ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

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 今まであまり使ったことがなかったが、IEAが毎月出している石油市場に関するレポートというのがあり、こちらに最新の8月号(7月の動きを概観)の要旨が出ている。ロシアに関連する部分だけ、つまみ食いさせてもらう。

 レポートによると、ロシアの石油輸出は、年初には日量800万バレルの水準だったが、7月には740万バレルとなった。

 米国、英国、EU、日本がロシアからの石油輸入を停止・縮小したため、ロシアから同諸国への輸出は開戦後日量220万バレル低下した。220万バレルのうち、3分の2を、ロシアは他の市場にシフトさせた。

 ロシアの石油輸出収入は、数量減と価格低下の両方により、6月の210億ドルから、7月の190億ドルに低下した。

 ロシアの減産が予想されていたよりも軽微だったため、世界の石油供給見通しも上方修正されている。ロシアの欧・米・日・韓への輸出が開戦後日量220万バレル低下したが、インド、中国、トルコなどへのシフトや、季節要因で高まっているロシアの国内需要により、減産が緩和されている。7月になっても、ロシアの石油生産量は開戦前の水準を日量31万バレル下回っているだけで、輸出量も58万バレル下回っているにすぎない。

 ただ、EUによるロシア産石油・石油製品禁輸が2023年2月に発効すれば、ロシアは日量130万バレルの石油と100万バレルの石油製品の新たな輸出先開拓を迫られることになろう。


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 8月6日付と少々古くなってしまったが、こちらの記事がイスタンブール合意後のウクライナ穀物輸出の可能性につき論じているので、以下要点を整理しておく。

 業界団体「ウクライナ・アグリビジネス・クラブ」のR.スラステン専務理事によると、オデーサ州港湾の封鎖解除により、月量約400万tの穀物および採油用作物の輸出が可能になる。すでに試みられていたドナウ川河川港および欧州方面陸路の輸送路と合わせると、月660万tが輸送できる。

 昨年収穫されながら港に滞貨していた作物は1,500万~1,800万tである。一方、今年は7,000万tが収穫されると予想され、うち1,500万~2,000万tが内需向けとなり、輸出できるのは5,000万~5,500万tとなる。昨年と今年を合わせて、7,000万tほどということになる。毎月600万tを積み出すことができれば、12ヵ月でそれらをさばくことができる。

 しかし、外国の船主がウクライナの港に寄港することを見合わせれば、絵に描いた餅になる恐れがある。現在のところ、積極的な外国船主は数少ない。O.クブラコフ・インフラ相は、月に100隻の寄港を実現するのが目標だと先日表明した。

 前述の7,000万tの輸出が実現すれば、現在の国際価格だと、ウクライナの農業生産者は150億ドルの売上を得ることになり、輸送業者なども含めたウクライナ関係業界の売上は200億ドルとなる。

 ただ、もしも毎月の穀物輸出が100万tにも達しないような状況だと、生産者は2023年の収穫に向けた今年の秋蒔きの作付を縮小してしまうかもしれない。また、昨年の秋蒔きの作付は650万haだったが、そのうち現在ウクライナが実効支配できているのは470万haである。輸出収入が得られないと、播種作業に必要な資金が得られず、秋蒔きの作付は300万haにまで縮小してしまう恐れがある。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、FBでお知り合いの方に指摘されて初めて気付いたのだが、先週96位にSupremes の Your Heart Belongs To Meがランクインし、今週も95位に着けている。シュープリームスは、私がオールディーズを聴いていて最ものめり込んだアーティストの一つなのだが、記念すべき初チャートインを人に言われて初めて気付くとは、我ながらお恥ずかしい。この2年後には5曲連続ナンバーワンという金字塔を打ち立てる彼女らも、デビュー当時はNo Hit Supremesなどと揶揄されていた。しかし、デビューから2作目のこの曲を早くもTop 100に送り込んだのだから、それほど悪くない船出だった気もする。

その頃ソ連では
1962年8月11~14日:宇宙飛行士A.ニコラエフとP.ポポヴィチの操縦によりヴォストーク3号と4号が初の集団宇宙飛行。

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 8月22日、北海道大学北極域研究センターおよびスラブ・ユーラシア研究センターの共催により、特別セミナー「ウクライナ侵攻のインパクト ー北極の経済、産業、政治及び科学」が開催されます。

 私はこの中で、「ウクライナ侵攻後の日ロ経済関係」という報告を行う予定です。

 ご関心の向きは、8月18日までに、こちらからお申し込みください。

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 こちらのサイトに見るとおり、ロシア統計局が7月の消費者物価統計を発表したので、いつも作っているグラフを早速更新してみた。

 6月に引き続き、7月もロシアの物価はデフレを記録した。7月の消費者物価は、前月比では0.39%減、前年末比では10.98%増、前年同月比では15.10%増だった。

 ただ、ロシアは物価に関しても季節ごとの特徴が出る国であり、以前から夏は物価が低下する傾向があった。このデフレもいつまで続くかは分からず、現在ロシアで進行している経済の変調がモノ不足という形で顕在化してくれば、再びインフレの局面に入ることが考えられよう。


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 こちらの記事が、ロシア極東のウラジオストクの税関で中古車の輸入が増えているということを伝えている。

