も派手に買い物をするのが爆買い・中国人で、その次がロシア人なんだそうだ。だから、ロシア人は、自分の楽しみのために、納得さえすれば、いくらでもカネを出す人々と言える。しかし、公共的なことになると、とたんにカネを出したがらなくなる、という感じではないか。


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 こちらのニュースによると、カザフスタン中央銀行は2月11日、同国通貨テンゲを切り下げる決定を下した。それまでの公定レートが1ドル=155.56テンゲであったのに対し、同日より185±3テンゲへの切り下げに踏み切ったものである。N.ナザルバエフは本件に関し、これはカザフ企業を保護するための方策である、これによりカザフ経済は追加的な利益を得られ、今後の成長に好影響がもたらされる、などと発言した。


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20140214byexport

 こちらに、ベラルーシ経済の特異性を示すニュースが出ている。これによると、V.セマシコ第一副首相が産業省に対し、その傘下企業は本年、製品の70%を輸出しなければならず、特にベラルーシ自動車工場(BelAZ)、ミンスク自動車工場(MAZ)、ミンスク・トラクター工場(MTZ)といった一連の企業は自社製品の90~98%を輸出しなければならないという課題を課した。2月13日に発表されたベラルーシ内閣のリリースの中で、その旨が伝えられている。

 セマシコ第一副首相は、以下のように述べた。ベラルーシ企業は常に競争力があるわけではないので、全般的に価格が落ち込む中、販売で苦戦している。というのも、(産業省傘下企業は)他のセクターや他国の企業と比べて過大な税負担を課せられ、電力料金でも家庭向けを安くするために高い企業向けの料金を課せられているからだ。ベラルーシより電力料金の高い国はヨーロッパに1~2ヵ国しかない。それに加え、ベラルーシ企業は50~60%もの高金利、重い社会負担を課せられている。

 以上が第一副首相の発言だが、半ばやけ気味というか、客観的現実を見れば産業省傘下企業の経営条件は劣悪なのに、70%、90%も輸出しろというのは無茶な話であり、ベラルーシの経済モデルに根本的に無理があることを物語っている。


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20140213uaopros

 こちらのサイトに、ウクライナの世論調査結果が出ていたので、それをチェックしておこう。調査は1月24日から2月1日にかけてウクライナ全地域の2,400人の回答者を対象に調査センター「ソツィス」とキエフ社会学国際研究所が共同で実施したということである。

 この中で、何と言っても興味深いのが、大統領選の決選投票で、ヤヌコーヴィチ現大統領と各野党リーダーの組み合わせになった場合に、どちらに投票するかという設問である。記事ではその結果が文章で表示されており、まどるっこしいので、当方で上のような図にしてみた。要するに、今回の調査を見る限り、ヤヌコーヴィチは野党リーダーの誰と戦っても、分が悪そうだ、ということである。ただ、そうした中でも、いかにも野党という民族・民主派のチャフニボク、ティモシェンコ、ヤツェニュークよりも、あまり既成政党の色の着いていないクリチコやポロシェンコの方が、ヤヌコーヴィチを倒せる可能性が高そうだ、ということになる。ヤヌコーヴィチとしては、戦う相手が共産党のシモネンコあたりになってくれれば、と願っているかもしれない。まあ、実際に選挙になったら、行政的資源が動員されるし、この数字どおりになるとは限らないが。

 順序が逆になってしまったが、大統領選第1回投票で誰に入れるかという設問では、ヤヌコーヴィチ29.5%、クリチコ28.7%、ポロシェンコ18.6%、ヤツェニューク9.2%、シモネンコ4.7%、チャフニボク3.8%、メドヴェチューク0.7%、その他の候補4.9%となっている。

 ヤヌコーヴィチ体制に対する街頭抗議運動「マイダン」を支持するかという設問では、完全に支持する26.8%、どちらかと言うと支持する20.9%、どちらかと言うと支持しない14.8%、支持しない31.3%だった。


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 昼休みのちょっとしたつぶやき。

 公約どおり、今のところオリンピックは1秒も観ていない。いつもは夜のテレビニュースをだいたい観るのだけど(報道ステーションが多い)、ニュースの中でオリンピックが取り上げられると観たくなってしまうので、ニュース番組も観なくなった。ただ、それだと世の中から取り残されそうなので、今週からテレ東のワールドビジネスサテライトを観るようにしようかな、と。同番組なら、スポーツは一切取り上げないので(同局はスポーツニュースが別番組だから)、いいんじゃないかなと思って。そんなわけで、昨日から、テレ東を全録する体制に入った。前にも書いたとおり、昨年暮れにレコーダーを買い替えて、NHKとテレ朝は1週間分くらい全録する体制になっているんだよね。それに、テレ東も加えたという次第。

