ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、またしても英国勢が躍進。Herman’s Hermits - I’m Into Something Goodがチャートを駆け上がっており、今週は20位に位置している。ただ、この曲はThe CookiesのEarl-Jean McCraeが少し前に発表して中ヒットしたものが最初だったようで、ハーマンズはカバーということらしい。作家はCarole King-Gerry Goffin。

その頃ソ連では
1964年11月17日:ソ連は11月19日を「ロケット部隊と砲兵の日」に制定。

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 代り映えがないが、こちらのページで10月のロシア消費者物価が発表されているので、恒例によりグラフを更新してお目にかける。

 10月のロシアの消費者物価は、前月比0.75%増、前年末比6.57%増、前年同月比8.54%増だった。だいたい年率8%前後のインフレ率が定着してきた感がある。

 ところで、10月のロシアの諸物価の中で、目立って値上がりしているのが郵便料金であり、9月に比べ一気に9.39%も高くなった。料金の引き上げがあったのだろう。特に小包の料金が14.0%も上昇している。

 そう言えば、あるJ-POPのアーティストが、日本の郵便料金引き上げを批判していたが、そういうアンタのチケ代やパンフ代もムニャムニャ……

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 ロシア政府が目下策定を進めている2050年までのロシア・エネルギー戦略に関し、最後は石炭部門に関しこちらの記事が伝えているので、以下抄訳しておく。それにしても、グレタさんが目をむいて怒りそうな内容である。

 ロシアのエネルギー戦略2050は、国際石炭貿易に占めるロシアの輸出比率を2023年の14.5%から2036年には15〜23%、2050年には25〜30%に引き上げることを目標としている。

 目標シナリオでは、ロシアからの石炭輸出は2023年の2億1,250万tから2050年には3億5,000万tに増加する可能性がある(64.7%増)。慣性シナリオでは、2050年に3億1,000万tに達する可能性がある(45.9%増)。ストレス・シナリオでは、ロシアの石炭輸出は2050年までに1億500万tに減少する可能性がある(52.7%減)。

 目標シナリオでは、石炭生産量は2023年の4億3,870万tに対して、2050年までに6億5,000万tに増加する(2023年比で37%増)。慣性シナリオでは、4億8,640万tに増加する(10.87%増)。しかし、ストレス・シナリオでは2億8,660万tに減少する可能性がある(34.7%減)。

 同文書によると、石炭輸出の新市場への方向転換という課題に対処するための一連の優先対策を採る。具体的には、鉄道の東部管区の輸送能力の拡大、太平洋鉄道の建設、アジア太平洋・中東・アフリカへの石炭供給に必要な港湾の整備、輸送ロジスティクスの最適化、鉄道輸送における長期関税設定メカニズムの普及などが含まれる。また、石炭輸出の市場シフトの課題を解決するためには、安定した財政・関税条件の確保や、石炭生産・輸送の単価を下げるための措置など、石炭産業企業のコストを最適化する必要がある、と同文書は述べている。


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 一昨日に引き続き、ロシア政府が策定中という2050年までのロシア・エネルギー戦略に関し、こちらの記事を抄訳する形で、本日はガス部門についてお伝えする。

 目標シナリオによると、2023年のガス輸出は1,460億立米で、うち1,010億立米がパイプライン、450億立米がLNGである。2050年のガス輸出総量は4,380億立米に達する可能性があり、その内訳はパイプラインが1,970億立米、LNGが2,410億立米である。

 ロシアのガス生産量は、2023年は6,370億立米だったが、2030年には8,530億立米、2036年には9,650億立米、2050年には1兆1,070億立米に達する可能性がある。国内市場へのガス供給は、2023年の496億立米から2050年には669億立米に増加する。

 ガス産業発展の鍵となるのは、EU諸国の制裁によるダメージを払拭することと、経済的に効率的な方法で国内のガス需要の増加に対応することである。ガス輸出量は、パイプライン・インフラの整備と、計画中のLNGプロジェクトの実施によって増加する見込みである。

 同時に、統一ガス供給システム地域におけるプレガス化や、東シベリア、極東、北極圏のガス幹線に接続されていない地域への拡大を含むガス化対策を引き続き実施するとともに、産業需要家や運輸部門のガス需要の増大にコスト効率よく対応していく。


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 昨日に続き、ロシア・エネルギー戦略の続きをやろうと思ったのだが、時間がないので、別の簡単な話題。