 記事によると、個人によりウラジオストク税関で通関された自動車は、2022年1~7月に78,460台に上り、前年同期比33%増となった。

 2022年は、特に7月の輸入数が多く、1.5万台に上った。2022年には1日平均で600台ほどの自動車が輸入されている。

 輸入されているのは大部分が日本の中古車で、韓国製や中国製はごく少ない。

 ルーブル高を受け、ロシアの人々は日本の中古車オークションでの買い付けを活発化させている。


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 日本の映画館では近年、上映される作品に占める邦画の比率が高まり、直近では邦画8:洋画2くらいになっているらしい。ロシアはそれとは逆で、外国作品、つまりハリウッド映画が8割を占める構造だった。

 ところが、2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻開始を受け、ハリウッドの大手映画配給会社が軒並みロシアへの作品提供を停止した。ロシアの映画館はコロナで経営が悪化し、今年あたりからようやく回復を見込んでいたのに、収入の8割を占めるハリウッド映画を失い、窮地に立たされている。一部の映画館は、ハリウッド作品の無許可上映を始めた。

 こちらの記事によると、ロシアの映画館の売上は、コロナ禍の影響が残っていた2021年には400億ルーブルだった。2022年にはコロナ前の500億~550億ルーブルの水準に回復することを見込んでいたが、ハリウッド勢の撤退によりせいぜい200億ルーブルとなりそうで、(映画会社への支払後に)映画館に残るのは100億ルーブル程度となりそうである。映画館の赤字総額は111億ルーブル程度となろう。実際、4月の映画館の売上は前年同月比で半減しており、コロナ前の2019年の同月と比べれば70%減となっている。

 こちらのまとめ記事によると、2022年1月から7月にかけて、ロシアの映画館の軒数は6.4%減少して2,022軒に、スクリーン数は12.4%縮小して4,996になった。7月4~10日の週にハリウッド作品を違法上映していた映画館は127存在した。業界団体のロシア映画館オーナー協会は、外国作品を配給会社の許可なしに上映しても処罰に問われないようにすることを政府に求めている。

 こちらの記事によると、"Формула Кино" および "Синема Парк"という映画館系列では、8月からゲリラ的なハリウッド作品上映を予定していた。ロシアの作品を本編で流し、それと抱き合わせで、ハリウッド作品をいわば幕間の予告編のような位置付けで上映するというものだった。通常のチケットよりも10~20%ほど割増になるはずであった。経営側としては、それにより政府に問題を提起し、問題の打開策を共同で探りたいという意向であったが、結局経営側はこのゲリラ上映を断念した。


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 テレビ局から、プーチンが最近ロシア製の腕時計を着け始め、舶来品の高級時計志向だったプーチンが乗り換えた国産時計というのはどんなものかという質問を受けたので、ちょっと調べてみた。情報源はこちらこちらこちらなど。

 上掲の一連の報道などによると、プーチンは自らが「輸入代替政策」を実践するかのように、最近、国産の腕時計を身に付け始めた。くだんの時計は、ペテルブルグにある時計工場「ロケット」のサブブランドである「帝政ペテルゴフ工房」の商品である。元々ピョートル大帝時代の1721年に創設された「ペテルゴフ宝飾工房」というところがあり、それがソ連時代の1954年に時計工場「ロケット」へと改組されたという経緯があった。ロケット社の公式HPはこちら、サブブランドの「帝政ペテルゴフ工房」のHPはこちらである。

 プーチンとしては、自ら輸入代替を実践することに加えて、ピョートルを崇拝するがゆえに、工房創設300周年を祝い、またその時計を身に付けることで名君を気取りたいという気持ちがあったのだろう。

 ただ、帝政ペテルゴフ工房の腕時計は、年間40個限定の受注生産だそうである。フランス人のКсавье Жиродеという職人が、全面的に生産工程を取り仕切っている由。こういう限定的なものを少量生産することはできても、それを安価かつ安定的に大量生産することはできないというのが、ロシアという国の弱点だろう。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2022年9-10月号の中身を、どこよりも早くご紹介。

 今号では、当研究所で7月に開催したセミナーの報告を軸に、「注目と期待を集めるカザフスタン」という特集をお届けしております。今年初めに政治危機が起きた時には、「カザフよ、お前もか」という雰囲気が漂いましたが、その後トカエフ政権は国内情勢を完全に掌握。2月下旬にロシアがウクライナへの侵攻を開始すると、トカエフ大統領率いるカザフは絶妙なバランス外交を見せ、ロシアの道連れになることを回避しました。ロシアがああなってしまった以上、この業界でカザフへの注目・期待度が高まるのは当然であり、小誌でも早速、特集という形で取り上げた次第です。

 服部個人は、「ロシアとカザフスタンが穀物輸出で不協和音」、「ロシアの侵略に立ち向かう チーム・ゼレンスキー」、「2022年第2四半期のロシア港湾貨物量」、「ウクライナ~ロシア鉄道旅ルートが戦場に」といった記事を担当。8月20日発行予定。

