ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

 ナフサというのは、石油を精製して作られ、石油化学工業の最も基礎的な品目となる。ロイターのこちらの記事が、そのナフサを、韓国がチュニジアから大量に輸入しており、実はそれがロシア産だということを伝えている。

 記事によると、韓国は世界最大のナフサ輸入国で、昨年はロシアから59万tを輸入し、これは韓国の全輸入量の4分の1に上った。

 ウクライナ侵攻開始後に、ロシアからの輸入は途切れたが、その一方で韓国は10月に8.2万tのナフサをチュニジアから輸入している。チュニジアからの輸入は、2019年以来なかったものである。韓国は11月にもチュニジアから27.4万tを輸入予定である。

 ロシア産ナフサがチュニジアのLa Skhirra港に入荷するようになったのは今年8月のことであり、チュニジアからは10月に初めて韓国向けにナフサが出荷された。チュニジアがナフサを輸入することは稀だが、今年8~11月には41万tをロシアから輸入している。

 ロシア筋は、La Skhirra港への輸送は保管のためであり、その間にトレーダーが価格の好転を待つのだと説明している。

 ただ、ロシアからチュニジアに向かったナフサ輸送船9隻のうち、4隻はCoral Energyが傭船した。同社によれば、同社はチュニジアに保管施設がなく、第三国の需要家に転売されるという。

 ロシア・ノヴォロシースク港からチュニジアのLa Skhirra港に向かったナフサ船、La Skhirra港から韓国に向かったナフサ船は、それぞれ下表のとおり。

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 最近は、ロシア軍がイラン製のドローンを大量購入したり、ロシア自動車メーカーによるイラン車生産の可能性が取り沙汰されたりと、ロシア・イラン関係が注目されている。堕ちるところまで堕ちたという気がしないでもないが、そうした中、昨日発行された『エクスペルト』誌11月28日~12月4日号も、「ペルシャという代案」と称して、ロシア・イランの経済協力を特集している。

 特集の中に、上掲のとおり、ロシア・イラン間の輸送路を示した地図が掲載されていた。ロシアは北国というイメージが強いので、イランは遠く離れた国とどうしても思ってしまうが、ロシア南部のカスピ海港湾を使えば、イランはすぐそばである。また、陸路で見ても、アゼルバイジャンという、ロシアにとってもイランにとっても関係が悪くない国を1つ挟んでいるだけで、連続性がある。インドのムンバイとロシアのモスクワを船や鉄道、道路で結ぶ全長7,200kmの複合輸送網「南北輸送回廊」という構想が存在し、地図に見るオレンジのラインはその「西ルート」と呼ばれているもので、点線部分のアゼルバイジャン・アスタラ~イラン・レシト間の鉄道建設が完了すれば、有力な国際輸送路として台頭する可能性があるということのようだ。

 特集記事によれば、現状でロシア・イラン間貿易は、それほど大規模というわけではない。2021年にイランにとってロシアは、輸出相手国として11位(シェア1%)、輸入相手国として第5位(3%)であった。一方、ロシアにとってイランは、輸出相手国として第34位(1%)、輸入相手国として第42位(0.3%)であった。

 やはり特集記事から拝借すると、ロシアの対イラン輸出構造は、下図のとおり。輸出の86%を農産物・食料品が占め、大部分が穀物と見られる。以下、機械5%、木材4%、化学品3%などと続く。

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 ロシアの対イラン輸入でも下図のように農産物・食料品が77%を占めているが、その中身はナッツ類やナツメヤシなどのようだ。

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 ロシア・ルーブルの為替レートは、元々はだいたい石油価格と連動していたから、油価とルーブル・レートを対比する上掲のようなグラフを、以前は定期的に更新していたものである。最近は更新が滞っていたが、久し振りに最新版を作成してみた。要するに、ルーブルのレートは、侵攻開始を受けいったん暴落したものの、ロシア当局の対策などで短期間で盛り返し、その後は概ね1ドル=60ルーブル前後の水準で推移しているということである。

 それで、この為替水準では、ロシアの産業界にとってルーブルが強すぎるという声は、早い時期からあった。そうした中、11月9日付のこちらの記事が、ルーブル高で鉄鋼業から悲鳴が上がっているということを伝えている。

 記事によると、BCS Global Markets (BCS GM)の専門家がこのほど、ロシアのほぼすべての鉄鋼メーカーおよび鉄鉱石生産者が輸出で損失を被っており、もっぱら国内市場で食っている状態だと指摘した。原因は、高い輸送費とルーブル高である。それに対し、国内市場での利益率は30%を超え高いものとなっている。

 現時点で、国外・国内合計の利益率がプラスになっているのは、欧州市場に半製品の供給を続けているノヴォリペツク冶金工場だけと見られる。EUは、完成鋼材の輸入は完全に禁止したが、半製品に関しては制裁第8パッケージに盛り込まれはしたものの、2023年までは年間370万tまでの供給は認められた経緯がある。

 ロシアの鉄鋼を中国に輸出して損が出ないためには、ルーブル・レートは今よりも37%安く(1ドル=85ルーブルに)なる必要があるという。鉄鉱石では16%安く(1ドル=72ルーブルに)なる必要がある。

 ロシアは2021年に6,590万tの鉄鋼を生産し、うち2,830万tを輸出した。ロシア政府がとりまとめた冶金工業発展戦略の草案によれば、2022年の輸出は基礎シナリオでは8%、保守的シナリオでは13%低下する。EUの制裁により、390万tの完成鋼材、20万tの鋼管、70万tの半製品が輸出できなくなり、2021年の金額ベースではこれらは37億ドルに上る。