 最近は日本でも「洋画離れ」ということが言われている。他方、ロシアと言えば、一昔前までハリウッド映画のヘビーユーザーだった。それが、欧米の制裁により、米国企業がロシアに作品を公式供給しなくなったためか、こちらの記事によると、ロシアで上映される映画のうちロシア国産のシェアが非常に高くなっているということだ。

 記事によると、ロシアのO.リュビーモヴァ文化相はこのほど、現時点でロシアで上映される映画のうち79%がロシア国産映画であると発言した。2024年には7本ものロシア映画が興行収入10億ルーブル超えのヒット作になったという。具体的には以下の7作だが、文化に疎い当方は全く不案内な世界だ。

  1. "Холоп-2"(38億ルーブル)
  2. "Бременские музыканты"(30億ルーブル)
  3. "Мастер и Маргарита"(23億ルーブル)
  4. "Лед-3"(19億ルーブル)
  5. "Сто лет тому вперед"(15億ルーブル)
  6. "Летучий корабль"(11億ルーブル)
  7. "Три богатыря и пуп Земли"(11億ルーブル)

 なお、米企業が公式にハリウッド映画を配給しなくても、ロシアの映画館がどこかからコピーしてきた洋画をオマケの「長い予告編」などと称して違法上映するような現象があると以前聞いたが、最近はどうなっているのだろうか。


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 どうもロシアが「2050年までのロシア・エネルギー戦略」という政策文書を策定しつつあるようだ。昨今のロシアのことなので、策定が完了しても、一般に公開されるのかという疑問もある。タス通信がその草案を入手したということで、その概要につき伝えているので、まずはこちらの記事を抄訳する形で、石油部門についての要点を見ることにする。

 ロシアにおける石油生産量は、2023年の5億3,100万tから5億4,000万tへと、当初の草案の要諦より5年早く(すでに2030年に)達し、2050年までこの水準を維持する可能性がある。タス通信が入手した最初の草案では、「目標シナリオ」において、2036年までに石油生産量が5億4,000万tに達すると想定していた。また、当初案では、「目標シナリオ」と「慣性シナリオ」の2つしか示されていなかった、更新版では「ストレスシナリオ」と「技術的可能性」という2つのシナリオが追加された。

 ストレスシナリオでは、輸出機会の減少と外部環境の全般的悪化を背景に、エネルギー部門の生産が大幅に低下することを想定している。ストレスシナリオによれば2050年までにロシアからの石油輸出はゼロになる可能性がある。技術的可能性シナリオは、エネルギー産業の現在および予測される技術水準とインフラの限界に基づき、生産指標の可能な最大水準を検討するものであるが、経済的採算性と可能な措置の実現可能性は考慮していない。

 目標シナリオによると、石油輸出は2023年の2億3,400万tから2030年には2億3,500万tに微増し、2050年までこの水準を維持する。国内市場への石油供給は、2023年の2億9,700万tから2030~2050年の3億500万tに増加する。

 石油精製量は、2023年の2億7,500万tに対し、2030~2050年には2億8,300万tに達する可能性がある。石油製品の輸出量は、2023年の1億3,200万tに対して、2030~2036年には1億4,100万tに達し、2050年には1億4,600万tに達する可能性がある。

 同戦略はまた、ロシアにはまだ活用されていない石油採掘ポテンシャルが少なくとも年間5億4,000万t程度あると指摘している。そのためには、特に枯渇した油田において、三次回収法を用いて不採算埋蔵量を回復させ、石油回収係数を高め、新たな生産地域を開発するための条件を整える必要があると、同文書は強調している。


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 当ブログでは、ロシアの自然独占研究所というところが発表している港湾取扱貨物量に関する資料を定期的に紹介している。こちらのページに見るとおり、2024年第3四半期(7~9月)の数字が発表され、それに伴い1~9月の数字も明らかになったので、これを取り上げることにする。なお、毎度申し上げるように、ロシアの港湾貨物量の特徴は輸出貨物が圧倒的に多いことであり、この資料に登場する商品は基本的にすべて輸出貨物であると理解して差し支えない(輸入が多いのはコンテナくらい)。

 2024年第3四半期の港湾貨物量は2億1,890万t(前年同期比1.0%減)、1~9月では6億6,740万t(1.0%減)だった。港湾貨物量が冴えない動きを示しているのは、石炭の輸出減に起因するところが大きい。

 海域別の1~9月の貨物量は、多い順に、以下のとおり。

  • 黒海:2億950万t(7.2%減)
  • バルト海:2億650万t(9.6%増)
  • 極東:1億7,600万t(2.7%減)
  • 北極海:6,930万t(5.7%減)
  • カスピ海:620万t(9.2%増)