 なお、私・服部倫卓は2005年1月号より小誌の編集長を務めてまいりましたが、その役目は今号が最後となります。この間の会員および読者各位、そしてご寄稿いただいた皆様のご厚情にお礼を申し上げます。今後も一執筆者としては月報に貢献してまいりたいと思います。今後も変わらず月報をお引き立てのほど、お願いいたします。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週1位にまで駆け上ったのがNeil SedakaのBreaking Up Is Hard To Doなのだが、個人的にニール・セダカなどは専門分野ではないので、知識が乏しい。「悲しき慕情」という邦題の曲があることは知っていたが、この曲がそうだったとは恥ずかしながら知らなかった。ちなみに、ニールにとってはこの曲が1960年代で唯一のNo.1ヒットだったようだ(1970年代になってから2曲あるが)。

その頃ソ連では
1962年8月11日:シャフタール・ドネツクがソ連カップで優勝。前年に続き2回目の戴冠だった。

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 欧州の代表的な石油価格であるブレントと、ロシアの主力油種であるウラル原油。2月の軍事侵攻開始以降、ロシア産が買いたたかれて、両者の価格差が広がってきた。

 当ブログでも以前お伝えしたとおり、本件に関してはUrals-Brent price differenceという便利なサイトがあり、それを見れば価格差の推移が一目瞭然だった。しかし、同サイトのグラフはあくまでも価格差を示したものなので、現在のように国際価格が100ドルを切ったといった市場の基本的な動きが反映されない難点がある。

 そこで私は、ロシアの金融サイトInvesting.comで発表されているブレント先物、ウラル・スポットの価格を利用し、両者の価格動向と価格差の推移を示したグラフを自作してみた。それが上図である。

 前出のUrals-Brent price differenceでは、ブレントとウラルの差が4月のピーク時には37ドルまで広がり、現在も32ドル程度の差が残っていることになっている。

 それに対し、今回私が試みた作業によれば、両者の差は4月のピーク時でも35ドルほどであり、直近では22ドルほどとなっている。


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 サハリン2の新会社設立に関するロシア政府決定第1369号が8月2日付で発令され、そのテキストを入手した。報道ではこちらの記事などが伝えている。以下、事実関係を整理しておく。

  • 6月30日付の大統領令に則り、サハリン2の新たなオペレーターとなる新会社を設立する。社名は、有限会社「サハリン・エネルギー」(ООО Сахалинская Энергия)。
  • 新会社は、新会社設立に関する情報を、旧会社「サハリンエナジーインヴェストメント」の株主に伝達する。
  • 新会社の定款資本は1万ルーブル。
  • 新会社の本社所在地はサハリン州ユジノサハリンスク市。
  • 連邦税務局は本政府決定発行後3日以内に、新会社を納税者リストに掲載する。
  • 新会社へのガスプロム・サハリン・ホールディング(ガスプロム子会社)の出資比率は50.0000000137817%で、残りは新会社が保有する(注:要はその残りの部分に既存株主が出資するかどうか)。
  • 新会社の社長には、サハリンエナジーのロシア子会社の現社長であるアンドレイ・オレイニコフ氏がそのまま就任。
  • 新会社設立から14日以内に、旧会社の資産を引き継ぐ形で、新会社の賃借対照表を作成する。そのために新旧会社間の契約締結等は必要ない。
  • 新会社設立から14日以内に、旧会社の全従業員を新会社が受け入れ、雇用条件は保持される。

 簡単に紹介できると思って読み始めたのだが、良く見たら政府決定はロシア語のテキストで41ページもあり、このくらいにしておく。


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 以前はよく、多忙でブログのネタがない時に、ロシア等のネットに出た図解資料を拝見してお茶を濁すということをやっていたが、久々にそのパターン。

 今回は、こちらに見るように、ロシアの『論拠と事実』紙のサイトに出た図解資料を参照してみたい。世界各国のうち、対ロシア制裁に参加している国を紅組、参加していない国を白組と見立て、その力関係を示したものである。主要指標は、以下のような比率になっている。

  • 人口 赤14.9%:白85.1%
  • GDP 赤42.2%:白57.8%
  • 軍事支出 赤61.4%:白38.6%
  • 小麦収穫量 赤34.2%:白65.8%
  • 天然ガス埋蔵量 赤10.4%:白89.6%
  • 石油埋蔵量 赤4.8%:白95.2%

 かつて冷戦時代に、米国とソ連で人口だの鉄鋼・小麦の生産量だの、そういうのを比較したCIA資料があったが、それを彷彿とさせる。紅組が上回っているのは軍事費だけであり、「反ロシア勢力など取るに足らず」とでも言いたげである。半導体生産量とか、旅客機生産量とか、そういうのも入れたらどうか。


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 ニブロン社と言えば、農業王国ウクライナの中でも、国を代表する穀物および植物油輸出企業である。こちらが伝えているとおり、7月31日にロシアがミコライウを爆撃した際に、ニブロンの創業者であるオレクシー・ヴァダトゥルシキー氏の自宅も被害に遭い、同氏および妻のライサさんが亡くなったということである。

 今般の戦争で、私が研究していた一連の工場や港が破壊されたり戦場になったりしてきたが、さすがにオリガルヒが亡くなる事態はこれが初めてだと思う。当ブログでは2014年にウクライナのオリガルヒ・シリーズというのをお届けしたのだが、追悼の思いを込めて、ニブロンのヴァダトゥルシキー氏の回を以下復刻してお届けする。

 O.ヴァダトゥルシキーは、食糧企業「ニブロン」の創業者、共同オーナー、社長である。同氏は、ウクライナ南部において、ヤヌコーヴィチ旧政権と敵対していた急先鋒だったと言える。彼にとって前政権の治世は、ビジネスにとって常に脅威が生じた時代であり、彼の立場も当然である。

