ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

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 GLOBE+に、「ロシア依存を軽減するはずが逆効果だったベラルーシ原発」を寄稿しました。

 今回のコラムでは、ベラルーシ情勢を読み解く上での一つのヒントとなる原子力発電所の問題について語ってみました。ベラルーシは、1986年のチェルノブイリ原発事故の被害国であり、これまで国内には原発が立地していませんでしたが、ルカシェンコ大統領(当時)の強い意向により、同国初となる「ベラルーシ原子力発電所」の建設が決まりました。そして、建設作業はすでに完了しており、その稼働開始が、まるでルカシェンコの新たな任期を祝うかのように設定されているのです。


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 ナゴルノカラバフでガチの戦争が起きて、ベラルーシはあっという間にオワコンか。8月から9月にかけて、日本における数少ないベラルーシ専門家として重宝されたけど、もうバブルも終わりだな。うだつの上がらない平民出に巡ってきたビジネスチャンスだったけど、短ぇ夢だったな。

 それはそうと、こちらのページに、興味深い図解資料が出ていた。旧ソ連の各国に、「ポーランドカード」がどれだけ発行されているかを比べたものである。それに加え、2段目にポーランド永住権の供与数、3段目にポーランドに留学している学生の数が出ている。

 ポーランドカードというのは、芸がないようだがウィキペディアによれば、ポーランドで2008年に発効した制度であり、旧ソ連のポーランド系住民に対し「ポーランド民族」に属すというお墨付きを与える制度で、2019年からは旧ソ連域外の人々にも適用されるようになった。制度の実質的な狙いとしては、旧ソ連の同胞を労働移民として迎え入れる点にあるということである。

 2019年の国勢調査によれば、ベラルーシには29万人のポーランド系住民が存在することになっている。一方、今回の資料によれば、ポーランドカードを取得したベラルーシ国民は14万人あまりなので、約半分がそれを取得したということになろうか。今般のベラルーシ民主化運動に至る底流として、ポーランドとの関係拡大という要因もあったという仮説が成り立つだろう。


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 以前からナゴルノカラバフの領有をめぐって対峙していたアルメニアとアゼルバイジャンの間で、昨日、本格的な武力衝突が始まってしまったようだ。

 それに関連して、以前書いた小文をリサイクルしてお目にかける。『ロシアNIS調査月報』の2016年6月号の表紙に上掲のような写真を使い、その紹介文として書いたものである。

 2015年9月、個人的に初めてアルメニアに現地調査に趣いた際に、有名なブランデー醸造会社のアララト社の工場を見学する機会があった。アルメニアの象徴とも言えるアララト社には、数多くの外国元首も訪れており、貯蔵されている多くの樽の中には、プーチン大統領の樽、ルカシェンコ大統領の樽といった具合に、VIPたちのキープ樽もあった。

 そして、これはかなり有名だと思われるが、見学コースには「平和の樽」というものも展示されていた。今号の表紙の写真は、それを撮影したものである。アルメニア人とアゼルバイジャン人が支配権を争ったナゴルノカラバフ紛争の解決を願って樽詰めされたものであり、同紛争が最終的に解決したあかつきに開けて飲むことになっているそうだ。樽の後ろに置かれているのは、向かって右からアルメニア、ナゴルノカラバフ、米国、ロシア、フランス、そしてアゼルバイジャンの旗(米・露・仏はナゴルノカラバフ紛争調停グループのメンバー)。なお、写っている人物は案内してくれた女性である。

 一聴すると美談のようだが、ナゴルノカラバフ紛争の最終的な解決とは、具体的に何を意味するのだろうか? 本気で紛争を解決するのであれば、アルメニアの側にこそ、努力すべき点が多いのではないか? 質問が喉まで出かかったが、ブランデーの甘い香りが漂う中で訊くのは無粋に思われ、やめておいた。


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 むかし、「カワイイはつくれる!!」というCMがあったが、ベラルーシを見ていると、世論も作れるのかなと感じる。ベラルーシ科学アカデミー社会学研究所のこちらのページに、対ロシア関係をはじめとして、ベラルーシのあるべき対外戦略についての世論調査結果が出ていた。ただ、そもそもがルカシェンコ体制の御用調査機関であり、調査方式などについての具体的な情報が記されておらず、疑いの目を向けざるをえない。このコンテンツが発表されたのが、大統領選直後の8月14日であることから見ても、政治的意図があって発表したものではないかと、つい見てしまう。

 上に掲載したグラフは、どのようなロシアとの関係を望むかという問いに対する回答状況である。最新の2020年6月の状況で、「ベラルーシは独立国でありロシアとは国際条約にもとづいた関係を構築すべきだ」(青)が61.6%、「ベラルーシとロシアは超国家機関を創設し同権の連合関係を築くべきだ」(緑)が24.5%、「ベラルーシは連邦構成体(単数または複数)としてロシア連邦に加入すべきだ」(赤)が6.7%だったと発表されている。要するに、ロシアと国家統合を行うことを希望しているベラルーシ国民は趨勢的に減少しているという、ルカシェンコ体制にとって何とも都合の良い数字になっている。ベラルーシで対ロ統合の支持者が減っているのは事実だと思うが、ちょっとこのグラフの示すパターンは露骨すぎるのではないかという気がする。

