ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

20140609gorlovka

 ウクライナ・ドネツィク州ホルリウカ市(Горлівка)。ロシア語読みではゴルロフカ(Горловка)。人口26万人の炭鉱街で、たぶん州の中では4番目に人口が多いのだと思う。先日、スロヴヤンシクの回で、紋章に描かれた鳥が鳩かと思ったら違ったということを書いたが、このホルリウカの紋章はどう見ても鳩だろう。しかし、正確に言うと、鳩の中でもキジバト(ヤマバト)であり、その中でも小柄なコキジバトという種類らしい。ホルリウカ(ゴルロフカ)という街の名は、19世紀にP.ゴルロフという鉱山技師にちなんで付けられた由だが、ロシア語でコキジバトを「ゴルリツァ」と言うので、名前の一致からコキジバトをシンボルマークにしているらしい。


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20140608by

 昨日のP.ポロシェンコ・ウクライナ大統領の就任式に、A.ルカシェンコ・ベラルーシ大統領が出席してたけど。ロシアからそれくらいの「自治」は認められてるのかな。

 冗談はさておき、写真は、先日ウクライナ旅行でジトーミル市に出かけた際に、ショッピングセンターの中で見付けたベラルーシのアンテナショップ的なもの。その名も「ベラルーシ・スタイル」。女性用のアパレル、コスメなどを売っていた。まあ、ロシアや、ウクライナで、「メイド・イン・ベラルーシ」を強調した衣料、靴、食品などの店は、たびたび見かける。こうやって、近場で地道にモノ売ってくのが、ベラルーシの生きる道だからね。


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 そんなわけで、昨日6月7日現地時間10:00より、ウクライナ最高会議の本会議場において、P.ポロシェンコ新大統領の就任式が行われた。就任演説の模様は上掲の動画のとおりだが、こちらでは、ロシア語同時通訳付きで演説を聞くこともできる。以下では、大統領府のこちらのページにもとづき、演説の概要をまとめておく。

 新大統領は、国の主権を護持する重要性と、欧州統合路線が不変であることを強調した。

 「我が国の国家的自立性のために、ウクライナ愛国者の数世代が戦ってきた。そのために、「天国の百人」が亡くなり、今もウクライナの軍人、民間人が亡くなっている」。その上で大統領は、ウクライナの自由と独立のために亡くなったすべての人々のために黙祷を呼びかけた。

 演説の中で大統領は、ドンバスにおける状況を正常化させるための和平プランを提示した。それは、違法に武器を取ったすべての者が武装解除し、恩赦を提供し、ロシアの傭兵が撤退するための回廊を用意し、包括的な和平交渉を行い、ドンバスにおいて前倒しで地方選挙を実施し、経済改革のパッケージを推進することなどを骨子としている。

 「不法に武器を手に取ったすべての人に、それを置くように呼びかける。その代わり、第1に、ウクライナ軍人や民間人を殺傷した者を除き、訴追を行わないことを保証する。第2に、自国に帰ることを望むロシアの傭兵のために、管理された回廊を設けることを保証する。第3に、平和的な対話を行うことを保証する」と、大統領はプランを述べた。

 その一方でポロシェンコは、「スナイパー」、「諜報員」、「鬼畜」、その他の屑どもとは一切交渉しないと言明。「今日、我々には合法的な交渉相手が必要だ。ギャングとは話をしない。早期の地方選挙を行うことが課題である」と表明した。

 大統領は、ドネツィク州とルハンシク州の自国民には、特にロシア語で語り掛けた。大統領は、「全国家的な大統領選が実施されたことは、『非合法的なキエフ政権』といった神話に終止符を打った。こうした神話は、ロシアとヤヌコーヴィチ一派のプロパガンダによりでっち上げられたものにすぎない。ヤヌコーヴィチは、国全体に対して行った以上に、ドンバスを裏切り、それを簒奪した。ヤヌコーヴィチは、17年間にわたりドネツィク州で絶対的に君臨してきた。そして現在、テロリストに資金を提供している。現在、この地域が陥っている政治的・社会的・経済的苦境を引き起こしたのは、まさにヤヌコーヴィチである」と、ポロシェンコは訴えた。

 大統領はドンバスに向けて「和平、分権化の構想、ロシア語を自由に使用する権利」を約束し、「ウクライナ人を、誰が正しく誰が正しくないかなどと区別することは決してせず、地域の特性を尊重する」旨を力説した。

 ロシア語のステータスに関して大統領は、憲法10条の規定に従い、ウクライナを唯一の国家言語とする一方、ロシア語およびその他の言語の自由な発展を保証する旨を強調した。

 大統領はまた、EUと共同て、ドンバスに雇用を創出する構想を提案することを明らかにし、ドンバスへの投資の見通し、ドンバス経済の構造改革プログラム案について触れた。

 「まだ和平は到来していないが、それでも我々は現時点で確信を持って、厳しい試練がウクライナ人の家族を団結させてくれたと断言できる。その試練は我々を、自らの欧州選択を確信している政治的なウクライナ民族として定着させた。我々国民は現在、かつてないほど力強い存在となっている」。大統領がこう述べると、議場の人々は拍手を送った。

 大統領は、「自由のためには、不断の闘争が必要である。平和が長期的なものになるためには、常に戦闘準備をしておくことが求められる。我が国の軍需産業の努力により、軍の装備を更新することは、我が国の優先課題だ」と述べた。

 大統領は、自らの外交的経験を活かし、「ブダペスト覚書」(ウクライナと核兵器保有諸国が1994年に結んだ安全保障に関する覚書)に代わる新たな国際条約を実現したいとして、「こうした条約は平和・安全保障の直接的かつ頼りになる保証を提供してくれる、それには領土保全が脅かされた際の軍事支援も含まれる」と述べた。

 ロシアとの交渉に関しポロシェンコは、「クリミア問題、欧州選択、国家体制に関しては、誰とも一切の妥協をしない。それ以外のことに関してはすべて、交渉の席で討議・解決されることになろう」としている。