 過去4年間のいくつかの出来事を思い出せば、ヴァダトゥルシキーの立場も容易に理解できよう。すべては2010年夏に始まった。ニブロンが河川ターミナルを建設するのに障害が生じ、その後には支社長が起訴される事態となった。同年秋にはウクライナで穀物の輸出割当が導入され、「フレブ・インヴェストブド」なる会社が突如として市場に参入した。ニブロンにも一定の割当が提供されたが、計画していた輸出をこなすのにはまったく不充分な規模だった。しかも、割当分ですら、しばしば港湾が許可を出さず、大幅に遅延することが多かった。2011/12穀物年度には、ニブロンは過去数年で初めて最大の輸出企業の座から滑り落ち、フレブ・インヴェストブドにその座を明け渡した。

 2012年秋頃になると、ヤヌコーヴィチ・ファミリー派のYu.イヴァニュシチェンコがニブロンの一部を簒奪しようとしているとか、あるいはすでに簒奪したという噂が流れ始めた。ヴァダトゥルシキーはこの情報を否定しており、現実にニブロンの株の80%は同氏が保有し、残りの20%は息子のアンドリーが保有している。しかし、火のない所に煙は立たぬというものであり、関係筋によれば、ニブロンはファミリー側に上がりの一部を日常的に上納することを余儀なくされていたという。

 ヤヌコーヴィチ政権が採ったその他の政策も、ニブロンにとっては不利なものだった。特に、2013年暮れに再燃したロシア・ウクライナ・カザフスタンによる「穀物OPEC」構想が挙げられる。ニブロンが他の農業グループと異なる点は、土地資源がそれほど多くないにもかかわらず、高い収益性を挙げていることである。ニブロン傘下の農地は8万haほどなのに、40万haのカーネル、60万haのウクルランドファーミングに匹敵する利益を確保してきた。これは、輸出を主体としているからこそであった。しかし、穀物の国際カルテルが形成されたら、ロシアの競合業者と、ロシアの政治によって、自分たちの経営が左右されることになってしまう。ロシアの政治は、時に経済合理性を無視することで知られる。

 こうしたことから、2014年の3月初頭になると、ヤヌコーヴィチ政権下で常態化していた資産の分捕りを批判するヴァダトゥルシキーの声明がマスコミで流布するようになった。「古典的な乗っ取りの手口が横行してきた。週末に企業に武装した人々が押しかけて、守衛を追い出し、自分たちの経営者を連れてきて、彼らが経営者であると宣言する。クリミアでもまったく同じことが起きている」と、彼は指摘した。声明の中で彼はさらに、ロシア資本が取得した企業は悲惨な状態にあること、ロシアのテレビ局の嘘、マイダンで新たな民族が誕生しつつあること、分離主義は認められないこと、ウクライナの欧州選択、など多くについて語った。つまり、旗幟を鮮明にしたわけである。4月になるとヴァダトゥルシキーは、ヘルソン州での検問に当たっているミコライウ州駐留ウクライナ軍への支援を提供し、ミコライウ州の他の企業家たちにも傍観しないように呼びかけた。

 ヴァダトゥルシキーにとって頭が痛いのは、ニブロンの後継者問題である。いかに有能な同氏であっても、もう66歳である。彼には一人息子のアンドリーがおり、現在は副社長として働いている。ジュニアは、外国の取引相手を見付けることなど、一定の能力も見せてはいるが、父のような経営能力は望むべくもないとされる。


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 こちらの記事にもとづき、ロシアの石油生産・輸出量のグラフを更新した。ガスコンデンセートを含む石油の生産は、7月には日量146.8万tであった。記事によると、これは前月比2%増だったという。ただし、私の把握している6月の統計局発表値と比べると、0.5%増ということになり、情報が微妙に整合しない。以下、トンとバレルが混在しているので、ご注意を。

 記事によると、特に生産を伸ばした会社はガスプロムネフチ、スルグトネフチェガスだった。ロスネフチはごくわずかな微増、ルクオイルは現状維持だった。現在ロシアはOPEC+で合意した生産水準よりも日量80万バレル少ない生産水準となっている。

 現在は、輸出が大幅なディスカウントで実施されているので、有利でない輸出は縮小し、より利益率の高い国内製油所向けの供給が増加している。国内供給は7月に前月比4%増加し、日量77.5万tとなり、これは前年同月も上回っている。輸出は前月比1.4%減であり、欧州向けが制裁にもかかわらず盛り返したのに対し、アジア向けは縮小した。

 7月のロシアから遠い外国への石油供給は、前月比1.4%低下し、日量67.5万tであった。(注:ただし、これは中央アジア石油のトランジットを含んでいるはずで、上図はロシア産の石油のみであり、データ的に微妙に異なるので、上図には7月の輸出量は加えなかった。)


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 こちらの記事が、ベラルーシが主力のカリ肥料輸出を思うようにできなくなり、財政が窮地に陥っているということを論じているので、以下要旨をまとめておく。

 EUは2021年にベラルーシのカリ肥料を輸入禁止としたが、それは一部品目だけだった。ノルウェーのYara社は、ベラルーシカリ社の製品10~15%を買い上げて世界市場に転売していたが、同社が世論に押されてようやくその取引を停止したのは今年の初めだった。