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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 むかし、ロンドンだったか、中古レコ屋でブツを物色していたところ、店員に「オマエはどんなものが好きなのか?」と尋ねられ、「モータウンのガールグループとか…」と答えたら、「ヴェルヴェレッツとかか?」と返されたことがある。そこで「シュープリームスとかか?」でなく、「ヴェルヴェレッツとかか?」だったのが、マニア同士のやり取りっぽく、妙に嬉しかった思い出がある。

 そんなわけで、チャートの1位は相変わらずシュープリームスなわけだが、私としては今週46位のVelvelettes - Needle In A Haystackを聴いてみたいわけである。いかにもイギリス人が好みそうな曲だ。

その頃ソ連では
1964年11月5日:ウクライナ共和国のチェルニヒウでトロリーバスの運行が開始される。

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19641114a
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 上図は、こちらの記事にロシアのLNG(液化天然ガス)輸出の大陸別輸出先という便利なグラフが出ていたので、転載させていただいたものである。5月に出た記事なので、当然2024年の数字はその時点の途中経過であろう。

 一方、こちらの記事によると、2024年1~10月のロシアのLNG輸出は2,640万tで、前年比6%増だったということである。うち欧州が1,340万tを受け入れた。プロジェクト別には、ヤマルLNGが牽引し6%増、サハリン2は1.2%減、アルクチクLNG2は6隻を出荷したが制裁の打撃で10月に商業運転を停止、という状況となっている。

 そして、こちらの記事によると、10月半ばに開催された欧州諸国のエネルギー相会合では、ロシアからのLNG輸入を禁止する問題が話し合われたようである。この時期、ベルギーのエネルギー相は、欧州の港でのロシアのLNGの再輸出と積換えを禁止したEUの第14制裁パッケージを遵守することが困難であると指摘、ロシア産LNGを追跡するための分子分析メカニズムを確立することを主張した。これに先立ち、EUの数カ国は欧州委員会に対し、ロシア産LNGの輸入に関連する取引の報告規則を厳格化するよう求める書簡を送った。この文書には、オーストリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、チェコ、フィンランド、エストニア、スウェーデンが署名した。


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 再三申し上げているとおり、2023年のロシア通関統計集が思いがけず手に入ったので、それを使って色々と作業をしているところである。本日は、ロシアの鉄鋼輸出の動向を私が集計してグラフ化したものをお目にかけたい。上図の左側が鉄鋼の品目別、右側が相手地域別の輸出動向を示している。シンプルなグラフと思うかもしれないが、生データをこういう風に整理して集計するのはものすごく骨が折れ、数百、数千もの数字を自分でエクセルで手打ちして集計・分類して作成したものなのである。

 それで、こうやって整理してみて分かったのだが、欧米の対ロシア鉄鋼制裁は、かなり効いているのではないかと思う。ロシア鉄鋼輸出の特徴は、半製品の比率がきわめて高いことである。ロシアとしては付加価値の高い完成鋼材の輸出を充実させることが課題だったが、欧米がロシアからの完成鋼材の輸入を禁止したことが打撃となり(2023年には完全にゼロになっている)、ロシアは従来以上に半製品中心の輸出を余儀なくされている。これはちょっとした発見だった。


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 こちらの記事が、ロシア・エネルギー省の情報源に基づき、ロシアの石炭輸出の不振につき伝えているので、軽く紹介する。上図に見るとおり、主力の中国、インド、トルコ向け輸出が振るわないようだ。

 記事によると、ロシア石炭輸出の不振は、輸送、国際決済の問題と、競争の激化によるものということだ。

 2024年1~9月の輸出量が1億3,250万tで、前年同期比17%減だった。うち、一般炭が1億830万tで17%減、原料炭が2,430万tで3%減だった。主な国への1~9月の輸出量は以下のとおり。

  • 中国:5,370万t(9.5%減)
  • インド:2,010万t(23%減)
  • トルコ:1,530万t(35%減)
  • 香港:1,040万t(10.5%増)
  • ベラルーシ:570万t(1600%増)
  • ベトナム:110万t(370%増)
  • 韓国:50万t(38%減)
  • 日本:38.6万t(89%減)

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 ちょっと変わり種の話題だが、こちらの記事によると、ベラルーシの独裁者A.ルカシェンコが、同国の最重要輸出商品であるカリ肥料に関し、(主にロシアとの)協調減産を提唱したということである。国営のベラルーシカリ社の社長に就任することになったA.ルィバコフ氏との面談の席で述べたもの。