 一応、他の設問の回答状況も見ておくと、ベラルーシの対外関係の方向性はどのようなものであるべきかという設問では、ロシア寄り23.9%、欧州寄り20.2%、中国寄り4.8%、特にどこにも依拠せず自主路線を進める28.6%、などとなった。


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 60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。画像はクリックまたはタップで拡大します。

 ちなみに、この1960年9月26日(月)は、アメリカ大統領選で初めて、テレビ討論が実現した日である。有名なケネディとニクソンの直接対決であり、ここで点数を稼いだJFKがぐっと勝利を手繰り寄せたことは良く知られている。

 さて、ヒットチャートはそれとはあまり関係ない。ツイストを1週で引きずり降ろして、今週1位に輝いたのは、CONNIE FRANCIS の My Heart Has A Mind Of It's Own。個人的には、コニー・フランシスの曲で一番良く聴いたのがこれだったかもしれない。


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 ベラルーシ騒ぎで、個人的には全然気付かなかったが、ロシア(旧ソ連)の原子力産業は先日の8月20日に、誕生から75周年を迎えたということだ。記念日好きのロシアらしく、上掲のようなロゴまで作られていた。こちらこちらで情報が伝えられている。

 ロシア(旧ソ連)の原子力研究の歴史は、こちらでまとめられているとおり、実はロシア革命直後の1918年に始まっていたということである。しかし、正式にロシア原子力産業誕生の日とされているのは、1945年8月20日である。この日に、ソ連国防委員会付属の「特別委員会」なるものが設置されたということだ。つまり、米国による日本への原爆投下で危機感を覚え、米国との核の均衡を達成すべく、にわかに開発に本腰を入れたということなのだろう。今般の75周年は、どちらかというと表向きは原子力の平和利用の観点で祝われているが、ルーツはやはり軍事利用だったわけだ。


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 実は現在、遅い夏季休暇中であり、とある地方都市に滞在している。なので、研究とは関係のない話だが。

 昨日、歩いていたら、空に虹がかかっていたので、それを眺めていたら、白いサギが飛んできた。電線にとまったので、写真を撮ろうとしたら、また飛び立ってしまい、結果的に虹とサギがオーバーラップする、あざとい構図に。

 飛んで行った方向の川に行ったら、そのサギがいた。シラサギの中でも、クチバシが黒いので、これはコサギだろう。

 あまり人に言ったことがないが、実は野鳥観察が趣味の一つである。といっても、それ目的で一眼レフカメラ担いで撮影に出かけていくような本格派ではなく、街で見かけたちょっと珍しい鳥を眺める程度。

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 こちらのサイトで、ベラルーシの政治評論家V.カルバレヴィチ氏(写真)が、9月14日のソチ会談後のベラルーシ情勢について論評しているので、以下のとおり抄訳しておく。


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 今年の大統領選前までは、ルカシェンコは国民の支持に依拠していたが、今ではロシアに依拠するようになり、ロシアはベラルーシへの影響力を強めた。しかし、ロシアによるバックアップは、ルカシェンコにとって心許ないものであることが、徐々に明らかになっている。

 9月17日にロシアのS.ラヴロフ外相はロシアのRTVI局のインタビューに応じ、次のように発言した。「ルカシェンコ大統領自身、自分は長く政権に留まりすぎたのかもしれないと発言している。大統領が言っているように、憲法改革を経て、彼は前倒しの議会選・大統領選を宣言するかもしれない。これは、国民対話が完全な形で実施される枠組みを示している。重要なのは、ベラルーシ社会のすべての国民層が憲法改革のプロセスに参加し、この改革が完全に合法ですべての国民にとって分かりやすい形になることに尽きる。さらに、いつ、どこで、どんな形でこのプロセスが始まるかという具体的な提案が必要である。」

 かくしてラヴロフは、プーチンがソチで示したクレムリンの立場を、明らかにしたわけである。それはすなわち、ルカシェンコは5年の任期を待たずして早期に退陣すべきだというものである。

 しかし、ルカシェンコはこうしたシナリオに同意はしていない。もしかしたら、ソチでは反論はしなかったのかもしれない。しかし、帰国後は、ソチでの話を実質的に反故にしている。

 ソチ会談直後、ルカシェンコは全政権幹部を招集した。ソチでの会談で、ルカシェンコがプーチンにあまりにへりくだった態度を示したことが、ベラルーシのエリートたちに好ましくない印象を残していたので、ルカシェンコとしては早急にそれを打ち消す必要があったのだろう。

 ルカシェンコはこの席で、次回大統領選挙は憲法に沿って実施されると発言した。現行憲法に従うならば、それは2025年となり、前倒し大統領選などはなくなることになる。

 ラヴロフは国民対話について述べたわけだが、ルカシェンコが実際にやっていることは対立を煽ることだけである。くだんの政権幹部会合でルカシェンコは、大規模な抗議運動はベラルーシに対する世界的な陰謀によるものであると主張した。なぜ過去26年作動しなかったカラー革命のテクノロジーが突如として稼働したのかということにつき、ルカシェンコは説明しなかったが、いずれにせよルカシェンコの語り口は、すべての敵対者に対する敵意、内戦のレトリックであった。