 大統領は、自分は議会・大統領制の共和体制に忠実であるとの立場を示し、「権力の簒奪などはありえない。私にとって欧州の民主主義は、人類の試練を経た、最良の国家統治方法である。まさに欧州の経験が、中央から地方へ権力を大幅に移譲すべきであることを物語っている」と言明した。大統領によると、分権化は早くも本年に、憲法改正と言う形で行われるという。「ただし、ウクライナはこれまでも、現在も、そしてこれからも単一国家である」と、大統領は釘をさした。

 大統領はまた、「社会は権力の再分配、最高会議の前倒し選挙を求めている。現在の最高会議の構成は、世論に合致したものになっておらす、世論は2012年から大きくシフトしている。国民の声を無視してはならない」と指摘した。

 大統領は、国内の和平、国家安全保障の基盤となるのは、何よりもまず雇用およびしかるべき賃金の確保であると指摘。ウクライナには、国民に欧州並みの福祉を提供するために必要なものがすべて揃っている。欧州と同様の、自由競争が確立されるべきである。「そのためには、汚職を根絶しなければならない。政治権力と国民の間で、汚職撲滅のための全国民協約が成立すきだ。その原理はシンプルで、役人は賄賂を取らない、国民は払わない、というもの。自らを変えない限り、国を変えることはできない」と大統領は強調した。

 大統領はまた、EUとの連合協定の経済部分を可及的速やかに調印し、またビザなし体制を導入することが必要であると指摘。「我が国は連合協定を、ウクライナがEUに加盟するための第一歩にすぎないと見なしている。ウクライナの欧州選択に拒否権を行使する権利は、誰にもない。」

 大統領は、政治的団結、大統領・最高会議・内閣が協調して仕事をすることの重要性を指摘した。

 「我々は、間違いなく、すべての困難を克服する。領土的一体性を守り、和平・秩序を達成する。もう誰も我々を、犯罪者と官僚制の奴隷、植民地政権のご機嫌取りにすることはできない。全世界が我々を支援してくれている」とポロシェンコは述べた。


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 ロシア代表は6月6日、W杯前の最後の親善試合をモスクワでモロッコと戦い、2:0で勝利した。そして、昨日6月7日、ブラジルへと旅立っていった。

 モロッコ戦は、モスクワのロコモティヴのスタジアムで行われたわけだが、平日開催だったとはいえ、客が少ししか入っていない。ただ、これは驚くには値しないだろう。国内リーグ戦がほとんど一般国民の話題にも上らず、その割には代表の親善試合が満員御礼となるような国よりは、はるかに健全である(まあ、ロシアの場合は、クラブの集客も大したことないわけだが…)。

 さて、モロッコ戦の試合の方は、29分にV.ベレズツキー、58分にYu.ジルコフがそれぞれ得点を挙げ、ロシアが2:0と快勝した。ただ、得点はいずれもコーナーキックからのこぼれ球であり、得点力不足の課題が解消されたかどうかは分からない。攻撃の核として期待されていたR.シロコフの欠場が決まっただけに(これについては明日触れる)、他の攻撃陣の奮起が待たれる。


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20140607makiyivka

 ウクライナ・ドネツィク州マキイウカ(Макіївка)。ロシア語読みではマケエフカ(Макеевка)。昨日のオデッサ州から、またドネツィク州に戻ってきた。このマキイウカ、人口36万と、かなりの規模の都市であるが、州都のトネツィク市から南東にちょと離れただけであり、実質的には単一の都市圏を形成している。しかし、2002年の国勢調査結果によれば、この街って、ロシア人が50.8%で、ウクライナ人は45.0%と少数派なのか。ドネツィク市もロシア人が48.2%、ウクライナ人が46.7%ということなので、このあたりも分離主義運動の背景として見逃せないところだ。さて、ドネツィク州のご多分に漏れず、マキイウカも完全に石炭と鉄鋼業の街。ドネツィク市もそうだったけど、マキイウカの紋章も青と黒のガンバ大阪カラーだ。昇りゆく太陽は町の誕生を、黒は石炭を、ハンマーは鉱工業を象徴している。


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 このライブドア・ブログのPC用デザインを変更してみた。今までのデザインは、無難ではあったのだけど、キリル文字を表示すると、一般的な環境では、それが(たぶん)MS Pゴシックで表示されてしまい、時々ロシア語やウクライナ語の原語を表示する当サイトにとってはイマイチだったのだ。で、ライブドア・ブログのデザインのテンプレートを物色してみたものの、あまり良い選択肢がなく、まあ悪くはないかというデザイン(相当ベタではあるけれど)に切り替えてみたという次第。ただ、このデザインをクロームで表示すると、記事の見出しのフォントがダサくなるので、自分のクロームのフォント設定を、全部メイリオにしてやった。

 テストとして、「独立国家共同体」というのを、ロシア語・ウクライナ語・ベラルーシ語で表示してみる。

ロシア語:Содружество Независимых Государств
ウクライナ語:Співдружність Незалежних Держав
ベラルーシ語:Садружнасць Незалежных Дзяржаў

 まあ大丈夫そうか。

 昨晩も恒例のウクライナ語の講義があり、前回のレッスンノートで触れた「尊敬するポロシェンコさん!」という呼びかけについて先生に確認したところ、やはり「Шановний Петре Олексійовичу!」で正しいそうである。呼格、恐るべし、だな。Шановний Петре Олексійовичу! ウクライナのこと、よろしく頼みますよ。

 昨晩学んだこととしては、ロシア語では「子供」を意味する単語は、単数では「ребенок」、複数では「дети」と、まったく違う語になる。それがウクライナ語だと、単数では「дитина」、複数では「діти」と、似ていながら微妙に違う語になるところがややこしい。活用はどうなるんだ???