 ルカシェンコは以下のように述べた。従来この課題を提起したことはなかったが、私は貴方に、生産量の問題を、特にロシアとの間で解決してほしい。鉱山労働者の仕事は楽ではないのに、カリ肥料が安すぎる。ロシアと話し合って、カリの生産量を10%、いや11%減らすべきだろう。市場に供給不足を起すというわけではないが、これが貴重な商品であり、それ相応の値段を支払う必要があることに誰もが気づくだろう。原価ぎりぎり、あるいは原価割れの価格で売るのは馬鹿げている。肝心なのは、人々が苦しまないようにすること、賃金が遅れなく支払われることである。国内市場では、カリ肥料、リン酸肥料、窒素肥料が、もうすぐ実質的に原価で販売され始めるかもしれない。ベラルーシの肥料は制裁を受けているからだ。それならば、それを食品に変えて、市場で販売しよう。つまり、食料の生産を拡大するのだ。ベラルーシの食品には、近隣市場でも、中国でも、外国で大きな需要がある。充分な量の肥料を投入し、農作物のより大きな収穫、さらには畜産のより大きな生産量を得て、それらを販売するのだ。ルカシェンコは以上のように語った。


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 昨日決選投票が行われたモルドバ大統領選は、開票率90.90%の段階で、上図のとおり、野党のA.ストヤノグロ氏がわずかにリードする際どい状況となっている。しかし、開票が残っているのはほとんどが在外票であり(開票率17.75%)、その在外票では現時点でも現職のM.サンドゥが85%あまりを得票している。この形勢は動かないので、在外票が開くに連れサンドゥが逆転し、最終的には数%の差を付けて再選を果たすことになるだろう。

 再選自体はめでたいが、前回の決選投票では、下図のようにサンドゥは国内だけでも辛うじて勝っていた。今回はどうも国内では負けたっぽいので、それだけ苦戦したという評価になりそうである。

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 先日来申し上げているとおり、「もう出ないだろう」と思っていた2023年ロシア通関統計集が奇跡的に我が職場に入荷し、喜び勇んで集計・分析作業を進めているところである。

 ただし、残念な後退もあった。2022年版までは出ていて、2023年版からは掲載されなくなった品目が散見される。具体的に言うと、原油(HSコード2709)、石油製品(2710)、金(7108)、白金(7110)、ダイヤモンド(7102)の輸出量・額および相手国が発表されなくなってしまった。そうなると、国家戦略上きわめて重要な天然ガス(2711)の輸出額が依然発表されているのが逆に不思議だが、私が想像するに、これにはパイプラインガスとLNGが両方含まれるので、それによりある程度数字をぼやかせているという判断なのではないか。なお、第71類:貴金属・宝石の扱いは徹底していて、上述のように金、白金、ダイヤモンドという個別品目が発表されなくなっただけでなく、第71類の合計額すらも示されなくなった。

 そんなわけで、上図は一連の機微な品目の数字がかろうじて得られた最後の年である2022年を対象に、ロシアの主要品目の輸出額を図示したものである。もうこの図の更新はできなくなってしまった。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 1964年11月3日、米大統領選挙で民主党の現職ジョンソンが当選を果たしたが、果たして60年後の今回はどうなることやら…。

 さて、そんな話とは関係なく、今週20位と赤丸急上昇なのが、The Kinks - You Really Got Meである。後にヴァンヘイレンがカバーしたことで、さらに有名になる。キンクスのオリジナルは、ある種の軽みがある分、よりパンキッシュな感じがする。

その頃ソ連では
1964年11月4日:1956年の法令によりソ連では都市部で家畜を飼う市民に追加課税が課せられていたが、その法令が撤廃される。

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 東部戦線で、ドネツク州の要衝、ポクロウシクをめぐる状況が芳しくないようだ。こちらの記事によると、「ポクロウシクのドブリャク市長は30日、露軍が同市まで約7キロの距離に迫っているとし、防衛の準備に向けて同市を『封鎖』すると発表した。ドブリャク氏は、ドネツク州のウクライナ軍の重要防衛線の一角であるポクロウシクを巡る攻防戦が近く始まるとの認識を示した形だ。ドブリャク氏によると、防御拠点を構築中の地区への住民の出入りを禁止するほか、住民避難を進める。市内には現在、子供55人を含む住民約1万2000人が残っている」ということである。