 ラヴロフの要求に反し、ルカシェンコはフィクションにすぎない「全ベラルーシ大会」で憲法を討議するとしている。また、ルカシェンコは、まずは政権幹部を、次に女性大会を招集したが、憲法改革の具体的な日取りは明らかにしていない。彼は時間稼ぎをしており、状況に応じて次の手を打とうとしている。今の時点で憲法採択の、増してや前倒し選挙の日程を発表したら、レームダック化してしまう。もしもベラルーシのエリートやシラビキたちが、ルカシェンコが退陣する時期を知ったら、彼らの忠誠心が低下することになる。

 他方、ルカシェンコは、プーチンがルカシェンコを守る以外にどうしようもないということを、確信している。クレムリンにとっては、ベラルーシでカラー革命が起きるという恐怖の方が、強いからだ。

 その間、ベラルーシの西側ベクトルは、状況が悪化する一方である、ベラルーシ外交が長年にわたり目指してきた欧米との関係正常化の試みは、水泡に帰しつつある。9月17日の女性大会でルカシェンコは、西側との関係は壊滅の一歩手前だと述べ、戦争の危険について指摘し、ポーランド、リトアニア、ウクライナの首脳のことを「愚かな政治家たち」と呼んだ。

 その上でルカシェンコは、リトアニアおよびポーランドの国境を閉鎖し、ウクライナとの国境は警備を厳重にした。その結果、バルト三国から貨物を運んでくるトラックが厳重にチェックされるようになり、通過ポイントで数時間の遅れが発生している。ロシアはリトアニアからの貨物到着が最大で5日遅れるようになったとクレームをつけ始めている。ベラルーシ当局はまた、国籍に関係なく、自国民も含め、これらの国境を通過する人々を厳重にチェックするようになった。

 これらの問題は、ベラルーシの外交と経済にとって長期的なダメージとなる。ベラルーシはトランジット立国であり、そのことが外交および経済面で多大な恩恵をもたらしている。トランジットを実際に止めるのはもちろん、制限すると表明しただけで、国にとってはマイナスである。輸送会社は迂回路を探すことになる。ベラルーシは欧州地図における「ブラックホール」になりかねない。

 9月18日にはV.マケイ・ベラルーシ外相が、もしもEUがベラルーシ指導部に対する制裁を導入したら、ベラルーシはEU加盟諸国との外交関係を断絶するかもしれないと述べた。マケイはさらに、ベラルーシに対する何らかの制裁が採択されたら、ベラルーシ国家は国内政治に関連したしかるべき措置をとるかもしれず、これは政治システムおよびベラルーシに駐在している外国のマスコミにかかわる可能性があると述べた。これを普通の言葉に翻訳したら、もしもEUが制裁を発動したら、ベラルーシの支配体制は国民に対する政治的抑圧をさらに強めるということになる。


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 昨日、「ロシア語とベラルーシ語 反ルカシェンコ派の興味深い立ち位置」というコラムを発表した。ちょっとその続きの話である。

 昨日のコラムでは、ベラルーシ国民のうちベラルーシ語を母語とする者の割合、普段家庭でベラルーシ語を話している者の割合というグラフをお目にかけた。実は、コラム執筆に向け、上に見るような、都市・農村別、地域別、民族別のベラルーシ語比率という表も用意していたのだが、話が複雑になりすぎるので、割愛した次第だ。せっかく作ったので、当ブログでお目にかけることにする。

 なお、できることなら年齢層別のデータも載せたいところだったが、残念ながら原典の統計集にそのデータが掲載されていなかった。

 分かりやすいのは、都市・農村別の状況であり、ベラルーシ語の母語比率も、家庭使用比率も、農村の方が高くなっている。地域別の状況はなかなか複雑怪奇で、ブレスト州などは母語比率は高いのに家庭使用比率が非常に低いという、不可解なことになっている。

 これは以前から目立っていた現象だったが(拙著『不思議の国ベラルーシ』で詳しく論じた)、民族的なポーランド人の間では、ベラルーシ語を母語と見なす人々が非常に多く、家庭使用比率に至っては民族的なベラルーシ人すらも上回っている。ちなみに、自称ポーランド人たちの間では、ポーランド語を母語とする人も、家庭でポーランド語を話す人もごくわずかしかおらず、だいたいがロシア語かベラルーシ語かのどちらかである。貴方たちは本当にポーランド人ですか、単にカトリックなだけではないのですかと、ツッコミたくなる。


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 GLOBE+に、「ロシア語とベラルーシ語 反ルカシェンコ派の興味深い立ち位置」を寄稿しました。

 ベラルーシでは、暴力を駆使して権力の座に居座るルカシェンコと、圧政への抗議を粘り強く続ける民主派の市民が対峙し合い、混乱長期化の様相を呈してきました。9月14日にルカシェンコがロシアを訪問し、プーチン大統領との会談を行いましたが、それによって情勢が急激に変化するということもありませんでした。

 ですので、今回も短期的な情勢分析ではなく、ベラルーシを読み解くための基礎的なところを解説してみました。この連載ではベラルーシ問題を、デジタル社会、ウクライナとの比較、農村・農業、国内の地域構造など、様々な観点から検討してきました。今回は、言語事情からベラルーシを読み解きます。