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 こちらのニュースによると、ロシア代表チームは本日6月7日(土)にアエロフロートのエアバスA330機に乗って、モスクワからブラジルのサンパウロに移動するということである。なお、私の理解によれば、モスクワからサンパウロへのアエロフロートの定期便は存在せず、今回アエロフロートが代表のために特別にブラジルへの直行便を飛ばすことにしたようだ。記事によると、モスクワからサンパウロまでは14時間以上かかり、これはアエロフロートがこれまで飛ばしてきた便の中で最長時間になるのだそうだ。当該機には、選手、スタッフなど、総勢55名が乗り込む。それで、記事によると、アエロフロートは機上で選手団に、ロシア・サッカー協会のドクターの意見を取り入れて開発した、特別メニューを提供するということである。


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20140607Bolgrad

 ウクライナ・オデッサ州ボルフラード市(Болград)。ロシア語でも綴りは同じだが、読み方はボルグラードとなる。本日6月7日現地時間10:00~、ウクライナでP.ポロシェンコ新大統領の就任式が行われるので、ドネツィク州のシリーズをちょっと離れ、ポロシェンコの生まれ故郷を取り上げることにした(上に見るように、紋章はわりと平凡な感じだが)。ポロシェンコは1965年9月26日、この対モルドバ国境に面したウクライナ南西の小都市、ボルフラードに生まれている。なお、両親はともに、戦間期にルーマニア領だったベッサラビア(現在はウクライナ・オデッサ州のイズマイル地区)に生まれている。一説にポロシェンコはユダヤ人とも言われるが、どうだろうか?

 さて、このボルフラードという街、名前がブルガリアっぽいとお感じになる方も多いと思うが、実際にブルガリアと関係が深く、街の名もそれにちなんでいるようだ。19世紀初頭の露土戦争の結果として、この地を含むベッサラビアは帝政ロシア領となったが、トルコの迫害を逃れたブルガリア人がこの地に多数入植したため、それでボルグラード(ボルフラード)と名付けられたらしい。こうした歴史的経緯から、ボルフラード市の現在の民族構成も、ロシア人:48.7%、ブルガリア人:32.7%、ウクライナ人:13.9%、ガガウス人:2.0%、モルドバ人:1.1%と、実に多民族的である。こうした出自でもあるのだから、ポロシェンコ新大統領には、ぜひ寛容な民族政策をお願いしたいところである。


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 こちらのニュースによると、ロシアがウクライナから奪った形になっているクリミア半島では、いくつかの新しいサッカークラブが誕生し、ロシア・サッカー協会はそれらに対するロシアの管轄を認めるよう、FIFAおよびUEFAに要請している。これに対し、ウクライナ・サッカー協会は反発を示している。

 6月3日、ロシア・サッカー協会のN.トルスティフ会長は、クリミアとセヴァストポリには新たな複数のクラブが誕生しており、その事実についてすでにFIFA、UEFAに伝えたと述べた。これらの新クラブはロシアの法令にもとづいて新たに結成されたもので、新法人およびクラブ側からロシア協会に加入申請があった。これらは、既存のタヴリヤ・シンフェロポリ、FCセヴァストポリとは異なる新クラブであり、ロシアの法令にもとづいて結成された。現在のところ5クラブであり、スポーツクラブ黒海艦隊(セヴァストポリ)、FCスキッフ・シンフェロポリ、ジェムチュジナ・ヤルタ、オケアン・ケルチ、アフチアル・セヴァストポリの5チーム。これを受け、ロシア協会はこれら新クラブを承認するよう、FIFAおよびUEFAに要請した。6月7日にロシア協会の臨時総会がモスクワであり、そこで何らかの決定がある模様。

 これに対し、ウクライナ・サッカー協会の名誉会長で、UEFAの副会長を務めるH.スルキスは、6月4日にウェブ上で批判声明を出した。いわく、ロシアの協会は、クリミアのクラブや、地域協会を受け入れる権利はない。ロシアの協会が、FIFAおよびUEFAの裁定を待たずして、臨時総会でこれらを正式決定しようとしていることは驚きだ。現時点では、クリミアがウクライナ協会の管轄から外れたというような根拠はまったくなく、したがってクリミアに影響力を行使しようとするロシア協会の試みはすべて越権・ルール違反であり、いわんやUEFAの「リスペクト」の理念に反する。スルキスは以上のように批判した。


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20140606hokkyoku

 大変立派な新刊をご寄贈いただいたので、ここに紹介したい。片山博文『北極をめぐる気候変動の政治学 ―反所有的コモンズ論の試み』(文眞堂)である。人間は、自然を所有することはできない ―温暖化により解氷の進む北極で形成される開発体制=「積極的適応体制」の構造と対先住民統治の実態を、フーコー「統治性」の概念を用いて分析。北極海の領海分割を進める沿岸諸国に対して、スチュワードシップに基づく北極再生を対置し、人間による自然所有を否定する反所有的コモンズ論=「純粋コモンズ」の理論を提起する、というきわめて意欲的な内容だ。一般発売は6月10日の予定ということである。


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 もはや誰も期待していない、「ウクライナのオリガルヒ」シリーズの第18弾。今回は、ミコライウ州などを拠点に食糧生産および輸出を手掛けるニブロン社のO.ヴァダトゥルシキー氏にスポットを当てる(ロシア語読みではヴァダトゥルスキー)。

 O.ヴァダトゥルシキーは、食糧企業「ニブロン」の創業者、共同オーナー、社長である。同氏は、ウクライナ南部において、ヤヌコーヴィチ旧政権と敵対していた急先鋒だったと言える。彼にとって前政権の治世は、ビジネスにとって常に脅威が生じた時代であり、彼の立場も当然である。

 過去4年間のいくつかの出来事を思い出せば、ヴァダトゥルシキーの立場も容易に理解できよう。すべては2010年夏に始まった。ニブロンが河川ターミナルを建設するのに障害が生じ、その後には支社長が起訴される事態となった。同年秋にはウクライナで穀物の輸出割当が導入され、「フレブ・インヴェストブド」なる会社が突如として市場に参入した。ニブロンにも一定の割当が提供されたが、計画していた輸出をこなすのにはまったく不充分な規模だった。しかも、割当分ですら、しばしば港湾が許可を出さず、大幅に遅延することが多かった。2011/12穀物年度には、ニブロンは過去数年で初めて最大の輸出企業の座から滑り落ち、フレブ・インヴェストブドにその座を明け渡した。