 その行きがかりで、昨日、「ありえへん∞世界」というバラエティー番組を観てしまった。こんなもんを観るくらいなら、オリンピックを観た方がマシではないかという気もしないでもないが、まあ昨日は旧ソ連のリトアニアとサハ共和国が取り上げられていたのである。最近、サハ共和国のことを色々調べていたので、そうした興味もあって番組を一応チェックしてみたわけだ。皆さんご存知かどうか分からないが、この番組は、世界のあまりメジャーではない国に出向いて、変な日本食レストランとか、我々が想像できないような習慣とか、そういうものに「ありえへん」とツッコミを入れていく内容になっている。サハ共和国では主にその酷寒ぶりが取り上げられていた。で、ヤクーツクにある「Северо-Восточный федеральный университет(連邦北東大学)」というのが映し出されていた(下の写真)。ロシアでは全国9つの拠点大学が「連邦大学」に指定されていて、そのうちの1つがサハにあるというのを私も最近知って、へぇ~と思っていたところである。ところが、昨日の番組では、「北都大学」とかいう誤ったテロップが出ていた。ツッコミを入れる番組が、自分で誤訳してどうする。

20140212svfu

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 こちらのニュースによると、欧州連合(EU)理事会は、2月10日に開かれた会合で、EUは現在予定されているウクライナとの連合協定だけでなく、その先を見据えていることをうかがわせるアピールを採択した。アピールでは、理事会は当該の連合協定はウクライナとの関係の最終ゴールではないとの確信を表明する、と述べられている。リトアニアのL.リンキャヴィチュス外相は、これはEU加盟の可能性を念頭に置いたものであると、記者団に語った。アピールではさらに、ウクライナが準備ができ次第、自由貿易協定を含む連合協定に調印する用意がEU側にあることが表明されている。さらに、主権国家は他国からの圧力なしに対外政策に関する自らの決定を下す権利があるということが強調されている。


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20140211ghost

 こんな本を読了した。鈴木啓志著『ゴースト・ミュージシャン ソウル黄金時代、アメリカ南部の真実』である。紹介文を拝借すると、

 ソウル黄金時代の陰に、その存在を隠され続けた最高のミュージシャンたちがいた(注:スタジオなどで働く裏方の演奏家たちのこと)。オーティス・レディング、ウィルソン・ピケット、アレサ・フラクリン、キャンディ・ステイトンなど、1960年代から70年代にかけて、ソウル・ミュージック黄金時代の代名詞となるシンガーたちの名曲を支えた最高のミュージシャンたち。しかし、彼らは知る人ぞ知る存在であった。なぜ彼らは歴史の闇の中に隠されてきたのか? アメリカ南部、アラバマ州マスル・ショールズのスタジオ“FAME(フェイム)"に集められた、“ゴーストライター"ならぬ“ゴースト・ミュージシャン"たちの功績を、海外の研究者による定説にも鋭くメスを入れ明らかにする、ソウル評論の決定版。

 という内容である。この本の優れたところは、明確な「主張」があることである。日本ではとかく、大部分の書籍は、あるテーマについて、ああでもない、こうでもないとつらつらと綴って終わるというパターンが多いだろう。読めばそれなりに楽しいかもしれないが、何か重大な問題が提起されるわけではない。その点、この鈴木さんの本には、まったく外連味のない主張がある。以前、野口悠紀雄さんが「メッセージのない本は、本ではない」とおっしゃっておられたが、その点でこの『ゴースト・ミュージシャン』は稀有なほど強いメッセージを打ち出した、本の中の本である。実は、この分野においては、ピーター・グラルニックというアメリカの評論家が『スウィート・ソウル・ミュージック』という名高い著作を出しており、今回の『ゴースト・ミュージシャン』はそれへの徹底的な批判となっている。アメリカで権威とされている専門家に、日本のソウル界の重鎮が噛みつくというのは、それ自体大変に痛快である。

 ピーター・グラルニックと、それに影響を受けたアメリカの論壇が信じるのは、マスル・ショールズのフェイム・スタジオの録音を担ったのは、白人のスタジオミュージシャンたちだった、ということである。それに対し我らが鈴木啓志さんは、実はフェイムのリック・ホールは黒人歌手の重要なセッションは白人ミュージシャンには任せなかった、ソウルの重要作は黒人ミュージシャンによって演奏された、白人ミュージシャンは黒人プレーヤーを模倣することで徐々に腕を上げソウル・フィーリングもある程度掴めるようになったにすぎない、実際に黒人によって担われている演奏を白人のそれと偽ったのはフェイムを使ったアトランティック・レコード幹部ジェリー・ウェクスラーによる策謀だった、と唱えている。

 しかし、鈴木さんの論拠は、状況証拠の積み重ねと、自分の「耳」である。特に問題になるのは、ドラマーがフリーマン・ブラウン(黒人)か、ロジャー・ホーキンス(白人)かということなのだが、鈴木さんは自分は今では95%の精度で両者を聴き分けられると豪語する。一方、ピーター・グラルニックらのアメリカの主流派は、曲がりなりにも関係者へのインタビューの積み重ねや、ディスコグラフィーにもとづいてソウル黄金時代のありようを叙述しているわけである。鈴木さんは、批判精神のないインタビューをいくら積み重ねても無意味、ディスコグラフィーは改竄されていると主張するのだが、一般的な学問論証手続き的に言えば、どう考えても『ゴースト・ミュージシャン』は分が悪い。