 原料炭の価格高騰も、鉄鋼業に悪影響を及ぼしている。現在、ガスの値上がりにより、石炭火力への需要が増え、原料炭が発電に回されるケースが増えているからだ。

 こうしたことから、投資家は鉄鋼業よりも、ロシア石炭産業に注目している。石炭産業は、価格が安定しており、最初からアジア比率が大きかったメリットがある。とはいえ、石炭部門も、高い輸送費、制裁による市場喪失、ルーブル高の影響を受けていることに変わりはない。これまでロシアは欧州とウクライナに年間6,400万tの石炭を輸出し、2021年にはロシアの輸出の30%を占めていたが、その市場が失われた。エネルギー省の予測によれば、2022年の石炭輸出は、慣性シナリオでは12.5%低下し1億9,500万tに、楽観シナリオでは8.9%低下し2億300万tとなるが、いずれにしてもアジア・太平洋向け輸出増を想定している。


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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「北海道探訪の第一歩として中標津を訪問」です。よかったらご笑覧ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 上位の分厚い壁に阻まれてトップこそ逃したが、今週3位と大ヒットを記録しているのが、ガールポップの佳曲として知られる Marcie Blane - Bobby’s Girl である。個人的に、曲は以前から馴染みがあったが、Seville Recordsというレーベルは今回初めて知った。Sevilleというのはスペインの有名な都市のことだから、セビリア・レコーズと読めばいいのかな。こういう中小レーベルでも大ヒットを出せるのが、当時のアメリカの夢があるところだ。

その頃ソ連では
1962年11月19~23日:フルシチョフ政権、党と国家機関を鉱工業部門と農業部門に分離する改革を実施。

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 先日お伝えしたとおり、ロシアから米国への鉄鋼輸出が、ウクライナ侵攻開始後も、まだかなりの規模残っている。その大きな要因として、ロシアの鉄鋼大手が米国に現地工場(半製品を原料に完成鋼材を生産する単圧子会社)を有しており、たとえ関税が上がったとしても、これはもう出来上がったビジネスモデルなので、ロシアからの半製品供給が途切れることはないという点があると思われる。

 鉄鋼部門をめぐる米ロ関係につき、8月10日付と少々古くなってしまったが、こちらの記事が動きを伝えていたので、要点を整理しておくことにしたい。

 記事によると、ロシア鉄鋼大手のエヴラズは、在米・カナダ工場の売却に乗り出した。エヴラズは北米最大の鉄道レールおよび大径鋼管の供給者となっている。軍事侵攻開始翌日の2月25日、A.イヴァノフ社長は、我が社の財務は健全だとして、北米からの撤退は検討しないと発言していた経緯があった。だが、3月10日に英国が筆頭株主で28.64%を保有するR.アブラモヴィチを制裁に加え、オーストラリアも19.32%を保有するA.アブラモフを制裁対象とし、5月初頭に英国はエヴラズ社自体に制裁を発動した(エヴラズはロシア最大のレール供給者で、鉄道は軍事目的に利用されるとして)。なお、エヴラズは2007年にOregon Steelを、翌年にカナダのIPSCOを買収、北米には2つの電炉工場、4つの圧延工場、8つの鋼管工場、17のスクラップ処理場を有している。2021年の北米の売上は24億ドルだった。

 エヴラズに先立ち、北米資産の売却に踏み切ったロシア鉄鋼大手が、セヴェルスターリだった。2014年のクリミア併合後、セヴェルスターリはすべての在米工場を売却した。また、鋼管冶金会社も2019年に在米アセットをイタリアのTenaris社に売却している。

 一方、別の大手ノヴォリペツク冶金工場は、今のところ在米アセットを維持している。同社は、NLMK Indiana、NLMK Pennsylvania、Sharon Coatingという工場を有しており、熱延、冷延、亜鉛メッキ鋼板を生産している。


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 私が研究していたテーマの一つに、ロシアの輸出促進策があり、その際に、ロシアがとりわけ重視していたのが「非原料・非エネルギー商品」の輸出であった。ロシアは伝統的に石油・ガスをはじめとするエネルギー・資源の輸出に偏重し、それらは価格変動に翻弄されたりいずれ枯渇したりするので、もっと付加価値や加工度の高い商品の輸出を伸ばしていこうというわけである。

 しかし、ウクライナ侵攻が始まって、そうした輸出振興策など吹き飛んでしまい、「非原料・非エネルギー輸出」という言葉自体、個人的にしばらく聞く機会もなかった。そうした中、こちらの記事がその話題を伝えているのが目に留まった。

 記事によると、23日にヴォルゴグラードで開催された経済フォーラムの席で、ロシア産業・商業省のV.オシマコフ次官が、この問題につき発言した。制裁の打撃を受け、非原料・非エネ輸出は、16~18%程度低下した(注:これはおそらく数量ベースだと思われる)。しかし、すでに底を打った状態であり、今後はそこから回復していくだろうと、次官は述べた。

 24日には連邦議会の下院が、非原料・非エネ輸出に対する国家支援を目的とした政府法案を審議する予定。特に、「非原料・非エネ輸出」という概念を法的に明確化することが提案されている。これにより、該当する様々な商品の品目分類に統一的なアプローチを採用することが可能になる。

 これに先立っては、10月末にM.ミシュスチン首相が、1~8月の実績として、非原料・非エネ輸出の数量は低下しているが、価格の上昇により、同期の非原料・非エネ輸出は前年同期比7%拡大し、1,250億ドルとなったと発言していた。