 2012年秋頃になると、ヤヌコーヴィチ・ファミリー派のYu.イヴァニュシチェンコがニブロンの一部を簒奪しようとしているとか、あるいはすでに簒奪したという噂が流れ始めた。ヴァダトゥルシキーはこの情報を否定しており、現実にニブロンの株の80%は同氏が保有し、残りの20%は息子のアンドリーが保有している。しかし、火のない所に煙は立たぬというものであり、関係筋によれば、ニブロンはファミリー側に上がりの一部を日常的に上納することを余儀なくされていたという。

 ヤヌコーヴィチ政権が採ったその他の政策も、ニブロンにとっては不利なものだった。特に、2013年暮れに再燃したロシア・ウクライナ・カザフスタンによる「穀物OPEC」構想が挙げられる。ニブロンが他の農業グループと異なる点は、土地資源がそれほど多くないにもかかわらず、高い収益性を挙げていることである。ニブロン傘下の農地は8万haほどなのに、40万haのカーネル、60万haのウクルランドファーミングに匹敵する利益を確保してきた。これは、輸出を主体としているからこそであった。しかし、穀物の国際カルテルが形成されたら、ロシアの競合業者と、ロシアの政治によって、自分たちの経営が左右されることになってしまう。ロシアの政治は、時に経済合理性を無視することで知られる。

 こうしたことから、2014年の3月初頭になると、ヤヌコーヴィチ政権下で常態化していた資産の分捕りを批判するヴァダトゥルシキーの声明がマスコミで流布するようになった。「古典的な乗っ取りの手口が横行してきた。週末に企業に武装した人々が押しかけて、守衛を追い出し、自分たちの経営者を連れてきて、彼らが経営者であると宣言する。クリミアでもまったく同じことが起きている」と、彼は指摘した。声明の中で彼はさらに、ロシア資本が取得した企業は悲惨な状態にあること、ロシアのテレビ局の嘘、マイダンで新たな民族が誕生しつつあること、分離主義は認められないこと、ウクライナの欧州選択、など多くについて語った。つまり、旗幟を鮮明にしたわけである。4月になるとヴァダトゥルシキーは、ヘルソン州での検問に当たっているミコライウ州駐留ウクライナ軍への支援を提供し、ミコライウ州の他の企業家たちにも傍観しないように呼びかけた。

 ヴァダトゥルシキーにとって頭が痛いのは、ニブロンの後継者問題である。いかに有能な同氏であっても、もう66歳である。彼には一人息子のアンドリーがおり、現在は副社長として働いている。ジュニアは、外国の取引相手を見付けることなど、一定の能力も見せてはいるが、父のような経営能力は望むべくもないとされる。


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 昨日のエントリーの続きのような話だが、こちらのニュースによると、ブラジルW杯出場32ヵ国すべてが23名の登録選手を正式発表したということである。恐縮ながらコピペさせていただくと、登録された計736人の選手の所属チームを国別に見ると、以下のようになるということである。私の関係国を赤で示した。

 (1)119人=イングランド
 (2) 79人=ドイツ
 (3) 63人=スペイン
 (4) 61人=イタリア
 (5) 46人=フランス
 (6) 34人=ロシア
 (7) 28人=メキシコ
 (8) 25人=トルコ
 (9) 23人=ポルトガル
(10) 20人=オランダ
(11) 17人=米国
(12) 15人=日本
(13) 14人=イラン
(14) 13人=ギリシャ
(15) 12人=スイス
(16) 11人=ベルギー、ブラジル
(18) 10人=ホンジュラス、コスタリカ
(20)  9人=ウクライナ
(21)  8人=エクアドル
(22)  7人=韓国、オーストラリア
(24)  6人=クロアチア、アルゼンチン、中国、ノルウェー
(28)  5人=スコットランド
(29)  4人=チリ、コロンビア
(31)  3人=カタール、カナダ、ナイジェリア
(34)  2人=アルジェリア、チュニジア、オーストリア、カメルーン、スウェーデン、サウジアラビア、UAE、南アフリカ、イスラエル
(43)  1人=ブルガリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ハンガリー、デンマーク、コートジボワール、ガーナ、クウェート、パラグアイ、ウルグアイ、無所属

 既報のとおり、ロシア代表は23人全員がロシアリーグ所属だから、そのほか他国の11人のロシアリーグ所属プレーヤーがW杯に出場するという計算になる。ウクライナは自国が出場しない割には、同国リーグ所属選手のブラジル大会出場が多く、実はクロアチア代表選手が多いので、同国も応援してみようと、個人的にはひそかに思っている。なお、「代表がブラジル大会に出ないわりには当該国リーグの所属選手が多く大会に出場する」という観点で見ると、トルコの25人に次いで、ウクライナの9人が多い。残念ながらベラルーシリーグ所属選手のブラジル大会出場はなし。


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20140606kostyantynivka

 ウクライナ・ドネツィク州コスチャンティニウカ(Костянтинівка)。ロシア語ではコンスタンチノフカ(Константиновка)。地名をウクライナ語読みするのと、ロシア語読みするのとで、変わらない場合もあるけれど、これなんかはずいぶん違いますねえというパターンだ。かつてこの領地を所有していたコンスタンチン(ロシア語読み)という人の名から集落が名付けられたのだが、それをウクライナ語読みするとコスチャンティンになるので、街の名の読み方も違ってくるわけである。現在人口は7.7万人ほどで、ガラス産業が盛んらしい。紋章は、噴水をデザインしたものになっているが、その由縁までは分からなかった。


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20140605novorossia

 「ノヴォロシア」と称する情報サイトを見付けた。具体的にどこが主宰しているのかは知らないが、要するにウクライナ南東部の反キエフ・親ロシアの分離主義運動に関連した情報発信サイトである。ドンバスの2地域で住民投票が実施された5月11日から毎日、ニュースレター的なものも発行しており、PDFで無料で読むことができる(質量ともに、それほど読み応えはなさそうだが)。右の図のようなデザインを掲げており、東から挙げていくと、ルハンシク州、ドネツィク州、ハルキウ州、ドニプロペトロウシク州、ザポリージャ州、クリミア自治共和国、セヴァストポリ市、ヘルソン州、ミコライウ州、オデッサ州を「新ロシア」の範囲として捉えているようだ。まあ、備忘録ということで。