 私自身は、サザンソウルは入門して年月が浅く、鈴木さんのような「耳」はない。モータウンのベースがジェームス・ジェマーソンかどうかだったら、80%くらいの精度で聴き分けられるかもしれないが、サザンソウルに関しては無理である。鈴木さんのことはこよなく尊敬するし、この本を読んでも「なるほど、そうなのだろうな」と思わされるところが多かったが、本書について「強引すぎる推論」といった批判が多く寄せられているのも無理はないなという気がする。

 もう、かくなる上は、演奏者が誰であるかをデジタル的に解析・判定するソフトでも開発するしかないのではないか? 指紋認証とか、声紋判定とか、そういうのができるのだから、楽器の音色やフレージングの特徴、微妙なクセなどを認識して、演奏者を判定する技術くらい、開発できそうな気がするのだけれど、どうだろう?


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 編集作業が終わったばかりの3月号、とりあえず表紙だけご紹介。ランキング尽くし号です。


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20140210sochi

 すでに述べたとおり、個人的にオリンピックは一切観ていない。他方、ここ数日、さすがにロシアも五輪の報道一色で、私がフォローすべき一般的な経済ニュースが少なくて、助かっている。そんな中、私が追っている2018年W杯との関連でも注目すべき話題を一つ見付けたので、それを取り上げておく。

 こちらのニュースによると、ロシアのA.シルアノフ蔵相は、ソチのオリンピック施設のうち、大会終了後にどの部分が連邦資産に留まり、どれだけの財政支出をして維持していけばいいのか、省として把握していないと発言したということである。我々は、どの施設を誰の所有にするのか、明確に決定し、そしてそれらをどのように維持・利用するのか考えなければならない。施設は、連邦・地域・投資家によって分割しうる。いくつかの施設は完全に買収が可能だろうが、ある種の施設は財政で維持していなかければならない。したがって、現在の課題は、スポーツ省が(ソチのある)クラスノダル地方と共同で、どれを連邦資産に残すのか、どれを地方の所有とするのか、どれを民間に払い下げて営利目的で使うのか、決めることである。以上のように蔵相は述べた。

 要は、ロシア当局はソチ五輪に向け、細部を詰めることなく、見切り発車で施設を建てちゃったということだろう。


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20140210vivi

 引き続き、シベリアの地理について調べていて、気付いたこと。ロシアの地理的な中心がどこにあるかというと、クラスノヤルスク地方のヴィヴィ湖というところになるそうだ。これは、ソ連崩壊直後に、ロシアの連邦測地・地図作成局が正式に認定したものであるそうで、1992年8月にはそれを記した記念碑が現地に設置されたということである。そんな話は知らなかった。ただ、地図で見てみれば、なるほど、ここがロシア国土のど真ん中と言われれば、納得である。自然地理学的に言えば、このヴィヴィ湖というのは、中央シベリア高原のプトラナ台地に位置する。


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 シベリアの経済地理のことを調べていて、ロシア語で「Предбайкалье(プレドバイカリエ)」という聞き慣れない言葉に出くわした。「Задбайкалье(ザバイカリエ)」という言葉はもっとポピュラーで、「外バイカル」という意味であり、ヨーロッパ側から見てバイカル湖の向こう、すなわちブリヤート共和国およびザバイカル地方(昔のチタ州)のことを指す地名である。「プレドバイカリエ」というのは、「前バイカル」という意味だから、バイカル湖の手前という意味なのだろう。こちらのサイトなどを見ると、前バイカルというのは、実質的にイルクーツク州のことを指しており、同州の雅語になっているような感じがする。ザバイカリエ(外バイカル)とプレドバイカリエ(前バイカル)を総称し、単に「Байкальский регион(バイカルスキー・レギオン)」、すなわちバイカル圏と呼ぶ。


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 こちらのニュースによると、ロシアはウクライナに対する150億ドルの金融支援を約束しているものの、その第2トランシュ(20億ドル)の供与は、ウクライナがロシアに対するガス債務を履行したことを受けて実行する構えだという。ロシアのA.シルアノフ蔵相がこのほど表明した。「我々はウクライナ側がガスの支払を行うのを待っている。額は決して小さくない。1月末までに支払われなければならなかったが、今のところ実行されていない。我が国は、両国がともに義務を履行することを願っている。当初の合意によれば、150億ドルの金融支援は本年5月までに行う予定だった。ウクライナ側のガス債務は1月の支払い分ではなく、リスケされた旧債務であり、1月25日が支払期限だった。27億ドルである。本年分については、自分の知る限り、計画通りにガス代金が支払われている。ロシア大統領がウクライナに約束したことは履行されるが、ウクライナ側も自分たちの約束を履行するように期待する」と、シルアノフ蔵相は発言した。


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 私は自分がやることとやらないことをはっきり区別して生きている。やることは徹底的にやるが、やらないことは一切やらない。