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 上図は、先日ブログでお目にかけたもので、ロシアの相手国別輸出額の動きを見たものだ。ロシアが貿易統計を発表しなくなったので、主要相手国側の対ロシア輸入データをもとに作成したものである。

 これを見ると、さすがは反ロシアの急先鋒だけあって、米英はロシアからの輸入を激減させている。ただ、米国にしても、まだ一定量の輸入は残っている。米国の対ロシア輸入、どんな品目が減り、どんな品目が残っているのか、ITCのデータベースでちょっと調べてみた。なお、ITCの無料版のデータベースでは、HSコード2桁レベルまでしか調べられず、4桁以上は有料で、国連の関係機関のくせに課金しようとする点が気に食わない。

 ともあれ、調べてみると、2022年の夏に至っても、いまだに米国がロシアから買い続けている品目の筆頭は、肥料(HS31)であり、これは侵攻前から輸入額が全然減っていない。残念ながらHSコード2桁までなので、肥料の種類は調べられない。2番目に多いのが、関連する品目の化学品(28)であり、おそらくアンモニアとかが多いのではないか。アンモニアと窒素肥料は、天然ガスから作られ、米国がロシアからの石油・ガス輸入を全廃しても、アンモニアや窒素肥料を買っていたら、これいかにという感じがしないでもない。(PS:その後確認したところ、28の大部分は、濃縮ウラン(284420)であることが判明したので、訂正させていただく)

 意外だったのは、まだ鉄鋼(72)の輸入がかなりの規模で残っていることである。また、アルミニウム(76)の輸入も依然大きい。アルミは、バイデン政権が対ロ輸入禁止を検討していると言われながら、影響の大きさから、いまだに踏み込めていない領域である。ニッケル(75)の輸入はむしろ増えている印象もある。

 貴金属・貴石(71)は、元々対ロ輸入額が大きかった分野だが、6月にバイデン政権が金(ゴールド)輸入の禁止を決めたことで、激減した。同じく、魚・海産物(03)も、3月に政府が輸入禁止を決めており、まだゼロではないが減少に向かっている。木材(44)は、禁止ではないはずだが、関税引き上げの効果か、大幅な減少を記録している。

 元々最大の輸入品目だった燃料・エネルギー(27)は、5月から完全にゼロになっている。米政府として大見得を切っただけに、これに関しては徹底している。


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 甘いと言われるかもしれないけど、2018年サッカーワールドカップ・ロシア大会を眺めていて、ロシアは、多々問題はあれ、世界に開かれた良い国に変わっていくんじゃないかという期待を抱いたんだよ。それから4年で、こんなことになってしまうとは、思いもしなかった。

 それで、前回大会開催国のロシア、今回のカタール大会は、欧州予選のプレーオフ進出を決めながら、ウクライナ侵攻によるペナルティで無条件失格となり、カタール大会には出場していない。ただ、当然ロシアにも熱心なサッカーファンはおり、日本などとも同じように、そういうマニアは国内サッカーよりも欧州に目を向けていたりする。彼らにとっては、ロシアが出る・出ないに関係なく、W杯はがっつり観たい大会だろう。なので、ロシア国内で今回のカタール大会のテレビ放映がどうなっているのかが気になった。

 それに関しては、こちらの記事などが説明してくれている。結論から言えば、«Матч ТВ»というロシアの代表的なスポーツ専門局が、全64試合を無料中継するということである。

 ただし、記事によると、なぜかグループステージの3試合目のみ、«Матч ТВ»では録画放送となり、生中継は«Матч! Страна»という別チャンネルが担当する由である。

 それから、記事によると、今回のW杯と並行して、ロシアでは国内カップ戦が実施され、«Матч ТВ»はその放映も担当するということである。何ともわびさびのある話だ。


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 本日発行のロシア『エクスペルト』誌(2022年11月21-27日号に、ロシア科学アカデミー国民経済予測研究所のA.グニトチェンコ研究員による興味深い論考が出ている。この記事の肝となっているのが、上掲の図である。

 この図は、各産業が生産する付加価値に対する投入財輸入の比率を縦軸、製品輸出の比率を横軸にとり、①両方が低い産業をローカル産業(黄)、②輸入依存度は高いが輸出比率は低い依存産業(赤)、③輸入依存度は低いが輸出比率は高い中核的特化産業(青)、の3つに分類したものである。なお、輸入依存度も輸出比率も両方高いのは化学品(緑)だけなので、それはグループは成していない。ちなみに、各産業の四角の大きさは、各部門が生み出している付加価値の大きさを表している。

 ①ローカル産業(黄)は以下のとおり(以下順番は適当)。

  • 農林水産業
  • 印刷業
  • 建材等
  • 完成金属製品
  • その他(自動車以外ということだと思うが)の輸送手段・設備
  • 製紙
  • 食品加工

 ②依存産業(赤)は以下のとおり。

  • 家具等
  • 医薬品
  • 自動車
  • 繊維製品
  • 電子・光学機器
  • ゴム・プラスチック製品
  • 機械・設備
  • 電気機械

 最後に、③中核的特化産業(青)は以下のとおりで、まだテキストは良く読んでいないが、要するにロシアはこうした分野を広げていくべきという論旨なのだと思う。

  • 地下資源採掘
  • 鉄鋼・非鉄金属
  • 石油製品
  • 木材・同製品

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 まず入門的なお話だが、ロシア最大の貨物量を誇る港湾は、黒海に位置するノヴォロシースク港である。ただ、一般貨物というよりも、石油の輸出が圧倒的に多い。そして、それを担っているのが、ユージナヤオゼレエフカ、シェスハリスという2つの石油ターミナルである。その位置は上図に見るとおりであり、実はノヴォロシースクの市街および港本体からはやや離れている。