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 こちらのニュースによると、かつてロシア代表のキャプテンを務め、現在は代表から外れているA.アルシャヴィンは、サッカー番組「ボリショイ・フットボール」に出演し、現ロシア代表は守から攻への切り替えがあまりに遅いと批判した。これでは、敵はすべて帰陣してしまう。ロシア代表は前への速さが欠けており、すべてが静的である。テンポを上げようとすると、そこでボールを奪われ、カウンターを浴びる。アルシャヴィンは以上のように指摘した。


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 もう忘れられた感もある、「ウクライナのオリガルヒ」シリーズ。ヤヌコーヴィチ政権で副首相としてユーロ開催、運輸、インフラなどを担当したB.コレスニコフ氏を取り上げる。

 M.アザロフの内閣でインフラ大臣を担当したB.コレスニコフは、マイダン革命の間中、目立たないように努めていた。ただ、コレスニコフは、政府がヤヌコーヴィチ・ファミリーの都合に沿って改組されてからというもの、ずっと不遇の境遇にあった。2012年に副首相の地位を失って以降は、平凡な議員暮らしを余儀なくされてきた。ファミリーの若僧たちの増長は留まるところを知らず、地域党の重鎮であったコレスニコフは彼らに製菓会社「コンチ」をほとんど乗っ取られそうになった。なお、コンチの他には、コレスニコフは養豚業のAPKインヴェスト社を保有している。

 それでも、政変の直前には、コレスニコフは若僧たちによる自らのビジネスへの介入を跳ね除け、政治の表舞台にも復帰した。そして彼は、コンチをはじめとする自らの資産を売却するつもりはないことと、政府のファミリー派閣僚は無能であるという、重要な表明をした。この発言の直後、コレスニコフは地域党ドネツィク州支部長の座を去らざるをえなくなった。

 もしも今般の政変によってウクライナの政治地図が一変することがなければ、コレスニコフは党内で低い役割しか果たせない状態が続いただろう。政変後、V.メドヴェチュークがV.フィルタシおよびS.リョーヴォチキンを領袖とする「ガス派」を地域党指導部から実質的に追い出してしまったことにより、コレスニコフには再び党建設での役割が期待されるようになった。メドヴェチュークの指導下で改革されている党の中で、コレスニコフは党幹部会執行書記の座を占め、つまり党大会の間の期間中の日常的な運営を任された。また、コレスニコフには大統領選でのM.ドプキン候補の選対本部長の役割も与えられた。周知のように、コレスニコフの同志であり相談相手でもあるR.アフメトフが、ドプキンを支持している。

 コレスニコフがメドヴェチューク一派と意気投合するのも、当然である。コレスニコフは以前から親ロシア的な立場を表明しているし、息子をモスクワで学業に就かせたりしている。だが、もっとも肝心なのは、彼の製菓ビジネスがロシア市場に依拠しているということである。ロシア市場での販売高で、2012年にコンチは第4位だったわけであり、これにより彼の選択は決まったようなものだった。コレスニコフは現在のところ、キエフ新政権よりも、ロシアの方を恐れている。もっとも、新政権にしても、鉄道へのヒュンダイ車両の導入に関し、コレスニコフを調査することもほのめかしているが。コレスニコフ自身、地域党が全国政党になることはもうなさそうだと分かってはいるが、合法的なローカルレベルの親ロシア政党としてロシアの庇護を受けていれば、自らの身の安全は保障されるという考えなのではないか。

 もう一つ、コレスニコフの切り札は、分離主義カードで新政権を揺さぶることである。地域党の新しい州支部長はM.レウチェンコであり、同氏はコレスニコフの直系である。ドネツィク州行政府庁舎を占拠した分離主義勢力と交渉を行ったのも、まさにレウチェンコだった。


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 既報のとおり、先日最終決定したロシア代表23名は、見事なまでに全員がロシア・プレミアリーグのクラブ所属である。ざっとネット情報を眺めた限り、今回のブラジル大会出場国で、海外組が一人もいないような国は、ロシアしか見当たらない(イングランドがそれにほぼ近く、スコットランドでプレーしている選手が1人だけいる他は、全部イングランド・プレミアみたい)。まあね、ロシアは、代表も、クラブも一定の実力があるけれど、西ヨーロッパのビッグクラブで活躍したロシア人選手というのは、ほとんどいないからねえ。2008年のユーロで名を売ったアルシャヴィンやパヴリュチェンコがイングランドに渡ったけど、イマイチ輝ききれなかったし。ただ、それにしても、これだけサッカーの国境がどんどん低くなっているご時世に、ロシアの主要プレーヤーがこぞって国内に留まっているというのは、不思議な現象である。内弁慶ということなのか、それともロシアの主要クラブはそれなりに資金力があるから国内でのプレーに満足してしまうのか。

 そのあたりの事情を、ネットで調べようと思ったのだが、今のところヒントを見付けられずにいる。ただ、こちらの記事で、ロシア代表が国内組だけで固められていることは、W杯での戦いにとって有利に働くということが主張されているので、要旨をまとめておく。

 記事いわく。ロシア代表のコンディションに関して言えば、大胆に、素晴らしいと予想してしまおう。すべての選手は、国内のクラブに所属しており、これはロシア代表の大いなるアドバンテージだ。欧州のビッグクラブはもう9か月もノンストップで、週2試合のペースで試合をしている。ロシア代表が対戦するベルギーの選手たちにしても、そうしたビッグクラブに所属し、国内リーグで激しい優勝争いをしたり、UEFAのカップ戦で佳境を迎えたりしている。それに対し、ロシアのリーグ戦は週に1試合だけであり、優勝争いもゼニト、CSKA、ロコモティヴに絞られてしまった。欧州の一線でプレーする選手たちは、1シーズンに50~60試合もこなし、今の時期は心身ともに疲れ切っている。CSKAモスクワなどは、ヨーロッパのカップ戦で早々に負けてしまったので、2014年に入ってから14試合しか戦わない。チェルシーに所属するベルギー人のアザールなどは28~29試合である。