 昨年まで、アメリカンフットボールのプレーオフとスーパーボールを観ることは、私のやることだった。しかし、時間がないので、今年からもうやめることにした。今季はアメフトは一秒も観ず、先日のスーパーボールも完全にスルーした。まあ、スルーして正解みたいなゲームだったようだけど。

 そして、ソチ五輪であるが、これも基本的に観ないことにしようと思っている。ただ、唯一の例外は、女子モーグル。以前からずっと上村愛子さんを応援していて、女子モーグルだけは例外扱いで観ようかなとも思っていた。彼女がメダルを獲るところを見届けなければ、死んでも死にきれない、なんて思ってたし…。

 あら? いつの間にか、女子モーグル、終わってた。なんか、競技のスケジュールがよく分からなくて、唯一積極的に観ようかという気持ちがあった種目が、もう終了してた。

 「5大会連続で入賞なんて、凄いじゃないか」と言ってあげたいけれど、本人には慰めにもならないだろうし、あまり掘り下げないようにする。

 いずれにせよ、正真正銘、自分にとってのソチ五輪は終わった。正直言えば、あと、女子カーリングも観たい! でも、試合数も多いし、観戦はやめておこう。男子アイスホッケーは、ロシア・チームの試合が放送されたら、観るかもしれない。ただ、それは五輪観戦というよりも、自分にとっての本線であるサッカーとの比較、W杯に向けたイメージトレーニング的意味合いが強い。ロシア研究者として、大会の組織振りや国民の盛り上がり度合いなどには興味があるが、それは大会終了後に別途報道やルポなどで確認しようかと思う。


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 東京都知事選挙の投票が明日に迫った。脱原発派の私としては、細川護熙氏に投票するつもりだが、小泉純一郎氏の応援も、あまり大きなうねりを巻き起こすには至らなかったのだろうか。まったく無風のまま、舛添要一氏の勝利に終わりそうな雲行きである。細川・小泉連合としては、無党派層をどこまで取り込めるかが勝負なわけで、選挙戦最終日の本日などは、本来であれば銀座・新宿・渋谷あたりで最終的な追い込みの街頭演説でもしたいところだろうが、肝心のその日に、東京としては記録的な大雪というのが、何とも皮肉である。個人的に、決してポピュリズム政治にくみするわけではないが、今回ばかりは小泉氏が郵政選挙の時に見せたような大衆動員力に密かに期待していただけに、あらら、という感じである。実際のところ、細川氏が知事になるよりも、舛添氏の方が、健全な都政になるかもしれないという気は、私もしている。しかし、小泉氏の求心力に期待していた者の一人として、細川・小泉連合があえなく敗れた場合に、脱原発の気運が急激にしぼんでしまわないかというのが、心配である。

 哀しきサヨクのこの私は、選挙で自分が投票した人や党が勝ったためしはほとんどないのだが、今回もまたそうなりそうだ。ちなみに、私は単に、平和な世の中、人々が制御不能なテクノロジーへの恐怖におびえなくて済むような世の中を願い、国民の主権が国家権力や官僚制の恣意に優先する当たり前の国なってほしいと思っているだけなのだが、今の日本という国ではそれがサヨクとされてしまうのだろう。


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 こちらのニュースによると、ウクライナ中央銀行は2月7日、同国通貨フリヴニャの公定レートを、1米ドル=7.9フリヴニャから、8.7フリヴニャへと切り下げた。通貨の切り下げは2012年9月以来、1年半振りとのこと。S.アルブゾフ首相代行は、国内の否定的な政治状況が外為市場に悪影響を及ぼしているとコメントした。


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 ベラルーシの社会経済政治独立研究所より、『インフォフォークス』という月刊ニュースレターの最新号(2014年1月号)が届いた。この中で、認識を新たにさせられた点がある。ロシアなどと同じように、A.ルカシェンコ大統領支配下の現ベラルーシにおいても、「近代化」という言葉が標語として多用されるようになっているというのだ。

 大統領が年次教書で「近代化」という言葉を使った回数を見ると、そのことが確認できる。2002年から2012年までは、ずっと1桁の回数だった。それが、2013年になり、49回へと急増したのである。最近5年間の教書で「近代化」という言葉が使われた回数は、以下のとおりとなっている。

2009年:3回
2010年:9回
2011年:7回
2012年:6回
2013年:49回

 ただ、ルカシェンコ政権の場合、「近代化」というものの捉え方が独特で、市場経済化や自由化を軸に推進していくというよりも、国家主導で産業設備の更新を進めるような事柄を意味している場合が多いようだ。


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20140206uaelectorate

 レポートを書いていて、ドネツィク州の有権者の数を軽く調べようと思ったのだが、これが意外に大変で、手間取ってしまった。中央選挙管理委員会のウェブサイトで、地域別の有権者数の一覧みたいのがすぐに見付かるだろうとたかをくくっていたのだが、HPがちょっと分かりにくく、そこでは2010年大統領選時のやや古いデータしか見付けられなかった。結局、こちらのサイトに出ている数字が、2012年で比較的新しいので、これを使うことにした。せっかく調べたので、ついでにグラフにしてブログに掲載しようと思い立った次第。枯れ木も山の何とやらというやつである。