 2つの石油ターミナルは、位置付けがそれぞれ異なる。ユージナヤオゼレエフカは、カスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)の石油積み出しターミナルで、オペレーターは多国籍コンソーシアムであり、輸送されているのは大半がカザフスタンの原油である。一方、シェスハリスは、㈱ノヴォロシースク貿易港が運営しており、取扱の中心はロシアのウラル原油である。

 さて、なんでこんな話を始めたかというと、こちらの記事などが伝えているとおり、このほどシェスハリス石油ターミナルがウクライナ軍から攻撃を受けたという怪情報が流れたものの、それがロシア当局によって否定されるという気になる動きがあったからである。

 記事によると、11月18日夜にウクライナ軍が水上ドローンでシェスハリス石油ターミナルを攻撃したとの情報をMashというテレグラムチャンネルが発信した。しかし、ターミナルを保有するトランスネフチのI.ジョーミン氏が、この情報を否定した。同氏によれば、攻撃の事実はなく、被害も一切生じていないという。


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 ロシアは、例のウクライナの穀物輸出に関するイスタンブール合意を認める見返りとして、ロシアの穀物および肥料輸出に国連および欧米がお墨付きを与えることを求めていた。なので、肥料に関しては積極的に輸出促進する立場なのかと思いきや、こちらの記事によると、現時点で肥料輸出に数量割当を課しており、それをさらに延長する動きを見せているということである。知らなかったのでメモしておく。

 記事によると、輸出割当は、ユーラシア経済連合の域外の外国への輸出に適用されている(アブハジア、南オセチア、すでに併合宣言したドネツクおよびルガンスク人民共和国は例外扱い)。窒素肥料が700万t、複合肥料が490万tというのが上限となっている。当初の割当は、いったん2022年末まで延長されたが、それをさらに2023年5月まで延長することを、産業・商業省が今般提案した。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週11位で赤丸急上昇となっているのが、Herb Alpert & the Tijuana Brass - The Lonely Bull である。曲自体は他愛ない感じもするが、A&Mレーベルはまさにこの年1962年に設立され、後にソフトロック、洗練ポップの一大勢力となることを思うと、記念すべき第一歩という感じがする(この曲が初チャートインだったのかとかは未確認)。

その頃ソ連では
1962年11月14日:第24回ソ連サッカーリーグが閉幕。一部リーグの優勝はスパルタク・モスクワ。

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 こちらの記事が、乗用車分野でのロシアとイランの接近に関し伝えている。

 記事によると、ロシア最大の地場自動車メーカーであるAvtoVAZのM.ソコロフ社長はこのほど、乗用車の共同生産に関するイランの提案を検討していると発言した。ただ、インド、中国といったロシアにとっての友好国から寄せられたその他の提案についても、あわせて検討しているという。

 「2022年運輸週間」というフォーラムに出席したソコロフは、以下のとおり述べた。我々は協業を拒否せず、360℃見渡し、寄せられた建設的な提案はすべて検討する。イランだけでなく、インドも、中国も、その他の国もである。現時点では、それらのプロジェクトの始動段階にあると言うのは尚早だが、我々はすべての提案を精査している。

 8月にはロシア最大の自動車見本市で、イランの一連のメーカーがいくつかのモデルを出品していた経緯があった。年末までにはイラン・ホロド社がプジョー301をベースとしたTaraブランドのセダンをロシア市場に供給する予定であり、Saipa社のShahinというセダンも市場投入予定である。これらのモデルは全面的にイラン国産のコンポーネントにより生産されている。


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 ちょっと仕事で手が離せないので、ブログは簡単なネタだけで。ロシアの独立系調査機関の「レヴァダ・センター」が、対ウクライナ開戦以来、継続的に「軍事作戦」に関する賛否を問う意識調査を実施している。こちらに見るとおり、10月22日調査分までの結果が発表されているので、最新のグラフを作成してみた。

 前回の調査日は9月22日で、まさにプーチンがウクライナ4地域の一方的な併合と「部分動員」を宣言した直後だったことになる。その結果、9月の調査結果では、軍事作戦への支持が、開戦後最低レベルに落ち込む動きを見せた。そして、今回10月22日の調査結果も、1ヵ月前の結果からほぼ横這いとなっている。

 部分動員がロシア社会にパニックを広げ、多くの国民がこれまで「他人事」と思っていた戦争を「自分事」として受け止めるようになった。その結果、戦争に関する疑問の声が増えたことは間違いなさそうだ。ただし、10月に至っても、明確と「どちらかと言うと」を合計すれば、73%の国民が支持と答えているわけで、このあたり評価が難しいところである。

 要するに、この問題も含め、ロシアの世論は構造的に決まってしまっている部分が、非常に大きいということなのだと思う。日本のように、情勢の変化に機敏に反応して、世論が動くという度合いが、非常に小さい。


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 少々作業が遅れてしまったが、ロシア統計局が簡易GDP的な意味合いで発表している「基礎経済活動部門商品・サービス生産高」の9月までの数字が発表されているので、いつも作成しているグラフを更新してみた。

 ロシア経済は、今年のマイナス成長は確定的であるものの、マイナス幅は当初の予想より小さめに推移しており、「あれ、ロシア経済は制裁にもかかわらず、それほど動じていないのかな?」などと、つい考えてしまう。