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20140605Khartsyzsk

 ウクライナ・ドネツィク州ハルツィシク市(Харцизьк)。ロシア語読みではハルツィスク(Харцызск)。もうちょっとドネツィク州を続けようかなということで、この街を取り上げる。人口5.8万人と小都市だが、実はこの地に所在するハルツィシク鋼管工場は旧ソ連随一の大口径電気溶接鋼管のメーカーであり、R.アフメトフ氏のSCM財閥の傘下にある。ただ、ロシア市場への依存度が大きいので、今後の販路の確保が気になるところである。紋章は上掲のようなもので、描かれている鳥はヒメチョウゲンボウというハヤブサの仲間で、自由・独立・力を象徴しているということだ。


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20140604anntena

 先日のウクライナ旅行で、チェルノブイリ見学ツアーに参加した際に、発電所の他に、どエラいものを見せられた。ソ連時代に建設された、ICBM早期警戒巨大アンテナという代物である。こちらの情報によると、ソ連全域で3箇所確認されているのみであり、そのうちの一つがチェルノブイリにあったのだ(残りの2つは、ロシア極東のハバロフスク地方と、ウクライナ南部のミコライウ近く)。何でチェルノブイリにこんな巨大構造が建てられたかというと、一つには、この巨大アンテナが大量に電気を消費するからだったそうで。しかし、1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故とともに、この巨大アンテナも稼働を停止した。一部の機器はハバロフスクに運び去られ、チェルノブイリのアンテナは荒れ果てたまま放置され、現在に至るということのようである。


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 こちらの記事によれば、ウクライナは国営石油ガス会社「ナフトガス・ウクライナ」を分割し、株式会社「ウクライナ・ガス輸送システム」と、株式会社「ウクライナ・ガス貯蔵」を設立する意向だという。A.ヤツェニューク首相が明らかにした。これは、欧米諸国との協力の上でウクライナのガス輸送システムを近代化するための布石ということである。ただ、ナフトガス・ウクライナはガスだけでなく石油部門も有しているはずだが、石油部門がどうなるのか、この記事では触れられていない。

 それはそうと、この記事に出ている図は便利だ。

20140604gas

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20140604poro

 こちらのニュースによれば、ウクライナ中央選管は6月2日、5月25日投票のウクライナ大統領選でP.ポロシェンコ候補が過半数を獲得し当選を果たしたことを、正式に発表した。これを受け、こちらのニュースによると、ウクライナ最高会議は6月3日、ポロシェンコ新大統領の就任式を6月7日10:00から議会の本会議場で行うことを決議した。

 上に掲げたのが、選挙戦の際にポロシェンコ陣営が配っていたビラである。同候補は、「新しい生き方」という標語を掲げていた。特徴的だったのは、たとえばビルボード広告には、この標語だけがシンプルに記され、候補者本人の顔写真すら載せられていなかったことである(若干顔がヤヌコーヴィチ似だという事情もあるかもしれないが、笑)。過度な主張、イメージ先行の選挙、無責任な公約の乱発などに倦怠感を覚えているであろう国民に向け、冷静で実行力のある指導者という訴求を狙ったのではないか、と察せられた。


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20140604russia-brazil

 今回は、「ロシア代表ニュース」と言うと少々語弊があるが、関連情報ということで、ご容赦いただきたい。

 何度か言及したように、私は先日、勤続20年特別休暇というのを利用して、ウクライナ旅行に出かけてきた。しかし、元々は同休暇を利用して2012年のユーロを観戦しにウクライナに行くというプランもあったし、あるいは本年のW杯をロシア戦を中心に観に行こうかとも思っていた。とはいえ、面倒だし、カネもかかるしで、結局ユーロやW杯の現地観戦はやめてしまったのである。

 ただ、実際に観戦ツアーとかに出かけたら、どんな感じなのだろうかというのは、依然として興味がある。次なる2018年ロシアW杯こそは、現地で観てみたい気もするし。そこで、イメージトレーニングのために、ロシア発のブラジルW杯観戦ツアーをネット検索してみたところ、たとえばこんなやつがヒットした。ロシアからブラジルに渡って、ロシア代表のグループステージ3試合を観戦して帰ってくるというツアーである。これを眺めて、想像だけでも、ちょっとツアー参加気分に浸ってみたい。

 当該のツアーは、「トルコ航空で行く11泊12日、ロシア代表3試合観戦満喫ツアー、6月16~28日」というやつである。泊まるホテルのクラスと、1人部屋か2人部屋かによって、料金が変わってくる。なお、すでにエコノミークラスは売り切れて、ビジネスクラスが残りわずかということだ。料金は、最低が8,934ドル、最高が12,881ドルだから、ざっと百万円コースということだろう。料金には、国際航空運賃、ブラジル国内航空運賃、ホテル、朝食、3試合のチケット代、送迎、現地の観光料金等々が含まれている。ツアーの日程は、次のような感じだ。

6月16日 モスクワ・ヴヌコヴォ~イスタンブール~リオデジャネイロ移動 クイアバ泊
6月17日 クイアバ観光 ロシアVS韓国戦(@クイアバ) クイアバ泊
6月18日 クイアバ~リオ移動 リオから150kmのリゾート、ブジオス泊
6月19日 リオ観光 ブジオス泊
6月20日 自由行動 ブジオス泊
6月21日 自由行動 ブジオス泊
6月22日 ロシアVSベルギー戦 (@リオ) ブジオス泊
6月23日 自由行動 ブジオス泊
6月24日 自由行動 ブジオス泊
6月25日 リオ~クリチバ移動 クリチバ泊
6月26日 クリチバ観光 ロシアVSアルジェリア戦(@クチリバ) クリチバ泊
6月27日 クリチバ~サンパウロ移動
6月28日 サンパウロ~イスタンブール~モスクワ・ヴヌコヴォ移動

 まあ、こんな感じだ。ベルギー戦がリオで行われるのを良いことに、そこから近くにある、ロシア人が大好きな海岸リゾートのブジオスに長期滞在するというのが、ミソだなあ。まあ、私だったら、自由行動の日に、多少無理をしてでも、他の国の試合を観に行きたいところだが、ロシア人はどう過ごすのか?