 しかし、ここに来てようやく、ベラルーシのカリ輸出は大きな障害に直面している。従来、リトアニアのクライペーダ港がベラルーシ産カリの大部分を積み出していたが、リトアニアはその業務を拒絶した。ルカシェンコ体制は、難民騒動などで近隣諸国との敵対政策を採ってきたわけだが、プランBはないことが判明した。他方、ウクライナ当局はオデーサ港での積出を拒否し、ロシアの港にはキャパシティに余裕がなかった。

 戦争が始まると、EUはベラルーシからのカリのトランジット輸送を禁止し、米財務省は販社であるベラルーシカリ会社を制裁リストに加えるなど、その姿勢を鮮明にした。

 ベラルーシのゴロフチェンコ首相は6月3日、ベラルーシ産のカリはアフリカ、南米、中国などのアジアにシフトしており、自然発生的な輸出多角化が生じていると発言。ルカシェンコは6月17日、今年カリの輸出量は減るかもしれないが価格が上昇しているので金額面での喪失はないと強調した。だが、実際はどうだろうか?

 EUと米国の新たな制裁を受け、3月にルカシェンコはカリ輸出に関する大統領令に署名したが、うち2項目は機密扱いとなった。その後、ルカシェンコは武器輸出公団ベルスペツヴネシテフニカのA.スクラガ総裁をベラルーシカリ会社の新社長に任命、どうにかして制裁を回避したいとの思いをのぞかせた。

 それ以降、輸出実績は機密扱いとなっている。しかし、断片的な情報から、激減したことは間違いない。ベラルーシ産のカリはブラジル、インド、中国などが主な販路だが、その輸出はどうなっているだろうか。

 5月にベラルーシの駐ブラジル大使は地元紙に、双方が供給再開に向けて努力していると述べた。

 2月に報じられたところによると、インドは、ベラルーシが具体的な輸出ルートを明示するまで、輸入契約にサインしようとしなかったという。その後、本件の合意は伝えられていない。

 7月になりベラルーシの駐中国大使が、ベラルーシの対中国輸出に占める資源の比率が減り、カリ肥料が35%、食料品およびその他の商品が65%になっていると発言したが、それがどの期間のデータ化は明らかにせず、2月以降も中国向け肥料輸出が続けられているかは不明のままである。以前は中国向け輸出のかなりの部分がカリ肥料であった。

 リトアニアにトランジットを阻まれたベラルーシ当局は、あわててロシア指導部に輸出の支援を要請した。サンクトペテルブルグの近くにベラルーシの港を作る構想が浮上したが、完成には少なくとも数年、数億ドルを要し、資金源は不明である。

 ベラルーシカリは、輸出激減を受け、鉱山の改修作業に着手した。これがベラルーシの財政にどう影響するだろうか。

 1ヵ月ほど前、ベラルーシのテレビは、ベラルーシがロシアの港を通じたカリ積出を開始したと報じた。ただ、2023年末までに200万tを積み出す契約とされたものの、制裁前にベラルーシは年間1,100万~1,200万tを輸出していたのである。また、コメルサント紙によると、ベラルーシはロシアの港からカリを輸出する際に、国際価格から30~50%値引きして輸出しているという。

 その間に、ライバルたちはベラルーシのシェアを奪っており、それにはロシアも含まれる。EUはロシア産品の輸送への制裁で肥料を例外とし、米国もロシア産肥料のオペレーションについては制限を撤廃するライセンスを発給している。プーチンもブラジル大統領との電話会談で、「ブラジルの農家にロシアの肥料を途切れることなく供給する義務を果たすことを約束する」と確約した。

 2018~2020年の好調時には、ベラルーシカリは財政に年10億ドル以上を納入していた。最大の項目は輸出関税の7億ドルで、それは共和国予算に納入された。利潤税の支払いも約1億ドルに上り、これは主にミンスク州の地方財政に納入された。

 好調時のこの納税額はGDPの1.7%に相当する。統合財政はGDPの30%程度である。つまり、ベラルーシカリの直接的な納税が、統合財政歳入の5.7%ほどを占めていた。職員の所得税、取引相手との関係なども考慮すると、ベラルーシカリはがもたらす納税は少なくともGDPの2.5%、統合財政の8.3%に上った。また、ベラルーシカリ職員の賃金は平均よりも高く、「国民社会保護基金」への貢献も見逃せない。

 今日、唯一確かなことは、ベラルーシカリの財政への貢献が大幅に低下していることだ。しかし、規模はどの程度なのか、すでに深刻な予算上の問題が生じているのか、統計の隠蔽により、それらを知ることはできない。


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 週刊エコノミストのサイトに、「ウクライナ最強キーウのサッカーチーム 戦争に屈しない『伝説の試合』」というコラムを寄稿しました。タイトル含め、編集側の意向で変えたところが若干ありますが、よかったらご笑覧ください。紙の雑誌版のエコノミストにも載るようです。