 しかし、9月の▲3.5%という数字を見ると、いよいよロシア経済の危機が表面化し始めた表れと受け取れる。7月、8月とマイナス幅が縮小に向かっていたのに、9月には再び拡大へと転じた。

 ロシア経済にとって、9月は、長い休暇から明け、学校も始まり、経済・社会活動が本格的に再開する月である。そのリスタート月である9月で、これだけ数字が悪いということは、今後の一層の落ち込みを予感させる。


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 以前も言ったと思うが、ロシアは軍事侵攻開始後、貿易データを一切開示しなくなった。相手国、商品別といった中身だけでなく、輸出・輸入総額すらも出なくなった。そこで私は最近、ロシアの主要相手国の貿易データをひっくり返すことにより、ロシアの貿易動向を探るという作業を試みている。国によって出所が違うし、発表時期もまちまちで苦労するのだが、ともあれ9月までの(国によっては8月までの)データを更新しグラフを作成したので、お目にかける。

 なお、悔やまれるのは、ベラルーシ統計局が、7月分からロシアとの貿易額を発表しなくなってしまったことである。なので、下図ではベラルーシの数字は6月で止まっている。おそらくロシアから「指導」が入ったのだろう。

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 まず、ロシアから各国への月別輸出額が、上図のとおりである。突出しているのはインドであり、ロシアからの石油輸入の激増により、6月以降は毎月の対ロ輸入額が前年平均の6倍に達しているほどで、これを収めようとするとグラフが破綻してしまうので、省略している次第である。トルコも、ちゃっかりロシアからの輸入を増やしている。中国は、元々ロシアとの貿易額が大きかったので、伸び率という観点ではそれほど大きくないものの、やはりロシアの輸出の重要なはけ口となっていることがうかがえる。EUおよび日韓は必ずしも対ロ輸入を断ち切れていないが、顕著なのは米英の激減であり、さすがはプーチンが忌み嫌うアングロサクソン(?)と感心させられる。

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 次に、ロシアの国別輸入動向が上図である。今のロシア経済の一番の問題は、ある程度カネはあるのに、非友好国たる欧米日韓の制裁で、経済が機能するのに必要な商品やサービスを輸入できないことであり、それを友好国からの輸入や第三国からの迂回でどれだけ補えるかが焦点となる。ゆえに、ロシアの輸入においては、友好国・非友好国の色分けが、より鮮明になっている。


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 ロシアでは、侵攻開始後に、A.シルアノフ蔵相が、「今は条件が悪いから今年はもう国債を発行しない」と発言していた経緯がある。しかし、財政の悪化で、実際には秋になり国債発行を再開したことを、こちらの記事が伝えている。なお、連邦債(Облигации федерального займа=ОФЗ)新規発行高の月別推移を示したのが上図。

 記事によると、長い休止のあと、財務省は秋になって連邦債の発行を再開した。10月には2,156.7億ルーブルを発行。11月には、2日と9日に発行があり、この時点ですでに1,915.5億ルーブルを発行している。

 これらの連邦債により、想定される財政赤字をファイナンスすることになる。A.シルアノフ蔵相によれば、2022年通年の財政赤字は1.3兆ルーブルとなり、GDPの0.9%に相当することになる。1~9月の実績ではまだ、1,280億ルーブルの黒字を保っているが、財政支出のピークとなるのは年末である。


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 ロシアで導入された独自のクレジットカード「ミール」に関し、どの外国で使用できるのかという地図が、こちらのサイトに掲載されたいたので、上掲のとおり拝見してみることにする。使用できる国は具体的には下記のとおりだが、ただし、国によってだいぶニュアンスの違いがあるようだ。

  • アルメニア:同国の銀行は5年前からミール・カードを受け入れ始め、利用は急激に広がった。しかし、今年の9月末になって、ミールを使った買い物および現金引き出しができないという声が広がった。アルメニア中央銀行は、個々の銀行が判断すると説明しており、現状ではアルメニアの10の銀行が対応している(注:要するに動員逃れのロシア人がアルメニアに殺到して混乱したのだろう)。
  • ベラルーシ:同国ではほとんどの店でミール・カードが使え、現金引き出しも可能。
  • カザフスタン:9月にいくつかの銀行がミールの取扱を停止。現在、現金を引き出せるのはベレケバンクとVTBだけで、買い物をできる店も一部だけ。
  • キルギス:現金を引き出せるのは、KICB、RSK、オプチマなど一部の銀行だけ。
  • ウズベキスタン:9月23日にウズベキスタンの統一銀行処理センターはミールの取扱を停止。ウズベキスタンの銀行が発行したミール・カードは使用可。
  • トルコ:Isbank、Denizbank、Halkbank、Vakifbank、Ziraat Bankという5銀行がミールを受け付けていたが、米国の制裁を懸念し、9月に取扱をやめた。代替手段として、トルコの銀行はロシアで発行されたミール、VISA、Masterを受け入れるシステムに接続した。
  • 韓国:一部の限られた店舗で支払に利用できるのみ。現金引き出しはできない。

 地図を見ただけの印象では、「こんなに多くの国で使えるんだ」と思ったが、現実には、特に9月下旬以降、かなりの制限があるということのようである。

 なお、地図では、上記以外にも、ミール・カードの今後の受入を計画している国というのが示されている。具体的には、キューバ、ベネズエラ、ナイジェリア、エジプト、イラン、バーレーン、UAE、インド、スリランカ、アゼルバイジャン、モーリタニア、ミャンマー、タイ、中国、ベトナム、マレーシア、インドネシアだという。