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20140604krasnyliman

 ウクライナドネツィク州クラスヌィリマン市(Красний Лиман)。昨今の分離主義騒ぎ、キエフ政権によるテロ掃討作戦の際に、しばしばニュースで耳にした地名だ。人口2.3万人ほどの小都市である。しかし、個人的にこの地名に二重の意味で違和感を覚えた。第1に、リマンといったら、普通は海岸線にある潟を意味するのに、クラスヌィリマンという街は内陸にあること。第2に、ウクライナ語では「赤」は「チェルヴォヌィ」なのに、この地名では「クラスヌィ」とロシア語みたいになっているからである。しかし、今般調べてみたら、どうもリマンという言葉には湖という意味もあるようである。また、実はウクライナ語にはクラスヌィという単語もあり、それは赤ではなく「素晴らしい」「綺麗な」という意味ということである。考えてみれば、ロシア語のクラスヌィも元々は同じで、「赤の広場」は元々は「綺麗な広場」という意味だったし、クラスノダルなんて地名も「(ツァーリからの)素晴らしい贈り物」という意味らしい。つまり、クラスヌィリマンとは、「赤い潟」ではなく、「美しい湖」という意味か。なら納得だ。ただ、その紋章には赤が印象的に用いられているので、イマイチ確信は持てない。ちなみに、ウクライナのドニプロペトロフシク州、ルハンシク州、ポルタヴァ州、ハルキウ州には、チェルヴォヌィリマンという集落が実際にあるようだ。それはそうと、クラスヌィリマンの紋章、なんかクリスマスの飾りみたいだねー。


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20140604ris

 先日のウクライナ旅行の際に、西ウクライナの街中でスーパーを覗いたら、クリミア産の米を売っていた。恥ずかしながら、クリミアで稲作をやっているというのは、初めて知った。短粒品種が生産されているようである。これも今後どうなるのか。

 гуртові ціниというのは、卸売価格という意味か。卸値で安く売ってますよというアピールか。


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 5月25日投票の大統領選で当選を決めたP.ポロシェンコは、どのような課題に直面することになるのか? まあ、一言で言ってしまえば難題山積ということであり、改めて列挙するのも気が重いが、現地ウニアン通信のこちらの記事が、そのあたりについて正面から論じているので、以下抄訳する(O.サフロノヴァ記者署名)。

20140603poroshenko

 近い将来のポロシェンコの最大の課題は、議会選の実施により刷新された議会と政府を形成し、それによって新たな権力体型を構築することである。新チームに求められるのは、南東部における軍事衝突に終止符を打ち、国を統合することだけではない。改革のスピードを維持し、EUとの連合協定の経済部分を調印し、大手の外国投資家と対話することも、新大統領の行動計画の重要要素である。だが、ポロシェンコの最大の戦略的目標は、ウクライナを経済的に成功した国にし、国民が未来の展望を描けるようにすることである。

 現憲法は、大統領に対して、国内の経済過程を直接的にコントロールする権限を与えていない。しかし、もう3年間も景気が後退したままのウクライナ経済を、大々的に刷新するために、最大限の努力を傾注するよう委任を受けたのは、まさにこの男である。

 ポロシェンコには、経験、知識など、そのために必要なものがすべて揃っている。外交官および法律家としての教育を受けた彼は、最高会議予算委員長、中銀総裁、経済相、外相といった役職を歴任してきた。

 また、ポロシェンコは多くのビジネスを成功させ、ブランドを生み出した。ウクライナでは金属やエネルギーで成り上がった富豪が多い中で、ポロシェンコのように食品、自動車、マスコミといった大規模な投資を要する分野で財をなした人物は数少ない。

 これまで蓄積してきた知識の賜物で、ポロシェンコは経済分野の選挙公約を、簡潔に定式化することができた。それは、汚職を許さないこと、中小企業向けの簡易課税制度の維持、所有権を保証する独立した司法を確立すること、強力な独占禁止機構を設置することなどである。

 選挙結果の大勢が判明したことを受け、ポロシェンコは上記の公約に、1つのことを付け加えた。それは、天然ガスの依存状態から脱却することである。ポロシェンコは、ウクライナは単価500ドルならロシアからガスは買わない、天然ガスは初めて政治的な武器から普通の商品になるのだ、と発言した。その手段としては、第1に備蓄ガスの放出、第2に消費の削減、第3にシェールガス技術の開発とLNGターミナルの建設を挙げた。

 一方、A.ヤツェニューク首相は、新大統領の課題について、以下のような注文を付けた。すなわち、ウクライナは一体性を、国家権力の新たな質を必要としている。ウクライナは現在、欧州の一部となり、複雑な変化を遂げようとしており、それを紙の上だけでなく現実化しなければならない、と首相は指摘した。


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 なんか、何度も同じネタで恐縮だが、こちらのニュースによれば、ロシア代表の最終メンバー23名がようやく確定したということなので、改めて整理する。落選する可能性があると言われていた2人のうち、結局ルビン・カザンのP.モギレヴェツが落ち、同氏は予備登録メンバーに回って、アムカル・ペルミのM.カヌンニコフが残った形だ。

GK
I.アキンフェエフ(CSKAモスクワ) Игорь Акинфеев
Yu.ロディギン(ゼニト・サンクトペテルブルグ) Юрий Лодыгин
S.ルィジコフ(ルビン・カザン) Сергей Рыжиков

DF
V.ベレズツキー(CSKAモスクワ) Василий Березуцкий
S.イグナシェヴィチ(CSKAモスクワ) Сергей Игнашевич
G.シチェンニコフ(CSKAモスクワ) Георгий Щенников
V.グラント(ディナモ・モスクワ) Владимир Гранат
A.コズロフ(ディナモ・モスクワ) Алексей Козлов
A.エシチェンコ(アンジ・マハチカラ) Андрей Ещенко
D.コンバロフ(スパルタク・モスクワ) Дмитрий Комбаров
A.セミョーノフ(テレク・グロズヌィ) Андрей Семенов

MF
I.デニソフ(ディナモ・モスクワ) Игорь Денисов
A.ジャゴエフ(CSKAモスクワ) Алан Дзагоев
R.シロコフ(FCクラスノダル) Роман Широков
D.グルシャコフ(スパルタク・モスクワ) Денис Глушаков
V.ファイズリン(ゼニト・サンクトペテルブルグ) Виктор Файзулин
O.シャトフ(ゼニト・サンクトペテルブルグ) Олег Шатов