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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「医者の不養生か、エコノミストの投資失敗か」です。よかったら(文字通り)ご笑覧ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週3位に着けているのがBrian HylandのSealed With A Kissなのだが、私はこの曲について勘違いしていたことに気付いた。以前、Bobby Vintonのベスト盤を買ったらSealed With A Kiss(後の時代に録音した感じの雰囲気)が入っていたので、ボビー・ヴィントンの持ち歌だと思っていたのである。正直言うと、この時代の男性アイドル歌手は、ほとんど区別がつかないのだ。

その頃ソ連では
1962年8月3日:漁業技術支援に関するソ連・キューバ間の議定書調印される。

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 ブルームバーグは、ロシアの港から出港するタンカーを追跡し、そこからロシアの相手国別石油輸出動向を跡付けているようである。それにもとづいたレポートを毎週発表しているのだとか。まことにご苦労様ですとしか申し上げようがない。ただし、追跡できるのはタンカーだけなので、パイプラインで輸出される分については、不明である。

 残念ながら、無料での閲覧回数に制限があるようだ。私が無料で閲覧できたのは、7月18日付のこちらのレポートだった。その後、新しいレポートが出ているのだが、閲覧回数制限に引っ掛かり、私は読むことができない。貧乏は嫌ですねえ。

 それで、7月18日付の記事が強調しているのは、拡大していると指摘される中国、インド向けの輸出も、直近ではピーク時と比べると3割ほど低下しているという点である。上図を参照されたい。

 たとえば、中国向けは、ピークは5月13日(同日に終わる1週間の平均値という意味)の日量121万バレルだったが、直近の7月15日では78万バレルとなっている。

 インド向けも、4月29日の92万バレルがピークで、7月15日は78万バレルに低下している。


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 ロシアの石油生産コストについては諸説あるが、ここでは今年2月に出たこちらの記事の骨子を、以下のとおりまとめておく。

 統計局のデータによると、ロシアの石油生産原価は、過去5年間で2倍になった。税金はそれとは別であり、税金の方も拡大している。現在は石油価格が高いので、この点はあまり顧みられないが、石油価格がバレル50~60ドルに戻ったりすると、経済および財政の大打撃となる。

 2021年第4四半期のロシアの石油生産原価は、税金なしでは40ドル程度、税金ありでは65ドルだった。もしも石油価格が下落し始めると、いくつかの鉱区は損益分岐点を下回る。

 問題は、資源の構成が悪化し、開発困難層の比率が高まっていることである。ロシア全体の石油採掘に占める開発困難層の比率は、今のところ7.2%だが、恒常的に上がっている。開発困難層での操業は、新たな技術や設備を要し、それがコストに反映する。

 しかし、コスト上昇の問題は他にもあり、最大の要因はルーブルの切り下げである。実際、ドル表示で見れば、生産コストは30%しか上がっていない。(注:この記事が出た後、2月の侵攻開始を受けルーブルはいったん暴落し、その後は侵攻前よりもかえってルーブル高になっていることは周知のとおり。)


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 6月下旬に出た少々古い記事だが、こちらの記事が「特別軍事作戦」下におけるS.ソビャーニン市長の立ち位置について論じているので、以下のとおり要旨をまとめておく。

 ウクライナ侵攻直後から、ソビャーンンは軍事作戦と距離を置いていた。

 それでも、ソビャーニンはサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムに出向き、自称ドネツク人民共和国首相のV.ホツェンコと協力協定に調印した。その後、ルガンスクに出向き、同様の協定を自称ルガンスク人民共和国トップのL.パセチニクとも調印した。関係者によると、ソビャーニンは本音ではルガンスクに出向きたくなかったが、V.プーチン大統領との会談後、「考えを変えた」という。

 2月の開戦当初から、モスクワ市当局は戦争と関係したものとは意識的に距離を置いていた。たとえば、郊外のモスクワ州では開戦直後に公共交通機関やゴミ収集車にZの文字が描かれたが、モスクワ市では、だいぶ後になってからようやくバスに描かれただけであった。

 開戦当初から、非公開の意識調査によると、モスクワ市民の間では戦争への賛否が半々に分かれており、市当局はそれを良く承知していた。

 3月半ばにクリミア併合記念日のコンサートで演説したソビャーニン市長は、Zの文字が描かれたジャケットを着ていた。しかし、この行事は「意識の高いモスクワ市民」向けではなく、忠実なテレビ視聴者向けであり、市における市長のイメージを傷付けることはなく、それでいて愛国層にアピールできる効果が期待できたのだという。

 そうした中、モスクワ市当局は市民に対し、普段通りの生活が失われたわけではなく、すべて元のままであることを強調しようとした。市長やその部下たちは、交通インフラや地下鉄駅の完成を誇示し、大規模な都市開発の構想を語った。政権寄りのメディアは、こうしたポジティブなニュースを、特に市長の姿入りで、詳細に報じている。

 ルガンスク訪問時にも、ソビャーニン市長は「インフラや正常な生活の再建」について語り、他のロシア政治家とは異なり「ナチズムとの闘争」といった表現は使わなかった。たとえばA.ベグロフ・サンクトペテルブルグ市長はドネツク人民共和国訪問時に、ロシアはドンバスでナチス主義者を壊滅させたなどと発言しており、対照的だ。また、ベグロフはドンバス訪問時に軍服姿だったが、ソビャーニンはスーツで通した。

 クレムリンも、首都モスクワで不穏な空気を生じさせないために、ソビャーニンのこうした振る舞いに理解を示しているという。ソビャーニンや、M.ミシュスチン首相に関しては、経済運営という別の課題があるということが理解されている。