 まあとにかく、何が言いたいかというと、我々はついキエフというパフォーマンスステージでの派手な立ち回りにばかり目を奪われてしまうけれど、いざ選挙となったら、ドネツィク州の巨大票田がモノを言いますよ、ということである。なお、ウクライ全体の有権者数は36,763,367人だから、ドネツィク州はその10分の1近い比率を占めていることになる。


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 2月5日、モスクワのロシア政府庁舎で、極東開発に関する政府幹部会合が開催された。差し当たりこちらのニュースによると、極東開発の手段として、税制優遇を伴う「特例開発区域」の創設、国営企業を極東に移転させること、公開型株式会社「極東開発」を創設することなどが提案された。Yu.トルトネフ副首相が、D.メドヴェージェフ首相に対して提案した。トルトネフは、2014年3月の次回会合までにこれらの方策を取りまとめるとしており、追加の財源1,700億ルーブルが想定されている。しかし、この構想はS.ショイグが2012年に提案した極東開発国家コーポレーションに酷似したものである。

 本来ならもっと詳しく取り上げたいが、余力がないのでとりあえずこのくらいで。


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 こちらのニュースによると、EUのフューレ欧州委員(EU拡大・欧州近隣国政策担当)は、我々は東方パートナー諸国との個々の連合協定についてロシアと協議することはしない、両者間では連合協定および自由貿易協定がロシア経済およびロシアとの貿易関係に及ぼす影響についてのみ検討する、と述べた。両者は1月28日に開催されたサミットで、ワーキンググループを設けることで合意しており、その場で本件について協議していくことになるという。我々は決して東方パートナーシップ諸国の頭越しに個々の連合協定についてロシアと話をすることはしないと、フューレは強調した。


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 こちらのニュースによると、ウクライナ・エネルギー・石炭産業省は2月4日、2030年までのエネルギー戦略の更新版を発表したということである。ただ、正式に最終採択されたというよりも、新たな草案が発表されたような雰囲気だ。現在のところ、同省のウェブサイトに当該の情報が見当たらないので、その点の確認がとれない。

 ともあれ、記事によれば、更新版の戦略でも、ロシアから輸入する天然ガスに代わる代替のエネルギー源を求める方針が保持されている。戦略では、悲観シナリオ、基礎シナリオ、楽観シナリオという3つのシナリオが示されている。いずれのシナリオにおいても、2030年時点のウクライナのガス消費量見通しは、約500億立米となっている。悲観シナリオにおいては、2020年時点の国内ガス採掘が240億立米、2030年は同300億立米となる。残りは、ロシアからの輸入に加え、エジプト、アルジェリア、カタールからのLNG輸入、アゼルバイジャンからのガス輸入、ヨーロッパからの輸入でまかなう。他方、基礎シナリオおよび楽観シナリオにおいては、2020年の国内生産が300億立米、2030年が450億立米となり、その分輸入の必要性が減る。その際に、2030年までに在来型ガスの国内生産が年間約200億立米と現状とほぼ同レベルに留まるのに対し、黒海深部における採掘、シェールガス、タイトガス、炭鉱メタンガスの活用が大幅に増えることになる。2030年までに黒海深部およびタイトガスの採掘は70億~90億立米、シェールガスは60億~110億立米、炭鉱メタンガスは10億~30億立米に達する。基礎シナリオによると、2015年のウクライナのガスの国内生産は209億立米、2020年237億立米、2030年444億立米となる。輸入は、2015年337億立米、2020年271億立米、2030年50億立米となる。この基礎シナリオの見通しは、2012年に発表された戦略の旧草案と変わっていない。


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 以前も触れたことがあるが、モルドバの少数民族の自治単位であるガガウス共和国で、2月2日に住民投票が行われ、その中で、モルドバが帰属すべきはEUか、それともロシア主導の関税同盟かという質問が問われた。モルドバ側は国家主権にかかわる問題の住民投票実施は認められないとしていたが、ガガウス議会は1月31日に投票実施を再度決議し、結局投票を強行したようだ。その結果、こちらのニュースが伝える速報値によれば、70.4%という非常に高い投票率が記録された。注目の、対外戦略に関する設問では、98.5%の回答者がロシア主導の関税同盟加入に賛成し、反対は1.5%だけだった。逆に、EU統合に関しては、賛成は2.8%止まりで、反対が97.2%に上った。


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 先日、ロシアの極東発展省が、サマラ州行政府とAvtoVAZ社(同州トリヤッチ市に所在するロシア最大の地場自動車メーカー)に、同社で整理された人員を、極東の沿海地方に移住させて就業することを提案するという動きがあった。それを受け、こちらのニュースによると、AvtoVAZ労組のS.ザイツェフ委員長は1月31日、提案を支持する旨発言した。書簡が届いたわけではないので、どのような具体的な職が極東で提供されるのかは分からない。しかし、労組としてはいかなる就職の提案も歓迎し、それがあるのは結構なことである。問題は、移住した人々がどこに住むことになるかだ。2009年にAvtoVAZで人員整理が行われた時には、専門家たちはレニングラード州チフヴィンに移住し、その地の工場で働くことを提案されたが、仕事の内容が大きく変わるので決断した者は多くなかった。沿海地方や、その他の極東で働く場合には、定住するのではなく、出張労働という形が望ましいだろう。現在AvtoVAZでは相談窓口が設けられており、専門家が市内での別の仕事を職員に斡旋している。ザイツェフ委員長は以上のように語った。なお、AvtoVAZでは1月23日に、7,500人の人員削減を発表したところである。