 それで、様々なメディアが、仮にウクライナがポクロウシクを失うと、同国の鉄鋼業にとっても大打撃となると伝えている。同市には、鉄鋼業に必要な原料炭を採掘する炭鉱があり、それを失えば、ウクライナ鉄鋼業が原料基盤を欠くことになるからだ。

 代表例として、英エコノミストのこちらの記事が、以下のように伝えている。2014年にウクライナがドンバスの半分を親露分離主義者に奪われ、炭鉱の80%が失われた。ウクライナ側に残ったポクロウシク炭鉱は1990年に開坑した比較的新しいもので、ウクライナ有数の富豪R.アフメトフが所有するメトインヴェスト社のものとなっている。メトインヴェストはすでに、マリウポリの2つの製鉄所とアウジイウカにあった欧州最大のコークス化学工場をロシアに破壊されている。そして今、彼はポクロウシク炭鉱も失う事態に直面している。ロシア指導部にとって、アフメトフの資産を標的にすることは、ウクライナ経済を弱体化させる以外に、復讐という意味もあると広く信じられている。2014年以前、クレムリンは間違いなく彼が分離主義やロシア側に付くと信じていた。彼がウクライナ側に付くと、クレムリンはこれを裏切りとみなし、彼の財産を差し押さえた経緯がある。ポクロウシク炭鉱は、関連する工場や管理棟と合わせて6,000人を雇用しており、そのうち約1,000人は現在軍に勤務している。ポクロフスク鉱山はウクライナ最大の原料炭の炭鉱で、ウクライナに残る鉄鋼業にとって不可欠だ。今年、同炭鉱で530万tの石炭を採掘する予定であった。2023年、ウクライナは620万tの粗鋼を生産した。しかし、マリウポリの2大製鉄所を失う前の2021年の粗鋼生産量は2,140万tだった。この年、ウクライナは世界第14位の鉄鋼生産国だったが、2023年には第24位に転落した。もっとも、ある専門家によれば、ロシア軍はウクライナに残る鉄鋼業に打撃を与えるために鉱山を奪う必要さえないという。彼らが前進するにつれて、電力供給を遮断し、石炭を西の残りの製鉄所まで運ぶ道路を封鎖しようとするだろう。そして、ウダチネの北18kmにあるドブロピリアの別の小規模鉱山でも同じことをするだろう。業界団体「ウクルメタルルフプロム」の代表先月、ポクロウシクの原料炭の喪失は鉄鋼生産量のさらなる悲惨な損失につながると述べた。今年の粗鋼生産量は750万tに達する可能性があるが、ポクロウシクが失われた場合には、200万tから300万tになってしまうと、代表は述べた。ロシアはそれを知っているのだ。


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20241031

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「顧客の忠誠を仇で返すDropbox」です。よかったらご笑覧ください。


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luk

 社会科教科書でお馴染みの帝国書院が発行している冊子『地歴・公民科資料 ChiReKo』の2024年度2学期号に、「ロシア・ウクライナ産業紀行 ―ありし日の情景をめぐって」と題するコラムを寄稿しました。無料でお読みになれますので、よかったらご笑覧ください。


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 ロシア中央銀行が政策金利を10月28日から21.0%へと引き上げたことが割と衝撃的だったので(それまでの19.0%から2.0%ポイントの引き上げ)、金利の変遷を辿った上図を掲載しておく。

 それで思い出したのだが、まだ9月のロシア消費者物価を取り上げていなかったので、遅ればせながらグラフを掲載する。9月のロシア消費者物価は、前月比0.48%増、前年末比5.78%増、前年同月比8.63%増であった。趨勢はそんなに変わらないが、年率10%に迫るインフレが定着しており、金融当局としては「火消しを」ということなのだろう。ただ、インフレ率の2倍以上の高金利というのは非常に厳格な措置であり、物価統計が示唆する以上に、経済の歪みは深刻なのかもしれない。

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 ロシア通関統計2023年年報というお宝を手に入れたので、引き続きそれを使って作業を試みている。本日は、ロシアの貿易相手地域を、大陸別と、友好国・非友好国別に整理したものをお目にかける。データ入力・集計・グラフ化だけでかなり骨が折れるので、大したコメントはできない点、ご容赦を。

 ウクライナ侵攻後、ロシアの貿易相手地域は急激に変化している。一般的には、いわゆる「東方シフト」が進んでおり、上図に見るとおり、欧州との取引減・アジアとの取引増が顕著である。