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 当ブログでは、ネタに困ると、ロシア圏の図解資料を紹介してお茶を濁すということをよくやるわけだが、意外とそういうものの方がウケたりして、???という思いがするものである。

 そんなわけで、今回も図解資料の紹介。こちらのサイトに、ロシアにおける学校の科目についての意識調査の結果が出ていたので、これを見てみることにする。4,500人を対象とした調査ということだが、回答しているのは実際に学校に通っている学童ではなく、大人のようだ。図は非常に分かりにくく、ピンク色の部分がその科目を重要だと思っている回答者の割合、青の斜線部分がその科目を学校時代に嫌いだったという回答者の割合となっており(複数回答可能)、両者を積み重ねて表示するというところにセンスの悪さを感じる。

 ともあれ、重要視されている順に並べられており、上から、ロシア語、数学、外国語、歴史・社会、文学、情報学、物理、体育、地理、化学、生物学、安全な生活の基礎、音楽となっている。数学などは、重視されている割には、嫌いだった人が多いという、あるあるな結果となっている。

 ベラルーシでは、ベラルーシ語とロシア語がともに科目として必修になっているわけだが、ベラルーシでアンケートをとったらどんな結果になるのかというのは興味のあるところだ。


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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「ベラルーシ通りの名前ランキング」です。よかったらご笑覧ください。


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 9月14日にルカシェンコが訪ロしてプーチンとの間で行った会談については当ブログで既報のとおりだが、ルカシェンコは9月16日に政権関係者らを前にして、会談の具体的な内容につき明かしたということである。ベラルーシ国営ベルタ通信がこちらの記事で伝えている。私の研究分野に近い事柄としては、ベラルーシの貨物を現状利用しているバルト三国の港からロシアのサンクトペテルブルグの港にシフトさせるという話が新味があった。以下、ルカシェンコが述べた要旨を箇条書きしておく。

  • 約5時間にわたって、あらゆる問題を話し合った。プーチンと一緒に、今後の交渉の計画を作った。外務省、政府、大統領から成る枠組みは、選挙前に形成されていたものだ。
  • 何よりエネルギー問題を協議した。具体的な数字などは出なかったが、駐ロシア大使で対ロシア交渉担当の副首相でもあるセマシコがロシアのエネルギー関係者と交渉している。
  • 市場アクセスの問題も協議した。プーチンが、両国の持ち株会社、産業大企業の関係を活発化させ、その接触や取引を促そうと提案してきたので、私はOK、自分も賛成だと答えた。
  • (15億ドルの融資については)これは私からの依頼だった。ベラルーシは今年、ロシアに対する旧債務の返済で10億ドルを支払う必要があり、首相と蔵相は支払うことを提案しており、我が国はどんなに困難でも支払うつもりだった。ただ、私はロシア指導部に、今年の支払は見送り、来年に繰り延べてほしいと依頼した。金利は許容範囲である。したがって、これは繰り延べである。
  • 9月の末に両国の地域間フォーラムがあるので、知事たちの間の交流を活発化させる。セマシコがソチからの帰路に報告してきたところによれば、彼はロシアの産業相とロシアを行脚し、BelAZやMAZの供給など、2.9億ドルの契約をまとめてきた。
  • ベラルーシの貨物をバルト三国の港からペテルブルグの港にシフトさせる問題も、真剣に協議した。私はプーチンに、ロシアがバルト三国と同等の条件を提示できるなら、我が国はバルトの港にこだわるものではないと伝えた。まだ私がソチにいる間に、プーチンは事務方に検討と提案を指示した。
  • 交渉では、軍需産業および軍事分野の協力を特に重視した。当方からは演習を提案した。他国が何と言おうと、気にする必要はない。戦えない軍隊は軍隊ではなく、少なくとも演習は必要である。

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19600919

 60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。画像はクリックまたはタップで拡大します。

 今週は、何と言っても、問答無用、1位に輝いたChubby CheckerのThe Twistだろう。世界中をツイストブームに巻き込んだ曲として知られている(日本には2年遅れくらいで1962年頃に上陸したようだが)。個人的に、楽曲的には1年後のLet's Twist Againの方が好きかな。


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 こちらに見るように、ロシアのレヴァダ・センターが2020年8月20~26日にロシアで全国調査を実施し、ロシアにとっての友好国および非友好国についての意見を調べ、それを過去の調査結果と対比しつつ発表している。

 まず、どんな国を、ロシアにとっての友好国、同盟国だと思うかというのを、5つまでの複数回答で答えてもらったところ、その結果は上表のようになった。数字は全回答者に占める当該国を挙げた回答者の比率(%)。原典ではもっと多くの国が示されているが、ここでは上位30ヵ国に限定して紹介する。不動の1位はベラルーシであるが、近年は中国の台頭が目覚ましい。ウクライナは、ウクライナ側の政権の変化によって起伏が激しい。日本は決して高くはなく、2020年現在で30位だった。

 次に、ロシアにとって最も非友好的、敵対的な国はどこかというのを、やはり5つまでの複数回答で答えてもらったところ、下表のような結果となった。まあ、だいたい、友好国ランキングの裏返しという感じである。米英、ウクライナおよびジョージア、ポーランドおよびバルト三国といったあたりが上位の常連である。ウクライナは地域党政権時代も含め常に一定のネガティブ票を集めているのが興味深い。