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 こちらのサイトで、T.スタノヴァヤという専門家が、最近のロシア・プーチン政権の力学、人事政策などについて論評しているので、主要部分を以下のとおり抄訳しておく。

 1月16日、V.プーチン大統領は主要閣僚との会合を行い、「私はD.メドヴェージェフ首相と、2週間に一度程度集まって、最重要問題をともに話し合うということで合意をした」と発言した。これまでは表向き、国家元首と執行権力が距離を置いてきたが、プーチンは自らが直接内閣を指導するという以前のやり方に戻ることを公にしたことになる。

 プーチンは内閣に対する態度を変えた。以前のモデルは対抗的な原則にもとづき、大統領は政府から距離を置いて、閣僚を批判し、自らは執行権力を方向付ける戦略家として振る舞うことができた。ただ、強調しておくべきは、プーチンは内閣に対する統制を弱めたことはなく、過去1年半も、すべての重要問題の決定に直接的に関与してきたということである。しかしながら、閣僚らと公の会議を開くという慣行への復帰は、本質的に、実質的な政府の長としての大統領の役割を正当化することになり、潜在的には対抗関係を弱め、内閣をめぐる政治的軋轢を低める可能性がある(必ずそうなる保証はないが)。

 今回の変更には、いくつかの理由がありそうである。ロシア経済に関する悲観的な見通し、以前のように政府を批判しているばかりでは閣僚の権威を低め安定性を損ないかねないこと、戦略イニシアティブ・エージェンシー(ASI)のような疑似国家機関が行政機構の権威を掘り崩しつつあり政策決定が過度に政治化してしまったこと、などが挙げられる。

 モデルの変更は、プーチンが人事政策も見直していることを意味するかもしれない。当初、メドヴェージェフ内閣に入閣し、すなわち首相に賭けようという向きは、決して多くなかった。多くのエリートたちは、「将来性のない」政府におけるポストをオファーされても、受け入れなかったのである。その結果、閣僚たちの権威は、低いものに留まった。政治的・行政的な観点からして、首相の権威は傷付いた。2年間の間、プーチンは多分にこの状況に満足し、旧閣僚を大統領府のポストに「昇格」させ、エネルギー委員会など政府とパラレルの組織を作ったりした。その論理は明快で、安定的な条件下で、政治的に先のない政府が制御可能な、しかし不人気な社会改革を推進するというものだった。だが、経済の否定的なトレンドが、プーチンに、別のアプローチを迫ったのである。

 今や、新たなモデルの下では、プーチンは政府の人事政策により積極的に介入することを迫られそうだ。プーチンが実質的にトップに立ったメドヴェージェフ内閣では、人事の一新があるかもしれない。プーチンには、懸念や、社会・政治的リスクなしに、政府の活動に直接的に関与するツールが必要である。様々な理由で、多くの閣僚がその座を去る可能性があるだけに、なおさらである。

 その中で、昇進を期待できそうなのは、D.コザク副首相くらいである。オリンピック終了後、同氏は検事総長に就任する可能性が高い。以前には、G.ポルタフチェンコ・サンクトペテルブルグ市長が有権者の受けが悪いから、コザクが同市長に就任するという説も流れた。オリンピックが終わると、コザクの管轄は建設と地域政策しかなくなってしまい、それらは経済発展省と競合する分野である。

 その他の閣僚に関しては、今以上に昇進するということは考えにくい。公開政府担当のM.アブィゾフ大臣は、フォーラムに出席しながら「全ロシア国民戦線」側からしかるべき扱いを受けなかったため、議場を去るという事件が最近あった。S.ドンスコイ天然資源相の解任には、I.セーチンが関心を抱いている。N.ニキフォロフ通信・マスコミ相は、あまりにも若すぎ、通信部門の経験も豊富でないことが判明した。I.スリュニャエフ地域発展相は、メドヴェージェフ首相の個人的な推薦で就任したが、解任の可能性が高いと長らくマスコミで伝えられており、大統領から批判されることが最も多い閣僚ともなっている。

 D.リヴァノフ教育・科学相の状況は、より複雑である。学位スキャンダルと、科学アカデミーおよび大学との対立の際には、下院のすべての会派が大臣の解任を要求していた。しかし、彼の推進している改革については大統領からの支持があるので、その立場は一見するよりも強いかもしれない。そして、大臣は批判の火の粉を自らが引き受けている。一方、大統領は、危機的な状況下では、科学アカデミー改革の時がそうであったように、調停者として振る舞うことができる。