 しかし、欧州の中にもベラルーシのようなロシアの同盟国があり、他方でアジアにも日韓のようなロシアにとっての非友好国があるので、必ずしも地理的な論理で変動が生じているわけではない。その意味では、下図に見るとおり、友好国・非友好国の区分の方が、より本質的かもしれない。

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 今年こそはもう出ないだろうと思っていたロシアの通関統計集が、奇跡的にスラ研図書館に入荷し(笑)、2023年のロシア貿易の詳細が把握できるようになったので、それを使って色々作業をしようと思っているところである。まずは、個人的によくやることだが、ロシアの主要貿易相手国15ヵ国の変遷を、上表のとおりまとめてみた。以下、簡単に寸評を。

  • 不動の1位の中国が、さらにシェアを伸ばし、過去最高の32.06%に。ただ、今年に入り、米国二次制裁の影が忍び寄っており、今後はどうなるか。
  • ロシアの貿易相手国として、インドは伝統的に取るに足らない存在だったが、侵攻後のウラル原油爆買いで順位を上げ、2023年にはついに2位に躍り出た。
  • 2022年には初めてトルコが2位になったことが注目されたが、2023年には3位に順位を落とした。ただ、トルコのシェアは2023年にさらに上がっており、激しすぎたインドに抜かれただけ。
  • ユーラシア経済連合のパートナー国、ベラルーシおよびカザフスタンの重要性がさらに高まる方向にある。ベラルーシはロシアとの二国間関係を普通に伸ばしている形だろうが、カザフスタンの場合には同国からの輸入のかなりの部分が第三国製品の迂回取引である可能性が高い。同連合には非加盟だが、ウズベキスタンの順位も過去一。
  • 先進国(≒ロシアにとっての非友好国)の中では、韓国がいやらしい粘りを発揮し、2023年には(シェアはともかく)順位は過去最高の6位を記録した。それで委員会。
  • ヨーロッパへのウラル原油の入荷がほぼゼロになったので、伝統的にそのハブとなっていたオランダが、ついに圏外に消えた。
  • 香港がこのランキングに入ってきたのは初めて。やはり中国製品のトンネル機能であろう。やはり初めてランク入りのUAEにも迂回路の可能性が。
  • 安倍晋三先生、貴方は真に偉大だった。領土返還と平和条約締結のため、ロシアと経済協力をすると称しながら、実際には効果のある施策は打たず、その間、上表における日本のシェア・順位は低下していた。今日、日本がまあまあ順調に脱ロシアを図れているのは、その賜物です。

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 遅くなってしまいましたが、7月11日に開催した三者共催ロシアセミナー 「急変する国際環境下のロシア極東・シベリア」で私が行った講演「なぜ今、ロシア極東・シベリアを問うのか?」をYouTube動画にしましたので、よかったらご笑覧ください。なお、冒頭の主催者挨拶込みでお届けしております。

 同じセミナーの田畑伸一郎 「ロシアの北極域:開発政策とその進展」齋藤大輔「プーチンの東方シフトで変わるシベリア鉄道とバム鉄道」もあわせてご利用ください。

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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、私は60年代のモータウンを愛好することをライフワークとしているわけだが、その中でも決定的な1曲と言えるSupremes - Baby Loveが、今週1位に輝いた。この世に存在するあらゆる歌の中で、最大の好き歌を決める時に、少なくとも候補には上る曲だ。

その頃ソ連では
1964年10月24日:東京オリンピック閉幕。ソ連は金30、銀31、銅35を獲得しランキング2位。

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 10月20日に行われたモルドバ大統領選第1回投票とEU加盟路線を問う国民投票。改めて投票結果を地区別に整理して、上掲のとおりグラフにしてみた。特に注目されるところだけ赤で示した。以下、簡単に気付きの点を。

  • 投票結果の総計では、EU賛成率が50.38、サンドゥ得票率が42.49。地区ごとのEU賛成率とサンドゥ得票率は完全に相関。相関係数は驚異の0.9942。
  • 全体に占める在外票の割合が15.39%とかなり高いので、在外票が結果を大きく左右する形となっている。そしてひとりその在外票がEUおよびサンドゥ支持を牽引する構図。国内票だけだと、EU賛成率は38.21%に下がる。
  • 首都キシナウ市には意識高い系有権者が集中するが、EU56.00、サンドゥ48.47と、その支持はそれほど突出して高くない。
  • 「北の首都」ことバルツィ市は、キシナウへの対抗意識ゆえ常に野党が強い土地柄だが、今回もEU29.42、サンドゥ21.11ときわめて低調。
  • 意外にも沿ドニエストルは目立って親ロシアというわけではない。そもそも投票者が16,131人止まりなので(私の理解によれば沿ドニに投票所は開設されないのでモルドバ本土に出向いて投票しなければならない)、住民の民意が正確に反映されたものとは考えにくい。
  • やはり、トルコ系でありながらロシア正教を信奉するガガウズ人のガガウズ自治区や、ブルガリア系が多いタラクリア地区で、反EU・サンドゥのムードが圧倒的。むろんロシアのテコ入れがあるにせよ、元々の親ロシアの素地があってこそであろう。