 モスクワ市は、すでにドネツクとルガンスクの再建のために、力を貸している。それは両市の再建のための資金援助、人材派遣などである。

 ソビャーニンは、戦争によって、モスクワを世界的な首都の一つにするという希望が遠のいたことを承知している。クレムリンはソビャーニンをプーチンの有力者候補の一人と見なしていたが、ソビャーニンは現在は状況が適切でないと理解し、自ら野心を口にすることはない。


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 こちらの記事によると、2022年のロシアの穀物収穫は、史上最高の豊作となる見通しである。

 農産物市場市況研究所の予測によれば、穀物収穫は1億3,850万tとなる見通し(うち9,050万tが小麦)。前回予測の1億3,350万tから上方修正された。それを踏まえた2022/23年度の穀物輸出能力は5,610万t、うち小麦が4,400万tとなる。

 一方、別の調査会社「プロゼルノ」による収穫見通しは1億3,620万t、業界団体のロシア穀物同盟による見通しは1億3,900万tとなっている。

 ただし、こちらの記事などが伝えているように、対ロシア経済制裁の余波により、ロシアの小麦を本格的な規模で輸入している国は、現状で12ヵ国にまで減ってしまっている。12ヵ国の顔触れはエジプト、イラン、トルコ、イスラエル、リビア、サウジアラビア、ジョージアなどで、これらの国は直近でロシアの穀物を積極的に買い増している。

 しかし、史上最高の豊作で得られる穀物を売りさばくためには、12ヵ国では売り先が少なすぎる。今般、ロシアが国連・トルコの仲介に応じ、ウクライナ産穀物の輸出再開合意に応じたのには、それと並行して国連および欧米からロシア産穀物(および肥料)の輸出増への協力を取り付けるという狙いがあったことは間違いないだろう。


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 ロシアが貿易統計を発表しなくなり、同国の貿易動向については間接的な情報から推察するしかなくなってしまった。

 その際に、有力な手段の一つは、貨物輸送量を参照することである。こちらのサイトに、2022年第2四半期(4~6月期)のロシアの港湾取扱貨物量が出ている。

 2022年第2四半期の貨物量を、前年同期比の増減率でまとめてみたのが、下図となる。上段が水域別、下段が貨物種類別となっている。

 ちなみに、ロシアの港湾貨物量の特徴は、重量ベースで見れば、輸出貨物が圧倒的に多いことであり、下図に登場する貨物は基本的にすべて輸出貨物であると理解していい。唯一、コンテナだけは、輸入が主流のはずである。

 下図を見て、なるほどと納得できるところもあれば、やや意外な点もある。分かりやすいのは鉄であり、鉄鋼の輸出が不振になった分、鉄鉱石が余って、その輸出が増えたのであろう。穀物、肥料の輸出がこんなに増えているのは意外だった。石油は、ヨーロッパ向けのパイプライン輸出が減った分、港から積み出すタンカー輸出が増えたという形か。輸入が壊滅しているし、コンテナ船のロシア港湾立ち寄り拒否もあり、コンテナが激減するのは道理。

 水域別では、むしろ極東が健在で、黒海の減少が大きいのかと思っていたのだが、そうでもなかったか。カスピ海は元々そんなに規模が大きくないので、ちょっとのことで振れ幅が大きくなりがちであり、大した意味はないだろう。

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 今回は、少々古くなってしまったが、7月初旬に出たこちらの記事にもとづき、ロシアの財政の動向につきまとめておきたい。

 まず基本として、ロシアの連邦予算は、たとえば今年であれば、2022年の予算に加え、2023年と2024年の見通しも示され、3ヵ年というスパンで制定される。したがって、現行で生きているのは、2022~2024年の連邦予算ということになる。

 しかしながら、ウクライナ侵攻による情勢変化を受け、すでに当初の予算は意味を失っている。上掲記事によると、まず2022年の連邦予算は、当初の予算では1.3兆ルーブル(対GDP比1.0%)の黒字が計上されていたものが、現時点では1.7兆ルーブル(対GDP比1.2%)の赤字に転落する見通しとなっている。

 そして、2023~2035年の連邦予算案の編成が進んでおり、今のところ各指標は上表のとおり設定されている。最終的な予算案が策定され、9月15日までに連邦議会下院に提出される。2023~2025年も財政赤字は続くが、徐々にそれが圧縮されていく方向である。もちろん、あくまでも現時点の予算案ということにすぎず、現実にはもっと厳しくなる可能性もあるものの、財政が急激に悪化するという見通しにはなっていない。

 ところで、上掲記事で興味深いのは、来年以降の連邦予算で、一連の国家プログラム向けの支出を削減する意向だという点である。要するに、軍事費を最優先し、国民に不満が出ないよう社会保障も維持するが、それ以外の支出は削っていくということなのだと思う。

 2023年には5,567億ルーブルを削減する予定であり、その内訳は(ロシア語のままで恐縮だが)下表のようになっている。2024年は5,390億ルーブル、2025年は5,340億ルーブルを削減し、3年間の合計で1.6兆ルーブルの節約になるという。59の国家プログラムと、プログラム以外の62の歳出項目が対象となる。