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 ソ連時代に「冷戦」という言葉が彼の国でどう使われていたかを調べたかったのだが、そういうのをネット検索するのはなかなか難しい。しばらく考えた結果、たぶんソ連の百科事典をネット上で利用できるような便利なサイトがどこかにあるのではないかと思い立ち調べてみたところ、こちらにまさにそのようなサイトを発見した。『ソビエト大百科事典(第3版)』全30巻の中身がネット上に上がっており、ありがたい話である。

 ついでに、同百科事典で「冷戦」は次のように説明されている。

«Холодная война», термин, получивший широкое распространение после 2-й мировой войны 1939—45, для обозначения политики реакционных и агрессивных кругов Запада в отношении Советского Союза и др. социалистических стран, а также народов, борющихся за национальную независимость, мир, демократию и социализм. Политика «Х. в.», направленная на обострение и сохранение состояния международной напряжённости, на создание и поддержание опасности возникновения «горячей войны» («балансирование на грани войны»), имеет целью оправдать безудержную гонку вооружений, увеличение военных расходов, усиление реакции и преследования прогрессивных сил в капиталистических странах. Политика «Х. в.» была открыто провозглашена в программной речи У. Черчилля 5 марта 1946 (в г. Фултон, США), в которой он призвал к созданию англо-американского союза для борьбы с «мировым коммунизмом во главе с Советской Россией». В арсенале методов и форм «Х. в.»: образование системы военно-политических союзов (НАТО и др.) и создание широкой сети военных баз; форсирование гонки вооружений, включая ядерное и др. виды оружия массового уничтожения; использование силы, угрозы силой или накопления вооружений как средства воздействия на политику других государств («атомная дипломатия», «политика с позиции силы»); применение средств экономического давления (дискриминация в торговле и др.); активизация и расширение подрывной деятельности разведывательных служб; поощрение путчей и государственных переворотов; антикоммунистическая пропаганда и идеологические диверсии («психологическая война»); препятствование установлению и осуществлению политических, экономических и культурных связей между государствами.
Советский Союз и др. страны социалистического содружества прилагали усилия для ликвидации «Х. в.» и нормализации международной обстановки. Под влиянием коренного изменения соотношения сил на мировой арене в пользу мира и социализма, явившегося результатом прежде всего роста могущества СССР и всего социалистического содружества, к началу 70-х гг. стал возможным поворот в сторону разрядки международной напряжённости. В 1-й половине 70-х гг. успехами политики разрядки явились ряд соглашений, заключённых между СССР и США, создание системы договоров и соглашений, признающих неприкосновенными послевоенные границы в Европе, подписание Заключительного акта Совещания по безопасности и сотрудничеству в Европе и др. документов, знаменующих собой крах «Х. в.». СССР и др. страны социалистического содружества борются за пресечение любых проявлений «Х. в.», за углубление процессов разрядки, придание ей необратимого характера, чтобы создать условия для кардинального решения проблем мира и безопасности народов.
Д. Асанов.

 要するに、「冷戦」というものを、東西対立の状態としてではなく、西側の東側に対する敵対政策の体系として捉え、常にカッコ付きで用いていたということのようである。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、つい先日までFour Seasons - Sherryがチャートのトップに居座っていたと思ったら、早くも次のシングルが1位まで駆け上ってきた。Four Seasons - Big Girls Don’t Cryがそれである。Vee Jayレーベルもウハウハであろう。

その頃ソ連では
1962年11月18日:『ノーヴィミール』誌にA.ソルジェニーツィンの「イワン・デニソヴィチの一日」が掲載される。

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 最近私がかかわった刊行物のご案内。

 このほど発行された『現代用語の基礎知識 2023』の巻頭企画として、ロシア・ウクライナ情勢が取り上げられており、その中で私が「対ロ経済制裁とロシア経済の今後」という小文を書いています。小泉悠さんの「地政学的大変動の時代を迎えるユーラシア」、廣瀬陽子さんの「旧ソ連の未承認国家とこれからの世界」もあるので、ファンの方は要チェック。なお、現代用語は創刊75周年とのこと。

 もうひとつ、ユーラシア研究所から出ている『ロシア・ユーラシアの社会』2022年9-10月号に、私の「ウクライナとベラルーシ ―運命を異にした兄弟国」というテキストが出ています。これは、昨年の12月にやったシンポジウム「ソ連解体後の30年」での講演内容をまとめたもので、ゆえにその後のロシアのウクライナ侵攻には触れていませんが、ウクライナ・ベラルーシを比較検討したものとしてそれなりに意味はあると思うので、ご関心の向きはぜひ。


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 こちらのページに見るとおり、ロシア統計局が昨日、10月のインフレ率(消費者物価上昇率)を発表したので、恒例によりグラフを更新して紹介する。

 10月のロシアの消費者物価は、前月比0.18%増、前年末比10.66%増、前年同月比12.63%増となった。3月の値上がりが「貯金」となっていて、相変わらず1年前と比べれば高物価だが、足元ではごくマイルドなインフレとなっている。ちなみに、月0.18%のインフレが1年続けば、年間の物価上昇率は2.2%くらいになる計算で、理想のインフレ率という感じさえする。ただ、ロシアの物価が今後も安定し続けるという保証はない。

 たまには下図のようにちょっと毛色の違う図も見てみようか。これは主な食品の10月の価格が1年前に比べてどう変動しているかを示したものである。値上がりが大きいのはトマト28.4%、バナナ15.4%などで、逆にレモンなどは7.3%下落、リンゴ8.1%下落となっている。どういう規則性なのか、良く分からない。