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realizaciya

 以前出たこちらの記事は、ロシア極東で「東方水素クラスター」という構想が進んでおり、サハリン州がその中核を成すということを伝えていた。上掲画像もその記事から拝借したものである。

 それで、今般それに関し続報が伝えられたので、用語が良く分からず雑な翻訳で恐縮だが、それを紹介する。こちらの記事によると、Yu.トルトネフ副首相(極東連邦管区大統領全権代表を兼務)が、サハリン州の進めているプロジェクトについて触れた。それによると、今年7月、水素工学センター設立の一環として水素テストサイトが開設され、2025年半ばまでに、エネルギーと輸送における水素の生産、貯蔵、輸送、応用の技術をテストするための5つのパイロットサイトが開設される予定である。

 また、こちらの記事によれば、2026年には、サハリン地域における水素エネルギー分野のパイロットプロジェクトの拠点において、設備の自然試験が完了する予定である。2024年に東部水素クラスターの一環としてユジノサハリンスクに水素テストサイトが開設され、機器のテストサイトとなった。また、300kWのソーラーパネルから得た電力で水を電気分解してグリーン水素を生産する。この発電所では、1時間当たり最大30立米の水素を生産することができる。東部水素クラスターにおける次の段階は、機器のテストである。サハリン島南東端のノヴィコヴォ村で、エネルギー的に孤立した集落や施設への水素によるエネルギー貯蔵システムの応用がテストされる。専門家は、極東連邦管区ではカムチャツカの35施設、サハ共和国の130施設以上を含め、産業応用の規模は約180施設になると見積もっている。エネルギー孤立通信施設用の水素電源システムも、オゴンキ村のサイトでテストされる。この技術の産業的再現の規模は、サハリンとクリル諸島の32施設を含む極東連邦管区と北極圏の400施設以上である。千島列島では、災害現場や社会施設、その他の重要なインフラ施設に移動式水素ステーションを設置し、道路、海上、航空輸送によるエネルギー機器の輸送の可能性を検討する。ユジノサハリンスクでは、水素補給と水素自動車のメンテナンス技術をテストするための実験的水素補給施設が建設される。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年11月合併号のご案内。11月号は、「20年の節目を迎えた『中央アジア+日本』」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回は私は完全に脇役で、「ロシアが描く強気の経済・財政想定」、「ウクライナはこの冬の電力危機を耐え抜けるか」という短い連載記事のみ書きました。


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1983

 モルドバ国民投票および大統領選挙結果について、こちらの記事でウクライナ人の有識者I.モシーチューク氏がコメントしているので、以下発言要旨を紹介しておく。

 モルドバの憲法に関する国民投票の結果は、実質的に50対50で、きわめて僅差であった。当局は、欧州統合のプロセスを一時停止し、国民に働きかけ、EUに向けて前進する必要性を国民に納得させる必要がある。このようなわずかな差でEU加盟を強行すれば、惨事を招き、国を引き裂き、分裂させることになりかねない。

 国民投票の結果がこのように僅差である場合、いずれかの方向に舵を切れば国を分裂させかねないので、実質的に何もできない。論理的には、モルドバ当局が国民と対話してEU加盟を説得するか、あるいは国民がEUへの移籍を望んでいないことを当局に伝えて納得させるか、そのどちらかが理屈に適っている。

 モルドバでは、EU加盟路線が憲法に盛り込まれ、それがあだになったウクライナの二の舞にならないよう、国民投票を実施した。ウクライナでも、人々がウクライナの欧州統合を支持しなかったという意味ではない。しかし、民意が世界に対して示されなかったということが問題だった。それゆえロシアは、ウクライナが政治家によってNATOとEUに引きずり込まれ、国民には何も相談しなかったと称して、ウクライナへの全面侵攻を開始したのである。