 日本は、領土問題を抱えている割にはそれほど非友好国とは見なされていない。特に安倍政権時代には、数字が改善されていたようにも受け取れる。ただ、いずれにしても、良い意味でも悪い意味でも、ロシア国民を高揚させるような存在感は希薄と言えようか。

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 ナヴァリヌィ氏の暗殺未遂事件を受けて、ロシアと欧米の対立が激しさを増し、ノルドストリーム2への風当たりが強くなったことを受けたものだろう。ロシア『エクスペルト』誌の2020年9月14-20日号に、ロシアおよびガスプロム社による天然ガス輸出の問題を取り扱った記事が掲載された。ここでは、簡単に図表だけ参照しておくことにする。欧州方面への輸出インフラ・実績を見たのが上の地図である。

 下に見るのは、ガスプロム社による2019年の販売先の内訳である。

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 昨日は、夕方から研究会で2時間発表、夜にラジオ出演で1時間解説と、ずっとしゃべりっぱなしだった。無理してしゃべりすぎたのか、そのあと、顎がつるという、初めての体験をした。そんなわけで、だいぶグロッキー気味なので、ブログは簡単なネタでご容赦いただく。

 悪名高きベラルーシ国営ベルタ通信のこちらのページに、ベラルーシとロシアの貿易関係に関する図解資料が出ていたので、それを見てみることにする。まあ、数字が羅列してるだけで、図解効果はそれほどないが。

 この資料は、ルカシェンコが訪ロした9月14日に発信されたものである。ベラルーシ当局は普段、ロシアへの経済依存度が高いことをことさらに強調しようとしたりはせず、むしろベラルーシは多角的な通商関係を目指して取り組んでいるという立場を示す傾向がある。なので、ベラルーシの貿易は輸出も輸入も半分前後がロシア相手ですということをあえてこういう目立つ資料に仕立てたということ自体、ある種のメッセージ性がある。

 2019年の場合、輸出の41.5%がロシア向け、輸入の55.8%がロシアからだった。注目されるのは、ロシア向けの主要輸出品目であり、多い順に以下のとおりとなっている。以前のコラムで論じたように、ベラルーシは実は畜産品輸出大国であり、そのほとんどをロシアに向けているわけだが、乳製品や食肉がここまで重きをなしているとは、認識を新たにした。

  1. 牛乳・乳製品:20億3,940万ドル
  2. 貨物自動車:7億5,060万ドル
  3. 食肉・同製品:5億9,650万ドル
  4. 農業機械:3億2,000万ドル

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 コメルサントのこちらの記事が、昨日9月14日にロシア南部ソチで行われたプーチン・ロシア大統領とルカシェンコ・ベラルーシ大統領の会談の主な結果につき箇条書きで整理しているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

  • ロシアはベラルーシに15億ドルの融資を提供し、その一部は旧債務の借り換えに充てられる。
  • ロシアは対ベラルーシ国境付近に集結させていた予備兵力を解除し、元の勤務地に戻す。
  • プーチンは、憲法改革を実施するというルカシェンコの意向を支持する。ただし、ロシアも、その他の欧州勢力も、内政干渉してはならないという立場。
  • ロシアはルカシェンコをベラルーシの合法的な大統領と認める。ペスコフ・ロシア大統領報道官によれば、ロシアは、ルカシェンコを支持していてもいなくても、ベラルーシ国民のことを兄弟国民と見なす。
  • 両大統領は、両国間の交通の往来を再開するよう事務方に指示、近く担当大臣が会うことになった。
  • プーチンは、コロナウイルスのワクチンをベラルーシにも提供するよう指示。
  • 両大統領はエネルギー供給の問題を協議し、ペスコフ報道官によれば結果は建設的だった。
  • 両国は、それぞれの諸地域が参加するフォーラムの準備を継続する。
  • 両大統領は、様々な政府間委員会、各部門の企業の協業を活発化させることで合意。
  • ベラルーシ領にロシア軍基地を置く問題は話し合われなかった。

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 GLOBE+に、「安倍・プーチン時代の日露経済関係を振り返る」を寄稿しました。

 2012年12月に第2次内閣を発足させて以降、安倍首相はロシアとの間で北方領土問題を解決し、平和条約を締結することに強い意欲を示してきました。そして、それに向けた環境作りの一環として、ロシアとの経済協力を積極的に推進しました。

 北方領土と平和条約の交渉に関しては、朝日新聞の駒木明義論説委員が最近、『安倍vs.プーチン ―日ロ交渉はなぜ行き詰まったのか?』(筑摩選書)という著作を発表し、話題となっています。この本を読むと、多くの日本国民の抱いた期待が、いかに現実からかけ離れていたかを思い知らされ、愕然とします。

 政治・外交的な観点は、駒木さんの著書によって余すところなく論じられていますので、ぜひそちらを参照していただければと思います。今回のこのコラムでは、安倍・プーチン交渉をサイドストーリーとして彩った日露経済協力につき、簡単に振り返ってみました。