FW
Yu.ジルコフ(ディナモ・モスクワ) Юрий Жирков
A.イオノフ(ディナモ・モスクワ) Алексей Ионов
A.ココリン(ディナモ・モスクワ) Александр Кокорин
M.カヌンニコフ(アムカル・ペルミ) Максим Канунников
A.ケルジャコフ(ゼニト・サンクトペテルブルグ) Александр Кержаков
A.サメドフ(ロコモティヴ・モスクワ) Александр Самедов

予備登録メンバー
DF
A.アニュコフ(ゼニト・サンクトペテルブルグ) Александр Анюков
A.ベレズツキー(CSKAモスクワ) Алексей Березуцкий
MF
Yu.ガジンスキー(FCクラスノダル) Юрий Газинский
V.ブィストロフ(アンジ・マハチカラ) Владимир Быстров
P.モギレヴェツ(ルビン・カザン) Павел Могилевец
FW
A.ジュバ(FCロストフ) Артем Дзюба
D.チェルィシェフ(セビージャFC) Денис Черышев


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20140603Enakieve

 ウクライナ・ドネツィク州エナキエヴェ(Єнакієве)。まあ、もうちょっとウクライナ語の発音に忠実に読むと、イェナーキエヴェだけど。そもそも、バリバリのロシア語地域なので、ロシア語読みのエナキエヴォの方が、通りはいいだろうけどな。州都のドネツィク市から、北東に50kmほどのところにある。逃亡したV.ヤヌコーヴィチ大統領の出身地として、名高い(悪名高い?)。「ウクライナのオリガルヒ」シリーズで紹介したYu.イヴァニュシチェンコも、同郷だ。鉄鋼業の荒くれた企業城下町であり、そもそもヤヌコーヴィチが国民から蔑まれていた一因がこの名うての任侠街出身であったことだったし、翻ってヤヌコの悪行がこの街のイメージをさらに悪くしてしまったことだろう。善良な市民も住んでいるはずであり、辛いところだ。紋章の方は、ソ連時代のデザインそのもので、鉄鋼業を表す赤、石炭産業を表す黒の上に、高炉を描くという、これまたベタな代物である。


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20140602mmcis

 先日のウクライナ旅行で、とにかく目に付いたのが、これ。MMCISという業者の宣伝。ビルボードに、ネットに、テレビに雑誌と、どこでもこの広告ばっか。ロシア語でもフォレックスと言うとは知らなかったが、外貨取引の意味であり、要はFX的なものだろう。ウクライナだけかと思ったら、ロシアでもそうみたい(普通に考えればロシアからウクライナに進出したのだろう)。とにかく不景気で、少ない元手で一獲千金!という気持ちも分からないでもないけど、世の中そんなに甘いはずはない。


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 こちらの記事で、A.コベレフという専門家(ディナモ・モスクワやサマラで監督を務めた経験がある)が、ノルウェー戦を踏まえた上で、ロシア代表の現状についてコメントしているので、発言要旨を整理しておく。

 いわく、ノルウェー戦では開始直後に点がとれたので、その勢いで前半は推進力があったが、後半になると消極的になってノルウェーに押し込まれた。選手たちは本番を前に怪我をすることを恐れており、それはやむを得ないこと。ノルウェー戦では中盤でやや劣勢で、それによって中盤と最終ラインが空いてしまい、それほど破綻したわけではなかったが、心配ではある。ファイズリンとグルシャコフは、ボランチというよりもハーフバック。ただ問題は、相手にカウンターを浴びた際に、前線の選手も戻らなければならず、ココリンはそれをやっていたが、相手の方が敏捷だった。(S.ショーミンは現代表の穴はディフェンスだと言い、M.イズマイロフはむしろそれが強みだと言っているが?)代表チームをDF・MF・FWと分けて評価するのは誤り。カペッロはチームとして戦うことを志向しており、守備も攻撃も然りである。失点場面も、誰か一人のDFのミスというよりは、ボールを失い、敵のマークに付かず、適切なポジションをとらないといった具合に、何人かのミスが重なった形。(ノルウェー戦で試した前線のケルジャコフとココリンの組み合わせは、一回限りか、それともブラジルでも使うのか?)このコンビの良いところは、2人とも点が獲れること。ブラジルでこの組み合わせを使うかどうかは状況次第だが、有力な選択肢。(ケルジャコフがピークを過ぎたとの説については?)自分は彼を信じており、チームに必要なFWだ。ジュバについては、単に監督の戦術に合わないのだろう。ファイズリンの途中交代は、最初から予定していたのだと思うが、試合で目立たなかったことは事実。グルシャコフは良く仕事をしたし、ミスをしない選手だ。


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20140602dnr

 ドネツク人民共和国(Донецкая народная республика)。ウクライナからの分離・独立を掲げ、この4月に樹立が宣言されたものである。いわゆる「非承認国家」ということになるが、先の住民投票結果にもかかわらず、地元民の多数派が本当に分離・独立を支持しているとは思えないし、むろん私自身こんなものを認めるつもりはない。「日めくり紋章」のシリーズで取り上げたからといって、私がその存在を認めたということでは決してなく、あくまでも「ちょっとデザインを見ておきましょうね」ということにすぎないので、悪しからず。とにかく、この「日めくり紋章」シリーズ、10年以上続けるつもりなので、ネタを見付けるのに必死なのである(笑)。また、ウクライナの地名はロシア語読みではなくウクライナ語でというのを原則にしているこの私だが、何しろ分離を主張している人たちの枠組みなので、今回ばかりはドネツィクではなくてドネツクで、まあいいかな、と。

 さて、上に見るようなドネツク人民共和国の紋章、昨日見たドネツィク州の公式的な紋章とはまったく異なる。紋章の説明書きのようなものを見付けられなかったのだが、ロシア国章の双頭の鷲をモチーフにしていることは間違いないだろう。真ん中の赤い部分の守護神か勇者のような人物の図柄は、何か由縁があるはずだが、残念ながら調べがつかなかった。下のリボン部分に「ドネツク・ルーシ」と書かれており、これが人民共和国の雅称になるようである。


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