
目下、ウクライナの海運が封鎖され、大量の穀物が港から積み出せない状態となっている。ならば鉄道で欧州に運んで、欧州で売るなり、欧州の港から輸出すればいいではないかと考えがちだが、ロジスティクス的観点から、それは容易ではない。最大の要因は、旧ソ連のウクライナは鉄道のレール幅が広軌の1,520mm、欧州は標準軌の1,435mmで、連続輸送ができず、いちいち国境で積み替えなければならないという点だ。
個人的には、「今すぐにというのは難しいだろうが、ウクライナが欧州との統合を真剣に考えているなら、標準軌の1,435mmの鉄道を敷設し直し、欧州鉄道ネットワークに統合されたらどうか。どうせウクライナの既存の鉄道は恐ろしく老朽化しているわけで、いずれにしても近代化は必要であり、ならば欧州規格で作り直したらいいのではないか」などと考えていた。
そうしたところ、こちらに見るように、ウクライナのD.シミハリ首相はこのほど閣議の席で、我が国は欧州標準軌鉄道の建設を段階的に開始すると表明した。最初は大規模なハブ、大都市間を結び、その後、国全体にそれを広げていくということである。なお、以前にはウクライナ鉄道の幹部が、標準軌への切り替えは高価で、長期間を要し、困難ではあるが、それでも必要であると発言したことがあった。
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