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 こちらのページに、ベラルーシにおけるソーシャルメディアのランキングというものが出ていたので、簡単に見ておくことにする。2019年10月の調査結果である。まあ、だいたいロシアなどと同じ図式だ。

 まず、月間の投稿数を見たのが、上のグラフである。全体では4,270万の投稿があり、フコンタクチェが2,067万、アドノクラスニキが866万、インスタグラムが635万などと続いた。

 次に、投稿者の数を見たのが、下のグラフである。全体では300万人であり、フコンタクチェが150万人、インスタグラムが98万人、アドノクラスニキが51万人などと続いている。

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 ちなみに、ツイッター(日本と違ってユーザーは少ないが)、フコンタクチェ、フェイスブック、インスタグラムの投稿者の男女比を見ると、下図のようになる。インスタで女性が圧倒的に多いのは、いずこも同じ。

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 ベラルーシ情勢が混沌とする中でも、ベラルーシ・サッカーの国内リーグ戦は通常どおり開催されている。上の動画に見るように、首都ミンスク市でも然りのようだ。

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 そうした中、9月12日に、ベラルーシのサッカー選手93人が、当局により国民に暴力が振るわれていることを非難し、直ちに停止することを訴える動画を発表した。ベラルーシ国内リーグ、外国リーグでプレーするベラルーシ人プレーヤーたちであり、代表選手も含まれている。彼らは次のように訴えている。

 私たちはもっぱら、良心、我が国で起きていることすべてに耐えられないという思いから、行動している。私たちは、犠牲になった人々の肉親にお悔やみを申し上げ、被害を受け、屈辱を受け、酷く殴打され、障害を負うこととなった人々すべてへの支援を申し上げる。そして、暴力を停止するよう、訴える。私たちは、そして全国民は、憲法に明記された権利と自由を持つ。何人も、拷問、残酷、非人道的、または品位を傷つけるような扱いや罰を受けてはならない。人権に勝る権利はない。私たちは真実、正義、自由を支持する。私たちは暴力に反対する。


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 今後のベラルーシの命運を左右するであろうルカシェンコのロシア訪問だが、こちらなどが伝えているとおり、一昨日9月11日、日取りが発表された。9月14日にプーチンとの会談が行われるということである。

 ただし、交渉が1日で終わるのかというのは、良く分からないところである。ちょっと前には、両者が数日間にわたるマラソン交渉をしたこともあった。ルカシェンコはさておき、プーチンは多忙なので、どのくらい時間を割けるのかは不明だが、1日で終わらない可能性もなきにしもあらずだ。

 場所は、モスクワではなく、ロシア南部のソチに決まった。ソチは、米外交でしばしば重要な舞台となる大統領別荘があるキャンプデービッドのようなものであり、プーチンの公式別荘があって、プーチン自身モスクワよりはソチで来賓をもてなすことを好む。

 会談において、プーチンとルカシェンコは、「『連合国家』の枠組みでの統合推進の展望について協議する」とされている。私は、連合国家条約が起草されていた1999年当時から、この条約について研究してきたわけだが、まさか今頃になってこんな条約がゾンビのように復活し、国際政治の焦点になるとは、思いもしなかった。

 ルカシェンコが国を離れることをきっかけに、ベラルーシでもっと大規模な民衆蜂起が起きるとか、あるいはロシアでルカシェンコの身に何かが起きるとか、ドラマチックな出来事が起きるかもしれないが、それは私の想像力の範疇を超えている。


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 こちらの記事によると、ベラルーシはIMFに9.4億ドルの緊急融資を断られた由である。9月10日に定例の会見でIMFの公式代表が明らかにした。

 記事によると、新型コロナウイルスの感染拡大と世界的な経済状況の悪化を受け、ベラルーシ中央銀行は本年3月、9.4億ドルの緊急融資につきIMFと協議した。しかし、今日の困難に対応するための措置につき、両者間で合意を見なかった。IMF側によれば、この緊急融資メカニズムは厳しい条件を付けるものではないが、その利用に当たっては資金がウイルス対策と経済安定化にしかるべく向けられるよう、透明性が確保され必要な政治的措置がとられる必要があり、具体的にはWHOの勧告に沿った標準的な措置をとることが求められるという。


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 60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。画像はクリックまたはタップで拡大します。

 今週は、60位とだいぶ低い順位だが、フランク・シナトラのNice 'n' Easyをピックアップしてみようかと思う。超有名曲だと認識していたが、最高位がこの週の60位とは。シナトラがチャートの上位を席巻していたのは1940~1950年代で、さすがに若者文化の1960年代となり、シナトラのようなアダルト歌手がポップチャートで大ヒットを連発というわけにはいかなくなったのだろう。


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 多忙につき、ブログは小ネタでご容赦いただく。こちらのページに、欧州諸国の飲酒量を比較した図解資料が出ていた。各国の15歳以上の国民の一人当たり純アルコール換算消費量を比較したものである(ただし、順位の数字が明らかに間違っているが)。ロシア=酔っ払い超大国というステレオタイプがいまだに根強いかと思うが、以前「今こそ『ロシア人とお酒』についての真実を語ろう」というコラムで書いたとおり、最近は決してそんなことはない。今回の調査を見ても、ロシアの飲酒量は欧州で21位に沈んだ格好になっている。以下、私の関係国の数字を整理しておく。