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 ちなみに、自動車用のガソリンは、1年間で2.64%しか上がっていない。ロシア政府は石油の輸出不振を補うべく、国内の石油精製業に補助金を出して国内消費を促している模様であり、その恩恵であろう。


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 こちらなどが伝えているとおり、ウクライナ政府は11月6日、一連の戦略重要企業を戦時に限り一時的に国防省の傘下に置くことを決めた。以下で企業ごとに見ていくことにしよう。

 まず、モトルシチ社。ザポリージャに所在するエンジン工場であり、かつてロシア製ヘリコプターも全面的に同社のエンジンを搭載していたことで知られる。2014年以降はロシアへの供給は停止されていたはずだったのだが、第三国を経由してロシアへの供給が続いていたことが先日発覚し、社長のV.ボフスラエフ氏が国家反逆罪のかどで逮捕されるという衝撃の出来事があった。あろうことか2月24日以降もロシアとの協力は続いていた由であり、ロシアではなくウクライナ軍と協力させるために、今回の措置は妥当だろう。

 次に、ザポリジトランスフォルマトル社。やはりザポリージャに所在し、上掲画像のとおり、変電所等の電力設備を生産している。ロシアの攻撃で電力インフラが破壊されているところなので、その関係で国防省管理ということになったのだろう。

 自動車メーカーのアフトクルアズ社。ポルタヴァ州クレメンチュークに所在する軍用車等の大型自動車のメーカー。確か、以前クレメンチュークのショッピングセンターが空爆された際に、同工場の誤爆ではないかと、話題になったことがあったように思う。

 ウクルナフタ社は、国営ナフトガス社の傘下にあるが、I.コロモイスキーのプリヴァト財閥も一部出資している石油・ガス採掘、加工、石油製品販売の会社である。国防省の管理下に置くのは、軍が使うガソリン、軽油などを確保する目的か。

 最後に、ウクルタトナフタは、要するにクレメンチューク製油所のことである。最近までウクライナで唯一稼働している製油所だったが、今般の戦争で4月にロシアから爆撃を受け、以降は生産は行われていないはずである。


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 欧州ビジネス協会より10月のロシア市場における乗用車販売データが発表されたので、一部別の情報源(Autostat)からデータを補いつつ、恒例のグラフを更新して上掲のとおりお目にかける。

 10月の新車販売台数は50,229台となり、前月比3.1%低下した。市場のトレンドは変わらず、ロシアおよび中国ブランド車の優位が一層強まり、ロシア・中国車だけで全体の79%を占めるに至った。

 そうした中、若干気になるのは、欧州ビジネス協会データによると、日産の販売台数が10月になってなぜか急増し、1,212台となったことである。日系ブランドの販売が単月・単独で1,000台を超えたのは、半年振りくらいである。まさか、急に日産に魔が差して、ロシアビジネスを復活させようとしたのだとは思えず、何かの偶然が作用したものだろうとは思う。現に、別機関のAutostatによれば、10月の日産車の販売は440台となっている。まあ、いずれにしても、欧州ビジネス協会データでなぜ日産が急に増えたのか、少々気になるところだ(撤退するからこそ在庫を急いで処分したとか?)。


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 ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』の本日発売11月7-13日号に、ロシアのタイヤ市場に関する記事が出ていた。その中で、2021年のロシア市場におけるブランド別シェアの図が出ていたので、上掲のとおり拝見することにする。中国系の合計22%、ロシア国産ブランドのニジネカムスクシナ18%、ピレリ(イタリアのメーカーだが数年前に中国資本傘下に入ったらしい)11%、ノキアン(フィンランド系だがロシア工場はタトネフチに売却ですでに合意)10%、シブールがロシア国産メーカーを束ねるコーディアント6%、コンチネンタル(ドイツ系)5%、グッドイヤー(米系)4%、ミシュラン(仏系)4%、ブリヂストン(日系)3%、横浜ゴム(日系)3%となっている。日系2メーカーのシェアが思ったより大きくないという印象である。

 さて、こちらなどが伝えるとおり、日系2メーカーのうち、ウリヤノフスク州の工業団地で現地生産を手掛けていたブリヂストンは、すでにロシア撤退を表明している。

 ブリヂストングループは10月31日、ロシア事業の譲渡について検討を始めたと発表した。既にロシアでの生産と輸出を停止しており、供給の先行きが不透明な中で撤退を決めた。現地事業主に事業を譲る計画で、手続きが完了するまでに数カ月を要すると見込んでいる。同社は3月に、ロシア乗用車用タイヤ工場の稼働停止と新規設備投資の凍結、ロシア向けタイヤ輸出の停止を決定している。グループ全体におけるロシア事業の売上収益は約2%弱。2022年第2・四半期決算で、固定資産減損などロシア事業関連損失168億円を計上しており、ロシアからの撤退で追加の関連損失が発生する予定だという。

 一方、当ブログで既報のとおり、こちらの日経報道によれば、横浜ゴムは当面ロシア事業を継続するということである。

 横浜ゴムがロシア工場でのタイヤ生産を再開したことが分かった。原材料調達が困難として3月18日に生産停止を表明していたが、トルコ経由で新たに調達できたという。大半がロシア向けで、雇用維持などを重視した。ウクライナ危機を受け、日系の自動車、タイヤメーカーはロシアでの生産や販売を停止しており、再開の動きは少ない。山石昌孝社長が「(ロシア西部の)リペツク州の工場で必要最低限の生産を再開した。原材料の調達が、若干ではあるができた」と明らかにした。ただ、現状のように雇用を維持しながら低い稼働率が続けば損失が膨らむ恐れもある。山石社長は今後の見通しについては「情勢をみて都度判断していく」と述べるにとどめた。