 モルドバでは、国民と協議することを決めた。しかし、私がモルドバにアドバイスしたいのは、一旦立ち止まり、人々と協力し、納得させることだ。

 2週間後に迫ったモルドバ大統領選の決選投票に関しては、サンドゥ現大統領にとって簡単な戦いにはならないだろうし、野党候補たちが対抗馬であるA.ストヤノグロを中心に団結すれば、サンドゥにとっては非常に難しい決選になるだろう。


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 10月20日に投票が実施されたモルドバ国民投票と大統領選は、開票作業が100%完了した。昨日のエントリーでは、EU加盟路線、現職のM.サンドゥ大統領とも過半数をとれず苦戦…というようなニュアンスでお伝えしてしまったが、考えてみれば、開くのが遅い在外票で親欧米派が多いわけで、開票が進むに連れ、現体制支持票が伸びていくことは必然だった。とはいえ、出揃った最終結果も、サンドゥ現政権にとって厳しいものであることに変わりはない。

 まず確認しておくべきは、今回の投票は投票率が51.68%だった。前回2020年の大統領選第1回投票の45.68%よりは伸びたが、国民投票と大統領選を同日にやって動員を図った割には、盛り上がりを欠いたと言わざるをえない。

 そして、EU国民投票では、昨日、当ブログでお伝えした時よりもEU路線賛成票が盛り返し、結局賛成が50.39%、反対が49.61%となった。サンドゥ大統領は、国民の意思は示された、予定どおり憲法へのEU路線明記を実行するという趣旨のことを述べているが、確認されたのは(むろんロシアの介入はあるにせよ)世論の分断であり、憲法改正の強行には危うさも覚える。

 そして、大統領選の最終結果は以下のとおり。サンドゥ現大統領が42.45%、社会党のA.ストヤノグロが25.98%であり、この両名の決選投票にもつれ込んだ。

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 昨日お伝えしたモルドバ現地専門家の解説では、大統領選ではM.サンドゥが優勢、焦点は第1回投票で過半数をとり当選を決められるかどうか、国民投票ではEU路線賛成多数が濃厚、というような見方だったかと思う。

 ところが、蓋を開けてみると、こちらのページに見るとおり、開票率82.83%の時点で、サンドゥの得票は37.08%に留まり、2位の社会党A.ストヤノグロが29.04%とかなり健闘、決選投票にもつれ込むことが確定的となった。

 さらに衝撃的なのは、こちらのページに見るとおり、国民投票ではEU路線が否決となった模様である。開票率84.54%の時点で、賛成45.36%、反対54.64%になっている。う~む。(注:その後、在外票の開票が進み、在外票は圧倒的にEU支持なので、賛成・反対が拮抗し、際どい情勢になっている)

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 引き続き、やはりこちらの記事に出ている有識者コメントで、今度は歴史学者・政治評論家のS.ムスチャツァ氏によるコメントを、以下のとおり紹介する。

 「ロシアの利益を考慮した」投票をするよう、当地の有権者を買収しようとするモスクワの試みは、目に余るものがある。I.ショール氏の側近や聖職者までがモスクワに招かれ研修を受け、現金を抱えて帰国した。モルドバの特務機関と警察はこの件について提起し始め、1億ドル以上が投資されたと指摘した。彼らは一方ではサンドゥに反対する候補者を宣伝し、他方では国民投票のボイコットを呼びかけている。

 現時点では、サンドゥに最もチャンスがあることは明らかだ。モルドバの最新の世論調査によると、有権者の36%以上がサンドゥ支持、22%はまだ未定である。勝利する可能性が最も高いのは、サンドゥである。問題は、未定の22%がどう出るか。彼らが棄権したり、他の候補者に投票したりする可能性もある。しかし、現時点では、少なくとも決選投票では、サンドゥに最大のチャンスがあることは明らかだ。

 モルドバの欧州選択支持派が国民投票で勝利すると、将来的にルーマニアとの国家統一に向かう可能性を意味するのだろうか? これは積年の懸案であり、かなり微妙なものである。統一支持率は15%から20%へとわずかに上昇しているが、依然モルドバ国民の5分の1しか統一を支持していない。だから短期的には非現実的だ。しかし、将来的には重要な問題であることに変わりはない。

 国民投票が成功したとして、モルドバの国情が好転するかと言えば、難しい。それでも、国民投票は非常に重要であり、その成功は社会を安定化に向かわせるだろう。欧州のベクトルは、安定、経済の長期的発展の見通し、インフラ、EU基準の貿易を意味する。これは、モルドバの外交政策の観点、政府と社会、政府とEUの対話にとって重要な議論である。モルドバとEUの双方にとって、新たな一歩となろう。


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