15位:ベラルーシ:11.5リットル
20位:モルドバ:11.4リットル
21位:ロシア:11.2リットル
35位:ジョージア:8.3リットル
36位:ウクライナ:8.3リットル
43位:アルメニア:5.6リットル
44位:アゼルバイジャン:4.4リットル


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 ちょっと自分のためのメモであり、込み入った話になる。

 私は、「ベラルーシは、ソ連の末期に、他の共和国とは異なり、独立宣言をしないまま、ソ連崩壊に伴い独立国となってしまった」と認識している。

 事実関係を整理すると、ベラルーシ共和国最高会議は1990年7月27日に「国家主権宣言」を採択した。主権宣言というのは、どちらかと言えば、自分たちのことを自分たちで決める権利があるのだという意思表示であり、独立を宣言するものではない。

 そして、翌年の1991年8月25日、ベラルーシ共和国最高会議は、前年の国家主権宣言に「憲法的法令」という位置付けを与えることを宣言した。後年、これが独立宣言だったと解釈されるようになった。なお、独立からしばらくは、主権宣言の7月27日が独立記念日となっていた。

 しかし、8月25日の決定を独立宣言とするのは、明らかに強引な後付けであろう。ベラルーシは、他の共和国とは違って、ずばり「独立宣言」と称するものは、ついぞ採択しなかったのである。ただ、独立宣言もせずに独立しちゃったというのはちょっと体裁が悪いので、後付けでそう称しているだけである。

 それで、ベラルーシの人々が、1991年8月25日に独立宣言をしたと解釈している根拠に、上述の宣言に加え、同日に採択された最高会議決議がある。その決議は、なぜか一般にはあまり流布していないのだが、こちらのWord文書の中にテキストがある。

ПОСТАНОВЛЕНИЕ ВЕРХОВНОГО СОВЕТА БЕЛОРУССКОЙ ССР

Об обеспечении политической и экономической самостоятельности Белорусской ССР

Руководствуясь Декларацией Верховного Совета Белорусской Советской Социалистической Республики о государственном суверенитете Белорусской Советской Социалистической Республики, Верховный Совет Белорусской Советской Социалистической Республики постановляет:

Объявить политическую и экономическую независимость Белорусской ССР.

Передать в собственность Белорусской ССР все предприятия, организации и учреждения союзного подчинения, расположенные на территории республики, за исключением тех, руководство которыми передано согласно законодательству Белорусской ССР соответствующим органам Союза ССР.

Совету Министров Белорусской ССР срочно принять нормативные акты о порядке передачи до 1 января 1992 года указанной собственности в ведение республики. В ходе реализации данного Постановления осуществить взаимодействие с союзными республиками по вопросам, затрагивающим их интересы, обеспечить нормальное функционирование экономики и социальной сферы Белорусской ССР.

Настоящее Постановление ввести в действие с момента принятия.

Первый заместитель
Председателя Верховного Совета Белорусской ССР С. ШУШКЕВИЧ.
25 августа 1991 года, гор. Минск.

 確かに、この中に独立を意味するнезависимостьという単語が出てくることは事実である。しかし、決議のタイトルは独立ではなく「自立」である。ここで述べられているのは、あくまでも、ゴルバチョフが目指したような刷新された連邦の一員としての自立的なベラルーシであり、ソ連から独立するというような決然とした姿勢は見られない。現に、共和国にある企業・組織は共和国の管轄に基本的に移管するとしながらも、ある種の企業・組織についてはソ連邦の管轄とすることもありうるとしており、連邦の存在を前提としていることは明らかである。したがって、ここで言っているнезависимостьは、いわゆる独立国になるという意味ではなく、政治的・経済的独立性といったニュアンスで捉えておくのが妥当だろう。

 むろん、「ソ連からの独立意欲が旺盛であればあるほど偉い」などというのはナンセンスであり、独立に慎重だったベラルーシは単にそういう個性の持ち主だったというだけの話である。別にベラルーシを見下そうということではない。私は単に、歴史を正確に把握したいだけである。


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shema-reeksportnyh

 ロシアは2014年から欧米産の主要食品の輸入を禁止しているが、これはユーラシア経済連合としてではなく、ロシア単独の措置である。そこで、禁輸品目がベラルーシなどのユーラシア経済連合諸国に輸入され、それがロシア市場に違法に持ち込まれるという現象が、以前から知られていた。この問題に関し、こちらの記事が近況を伝えているので、要旨を以下のとおり整理しておく。

 なお、このような問題があるので、ベラルーシがロシアの保護国になったら、ロシアはベラルーシとの税関業務を統合する、言い換えればベラルーシの税関業務が実質的にロシアの管理下に置かれることになると、私は見ている。

 ロシアに非合法に再輸出される制裁対象食品の量は、縮小していない。ロシア市場における食品の供給量は、過去3年間、正式に登録された量(訳注:国内で生産された量+正式な輸入量という意味だろう)を少なくとも20%上回っている。少なくともその半分は、制裁対象品目である。さらにその半分強は、その他のユーラシア経済連合加盟国を経由してもたらされたものである。