 メドヴェージェフの右腕と言えるA.ドヴォルコヴィチ副首相の立場も、錯綜している。ただ、メドヴェージェフがドヴォルコヴィチの解任に同意する可能性は低い。また、これまでの経験からすると、ドヴォルコヴィチはセーチンと対立はしているものの、妥協はでき、表沙汰のスキャンダルは回避可能な人間である。

 プーチンが大統領に復帰してからの1年半で、人事は盛んに動いており、すでに7人の大臣が交代した。その際に、人事政策において、オリガルヒ界の影響が強まっている節がある。たとえば、最近メドヴェージェフはA.アリョーシンを連邦環境・技術・原子力監督局長官に任命する政府指令に署名したが、同氏は国家コーポレーション「ロステフノロギー」のS.チェメゾフ社長の子飼いであり、同氏の推しで大統領官房、プロムエクスポルト、ロスアバロンエクスポルト、ロステフノロギーなどの役職を歴任してきた人物である。連邦政府関係者によると、アリョーシンはA.ウスチノフ大統領顧問(セーチンに近く、連邦環境・技術・原子力監督局支配をねらっていた)からも、ドヴォルコヴィチ副首相(同氏の推した人物はセーチンの気に食わなかった)からもそれぞれ遠いという。以前同局を率いていたI.クチインは、セーチン派と言われていた。今回のアリョーシンの任命は、政権上層部で、特定の影響力グループの利益を代表する人物がより積極的に登用されるようになっていることの表れである。マグニトゴルスク冶金コンビナートのB.ドゥブロフスキー社長がチェリャビンスク州知事代行に就いたことにも、その傾向が見て取れる。

 大手のビジネスグループの影響を考慮しようとする姿勢は、A.クライニー連邦漁業庁長官の退任にも反映していた。2012年に漁業庁は農業省傘下となったが、省が漁業庁を実質的に配下に収めるには至らなかった。クライニー解任の観測は2012年初頭頃から流れ始めた。当時は、M.ヴォロビヨフ(統一ロシアの元幹部で、現モスクワ州知事のA.ヴォロビヨフの弟)の「ルースコエ・モーレ」社が、G.ティムチェンコの会社と合併したところだった。2011年には、現セーチン顧問のR.トロツェンコもクライニーと対立した。当時、統一造船コーポレーションの社長だったトロツェンコは、プーチンがムルマンスクに出張した際に同行し、ロシア国内で漁船を調達したかその契約を交わした漁業者にのみ漁獲割当を交付するという新方式を提案した。2012年11月に、農業省は漁業庁の頭越しに、この方式を決定した。クライニーが提唱していた一般人の釣りを有料制とする構想については、メドヴェージェフも、最近では全ロシア国民戦線も批判していた。漁業庁はまた、汚職スキャンダルでも揺れていた。

 今や漁業庁は直接的に農業省の傘下となり、その長官にはI.シェスタコフ農業次官が就いた。彼は、プーチン大統領の柔道の練習相手で下院議員のV.シェスタコフの息子である。V.シェスタコフは柔道クラブ「ヤワラ・ネヴァ」をG.ティムチェンコ、A.ロテンベルグらと設立し、その名誉会長はプーチンである。というわけで、漁業分野で働いた経験のないシェスタコフ・ジュニアの漁業庁長官就任は、明らかにティムチェンコの勝利である。


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 RBCデイリーのこちらのニュース、そしてそれを引用したこちらの記事によれば、ロシアのサッカースタジアムで、ビールの販売を可能にする旨の法改正が準備されており、これは2018年のワールドカップ(W杯)開催を控えFIFAからの要求に応えるものだという。

 両記事によると、ロシアでは2005年からスタジアムでアルコール飲料を販売することを禁止する法律が施行されてきた。しかし現在、連邦アルコール市場規制局が、当該の禁止措置を撤廃することを働きかけており、これは2018W杯を前にFIFAからその旨の要求が出ていることを受けたものである。撤廃は2014年末までに実現する可能性がある。現在、連邦法「アルコール市場の国家規制について」により、スポーツ施設において、カフェや軽食コーナーでアルコール製品を販売することが禁止されている。それを修正する法案が、アルコール規制局によって起草され、すでに関係省庁に送付されている。他方、下院の委員会では、スタジアムでビールおよびシードルを小売することを可能にする修正案を準備中である。従来、アルコール規制局は一貫してスタジアムにおけるアルコール販売に否定的な態度を示してきたが、今回はFIFAの意向を受け政府上層部のレベルで禁止措置撤廃の方向が打ち出された。ちなみにFIFAは2022年まで国際的なビール大手のAnheuser-Busch InBevとのパートナーシップ契約がある。


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 こちらのニュースが報じているとおり、1月31日ロシア連邦国家統計局は2013年のロシアの国内総生産(GDP)速報値を発表した。これによれば、2013年のロシアのGDPは66兆6,890億ルーブルで、前年比実質1.3%の成長だった。政府の予測値1.4%を下回るとともに、2011年:4.3%、2012年:3.4%から減速した。GDPを産業部門別に見ると、2013年には、農業は3.2%伸びたものの、鉱業が0.9%増、製造業が0.8%増と伸び悩んだ。家計の最終消費は3.4%と引き続き高めの伸びを維持している。