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 今の状況でどこまで意味があるかは微妙という気もするが、ウクライナ政府が2022年、2023年の経済見通しを修正したという情報がこちらに出ていたので、チェックしておくことにする。

 記事によると、2023年国家予算の第2読会審議に向け、経済パラメーターが見直され、ロシアによるエネルギーインフラの破壊が考慮に入れられた。ただ現在のところウクライナ経済省は、インフラ破壊がGDPに及ぼす影響は限定的で一時的であると見ている。10月10~11日の攻撃後、電力の生産も消費もすぐに回復し、また経済がエネルギー多消費型から他のセクターへのシフトを見せているからという。

 8月31日の経済省の予測では、2022年の実質GDP成長率がマイナス33.2%とされていた。それが、今回の10月29日の予測では、マイナス32.0%へと、わずかながら上方修正されている。

 その一方で、2023年については、前回の4.6%の予測が、今回は3.2%へと下方修正された。安全保障上の高いリスクが続き、重要インフラへの攻撃が継続される恐れを考慮したものという。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 チャートの上位を見ると、Elvis Presley - Return To Senderが赤丸急上昇で、4位まで上がってきた。それなりの有名曲で、日本ではせんだみつおのテーマ曲としても知られる(?)が、実はこの曲はトップまでは行かないのであった。

その頃ソ連では
1962年11月9日:ウクライナのスタニスラフ市がイヴァノフランキウシク市に改名される。

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 こちらの記事が(ノルドストリーム破損を受け出た少々古い記事だが)、制裁下のロシア石油・ガス輸出を取り上げているので、ガスにつき気になった部分だけ軽くメモしておく。

 この夏、メンテナンスや設備の不良などを口実に、ロシアはノルドストリーム1による欧州向けガス輸出を、日量1.7億立米から0.2億立米へと、大幅に低下させていた。

 過去1年間全体で、ロシアは欧州向けガス供給を88%低下させた。その間、欧州におけるガスの卸売価格は210%上昇した。

 2021年に英国はガス需要の4%をロシアから輸入しただけだった。それでも、ロシアが大陸欧州へのガス供給を絞った結果、国際的にガスが不足し、英国でのガス価格も急上昇した。

 Argus Mediaの専門家によると、ロシアは対ロ制裁を継続する欧州の決意をくじくために、意図的にガス不足を作り出した。

 しかし、EUはすでにロシアからのガス輸入を今後数年で3分の2削減する方針を示している。EU諸国は今後7ヵ月でガス消費を15%削減することで合意している。

 EU諸国は米国やカタールからのLNG輸入拡大を模索している。しかし、欧州のLNGターミナルはキャパシティが不足しており、特にドイツが困難に直面するという。


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 個人的に、ロシアの石油生産量と輸出量をグラフにする作業を定期的に続けている。10月の生産量が、こちらに出たので、上掲のとおりグラフを更新した。一方、石油の輸出データは、ますます情報が得にくくなってきている。原油+石油製品の輸出量とか、タンカーだけとか、CIS域内も含めた輸出量とかが断片的に報じられることはあるけれど、上のグラフで示している原油のみ、陸上輸送と海上輸送の両方、CIS域外のみの数字とは整合しないので、更新は8月で止まってしまっている。

 さて、せっかくなので上掲記事の骨子もまとめておくことにしよう。記事によれば、10月のロシア石油生産(ガスコンデンセートを含む)は、日量147万tで、前月から微減だった。10月の石油輸出量は前月から2%減少し、日量64万tとなった(注:たぶんこれはCIS域内を含んでいるので、域外のみの上掲グラフとは整合しない)。

 11月には状況が改善すると見られている。エクソンモービルが手を引き5月に生産が止まっていたサハリン1で、ロシア政府が10月にオペレーターをロスネフチに変更し、11月に操業が再開するからだ。

 欧州がロシア産石油の輸入を差し控えるようになり、ロシアの石油各社は輸出をアジアにシフトするとともに、国内にある自社の製油所を最大限に稼働させてきた。補助金の恩恵で、国内に石油製品を供給することが有利となっている。10月の製油所の原油処理量は日量76万tで、9月から微増だった。

 OPEC+によるロシアの新たな生産上限は、10月は日量1,050万バレルである。10月は実際の生産量は1,070万バレルだったが、これはガスコンデンセートも含んだ数字であり、9月の1,080万バレルから低下した。9月の場合、ガスコンデンセートの占める割合は8%だった。

 現状のロシアは、OPEC+の上限の生産量を達成できない状態である。多くの買い手が二次制裁を恐れて購入を手控えていること、売れる場合でも値引きが必要なこと、輸送に問題があることなどによる。外国企業のサービスが制裁で受けられなくなり、生産コストが上昇している点もある。12月には生産が9%低下し日量130万tになる可能性もあるとされる。

 当面、ロシアの石油生産を制約するのは、OPEC+の減産ではなく、国外販売の要因となる。8~9月の生産量を維持できれば、上々である。S.コンドラチェフという専門家によれば、2022年11月から2023年3月にかけ、構造的変化、EUへの供給停止により、生産は日量50万~70万バレル低下する可能性があり、11月には早くもそれが顕在化するかもしれないという。


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