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 一昨日、ウクライナの穀物輸出に関するウクライナ・ロシア・国連・トルコ間の合意がまとまったばかりだが、昨日その合意に反するように、ウクライナの港湾施設がミサイル攻撃を受ける事件が発生した。

 本件に関し、差し当たりこちらの記事で目に留まったロシア国際問題評議会のA.コルトゥノフ理事長のコメントを以下のとおり抄訳して紹介する(必ずしも賛同を意味するわけではないので悪しからず)。

 本件に関し、なぜロシアの公式声明が出ていないのか、それはロシア国防省に訊いてみないと分からない。ただ、近いうちに何らかの情報は発信されるだろう。というのも、事態は異常なもので、不明確な状況が残れば、ロシアの敵たちによってネガティブキャンペーンに利用され、場合によっては武器支援の決断を促すかもしれないからだ。

 現下の状況では、様々な偶発的事件が起こりうる。全当事者が政治的意思を持っていても、不測の事態が起こらないという保証はない。問題は、いかに迅速かつ効果的に問題を封じ込め、再発の可能性を可能な限り少なくするかである。

 近くのどこかで何かの弾薬が爆発したのかもしれないし、どちらか一方が何らかのシステムを無許可で起動したのかもしれない。紛争下では、残念ながら何が起こるかわからない。しかし、やはり、できるだけ完全に、できるだけ早く、情報を開示することがロシアの利益になるはずだ。

 今のところ、今回のことが穀物輸出をめぐる状況を根本的に変えたとは思えない。もちろん不都合なことではあるが、穀物倉庫は被害を受けていないし、インフラ全般にも大きな被害はなかった。速やかに穀物の積出を開始するのに技術的な障害はないはずだ。 


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 今まで全然知らなかったが、こちらのサイトに見るとおり、ウクライナの「政治研究所」というところが、ウクライナ政治家のメディアランキングというものを発表しているとのことである。マスコミやフェイスブックで言及された頻度を示しているそうで、したがって悪目立ちした人物も登場する。

 上掲は、6月のランキング結果。1位はV.ゼレンスキー大統領、2位はS.ハイダイ・ルハンシク州行政府議長、3位はO.アレストヴィチ大統領顧問、4位はM.ポドリャク大統領顧問、5位はD.クレバ外相、6位はD.シュミハリ首相、7位はP.ポロシェンコ前大統領、8位はA.イェルマーク大統領府長官、9位はV.クリチコ・キエフ市長、10位はV.キム・ミコライウ州行政府議長と続いている。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週はチャートの最上位ではないが、19位に良い曲がいた。Isley Brothers - Twist And Shoutである。後にビートルズのカバーによって知名度が高まることになる。

その頃ソ連では
1962年7月31日:ソ連とキューバが逓信協定に調印。

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 こちらの記事で、ノヴォリペツク冶金コンビナートのオーナーV.リシン氏(上掲写真)が、制裁によりロシアからの鉄鋼輸出は無意味になってしまったということを語っているので、要旨を以下のとおりまとめておく。

 リシン氏は産業家・企業家同盟のリペツク州支部の会合で、次のように発言した。これまで我が社(我が国?)は鉄鋼の40%を輸出に回してきた。ところが現在、制裁により市場の一部が閉ざされた。以前は、国内市場に安い価格で提供しても、輸出が牽引車となっていた。それが、現在は輸出がほぼ無意味になっている。

 代わりとなるアジア市場、中国市場は存在するが、ロジスティクス、輸送費の観点から、かなり困難である。しかも、今日、中国における鉄鋼価格は、ロシア鉄鋼の生産原価とほぼ同レベルである。

 ロシア国内市場も冷え込み始めている。生産のうち、40%が輸出できなくなり、その10~15%程度は国内市場で吸収できるかもしれない。しかし、残りはいかんともしがたい。国内でそのような需要が発生したことはない。必然的に、国内市場ではだぶつきなどから価格が下落している。国内の価格は一部品目で原価ぎりぎりとなっている。設備更新や近代化を進めるためには、15%程度の利益率は必要なのだが。リシン氏は以上のように述べた。


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 こちらの記事が、2022年のウクライナのとうもろこし収穫見通しにつき報じているので、要旨を紹介する。

 Barva InvestのアナリストYu.ハウリリューク・P.ハウストフによると、2022年のウクライナのとうもろこし収穫は2,550万~2,650万tになることが予想される。昨年は約4,000万tだった。

 両者によると、戦争が始まって以来、とうもろこしが穀物で最大の輸出品目となっている。これは、EUへの陸上輸送だけが生き残る中、とうもろこしはEUでの実需があるからである。それに対し、小麦・大麦はEUでの需要がないか、現地価格と比べて大幅に格安である場合にのみ買われる形だ。

 5月には100万tのとうもろこしが輸出され、6月も同量だった。このトレンドが続けば、シーズン(何の?)終了までに2,450万tのとうもろこしが輸出される可能性がある。

 とうもろこしが秋収穫だというのが、ウクライナにとって幸いするかもしれない。旧在庫をあと何カ月か輸出できる上に、そのころまでには港の一部を使えるようになるかもしれないからと、ハウストフは指摘した。

 一方、ハウリリュークは、もしも輸出の状況が大きく変わらなければ、農家は保管場所不足から、とうもろこしの多くを収穫せずに残すことになるかもしれないと指摘した。


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