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 こちらのニュースおよびこちらのサイトによると、2013年のウクライナの天然ガス消費は504億立米で、前年比8.1%低下した。輸入は279億立米で、15.1%と大幅に減少した。国内生産は210億立米で、4.0%増だった。ウクライナ領を通過した天然ガスのトランジット輸送は861億立米で、2.2%増大した。なお、ウクライナは従来のロシアからだけでなく、2012年に欧州からのガス輸入も開始しており、2012年11月からはドイツのRWEとの契約でポーランド領経由で、2013年3月からはハンガリー領経由でも供給を受けている。2013年のロシアからの平均輸入単価は約400ドルだったが、2014年年初から268.5ドルに引き下げることで、2013年末にロシア・ガスプロムとナフトガス・ウクライヌィが合意している。


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 こちらのニュースによると、ウクライナ・サッカー協会のA.コニコフ会長は、1月28日に発表したサポーター向けの声明で、サッカーと政治を区別するよう呼びかけた。サッカーが政治的な決定を下すための圧力の手段になってはならず、それは今日のような困難な状況においても同じである。もしもサポーターが自らのクラブの旗を掲げて政治的な主張をしたら、それはもはや個々の市民ではなくサポーター・グループとして行っていることになってしまうので、それは自重してほしい。サッカーのサポーターは、流血に繋がるような行為に参加してはならず、増してやそれを主導してはならない。各クラブのサポーターたちは、今後も良識を発揮してくれると期待する。会長は以上のように述べた。

 逆に言えば、実際にマイダンの場でサッカークラブの旗が振られるような実例が増えてきているからこそ、会長が上掲のような声明を出したのだろう。現に、25日付のこちらのニュースによると、サッカークラブのシャフタール・ドネツィクは公式HPに声明を出し、我がクラブは社会・政治危機の交渉による平和的解決を支持する、サッカーは常に政治とは無関係だとの立場を示した。また、メタリスト・ハルキウは公式HPに出した声明の中で、一部のサポーター・グループが全サポーターの総意であるかのように自らの主義主張を唱えるのは大きな誤りであり、サッカー以外の場所でクラブのシンボルを用いないよう呼びかけた。なお、記事によると、シャフタールのウルトラと称する50人ほどのマスクをした若者たちがドネツィクの広場に駆け付けて、現地のマイダンを防衛すると申し出る出来事があった。また、SNS「フコンタクチェ」のシャフタール・ウルトラのページでは、すべてのサッカーファンに「当局の犬にならないように」とのアピールが掲載された。さらに、メタリスト・ウルトラのフコンテクチェ・ページでは、現地のマイダンを当局の犬から守る意向が表明されていた。


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 こちらのニュースによると、「石油輸出の対GDP比を急増させている国」という尺度で見ると、ベラルーシは世界で3番目だそうである。Bloombergが、1993年時点で石油輸出がGDPに占めていた比率と、2018年のその見通しとを比較した結果、そのような結果が出た。ちなみに1位はリビア、2位はシンガポールだったそうである。ベラルーシの場合、1993年時点では石油輸出の対GDP比は0.5%にすぎなかったが、2018年には13.9%に上ると予測されるという。もっとも、周知のようにベラルーシ国内で産出される原油はごくわずかにすぎず、ベラルーシは原油の供給をほぼ全面的にロシアに依存しており、この場合のベラルーシの石油輸出というのは、石油製品のことである。かつてベラルーシは機械産業立国であり、輸出も機械が主力だったが、近年の石油製品輸出増ですっかり様相が変わり、現在では輸出総額の約3分の1が石油製品となっている。記事によると、ベラルーシのP.プロコポヴィチ副首相は2013年12月20日の議会演説で、ロシアのロスネフチ社が2020年までにベラルーシ領での石油精製を年間2,000万tまで拡大することが、モズィリ製油所を民営化する条件であると述べたということである。IPM研究センターの研究部長でエコノミストのI.トチツカヤは、我が国に比較優位のない石油精製産業に特化して経済発展を遂げることは理に適っておらず、その他の生産部門を犠牲にすることになるとして、警鐘を鳴らしている。


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20140130titushka

 ウクライナのニュースを眺めていて、「チトゥーシキ(Тітушки)」という見慣れない単語があったので、戸惑った。調べてみると、今日のウクライナに特有の新語であり、現下のウクライナ情勢を読み解くキーワードという感じがしてきた。要するにこの言葉は、反政府集会・デモを妨害するために、与党・地域党や治安当局によって雇われた私服のごろつき・用心棒のような連中のことを指しているらしい。2013年5月に当局の息のかかったヴァディム・チトゥーシコ(Вадим Тітушко)という格闘家がジャーナリストを襲う事件が起き、同氏の名前をとって体制側に雇われた用心棒的な連中を「チトゥーシキ(Тітушки)」と呼ぶようになったようだ。


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