 ロシア農産物監督局のS.ダンクヴェルト長官は先日、制裁対象食品の密輸はますます巧妙になっているとして、対策を厳格化することを提案した。特に、輸送業者および運転手を処罰することが必要であり、トラックおよび商品を押収し、業務を5年間禁止すべきである、という。

 もう何年も、ユーラシア経済委員会、ロシア税関局、その他のロシアの関係省庁は、ユーラシア経済連合加盟国を通じた再輸出を問題視している。しかし、その防止を難しくしている一連の要因が残っている。

 これに対し、ベラルーシ税関委員会のYu.セニコ委員長は、ベラルーシからロシアにもたらされる禁輸品目はほとんど、他ならぬロシアの業者によって販売されていると指摘した上で、我が国はその防止に全力を挙げていると弁明している。2019年には600のケースが摘発されたが、多くはロシアの業者による違反だったという。ロシアの業者は、輸入品をベラルーシで調達し、その後ベラルーシ産品であるなどという偽造文書を用いて、ロシアに持ち込むということである。

 このこと自体は、ロシア側も否定していないが、かといって、すべてがロシアの密輸業者の仕業だとは考えにくい。2018年の数字だが、輸出によって国庫にもたらされる歳入のうち、合法および非合法の再輸出に由来する歳入の比率は、ベラルーシでは約4分の1、カザフスタンでは20%強、キルギスでは3分の1にも上っているのである。


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 本日発売の雑誌『世界』の2020年10月号に、「『ルカシェンコ94 』をアンインストールせよ ―ベラルーシ民主派の悲壮な戦い」を寄稿しました。

 月刊誌なので、リアルタイム分析というわけにはなかなか行かないですが、今日の事態に至る背景、その焦点などについて、全体像を論じました。


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 GLOBE+に、「ベラルーシの民主化を牽引する地域は? ウクライナとの比較考察」を寄稿しました。

 本連載でこのところずっと取り上げているベラルーシ情勢は、どうも憂慮すべき方向に進んでいるようです。ロシアの全面バックアップを受け、ルカシェンコの恐怖政治が当面延命されるという見通しが強まってきました。

 依然として事態は流動的であり、目先の情勢分析などはすぐに陳腐化してしまいそうです。そこで今回も、ベラルーシ情勢を理解するための基本的なところについて解説した次第です。この連載では8月25日に「2020年のベラルーシと2014年のウクライナはこんなにも異なる」というコラムをお届けしました。その時には割愛した「地域」という観点から、改めてベラルーシとウクライナを比較してみました。


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 私は個人的に、ルカシェンコの圧政の犠牲となり外国に逃れた人々のことを脱北者ならぬ「脱白者」と呼んでいるのだが、こちらのサイトにベラルーシの10大政治難民という情報が出ていたので、以下のとおり整理しておくことにする。ただし、2012年とだいぶ古い情報である点は悪しからず。いったん脱白してその後ベラルーシに戻った人も含まれている。

  1. Z.ポズニャク:ベラルーシ人民戦線のリーダーで、1994年の大統領選に出馬。1996年8月に米国に亡命。現在はポーランドのワルシャワに住んでいる。
  2. S.ナウムチク:同じくベラルーシ人民戦線のリーダーだった。2012年に米国籍を取得。
  3. S.シャレツキー:最後の最高会議議長だった。最高会議がルカシェンコによって解体された後、その残党は1999年7月にシャレツキーを大統領代行に任命したが、その直後リトアニアへの脱出を余儀なくされ、現在は政治難民として米国で暮らしている。
  4. A.ロマシェフスキー:ベラルーシ・ビール愛好家党の党首だったが、政治的弾圧を受け、1996年にチェコに亡命、現在もチェコで暮らす。
  5. S.アダモヴィチ:詩人だが、1996年に大統領を揶揄する詩を発表して逮捕。2000年に米国に出国し、2002年にはノルウェーに移ったが、2009年にベラルーシに帰国した(その後も弾圧を受けている)。
  6. V.カバンチューク:「若者戦線」の活動家だったが1996年に逮捕、その後も政治団体「クライ」のリーダーを務めたり、大統領選での民主派候補の陣営で働いたりした。2001年にベルギーに逃れ政治難民申請したが、数か月後にベラルーシに戻った。
  7. O.ミニチ:アニメ作家。2005年に大統領を揶揄する作品を発表したかどで訴追され、2006年にドイツに逃れた。
  8. A.ミハレヴィチ:政治団体「近代化のために」のリーダーで、大統領選にも出馬したが、2010年12月に逮捕。2011年3月にチェコに逃れ政治難民認定を受けた。
  9. N.ラジナ:反体制サイト「憲章97」の編集を手掛けていたが、2010年12月に逮捕。2011年3月に国外に逃れ、9月に政治難民認定を受けた。現在も「憲章97」のサイトの仕事をしている。
  10. A.サンニコフ:1995~96年には外務次官だったが、「欧州ベラルーシ」を率いて大統領選に立候補し、2010年12月に逮捕された。2012年に治療のために出国し、その後英国で政治難民認定を受けたことが明らかになった。

 残念ながら、脱白者のリストは、この記事の後の8年間でさらに増えただろうし、ルカシェンコが居座る限り、今後大幅に増えていくだろう。


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